一般的に貸し付け自体が難しいといわれている親族間売買の住宅ローンですが、その後により良い条件に変更するための住宅ローンの借り換えはできるのか気になる方もいるのではないかと思います。
このコラムでは、親族間売買の住宅ローンで借り換えができるのか、そのメリットやデメリット、注意など含めて解説します。
- 親族間売買で住宅ローンの借り換えは可能
- 住宅ローンの借り換えのメリットは「金利プランを変更できる」「返済期間を短縮できる」「団信の保障内容を見直せる」ことなど3点
- 住宅ローン借り換えのデメリットは「諸費用がかかること」「住宅ローン控除額が減少する可能性があること」の2点
親族間売買の住宅ローンは借り換え可能
日本国内の多くの金融機関は、住宅ローンの借り換えサービスを提供しています。これは金利の変動や借入状況の変化に対応するための手段であり、借り手にとっては経済的な負担を軽減する有効な選択肢となります。
また親族間売買ローンであっても、この一般的な金融機関の住宅ローンに借り換えることは可能です。
親族間売買ローンの利用例
- 不動産の相続で親族間で問題が起き、持分を買い取る資金として
- 離婚に伴い、ペアローンで購入した自宅の持分を買い取る必要があって
- 父親の会社が倒産し、実家が競売物件になったので、買い戻すために
上記のような緊急の事態を乗り越えるために親族間売買ローンを利用するなどした後、事態が落ち着いた頃に借入を見直し、住宅ローンの借り換えを行うケースはあります。
住宅ローンを借り換えするメリット
住宅ローンの借り換えの主なメリットは、以下の3点です。
【住宅ローンを借り換えするメリット】
- 金利プランを見直すことができる
- 返済期間を短くできる
- 団体信用生命保険(団信)の保障内容を見直せる
それぞれのメリットについて解説します。
金利プランを変更できる
住宅ローンの金利プランには、毎月の返済額が金利の情勢に応じて変動する「変動金利」と、借入時の金利で固定されている「固定金利」があります。
一般的に、変動金利タイプは固定金利タイプよりも金利が低く、変動金利の方が毎月の返済額は少なくて済みます。しかし、変動金利はいったん金利が上昇すると金利の支払い額が大幅に上がる可能性があり、毎月の返済額や返済総額が増える可能性があるため注意が必要です。
例えば、変動金利から固定金利の住宅ローンに借り換えることで、金利上昇による返済額の増加を抑えることが可能です。逆に、今後の金利上昇に不安があまりない場合は固定金利から変動金利の住宅ローンに借り換えるなど、金利の情勢によって「固定⇔変動」の借り換えを検討しましょう。
わざわざ他の金融機関で住宅ローンに借り換えをしなくても、同じ金融機関で金利プランの変更をすれば良いのではと思う方がいるかもしれません。異なる住宅ローンへの借り換えはできる場合もありますが、原則として同じ金融機関内で借り換えはできませんので注意してください。
返済期間を短くできる場合がある
低金利の住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額はそのままで返済期間を短くできる可能性があります。経済状態にゆとりがある場合、返済期間の短縮は総返済額を抑えるために有効な手段です。
金利負担の総額は返済期間が短いほど小さくなるので、期間を短くすれば金利の負担を減らせます。当初の予定よりも早く完済できるため、心理的な負担の軽減にもつながるでしょう。
団体信用生命保険の保障内容を見直せる
3つめのメリットは、団体信用生命保険(団信)の保障内容を見直し、場合によってはより充実させることが可能な点です。団信は、債務者に万が一のことがあった場合に保険金で残債を返済することができる保険のこと。民間の金融機関の住宅ローンは、団信がセットになっているケースがほとんどです。
以前は死亡・高度障害状態に該当した場合に返済を免除するという内容が一般的で、金利を上乗せすることで、任意でがん等の三大疾病で所定の状態に該当した場合にも対応できるケースがほとんどでした。
近年は、所定のがんと診断された場合の保障や高度障害状態よりも幅広い障害状態まで対応できる保障がはじめからセットになっている団信も少なくありません。金利の上乗せで得られる保障も三大疾病からさらに拡大されており、ケガや病気全般の就業不能状態に対応できる保障を付帯できる場合もあります。
通常であれば、住宅ローンの団信を返済の途中で変更することはできません。しかし、借り換えのタイミングなら、保障が充実している最新の団信に切り替えられる場合があります。団信を強化する目的で借り換えを検討する方もいるほどです。
住宅ローンの借り換えで起こるデメリット
住宅ローンの借り換えにはメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
【住宅ローンを借り換えするデメリット】
- 諸費用がかかる
- 住宅ローン控除額が減少してしまう恐れがある
代表的なデメリット2点について解説します。
諸費用がかかる
一般的に、借り換え時に発生する費用には、「借り換え先の金融機関に支払う費用」と「抵当権変更に関わる費用」があります。
- 金融機関に支払う費用:事務手数料、保証料、一括返済にかかる費用など
- 抵当権変更に関わる費用:登録免許税、印紙税、司法書士への報酬など
金融機関によっては、住宅ローンシミュレーションの計算結果、借入時の諸費用を表示してくれるところもあります。
諸費用の具体的な金額は、銀行や住宅ローンの借入金額や期間、金利などによって異なりますが、300,000~800,000円程度が多いようです。諸費用も総合的に考慮しながら借り換えを検討してください。
住宅ローン控除額が減少してしまう恐れがある
住宅ローンを組んで住宅を取得した場合、住宅ローン控除という税制上のメリットを受けられます。購入時期や住宅の性能によって控除を受けられる期間や上限に差がありますが、基本的には入居した年から10年間または13年間、年末のローンの残高の1%が所得税額から控除されます。
住宅ローンの借り換え時には、借入金額や返済期間の設定によっては住宅ローン控除のメリットが薄れる可能性があります。また、借り換え後の住宅ローンの完済までの期間にも注意しなければなりません。
その理由は、借り換え時に完済までの期間が短くなり、完済までの期間が10年未満になると、住宅ローン控除の対象から外れてしまうからです。
また、令和6年(2024年)から省エネ基準に適合していないと住宅ローン減税を受けられなくなりますので、この点にも注意してください。
住宅ローンの借り換えで注意するべき内容
住宅ローンの借り換えを考える際に注意すべきポイントは、以下の2つです。
【住宅ローンの借り換えで注意すべきポイント】
- 借り換え前後の金利差を確認する
- 住宅ローンの残りの年数を確認する
それぞれについて解説します。
借り換え前後の金利差を確認する
住宅ローンの借り換えで得するためには、金利差のメリットが諸費用金額を上回ることが大前提となります。借り換えが得かどうか判断するための基準といわれるのが、以下の3点です。
- 残債1,000万円以上
- 残りの返済期間が10年以上
- 金利差1%以上
実際は3つすべてをクリアする必要はなく、ローン残高が多く、残りの返済期間が長ければ、金利差が1%以上もなくても借り換えによるメリットが得られる可能性があります。実際のところ、昨今の超低金利時代に1%以上の金利差の住宅ローン商品を見つけるのは困難でしょう。
得になるかどうかはケースバイケースですので、試算してみないとはっきりとはわかりません。借入先の金融機関で試算してもらうことをおすすめします。
住宅ローンの残りの年数を確認する
金利はローン完済までの残りの年数が短いほど負担が小さく、長いほど大きくなります。そのため、ローンの借り換えは住宅ローンの残年数が長いほど効果的です。
住宅ローンの残年数は、一般的には10年以上あるとメリットが出やすいといわれています。残りの年数が短い場合には、借り換えをしてもメリットが薄くなり、諸費用の分負担が大きくなってしまう可能性もあるため、注意してください。
ただし、返済期間を延長した場合、毎月の返済額は減りますが総返済額が増加します。すぐに大きなお金が必要なら返済期間を延長するのも選択肢に入りますが、そうでなければ短縮するのも選択肢のひとつです。借り換え時に有利になるよう慎重に検討してください。
そもそも親族間売買で住宅ローンを借りるのは難しい
一般的に、親族間での不動産売買に際して住宅ローンを組むのは、通常の住宅ローンに比べて難しいとされています。なぜなら、多くの銀行では親族間の取引に対して住宅ローンを提供していないからです。特に大手銀行や住宅金融支援機構からの融資は期待しにくく、地方銀行や信用金庫も同様に融資を控える傾向にあります。場合によっては、親族間取引であると知らされると、審査自体を受け付けてもらえないこともあります。
しかし、全ての金融機関が親族間売買の融資に否定的なわけではありません。小規模な地方銀行や信用金庫の中には、柔軟な対応をしてくれるところも存在しますので、積極的に相談することをお勧めします。
その他に銀行以外の選択肢としてノンバンクの利用も考えられます。ノンバンクとは、消費者金融やクレジット会社など、銀行ではないが貸金業法に基づく許可を持つ金融機関のことです。これらは融資業務に特化しており、親族間売買に対して住宅ローンを提供している場合もありますので、検討する価値はあります。
親族間売買ローンならセゾンファンデックスにお任せください
銀行などで「親族間売買に対する住宅ローンの貸付けは行わない」といわれた方は、「セゾンファンデックス 親族間売買ローン」にご相談ください。親族間売買での融資の実績も多数あり。審査結果の回答は最短で3営業日後です。また、クレディセゾングループという安心感があり、他の金融機関にはない独自の審査基準で親族間売買の幅広いニーズにお応えします。
おわりに
親族間売買の住宅ローンは組むことのハードルはあるものの、借り換えること自体は問題ありません。住宅ローンを借り換える際のメリットとデメリットを事前に把握したうえで、より有利な条件のローンへの借り換えを検討してみてください。