同居するパートナーがいないひとり暮らし「おひとりさま」。自由に時間が使えて気楽な一方で、老後の住まいなどの不安も多いようです。この記事では、おひとりさまの老後の住まいについて、候補となる住まいの種類や選び方を詳しく解説しています。老後をおひとりさまで過ごす予定の方は、この記事を参考にしてぜひ今から住まいの検討を始めてください。
(本記事は2023年12月21日時点の情報です)
この記事を読んでわかること
- おひとりさまの老後の住まいは、持ち家・賃貸住宅・介護施設入居などの選択肢がある
- 持ち家の場合、ローン完済後は資産になり賃貸住宅のような家賃負担の心配がない
- 賃貸住宅に住んだ場合は気軽に住み替えできるメリットがある一方、一生家賃を支払うという経済的負担がある
- 老後の住まいを選ぶ際は、費用面・利便性・セキュリティ面などに注意する必要がある
おひとりさまの老後の住まいとは?
おひとりさまの老後の住まいには、いくつかの選択肢があります。おひとりさまの老後の住まいとして考えられるのは、持ち家・賃貸住宅・民間法人が運営する施設・介護保険施設など。ここからは、おひとりさまの老後の住まいについて、それぞれのメリットやデメリットをご紹介しましょう。
持ち家に住む
戸建て住宅や分譲マンションなど、すでに自分の住まいを持っているおひとりさまには、老後の住まいとしてそのまま住み続けるという選択肢があります。
メリット
持ち家のメリットは、新たに住居を確保しなくてもよい点です。住宅ローンの完済後は資産になり、賃貸住宅のような家賃負担もなく、月々の住まいにかかる費用の負担が減ります。
また、ライフスタイルの変化に応じてリノベーションしたり、老後に生活しやすいようバリアフリーに改築したりと、自由に工事ができることも持ち家のメリットといえるでしょう。
デメリット
デメリットは、家の老朽化に伴うメンテナンス費用や、固定資産税がかかること。また、住宅ローンが残っている場合、収入が減った老後にも返済が必要です。さらに、持ち家は気軽に引っ越しができない点もデメリットのひとつ。
近隣にスーパーや病院などがなく住みにくさを感じたときや、ご近所トラブルに巻き込まれたときなどに、転居したいと思っても賃貸住宅よりも難しいのが現状です。
賃貸に住む
おひとりさまの老後の住まいの候補として、賃貸住宅があります。賃貸住宅の形態は、賃貸マンション、賃貸の戸建て住宅、公営住宅などさまざまです。
メリット
賃貸住宅はライフスタイルに合わせて、好きなところに気軽に住み替えできるのがメリットのひとつ。高齢になって掃除や移動が大変になれば、1階の部屋数が少ない物件に引っ越しすることもできます。家賃の負担が重く感じたら賃料が安い物件へ、病院通いが多くなればアクセスしやすい立地へなど、そのときに必要な条件に合わせて引っ越しできるのが魅力です。
また、賃貸住宅は持ち家のように固定資産税の支払いもなく、老朽化に伴う修繕や設備の故障の際は、基本的に家主が負担するためメンテナンス費用がかかりません。
デメリット
賃貸住宅のデメリットは、経済的な負担です。賃貸住宅は持ち家と違って、一生家賃を払い続ける必要があり、最後までご自身の資産になることはありません。
また、働いていたときに支払いできた家賃も、年金収入だけになると収入に対する家賃の割合が高くなり、負担に感じることもあるでしょう。さらに、更新時には更新手数料が必要となるケースもあります。
賃貸住宅では、高齢で足腰が弱くなったからバリアフリーにしたいと思っても、持ち家のように勝手にリフォーム工事をすることはできません。また、賃貸住宅に住む選択をすると、高齢になると借り続けられない可能性があります。家主側が高齢のおひとりさまに貸し渋るケースがあり、希望する物件に入居できないことも。
その他、賃貸物件に入居するには保証人が必要ですが、家族や親族がいないおひとりさまは、保証人探しが難航して老後の住まいを借りられないこともあります。保証人を頼むのが難しいようであれば、家賃保証会社を利用すると良いでしょう。一定の条件を満たせば保証人不要で入居できる、UR賃貸住宅に入居するのも、ひとつの方法です。
民間法人が運営する施設に住む
民間法人が運営する施設には、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームがあり、入居条件に定める要介護度や受けられるサービスが異なります。
メリット
民間法人が運営する介護付き有料老人ホームは、介護が必要な状態でも入居できるのがメリットです。介護保険サービスの利用料が毎月定額に設定されているため、多くの介護を必要とする状況になっても、費用負担を抑えることができます。24時間介護職員が常駐しているため、おひとりさまの老後の住まいとして安心して暮らすことができるでしょう。
その他の住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームの介護保険サービス利用料は、利用した介護サービスの分だけ支払う従量課金制。施設で受けられるサービスや入居条件もさまざまです。
ニーズに合った施設を選ぶことで、より快適なおひとりさま老後を満喫できるでしょう。中でもサービス付き高齢者向け住宅は、介護施設ではなく住宅としての扱いで、外出や外泊が比較的気軽にできる施設が多く、自由度の高い暮らしを送りたい方におすすめです。
デメリット
民間法人が運営する施設のデメリットは、入居費用がかかること。特に入居の際の一時金が高額になるケースがあり、介護付き有料老人ホームでは1,000万円を超える一時金が必要になることも。
月額利用料も公的な施設に比べて高い水準のため、費用を支払い続けられるかどうかが問題です。また、施設によっては要介護度が進むと住み続けられないこともあり、新しい施設に移ることも必要になります。
介護保険施設に住む
介護保険施設とは、主に地方公共団体や社会福祉法人、医療法人が運営している公的な介護施設です。介護保険施設には、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護療養型医療施設などがあります。
メリット
介護保険施設に住むメリットは、入居時の費用負担がなく、民間の施設に比べて月々の利用料を抑えられることです。その他、特別養護老人ホームでは常時介護が必要な状態の方も受け入れ可能で、介護職員が24時間常駐して対応しています。長期間入所可能で看取りをしている施設も多いことから、おひとりさまにとっても安心して老後を過ごせる施設といえるでしょう。
デメリット
費用面で大きなメリットがあるため、その分入居希望者が多いのが介護保険施設。入居を待つ待機者が多く、入居条件が厳しいことから、希望したからといって必ず入居できるとは限りません。
また、多くの施設では、入居に際し身元保証人が必要です。身寄りがいないおひとりさまにとっては、身元保証人がいないことがネックになることも考えられるでしょう。
ただし、厚生労働省によると、介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、各施設の基準省令においても、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできないこととされています。
つまり、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しないのです。身元保証人がいない場合でも、入居を希望する施設に確認をしてみましょう。
参照:厚生労働省|市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について
おひとりさまが老後の住まいを選ぶ際の注意点
おひとりさまが選ぶ老後の住まいには、さまざまな形態があります。ここからは、どのような点に注意して選ぶとよいのか、ポイントをお伝えしましょう。
予算に合った住まいかどうか
老後は収入が減る上に、医療費や介護費などこれまでになかった支出が増える傾向にあります。そのため、収入や貯蓄に合わせた住居を選ぶことが大切です。賃貸住宅を契約する場合は月々の家賃、介護施設などに入居する場合は月々の利用料を、無理なく支払える範囲に抑えましょう。
また、民間法人が運営する介護施設の中には、高額な入居一時金がかかる場合があります。月々の利用料も公的施設に比べて高水準であることが多いので、注意が必要です。
病院や買い物に便利か
高齢になると運転免許証を返納して、車を手放す可能性があります。そうなると、公共交通機関を使うことになるため、長時間歩かなくても到着するバス停や駅が近い場所を選ぶと良いでしょう。新たに住まいを検討する際は、病院やスーパーに通いやすいかどうかも重要なポイントです。
交通の便が悪い場所に住むと、病院などに通うたびにタクシーを利用することになります。駅から遠い場所は家賃が安い傾向にありますが、結果として支出が増えてしまったといったことがないよう、よく検討しましょう。
バリアフリーか
高齢になると足腰が弱ってくるため、少しの段差でも躓いてしまうことがあります。できれば段差がなくトイレなどに手摺が設置されている、バリアフリー設計の物件を選びましょう。
また、将来的に車いすの生活になる可能性もあるため、車いすが通れる幅が確保された物件を選ぶと安心です。
防犯対策はできているか
高齢者に限らず、おひとりさまは防犯面に注意が必要です。オートロックや防犯カメラの設置など防犯対策がされている物件であれば、安心して過ごせます。
管理人が常駐しているマンションであれば、不審者対策にもなるでしょう。
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万が一のときに備えて持ち家所有者がすべきこと
万が一に備えた対策は、賃貸住宅や介護施設などであれば入居時にできますが、持ち家の場合は事前に考えておく必要があります。今から検討しておくポイントを挙げていますので、参考にしてください。
認知症になった場合に備えて手続きを依頼する
認知症になった場合、正しい判断ができなくなり、不動産売買などの手続きが難しくなる可能性があります。そのような事態を避けるためには、成年後見制度の利用もひとつの方法です。
成年後見制度とは、知的障害や精神障害、認知症などが原因で、ひとりで判断することに不安や心配のある方が契約や手続きをする際に、裁判所の許可を得て成年後見人が代わりに手続きする制度。
認知症になった場合に備えて、制度の概要や誰を成年後見人に選任するのかを確認しておくと良いでしょう。
リバースモーゲージやリースバックを検討する
持ち家の資産価値を利用する方法があります。持ち家を担保にして借り入れをするリバースモーゲージや、自宅を売却した後でも賃貸契約を結んで住み続けるリースバックです。持ち家があるからこそ利用できる方法なので、検討してみてはいかがでしょうか。
遺言書や贈与を検討する
持ち家の場合、持ち主が亡くなった後どうするのか、という点も考慮しておかなければなりません。家を引継ぐ身内がいれば心配ありませんが、親兄弟や甥・姪がおらず遺言書もない場合、財産は国の所有になります。財産が国に渡ることが本意でなければ、早めに専門家に相談して遺言書を残しておきましょう。
亡くなる前に生前贈与するという方法もあります。贈与する場合は受け取る側に贈与税が発生する上、家の管理が大変だという理由で相手が受け取りたくない可能性も。トラブルに発展しないよう、必ず意志を確認して、手続きを進めましょう。
引っ越しを検討する
退職後、ライフスタイルの変化に伴い、住みたいエリアが変わるケースがあります。また、いずれ介護施設などに入居を検討する時期も来るでしょう。持ち家を売却して、転居費用や施設の入居一時金に充てることも検討してみてください。
老後の幸せな生活のために今から準備できること
最後におひとりさまが幸せな老後を送るために、今から準備できることをご紹介します。
老後資金の試算
今から老後にどれくらいの資金が必要なのか、確認しておくことが大切です。退職金や老齢年金額、iDeCoなど、どれくらい受け取れるのか試算しておきましょう。
ここで参考までに、総務省統計局の調査による老後生活資金をご紹介します。2021年の調査によると、65歳以上の単身無職世帯の1ヵ月平均消費支出は、132,476円。統計では年金などの実収入に対して、9,402円不足しているというデータがあります。不足分については、貯蓄などでまかなう必要があるということです。
ご自身の受け取れる退職金や老齢年金などで老後資金が足りるかどうか、確認しておきましょう。受け取れる年金額は「ねんきん定期便」で確認できます。
参照:総務省統計局|総世帯及び単身世帯の家計収支
老後資金が不足しそうであれば対策を
老後資金を確認して、不足しそうでも心配ありません。不足している分は、今から貯蓄を増やしたり投資をしたりといった方法で資産を増やす対策を始めると良いでしょう。
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おわりに
おひとりさまの老後の住まいは、持ち家・賃貸住宅・介護施設など、さまざまな選択肢があります。どの住まいにもメリットやデメリットがあるため、ご自身のライフスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。また、介護状態になった際の施設入居や老後資金に関しても、事前に確認して検討しておくことが大切です。
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