相続などで空き家を所有している方も多いのではないでしょうか?住むつもりがない空き家を放置していると、いろいろデメリットがあります。空き家は売却するのがおすすめです。
本記事では、保有している空き家をどうするか悩んでいる方のために、空き家を売却するメリットや売却方法について説明します。空き家をスムーズに売却する方法や、できるだけ高く売るコツを知っておきましょう。
この記事を読んでわかること
- 空き家の所有者にも、固定資産税の支払義務や、不動産の管理責任がある
- 空き家はそのまま売却する以外に、建物を解体して売却する方法もある
- 相続した空き家の場合には、相続手続きが必要である
空き家は早めに売却するのがおすすめ!その理由とは?
親が住んでいた実家を相続したなどの理由で、自分が住んでいない空き家を保有している方もいるのではないでしょうか?空き家になった家を保有することには、思いのほかデメリットがあります。
住むつもりがない空き家を持っている場合は、早めに売却することを考えましょう。まずは、空き家を速やかに売却した方が良い理由を説明します。
固定資産税の支払いがなくなる
不動産の所有者には、固定資産税が課税されます。誰も住んでいない空き家でも、固定資産税は払わなければなりません。さらに市街化区域では、固定資産税に加えて、都市計画税もかかってくるのです。空き家を売却してしまえば、固定資産税や都市計画税を払う必要はなくなるというメリットがあります。
住宅用地にかかる固定資産税は、通常、特例により6分の1に軽減されています。しかし、管理不十分な空き家(特定空き家)として認定されると、税額の軽減が受けられません。特定空き家になると、固定資産税の負担が通常の6倍にもなってしまいます。自分で管理できそうもない空き家は、速やかに売却を検討しましょう。
資産価値が下がって売却しづらくなる
家は築年数とともに老朽化します。特に、人が住まなくなった家は、あっという間に劣化してしまうでしょう。
そうなると、不動産の資産価値が下がって、売却しづらくなってしまいます。空き家を持っているなら、売買可能なうちに売却してしまうのがおすすめです。
近隣住民に迷惑がかかる
空き家を管理せずに放置していると、庭木や雑草が生い茂って、隣家や通行人の邪魔になってしまうことがあります。害虫が発生したり、動物が住みついたりして近隣に迷惑をかけることもあるでしょう。
空き家を管理していない場合、災害時にガラスが割れたり、瓦が吹き飛んだりする危険性もあります。他人にケガをさせるようなことになれば、所有者に損害賠償責任が発生してしまうのです。近隣住民に迷惑がかからないよう、管理できない空き家は早めに売却しましょう。
犯罪が起きた場合に責任が伴うことも
勝手に人が出入りできる空き家は、犯罪に利用される可能性もあります。ゴミの不法投棄や放火の心配もあるでしょう。
空き家の管理が不十分なため他人に損害を与えてしまった場合、所有者に責任が生じることもあります。もし空き家で犯罪が起これば、地域全体の治安が悪化してしまい、近隣住民の大きな反感を買うことにもなるでしょう。
空き家の売却方法
空き家は早めに売ったほうが良いと説明してきました。では、空き家を売るにはどういう方法をとればいいのでしょうか?ここからは、空き家を売る4つの方法について説明します。
そのまま売却する
空き家を売却する場合、建物を解体することなく、そのままの状態で売却する方法があり、そのまま売却する場合は、不動産会社に依頼して買い手を探してもらえます。
ただし、空き家はいつ売れるかはわかりません。建物が古く劣化している場合、売却はできても価格は安くなってしまうでしょう。
とはいえ、昨今は土地や建材が値上がりしており、中古建物も比較的高く売却できる可能性があります。不動産会社に査定してもらい、そのまま売却すべきかどうかを検討しましょう。
不動産会社へ売却する(買取)
空き家を不動産会社に買取してもらう方法です。不動産会社の中には、転売を目的に、空き家の買取を積極的に行っている専門店があります。買取してもらった場合には、不動産会社が売主となって、空き家を市場に売り出すのです。
不動産会社に空き家を買取してもらえば、すぐに処分が完了してお金が入ります。取り壊しが必要な空き家の場合には、解体費用を負担しなくても良い点もメリットです。ただし、買取の場合、市場価格よりも安い値段になってしまうというデメリットがあります。
解体して土地のみを売却する
空き家の建物を取り壊し、更地にして売却する方法です。建物が古くても、利用価値のある空き家なら、そのまま売ったほうが良いでしょう。しかし、劣化が激しく住める状態ではない場合は、更地にして土地のみを売却するほうが売れやすくなります。
空き家を解体する場合に必要なのが解体費用です。1坪当たりの解体費用の相場は、木造40,000~50,000円、鉄骨造60,000~70,000円、鉄筋コンクリート造70,000~80,000円。例えば、延床面積30坪の木造家屋を取り壊す場合には、120~150万円程度かかることになります。
解体の費用まで考えると、家付きで売ったほうが得になることもありますので、不動産会社や解体会社に見積もりをしてもらい、比較検討しましょう。
自治体の空き家バンクを利用して売却する
空き家バンクとは、自治体が運営している空き家の情報サイトです。空き家バンクに登録すれば、不動産会社を通さなくても、空き家を買いたい方を見つけられます。
空き家バンクには、不動産会社では取り扱ってくれないような物件でも掲載可能です。通常であれば売れそうにない空き家でも、空き家バンクを利用すれば買い手を見つけられる可能性があります。
ただし、宅建会社の仲介がない場合、ご自身で購入希望者と交渉したり物件に案内したりする手間がかかってしまいます。空き家バンクを利用して買い手を探す場合にも、トラブル防止のために、宅建会社に間に入ってもらうのがおすすめです。
空き家を売却する際の基本的な流れ
不動産を売却することになっても、何からどう進めて良いかわからない方も多いでしょう。ここからは、空き家を売却する際の基本的な流れを解説します。
不動産会社などのプロに相談する
空き家を売るには、不動産会社など家の売却のプロに相談するところから始めましょう。不動産会社では、空き家の査定を行ってくれるほか、売却方法について具体的に提案してもらえます。
インターネットで物件情報を入力すれば、簡易査定を行ってくれる不動産会社も多数ありますので、複数の不動産会社に査定してもらい、査定価格を比較しながら選ぶと良いでしょう。一括査定サイトを利用するのもおすすめです。
「セゾンの相続 相続不動産の有効活用」でも、相続した不動産の売却相談に応じています。不動産の専門家をご紹介でき、最適なプランをご提案します。お気軽にお問い合わせください。
不動産会社と媒介契約を締結し売り始める
依頼する不動産会社が決まれば、媒介契約を結びましょう。媒介契約とは、不動産売買を仲介してもらう契約で、次の3つに分かれます。
- 一般媒介契約
他の不動産会社にも依頼できる契約です。ご自身で買主を見つけることも可能です。 - 専任媒介契約
1社のみに依頼する契約です。ただし、ご自身で買主を見つけることはできます。 - 専属専任媒介契約
1社のみに依頼する契約で、ご自身で買主を見つけなくても良い契約です。
他の不動産会社にも依頼するのか、ご自身でも買主を探すのかを考え、ご自身に適した媒介契約を選びましょう。
不動産会社と媒介契約を締結すれば、売却活動開始です。不動産を売り出し、購入希望者が現れれば内覧対応を行います。空き家が遠方にある場合には、内覧対応などを不動産会社に一任できますので、不動産会社と打ち合わせをしながら、空き家の売却活動を進めましょう。
買い手と売買契約を交わして引き渡す
空き家の買い手が決まれば、売買契約を締結します。売買価格や引き渡し日などの条件を決め、売買契約書を交わしましょう。
通常、売買契約締結時には買主から手付金を受け取り、引き渡し時に残金を決済します。契約で定めた引き渡し日には、手付金を除いた残金を受け取り、鍵を買主に渡します。
なお、空き家を譲渡すると、法務局での名義変更手続きが必要です。一般的には引き渡しと同時に司法書士に必要書類を渡し、名義変更手続きを進めてもらいます。
空き家をできるだけ高く売却するには?
空き家は老朽化していることも多く、なかなか思うような値段で売れないこともあります。空き家をできるだけ高く売却するコツを知っておきましょう。
ハウスクリーニングを実施する
家の中が汚れていれば、買い手がつきにくくなります。家をきれいにしてから売りに出しましょう。ハウスクリーニングをしてから売ると、高く売れやすくなります。
空き家の掃除は自分でもある程度できますが、専門のハウスクリーニング会社に依頼するのがおすすめです。プロに頼めば、自分では落としにくい汚れもきちんと落としてくれます。
ハウスクリーニングは部分的に依頼することも可能です。浴室、トイレ、キッチンなどの水回り、レンジフードなどは汚れがたまりやすいので、プロの力を借りると良いでしょう。
欠陥は修繕する
空き家に壊れた箇所がある場合、売却価格が低くなってしまう可能性があります。欠陥は修繕してから売りに出しましょう。
修繕をする場合、できるだけコストを抑える必要があります。費用をかけて修繕をしても売却価格が上がるとは限りません。
なお、空き家をリフォームしてから売却することを考える方もいるでしょう。しかし、空き家のリフォームは、あまりおすすめではありません。リフォーム費用を家の価格にそのまま上乗せすると、売却価格が高くなり売れにくくなってしまうことが多いからです。
空き家を購入する方の中には、自分で好きなようにリフォームしたいという方も少なくありません。リフォームしてから売ると買い手が限られてしまうこともあるため、大規模なリフォームはせずに売却したほうが良いでしょう。
当初は販売価格を高めに設定し様子を見る
空き家の売り出し価格を決めるときには、高めに設定しておくのがおすすめです。買い手は必ず値段交渉してきます。買ってもらうためには、多少なりとも交渉に応じるのが無難です。最初から少し高めの値段で売り出しておくと、値段交渉にも応じやすくなります。
空き家がなかなか売れない場合には、販売価格を下げなければなりません。最初に高めの価格を設定しておけば、少しずつ値段を下げながら様子を見ることもできます。
そのエリアでの売買経験が豊富な不動産会社に仲介を依頼する
空き家を高く売るためには、不動産会社選びも重要です。不動産会社はたくさんありますが、それぞれの会社で得意分野は異なります。空き家の売却を得意とする会社を選びましょう。
相続した空き家を売却したい場合には、相続手続きも必要です。相続に特化したサービスを利用すると良いでしょう。
空き家を売却する際に注意したいこと
空き家をスムーズに、トラブルなく売却するために覚えておきたい注意点を説明します。
相続登記を行い事前に名義を変更しておく
家を売却できるのは、所有者として登記されている方です。名義がご自身になっているかどうか確認しましょう。
相続した空き家を売却する場合、亡くなった方の名義のままでは売却手続きができません。売却の前提として、相続人名義に変更する相続登記が必要です。
不動産の名義変更は、法務局で行います。必要書類を揃えて法務局で登記申請をしましょう。登記申請の際には、登録免許税がかかります。登記申請は複雑であるため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
売却までに時間がかかることも想定しておく
空き家を売り出しても、すぐに売れるとは限りません。売却できるまでは3~6ヵ月かかるのが一般的です。場合によっては、それ以上かかることもあります。
売却が完了するまでの間、固定資産税やその他の維持費は発生します。売れるまでのコストを払えるよう、金銭的な余裕を持っておくことも大切です。
特別控除や特例を利用する
不動産を売却して譲渡益が発生する場合には、譲渡所得税の課税対象です。ただし、譲渡所得税が軽減される特例等が利用できることがあります。特例等の内容を知っておけば、無駄な税金を払わずにすみ、手元に残るお金も増えるでしょう。
譲渡所得税の税率は、譲渡した不動産の所有期間によって変わります。相続した空き家の場合には、最初に家を購入したときからの計算です。
長期譲渡所得(5年超、住民税等込み)の場合には20.315%、短期譲渡所得(5年以下、住民税等込み)の場合には39.63%です。所有期間が10年を超える不動産を売却した場合には、さらに税率が軽減されます。
また、相続した空き家を売却する場合、以下のような要件を満たしていれば3,000万円の特別控除がを受けることも可能です。
- 亡くなった方が亡くなる直前までひとりで住んでいた
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
- 耐震リフォームをするか建物を取り壊し更地にして売却
- 売却代金が1億円以下
- 相続開始から3年経過した日の年末までに売却
空き家を売却するときは、いつ売るかによって税金が変わります。売却のタイミングには注意しておきましょう。
おわりに
空き家であっても、不動産を所有している以上、税金や管理の負担が生じます。空き家を持っていても住むつもりがないのであれば、早めに売却してしまうのがいちばんです。空き家を高く売るコツを知っておき、トラブルのないよう売却手続きを進めましょう。
相続した空き家の場合には、相続手続きもしなければなりません。相続手続きや空き家売却に詳しいプロに相談しながら手続きを進めるのがおすすめです。