「もうすぐ60歳を迎えるけれど、夫婦二人の生活費はいくらかかるの?」と、気になる方も多いのではないでしょうか。豊かな老後を送るためにも、最低生活費だけでなく老後資金の準備方法についても知っておきましょう。
このコラムでは、データをもとに、60代夫婦二人にかかる生活費とその内訳をご紹介します。 必要な老後資金や、その準備方法についても詳しく解説しますので、ゆとりのある老後生活を計画したい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 60代夫婦の最低生活費は月額平均24万円
- 旅行やレジャーなどゆとりある老後生活を送る野に必要なのは月額平均379,000円
- ゆとりある老後生活を送るための資金を試算すると、約4,000万円が必要
- 老後資金の準備方法は個人年金、iDeCo、積立定期預金、不動産投資、つみたてNISAなど
60代夫婦二人の最低生活費は月額平均24万円
まずは、公益財団法人 生命保険文化センターが行った「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」(※)の結果を、以下表で見てみましょう。
50代 | 60代 | 70代 | |
15万円未満 | 3.7% | 3.8% | 6.4% |
15~20万円未満 | 8.9% | 7.8% | 10.6% |
20~25万円未満 | 30.8% | 27.8% | 24.5% |
25~35万円未満 | 14.7% | 17.9% | 14.6% |
35~40万円未満 | 22.2% | 20.6% | 17.3% |
40万円以上 | 2.4% | 3.9% | 2.1% |
平均 | 23.4万円 | 24.0万円 | 22.6万円 |
参照元:公益財団法人 生命保険文化センター|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 p110
調査によると、60代の夫婦二人が老後生活を送るうえで必要と考えられる最低生活費の平均額は「24万円」でした。最低生活費とは、衣食住などを維持するために最低限必要となる生活費であり、趣味に使うお金や交際費などは含まれません。
上記の表から、最も多い回答は年代を問わず「20~25万円未満」であることがわかります。
なお、「15~20万円未満」の回答は、年代が進むにつれて少しずつ増加する一方、「35~40万円未満」の回答は年代が進むにつれて減少傾向が見られました。これは、年齢が上がるにつれて、生活スタイルが変わり、必要な生活費が減少するためと推測されます。
(※)日本全国の18~79 歳の男女個人を対象に調査。調査期間:2022年4月6日~2022年6月10日。回収サンプル:4,844
60代夫婦二人がゆとりある老後を送るための生活費
次に、同調査から「夫婦2人がゆとりある老後を送るための生活費」の結果を、以下の表で見ていきましょう。
50代 | 60代 | 70代 | |
最低生活費(平均) | 23.4万円 | 24.0万円 | 22.6万円 |
必要とされる上乗せ額(平均) | 15.2万円 | 14.7万円 | 13.6万円 |
ゆとりある老後を送るための生活費(平均) | 38.7万円 | 38.7万円 | 36.2万円 |
参照元:公益財団法人 生命保険文化センター|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 p112
調査によると、60代の夫婦二人がゆとりある老後を送るために必要と考えられる平均上乗せ額は「14.7万円」という結果でした。
最低生活費では年齢が上がるにつれて減少傾向が見られましたが、夫婦2人がゆとりある老後を送るための生活費の上乗せ額にも同様の傾向が見られます。
それでは、具体的な上乗せ額の使途を、60代の回答を以下の表で見ていきましょう。
使途 | 回答の割合(複数回答) |
旅行やレジャー | 62.5% |
日常生活費の充実 | 43.8% |
趣味や教養 | 45.4% |
身内とのつきあい | 40.6% |
耐久消費財の買い替え | 30.1% |
子どもや孫への資金援助 | 12.8% |
隣人や友人とのつきあい | 11.5% |
とりあえず貯蓄 | 4.1% |
その他 | 0.1% |
参照元:公益財団法人 生命保険文化センター|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 p114
調査によると、上乗せ額は主に、旅行やレジャー・趣味や教養・日常生活費の充実・身内とのつきあいなどに使われていることがわかります。
老後の夫婦二人の毎月生活費の内訳
総務省の家計調査から、夫婦二人のみの世帯(65歳以上)の毎月の消費支出の内訳を、以下の表で見ていきましょう。
【65歳以上の夫婦のみの無職世帯および65歳以上の単身無職世帯の家計収支(2022年)】
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 65歳以上の単身無職世帯 | |||
月平均額 | 構成比 | 月平均額 | 構成比 | |
消費支出 | 236,696円 | 100% | 143,139円 | 100% |
食料 | 67,776円 | 28.6% | 37,485円 | 26.2% |
住居 | 15,578円 | 6.6% | 12,746円 | 8.9% |
光熱・水道 | 22,611円 | 9.6% | 14,704 円 | 10.3% |
家具・家事用品 | 10,371 円 | 4.4% | 5,956円 | 4.2% |
被服および履物 | 5,003 円 | 2.1% | 3,150円 | 2.2% |
保健医療 | 15,681円 | 6.6% | 8,128円 | 5.7% |
交通・通信 | 28,878円 | 12.2% | 14,625円 | 10.2% |
教育 | 3円 | 0% | 0円 | 0% |
教養娯楽 | 21,365円 | 9.0% | 14,473 円 | 10.1% |
諸雑費 | 19,818円 | 8.4% | 13,595 円 | 9.5% |
交際費 | 22,711円 | 9.6% | 17,893円 | 12.5% |
仕送り金 | 1,334円 | 0.6% | 341円 | 0.2% |
直接税 | 12,854円 | ー | 6,660円 | ー |
社会保険料 | 18,945円 | ー | 5,625円 | ー |
参照元:総務省統計局|家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要 p18
調査によると、支出の構成比は両世帯でほぼ同じで、食料への支出が最も多い点も共通です。ただし、夫婦のみの無職世帯は単身無職世帯と比較して、交際費や教育娯楽費の支出構成が少ない傾向にあります。
なお、上記データは「65歳以上」が対象なので、前述の「60代夫婦二人がゆとりある老後を送るための生活費」の消費支出の平均額と差がある点に注意してください。
夫婦二人がゆとりある生活を送るために必要な老後資金
夫婦二人がゆとりある生活を送るために必要な老後資金は「約4,000万円」と概算されます(※夫婦二人が65歳から25年間生活する場合で計算)。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後生活を送るために必要な費用の平均は、月額およそ379,000円でした。一方、総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は月額246,237円です。
そのため、差額である月額132,763円(379,000円-246,237円)をカバーしなければなりません。
この金額を25年間カバーするためには39,828,900円(132,763円×12ヶ月×25年間)、つまり約4,000万円かかることがわかります。
参照元:公益財団法人 生命保険文化センター|2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 p115
総務省統計局|家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要 p18
夫婦二人がゆとりある生活を送るための老後資金の準備方法
夫婦二人がゆとりある生活を送るための老後資金の準備方法は、以下の通りです。
- 個人年金保険
- iDeCo
- 積立定期預金
- 不動産投資
- NISA
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
個人年金保険
個人年金保険は、一定期間保険料を積み立て、定年後に一定の年金を受け取る制度です。
個人年金保険のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・定年後の安定した収入源になる ・税制上の優遇措置がある | ・保険料の支払いが必要 ・早期に解約すると損失が出る可能性がある |
老後の安定した収入を確保したい方、税制上の優遇を受けたい方におすすめです。
ただし、保険料の支払いが続けられるか、早期に解約する可能性がないか考慮する必要があります。また、保険会社の信頼性や商品内容をしっかりと確認することも大切です。
iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で選んだ金融商品に一定額を積み立て、老後に年金として受け取る制度です。
iDeCoのメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・税制上の優遇措置がある ・自分で運用商品を選べる | ・運用リスクがある ・早期に解約するとペナルティがある |
自分で資産運用を行いたい方、税制上の優遇を受けたい方に向いています。ただし、運用商品の選択やリスク管理が必要です。
積立定期預金
積立定期預金は、一定の金額を定期的に銀行に預け入れ、一定期間後に元本と利息をまとめて受け取る制度です。
積立定期預金のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・利息によって、貯蓄を増やすことができる ・定期的な積み立てにより、貯蓄習慣が身につく | ・一定期間、お金を引き出すことができない ・金利が高くないため、大きな利益は期待できない |
安定した収入があり、長期間にわたり一定の金額を貯蓄できる方におすすめです。
ただし、一定期間、お金を引き出すことができないため、不定期な支出が多い方には向いていない可能性があります。また、より大きな利益を期待したい方は、投資などの方法を検討すると良いでしょう。
不動産投資
不動産投資は、物件を購入し、賃料収入や物件の価格上昇による利益を得る方法です。
不動産投資のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・定期的な賃料収入が得られる ・物件の価格上昇により大きな利益を得る可能性がある | ・初期投資が大きい ・ランニングコスト(物件管理・修繕など)がかかる |
初期投資を用意でき、物件管理に自信がある方に向いています。
不動産投資を行う際には、物件選びや賃借人の管理、税金の計算・空室対策などが必要なので、専門知識が必要です。また、不動産市場の動向を見極めることも重要といえるでしょう。
NISA
NISAは、一定の金額を毎月投資信託に積み立て、一定期間、非課税で運用できる制度です。
NISAのメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
・利益が非課税 ・少額から始められる | ・損失の可能性がある ・運用期間が限られる |
長期的な資産形成を目指し、市場のリスクを受け入れられる方に向いています。ただし、とるべきリスクなどに合わせて運用商品を選び、リスク管理も行っていかなければなりません。
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おわりに
60代夫婦の最低生活費は月額平均24万円ですが、ゆとりある老後生活を送るためには月に13万円程度上乗せする必要があります。65歳から25年間ゆとりある生活を送るためには、約4,000万円の老後資金が必要な計算です。
老後資金の準備方法には、個人年金、iDeCo、積立定期預金、不動産投資、つみたてNISAなどがありますので、可能な初期投資額や取れるリスクに応じて選んでください。老後に備えて、できるだけ早期から準備を進めていきましょう。
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