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財産分与で家を売るならアンダーローンが有利?確認方法や注意点についてもご紹介

セゾンのくらし大研究 編集部

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住宅ローンにおけるアンダーローンとは、対象となる住宅の時価が住宅ローン残債を上回っている状態です。一般的に、住宅ローンを返済中の住宅をアンダーローンの状態で売却すると売却益を得られます。金額によっては譲渡所得税が課せられる、離婚時の財産分与など不動産売却後の処理に影響が生じるため、注意しなければなりません。この記事では、アンダーローンの不動産を所有している場合の売買について、財産分与する際の注意点について詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • アンダーローンとは、対象住宅の時価が住宅ローン残債を上回っている状態
  • アンダーローンか確認する方法は、金融機関への確認、不動産会社への査定依頼、売却費用の計算の3つ
  • 離婚後の財産分与では、家の所有名義人と住宅ローン返済義務者の確認、連帯保証人の変更が重要
セゾンのリースバック
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アンダーローンとは? 

アンダーローンとは? 

住宅ローンにおける「アンダーローン」とは、住宅ローンの残高よりも住宅の資産価値(時価、売却額)が上回っている状態のことです。

一般的に、住宅を購入する際には用意した頭金に加え、金融機関から借り入れる住宅ローンで購入費用を支払うことがほとんどです。住宅購入後は返済計画に基づいて住宅ローンの元金及び利息を支払っていきます。反対に、住宅ローンの残債が住宅の時価を上回る状態を「オーバーローン」といいますが、当初の計画どおりに返済が進んでいる場合には、よほど不動産の価値が下がらない限り意識することはないでしょう。

住宅の価値は常に変動します。周囲の不動産売買契約の値段が反映された不動産の市場価値を実勢価格(売買価格)といいますが、実勢価格が著しく上昇しても住宅ローンの残債は変わりません。つまり、この時点で所有する家を売却すればローン残債を一括で返済できる状況ともいえます。なお、実勢価格は時価と呼ばれることも多いです。

アンダーローンの物件は売却に有利

一般的に不動産売買においては、その物件のローン残高を全額返済し、担保をはずさなければ売買契約が成立しません。アンダーローンの状態であれば売却で得たお金で住宅ローンの残債をカバーすることが可能です。そのため、住宅ローン返済中の家を売る場合は、アンダーローンの状態が望ましいとされています。

住宅ローン残債を完済し、諸費用を差し引いて残った金額は売却益になるため、売主にとってはリスクを負わずに売買の交渉ができます。不動産仲介業者にとっても後のトラブルを避けられるため、優先的に取り扱われるでしょう。

所有物件がアンダーローンかどうか確認する方法 

所有物件がアンダーローンかどうか確認する方法 

売却を検討している不動産物件がアンダーローンかどうか確認するためには、以下3つの確認が必要です。

  • 金融機関にローン残高を確認する
  • 不動産会社に査定を依頼する
  • 売却にかかる費用を計算する

それぞれについて解説します。

金融機関に確認する

まずは、住宅ローンを借り入れている金融機関に住宅ローンの残高を確認しましょう。金融機関は住宅ローンを貸し出した際の資料と返済状況から、本人確認にて問題がなければ書面でローン残高を開示してくれます。

不動産会社に査定を依頼する

住宅ローンの残債が把握できたら、所有物件の比較対象となる物件の価格を調べましょう。所有する不動産の売却価格は、不動産会社に物件の査定を依頼すると分かります。

査定の計算方法はいくつか種類がありますが、一般的には近隣で同タイプの物件がいくらで売買されたかという実勢価格を参考にすることが多いです。

売却にかかる費用を計算する

不動産を売却する際には、登記費用や抵当権抹消費用、契約書に関する印紙代、譲渡益に課せられる税金、不動産会社に支払う仲介手数料などの諸費用が発生します。

物件によって変わりますが、諸費用の相場は物件価格の約1~2割程度です。売却の査定を依頼すると諸費用の目安も分かるため、売却価格から諸費用を控除し、住宅ローン残債額と比較することでアンダーローンかどうか把握できます。

所有物件がオーバーローンだった場合の対処法

所有物件がオーバーローンだった場合の対処法

では、査定額と住宅ローン残債額を確認した結果、残債の方が上回るオーバーローン状態だった場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。主な対処法は以下の3つです。

  • アンダーローンになるまで売却を延期する
  • 任意売却を選択する
  • 住み替えローンを活用する

それぞれについて解説します。

アンダーローンになるまで売却を延期する

不動産価格は常に変動するため、特に売却を急いでいない場合は、可能であれば、アンダーローンになるまで売却を延期する方法があります。売却時期を遅らせてその間住宅ローンの返済を続け、残債を減らして売却価格でローンを完済しやすくする方法です。

特に、近年の都市部のマンションなどでは、時間が経過するほど査定価格が上昇する可能性があります。一方、郊外の不動産は地価上昇を伴わず、家は経年劣化するため不動産の価値が下がる恐れもあり、注意が必要です。

購入時から査定までの不動産価格の推移を見て、物件の価格が上昇傾向にあるのか、それとも下落傾向にあるのか見極めましょう。

任意売却を選択する

不動産売却の際には、住宅ローンの残債を一括返済してから売却するのが前提です。オーバーローンの状態では住宅ローンを完済できないため、売主は自己資金を投入して住宅ローンを完済するか、金融機関と交渉して任意売却を選択する方法があります。

任意売却とは、住宅ローンの支払いが難しい場合などに、競売にかけられる前に自分で売却活動を行い、住宅を売ることです。

ただし、任意売却には融資元の金融機関の承諾を得なければならず、住宅ローンが帳消しになるわけではありません。そのため、自宅を売却したあとも金融機関と相談の上、住宅ローンの残債を返済し続けなければならない点に注意してください。

任意売却の場合、競売よりは高値で売却しやすいですが、基本的には別の方法での売却を検討し、最終手段として考えましょう。

住み替えローンを活用する

売却と同時に新居の購入を考えている場合、住み替えローンを利用することで住宅ローンの残債を完済する方法もあります。住み替えローンで、新居の購入金額に前の家の住宅ローンの残債額も借り入れるわけです。

住み替えローンを活用して前の家の住宅ローンを完済できれば、抵当権を抹消して売却できます。ただし、借入金額が増え、返済の負担が大きくなりやすい点に注意しなければなりません。借入金額が大きければ住み替えローンの審査も厳しくなり、場合によってはローンを組めないケースもあります。

アンダーローンの物件は離婚時の財産分与でどうなる?

アンダーローンの物件は離婚時の財産分与でどうなる?

アンダーローン状態で不動産の売却を検討するケースとして多いのが、離婚による財産分与の場合です。売却することにより財産分与が分かりやすくなるためです。ここでは、アンダーローンの物件が離婚時の財産分与でどのように扱えるのか、売却する場合と手放したくない場合に分けて解説します。

物件を売却する場合

財産分与時に所有する物件がアンダーローンだった場合は、物件を売却し、売却代金から住宅ローンの残債や諸費用を差し引いた額を財産分与の対象とする方法を選択できます。

例えば、対象不動産を6,000万円で売却し、住宅ローンの残債が4,000万円、諸費用が600万円だった場合、差額の1,400万円が財産分与の対象になり、夫婦が700万円ずつ分け合います。もちろん、両者が合意していれば、必ずしも半分にする必要はありません。

物件を手放したくない場合

物件を手放したくない場合は、不動産の時価から住宅ローンの残債を差し引いた額を財産分与の対象とし、物件を所有し続ける側が相手に金銭を支払います。

例えば、時価6,000万円の不動産で住宅ローンの残債が4,000万円の場合、差額の2,000万円が財産分与の対象となり、物件を所有し続ける側が相手に1,000万円を支払います。

なお、住宅ローンの融資を受ける際に夫婦が共同で出資し、名義も2人の場合は、物件購入時の出資割合に応じて財産分与を行い、物件を所有し続ける側が相手に相当額を支払うこともあります。

売却せずに離婚後も住み続けるには

売却せずに離婚後も住み続けるには

離婚後も物件を売却せずに住み続ける際の選択肢について解説します。この場合、ローンの名義人が誰か、誰が住むのかによって注意が必要です。

名義人が住み続ける場合

例えば、物件の所有名義人と住宅ローンの返済義務者は夫のままで夫が住み続ける場合は、財産分与以外に何か手続きをする必要はなく、そのまま住宅ローンの返済を続けていけば特に問題はありません。

名義人でない方が住み続ける場合

例えば、夫名義の住宅ローン残債がある家に、離婚後妻が住み続ける場合は、さまざまなリスクが発生する点に注意が必要です。

離婚しても住宅ローン返済義務者は夫のままですが、妻が住み続けること自体は可能です。ただし、住宅ローンは夫が返済し続けなければなりません。将来的に夫が住宅ローンの支払いを止めてしまうと、場合によっては家が競売にかけられるなど、妻が住み続けられなくなる可能性があります。

こうした事態を回避するためには、住宅ローンの名義人を夫から妻に変更する必要があります。具体的には、以下の2つの方法があります。

  • 免責的債務引受
  • 住宅ローンの借り換え

免責的債務引受とは、金融機関の承諾を得て、夫が返済義務者である住宅ローンを妻がそのまま引き継ぎ、住宅ローンの名義人になることです。これができれば、家の所有名義人も妻に変更することができます。

ただし、免責的債務引受が認められるかどうかは各金融機関の審査や判断によること、そもそも認めていない金融機関も多い点に注意しなければなりません。

一方、住宅ローンの借り換えを行い、住宅ローン返済義務者を夫から妻に変更する方法もあります。妻が新たに住宅ローンを組み、融資を受けたお金で夫名義の住宅ローンを完済する方法です。その後は妻が家に住み続けながら自身の住宅ローンを返済していくことになります。

住み続ける場合の注意点

離婚後も夫婦のどちらかが住み続ける場合は、以下の点に注意してください。

  • 物件の所有名義人が誰か
  • 住宅ローンの返済義務者が誰か
  • 連帯保証人の変更

まずは、物件の名義人が誰なのか、不動産登記簿謄本で確認しましょう。物件の名義人がそのまま住み続ける場合は問題ありませんが、そうでない場合は金融機関に申告しなければなりません。

また、住宅ローンの返済義務者が誰かも明確にしておく必要があります。住宅ローンの返済義務者は離婚後も住宅ローンを返済していかなければならないからです。住宅ローンの借り換えなどで返済義務者の名義を変更するケースもありますが、金融機関の審査によっては変更できないケースもあるので、注意してください。

さらに、共同で出資して住宅を購入していた場合、例えば夫名義で住宅ローンを契約し、妻を連帯保証人にしているケースは少なくありません。このような場合、夫が住み続けるなら、万が一、住宅ローンの返済が滞ると連帯保証人である妻が責任を負うことになりトラブルに発展しかねないため、連帯保証人を変更しておくことが望ましいでしょう。

なお、住宅ローンの借り換えができなかった場合など、物件に住み続ける人と住宅ローンの返済義務者が異なるケースでは、住宅ローンを完済した際に物件の所有名義を移転することを取り決めておきましょう。離婚協議書に記載するだけでなく、できれば法的効力のある公正証書にしておくことが大切です。

アンダーローンの物件であればリースバックもおすすめ

アンダーローンの物件であればリースバックもおすすめ

アンダーローンの状態にある場合は家を売却し、売却代金で住宅ローンの残債を完済できるため、リースバックが可能です。ここでは、リースバックの概要やメリットを解説します。

リースバックとは

リースバックとは、所有する不動産などの資産を売却し、同時にそれを借りる金融取引の手法です。

取引の対象が自宅である場合、売却後も家賃を支払えば住み続けられるので、まとまった資金調達ができるだけでなく引越しの手間も省けます。

子どもが学校を卒業するまでは同じ家に住み続けたい場合など、期限を決めて利用するのも良いでしょう。

リースバックのメリット

リースバックのメリットは、以下の通りです。

  • 売却でまとまった資金が入り、そのまま住み続けられる
  • 固定資産税などの維持費が不要
  • 引越し費用などを準備する必要がない

リースバックを活用すれば、住み慣れた家にそのまま居住し続けることができ、売却を周囲に知られることもありません。

また、家の所有名義人はリースバック提供会社に変更されるので、固定資産税を支払う必要がなくなります。マンションの場合は、管理費や修繕積立金を支払う必要もありません。

さらに、新たに入居先を探す場合は引越しや入居の手続き、諸費用が必要ですが、リースバックでは転居が不要なので、これらの費用を準備する必要もなくなります。

ご自身のケースにおいてリースバックを活用できるのか知りたい方は、「セゾンのリースバック」を提供するセゾンファンデックスに相談してみましょう。

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おわりに 

住宅ローンにおけるアンダーローンとは、家の時価が住宅ローン残債を上回っている状態です。アンダーローンの状態で家を売却できれば売却益が得られ、住宅ローンの残債を完済できますが、離婚時の財産分与や売却益への課税など注意点が少なくありません。住宅ローンを完済して家に住み続けたい場合は、リースバックも検討してみてください。

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