「50代からでもペットの里親になれるの?」「ペットの里親になるために必要なお金や条件は何がある?」そんなふうにペットの里親になりたいと考えたことはありませんか?
犬や猫の保護団体から引き取って里親になることで、不幸な動物たちを少しでも減らすことができます。飼い主としては費用が抑えられ、ペットにも飼い主にもメリットが大きい里親制度。そんな里親制度を使いたいと思いつつも、厳しい条件面が不安に感じてなかなか申し込めずにいる方も多いはず。
そこで今回は、50代からペットの里親になりたいと考えている方向けに、里親制度でペットを引き取れるかどうかを解説したいと思います。
【結論】50代でペットの里親になれるかは条件次第
まず結論から紹介しますと、50代でペットの里親になることは不可能ではありません。
あくまでも保護団体の提示する条件次第ではありますが、50代だからといってペットを引き取るのを断られてしまう可能性は低いです。しっかりと一生添い遂げる覚悟がある方であれば、どの保護団体もきっとあなたのことを歓迎してくれます。まずは、保健所や動物愛護センターに問い合わせてみて、里親になりたい旨を相談してみると良いでしょう。
ただし、次に紹介するような条件が当てはまる場合には、50代からペットの里親になるのが困難になることが多いようです。
一人暮らしだと難しい
年齢にかかわらず、一人暮らしの方は里親として断られてしまう可能性が非常に高くなります。
特に会社員として働いている方であれば、1日何時間も家を空けることになります。家を空ける時間が長く、ペットを独りきりにさせる時間が長い家庭には、保護団体も譲渡に難色を示す可能性が高いのです。
同様に、未婚のカップルの2人暮らしや、ルームシェアをしている場合にもNGとされることが多いようです。ご家族がいて常に家に誰かがいる家庭であれば、保護団体も安心して犬や猫を任せることができます。
家族全員の同意が必要なことも
ご自身では飼いたいと思っていたとしても、家族が難色を示している場合には、家族全員の同意がないとみなされて譲渡を断られてしまうこともあります。ペットを飼うということは小さな子どもを育てるのと一緒ですから、なかなか飼い主一人だけではカバーできないことも出てきます。
そんなときに、配偶者の方やお子さん、親戚の方など、ペットの世話に協力してくれる人がいるかどうかが大きなポイントとなってくるのです。もし自身では飼いたいと思っているが家族に反対されている場合には、あなた自身の覚悟を家族に伝えて、ペットのお世話に協力してもらう必要があります。
1匹の命を預かることになるのですから、ご家族と慎重に話し合いたいところです。
収入や仕事の状況も考慮される
当たり前のことではありますが、里親になる家庭の収入やお仕事状況も判断材料となります。
たとえば今の夫婦での生活面がギリギリの経済状況であれば、ペットをお迎えしたいと思っても断られてしまう可能性が高いでしょう。十分な貯蓄がある方でも、この先老後を迎えた際の生活を踏まえ、経済的な理由がネックとなって譲渡を断られてしまうかもしれません。
またお仕事の状況も考慮され、在宅で働いている方の方が有利になります。家を空ける時間が短ければ短いほど、保護団体から譲渡してもらえる可能性が高まるのです。
中には里親条件が非常に厳しい団体も。その理由は?
実際に里親として保護団体から譲渡をしてもらおうとすると、意外と厳しい譲渡条件を設けているところが多く驚くかもしれません。
たとえば犬の譲渡の条件として、屋外ではなく、室内で育てることが必須になっているところもあります。庭に犬小屋を建てて、屋外メインで飼おうと思っている方には厳しい条件のように感じるかもしれません。
また、未成年の子どもがいる場合には譲渡不可とされている場合もあります。幼いお孫さんの良き遊び相手としてお迎えするのは現実的には厳しいようです。
「善意で引き取ろうとしているのに、なぜこんなに条件が厳しいのか?」
そう感じてしまうところですが、それだけ保護団体も厳しい現実を知っているということなのでしょう。
たとえば環境省の統計によれば、令和2年度の犬の引き取り数は27,635頭、猫の引き取り数が44,798頭となっています。合計で7万頭以上もの犬・猫が1年間に保護されているということです。保護動物の内訳としては、犬は成熟個体(成犬)が大半を占めるのに対し、猫は幼齢個体(子猫)が多くを占めています。
引き取り数は年々減少し、殺処分率も近年大幅に下がっていることもわかりますが、まだまだ保護が必要な動物たちが多く存在するのが実情です。こうした事実を踏まえ、保護団体の方々も、保護した犬や猫がさらなる不幸に巻き込まれることだけは避けたいと考えています。
「安心して保護動物をお任せできる家庭とは?」と考えた際に、上記のような厳しい条件が設けられるのも仕方ないことではないでしょうか。ただし、条件を満たせない場合だったとしても、「本気で保護動物を引き取り、幸せにしたい」という熱意を伝えることができれば、保護団体も相談に乗ってくれる可能性はあります。
ペットショップの子犬・子猫と比べた保護犬・保護猫の特徴
犬や猫を新しく家族としてお迎えする場合、保護動物を引き取る以外にも、ペットショップで生体を購入するという方法もあります。
この2つの方法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、必要な予算や手続きも異なってきます。ここではペットショップの子犬・子猫と比べた場合の、保護犬・保護猫の特徴について、次の3つを紹介しましょう。
- 成犬・成猫であることが多い
- 雑種がほとんど
- 何かトラウマを抱えていることも
成犬・成猫であることが多い
ペットショップで陳列されているのは、主に1歳以下の子犬や子猫が中心です。
一方、保護団体で譲渡可能なペットは、成犬・成猫であることがほとんど。
ペットショップも1つの営利企業ですから、まだ小さく可愛らしい子犬や子猫の方が消費者からのニーズも高いことから、陳列する数も多くなります。保護団体に保護されるペットたちは、すでに大きくなってから保護されることが大半です。そのため可愛らしい子犬や子猫を引き取りたいと考えている場合には、保護団体の里親制度は向いていないかもしれません。
ただ、50代以降の方が里親になる場合には、ある程度のしつけが身に付いていて、活発というよりは落ち着きがある成犬・成猫の方が飼いやすいというメリットがあります。体力的な面や、寿命について考えると子犬や子猫の引き取りに躊躇してしまう方も、成犬・成猫の里親なら一歩踏み出しやすいのではないでしょうか。
雑種がほとんど
ペットショップではさまざまな種類の犬や猫が陳列されていますが、保護団体で譲渡してもらえる犬や猫は、雑種であることがほとんどです。
いわゆるミックス犬・ミックス猫とも呼ばれ、「トイプードル」「マンチカン」など、特定の品種の名前がついていない動物たちが多いのです。
また、保護犬の場合は小型犬よりも中型犬以上の大きさの場合が多いのも特徴。特定の品種の里親になりたいと考えている方は少ないと思いますが、こうした特徴があることも知っておくといいでしょう。
何かトラウマを抱えていることも
劣悪な環境で育てられた保護犬・保護猫の場合には、何かに対するトラウマを抱えていることもあります。たとえば、外の世界を怖がり、散歩に行くのが困難な犬などもいます。
中には保護団体ですら把握できていないトラウマや、過去の病歴が判明することもあるかもしれません。ですので、ペットショップで子犬や子猫を引き取る場合とは異なり、お世話をする上で大変に感じるシーンが多くなることもあります。
それでも里親になりたいと考えるなら、保護犬・保護猫の過去も含めて受け入れてあげる姿勢が大切です。
里親になるために最低限チェックしておきたいポイント
続いて、里親になりたいと思った際に最低限気を付けておきたいポイントについてもご紹介します。
- ペットが室内でのびのび生活できるか?
- 年間費用を安定して支払えるか?
- 万が一の際に、預けられる人がいるか?
これらのポイントをしっかりと考えた上で、里親制度に申し込むようにしましょう。
ペットが室内でのびのび生活できるか?
保護団体の方たちが一番気になっているのが、あなたの家庭で保護犬・保護猫が安心して暮らせるかどうかという点です。
マンションであればペット飼育可であることはもちろんですし、ケガ防止のために絨毯やカーペットが敷いてあるとより良いですね。戸建ての場合には、階段からの落下防止対策や、脱走防止の柵が用意してあると安心です。
間取りは広かったとしても物が散乱しているようではペットにとっても危険ですから、整理整頓してのびのび過ごせる環境を用意したいですね。
年間費用を安定して支払えるか?
アニコム損害保険株式会社のアンケート調査では、犬は平均338,561円、猫は平均164,835円の年間費用がかかるというデータが紹介されています。
(参考:ペットにかける年間支出調査 2020|PR TIMES)
これだけの年間費用をペットの生涯ずっと払い続けられるかどうかも、重視したいポイントです。最近では犬も猫も平均寿命が延び続け、15年、20年と生きるペットもいます。長生きしてくれるのは喜ばしいことですが、それだけ費用も膨らむことを知っておく必要があります。
また、犬や猫も人間と一緒で、シニアになってくると病気やケガが増えがちです。その際の治療費を払えるかどうかはしっかりと考えておかなければなりません。
もし経済的に不安があるようなら、「ペット保険」に加入しておくというのもおすすめです。
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万が一の際に、預けられる人がいるか?
特に50代以降の方がペットをお迎えする場合、ご自身の身に何かあった際に預けられるところを用意しておくことが欠かせません。
たとえば、ご自身が入院したときに、家族や親戚でペットのお世話をしてくれる人はいるでしょうか?考えたくはないですが、ペットよりも先にご自身が寿命を迎えた場合、残された犬や猫をどう育てていくかも考慮しておきたいところです。
もし親戚の家などまったく違う環境で預かる可能性がある場合には、飼い主以外の人に慣れさせたり、無駄吠えや噛みつき防止のしつけもしておく必要があります。
おわりに
ご自身が50代であれば、保護団体からペットを引き取って里親になることは十分に可能です。
ただし、一人暮らしの方や、家族全員からの同意が得られていない方、収入やお仕事の状況に不安がある方の場合は、譲渡を断られてしまう場合があります。また、保護犬や保護猫はペットショップの子犬や子猫とは異なり、大きなトラウマや病歴を抱えている可能性もあるので、そうした事情も考慮しておく必要があります。
そうした事実をしっかり踏まえた上で、ぜひ新たな家族をお迎えしてあげてくださいね。