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ドル建て保険はおすすめしないって本当?損を避けるためのポイントを紹介

ドル建て保険はおすすめしないって本当?損を避けるためのポイントを紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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ドル建て保険は為替変動のリスクを受け、両替手数料などがあることから「おすすめしない」といわれることもあります。ドル建て保険の加入をすすめられた方であれば、おすすめしない理由やメリットについて知りたいのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ドル建て保険をおすすめしない理由や失敗しないための対策を紹介します。ドル建て保険以外の商品も含め、老後資金や教育資金を準備する方法がわかる内容です。

この記事を読んでわかること
  • ドル建て保険とは保険料の支払いから保険金・解約返戻金・年金の受け取りまでをドルで行う保険商品で、終身保険や個人年金保険、養老保険などがある
  • 両替手数料や為替変動のリスクがあることから「おすすめしない」といわれることもある
  • ドル建て保険に加入する際には目的を明確にし、仕組みやリスクについて正しく理解することが大切

ドル建て保険とはどんな保険?

ドル建て保険とはどんな保険?

日本では低金利が続く中、より多くの保険金や解約返戻金が見込めるドル建て保険が注目されています。はじめにドル建て保険の仕組みと種類について解説します。

ドル建て保険とは

ドル建て保険とは保険料の支払いから保険金・解約返戻金・年金の受け取りまでを外貨(主に米ドルや豪ドル)で行う保険です。契約者が円で支払った保険料を保険会社がドルに換算し、運用します。そして運用されたドルの保険金や解約返戻金、年金は円に換算され、受け取ることになります。

あらかじめ決められた時期に保険料を支払い、保険金や解約返戻金、年金を受け取れる点は円建て保険と同じです。

ドル建て保険の場合、「円からドルへ」または「ドルから円へ」換算されるため、為替変動を受けやすくなります。

ドル建て保険の主な種類

円建て保険と同様、ドル建て保険には以下の種類があります。

  • 個人年金保険
  • 終身保険
  • 養老保険
  • 医療保険

円で運用するか、ドルで運用するかの違いであり、それぞれの保険の仕組みは同じです。

個人年金保険

個人年金保険とは一定期間保険料を支払ったのちに、5年・10年にわたって年金を受け取れる商品です。亡くなるまで受け取れる終身年金もあります。公的な年金の不足分を補う、高い貯蓄性が魅力です。また保険料払込期間中に死亡した際には払込保険料相当額が死亡保険金として支払われます。

ドル建ての個人年金保険では保険料支払いの際に、円からドルに換算し、年金受け取りでもドルから円に換算します。受け取れる年金額を正確に予測できない点に注意が必要です。

終身保険

終身保険とは死亡保障が一生涯続く、貯蓄性の高い商品です。保険料を一定期間支払い、被保険者が死亡した際に死亡保険金が受け取れます。解約する時期によっては払込保険料の合計よりも多い解約返戻金が受け取れることもあります。

終身保険と聞くと「死亡保障しかない」と思われがちですが、高い貯蓄性から教育資金や老後資金のために使う方もいます。

ドル建て終身保険の場合、個人年金保険と同様、保険料の支払いから死亡保険金、解約返戻金の受け取りまで全てドルで行います。

養老保険

養老保険とは10年・60歳までなどと保険期間が定められ、その期間内に死亡した際には死亡保険金が、生存していても満期保険金が受け取れる商品です。死亡保険金もしくは満期保険金のどちらかが支払われれば、保険は終了します。途中で解約すれば解約返戻金を受け取れます。

終身保険よりも貯蓄性は高いものの、保険料は割高です。

個人年金保険と終身保険同様、保険料はドルで運用され、受け取り時もドルから円に換算しなければなりません。為替リスクに注意が必要です。

医療保険

ドル建て商品の中には医療保険もあります。医療保険とは入院や手術、通院などで給付金を受け取れる商品です。保険商品によって給付金の受取条件は異なります。加入時には為替リスクと合わせて、確認しましょう。

ドル建て保険がおすすめしないといわれる理由

ドル建て保険がおすすめしないといわれる理由

SNSで「ドル建て保険は危険だ」「やめたほうがいい」といった口コミを目にすることもあるのではないでしょうか。ドル建て保険の仕組みは円建て保険よりも複雑です。契約時には手数料や為替変動のリスクなどを担当者に聞いてみることが大切です。

商品の仕組みがわかりにくいため

ドル建て保険では「円からドルへ」または「ドルから円へ」両替する際に手数料が発生します。手数料は商品によってさまざまです。保険料や保険金などの金額が大きくなればなるほど、手数料の負担も増えてしまいます。この両替手数料は円建て保険にはないため、混乱する方も多いのではないでしょうか。

加えて保険には保険関係費(契約の締結・維持、保障にかかる費用)や解約控除(早期で解約したときに解約返戻金から控除される費用)などがかかります。さまざまな費用があり余計にイメージがしづらいことから、ドル建て保険は「仕組みがわかりにくい」「おすすめしない」といわれてしまいます。

為替変動のリスクがある

紛争やパンデミック、景気変動など世界情勢が不安定になると、特に米ドルは大きく影響を受けます。資産価値が変動することで、保険金や解約返戻金などの受け取り金額も上下しやすくなります。政治や経済については確実に先が読めるものではないため、リスクはあることを十分に理解した上で加入しなければなりません。

また円高・円安といった為替変動により、支払う保険料や受け取れる保険金、解約返戻金なども変わりやすくなります。円建て保険では毎月の保険料が10,000円などと固定ですが、ドル建てでは12,000円のときもあれば、8,000円のときもあります。

ドル建て保険にはメリットがない?

ドル建て保険にはメリットがない?

ドル建て保険は両替手数料や為替リスクがあり、「メリットがない」と思われるかもしれません。一方で高い利回りやリスク分散ができる点など、メリットも豊富にあります。次にドル建て保険のメリットを紹介します。

万一の保障に備えながら貯蓄ができる

ドル建て保険はドルで運用する商品ではあるものの、円建てと同じ保険には変わりありません。個人年金保険や終身保険、養老保険を選択すれば、万が一の死亡保障に備えられます。

加えてドル建ての場合、解約時、満期時に円安となっていれば、より多くの金額を受け取れます。円建てよりも高い貯蓄性が見込めるのはドル建て保険の魅力です。

利回りが高い

ドル建て保険は主に国債で運用されます。アメリカの国債利回りは日本よりも高いため、資産運用の結果を出しやすいといえます。

日本では低金利政策が続いており、日本の銀行にお金を預けていても利息はほとんど増えません。高い利回りで運用できれば、老後資金や教育資金を準備しやすいでしょう。

節税できる

ドル建て保険であっても円建て保険と同様に、生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除とは1年間で払い込んだ保険料に応じて、所得から一定額を控除できる仕組みで、所得税・住民税の節税につながります。

例えば2012年1月1日以降の契約であれば、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つがあり、それぞれの控除額は以下のとおりです。

年間の支払い保険料控除額
20,000円以下支払い保険料の全額
20,000円超40,000円以下支払い保険料×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下支払い保険料×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

具体的にはドル建ての終身保険に加入し、保険料を1年で200,000円支払ったとすると、「一般生命保険料控除」に該当し、控除額は40,000円となります。

参照元:国税庁|「No.1140 生命保険料控除」

リスク分散に効果的

ドル建て保険に加入しておくことはリスク分散に大いに役立ちます。例えばインフレになり物の値段が上がってしまうと、円の価値が相対的に下がってしまいます。そこで外貨も保有しておけば、資産全体で見た時に資産価値を維持できます。

ドル建て保険で失敗しないための対策3つ

ドル建て保険で失敗しないための対策3つ

ドル建て保険には元本割れのリスクがあります。加入して損をするか、得をするかは保険金を受け取ってみないとわかりません。ただし加入前に注意すべきポイントを押さえることで、損失を最小限にできるでしょう。最後にドル建て保険で失敗しないための対策を3つ紹介します。

目的を明確にする

保険に加入する際には「老後資金を貯める」「死亡保障に備える」など、目的を明確にしましょう。目的が明確になれば、保険商品を適切に選べます。

例えば必要最低限の老後資金は用意できていて、追加の資金を貯めたいときには終身保険や個人年金保険がおすすめです。子どもの教育資金を用意する場合には、ドル建て保険だとリスクがあるため、まずは家計を見直すことが先かもしれません。

ゴールが決まれば、後は適切な方法を選択するのみです。方法がわかったら、まずはそのメリットやデメリットを調べてみましょう。

仕組みやリスクについて正しく理解する

ドル建て保険に加入する際には円で支払う保険料をドルに、保険金をドルから円に換算するといった仕組みを知ることが大切です。仕組みがわかれば、「換算時は両替が発生し両替手数料がかかる」といったリスクを理解できるようになります。

パンフレットに仕組みやリスクが記載されていますが、いまいち理解できない方もいると思います。担当者に質問し、不安な点を解消してから、契約することをおすすめします。

自分にとって最も良い商品を選ぶ

自分にとって最も良い商品を選ぶ

ドル建て保険には「保障と貯蓄の両方に備えられる」「高利回りを期待できる」「節税できる」「リスク分散ができる」といったメリットがあります。一方で手数料や為替変動のリスクも把握することが重要です。

老後資金や教育資金を貯める方法はドル建て保険だけではありません。より効率的な資産形成を目指せる方法として「投資信託」があります。投資信託とは投資家(お客さま)から集めた資金を専門家が運用・投資をし、その成果を投資家に分配する商品です。

おわりに

ドル建て保険は円建て保険と異なり、円で支払った保険料をドルに換算し、保険金や解約返戻金などを受け取る際にはドルから円に換算することが必要です。換算には為替相場の影響を受けるため、予定していた金額よりも保険料が高くなったり、受取額が少なくなったりする可能性があります。

契約時には目的を明確にし、仕組みやリスクについてパンフレットを見たり担当者に聞いたりし、疑問を解消した上で始めましょう。

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