「株式投資に興味はあるけれど、たくさんお金は用意できないし、損をするのが怖い」という理由で踏み出せない方も多いかもしれません。そんな方におすすめしたいのが、単元未満株への投資です。数千~数万円程度の資金が始められ、しかも投資の勉強になります。ただし、一定のデメリットもあるため注意が必要です。
この記事では、単元株投資のメリット・デメリットとおすすめのネット証券について詳しく解説します。
(本記事は2023年12月21日時点の情報です)
- 単元未満株への投資は、通常よりも少ない株数による株式取引サービス
- 単元未満株への投資のメリットは、少額から投資が可能で、損失額も少なく済むことなど
- 扱う証券会社が限られており、大きなリターンが得られないなどのデメリットもある
- 投資初心者にとっては実際の取引を通じて株式取引の仕組みや成功するためのコツを学べるので積極的にチャレンジする価値がある
単元未満株とは?
投資に興味がある方なら、単元未満株という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ここでは、単元未満株について、ミニ株など関連するトピックも交えながら解説します。
通常よりも少ない株数による株式取引サービス
単元未満株とは「1株など本来の単元よりも少ない単位で株式を取引できるサービス」です。単元とは、各上場会社が定める売買単元のことで、現在は100株に統一されています。
ミニ株との違いは?
混同されがちな言葉に「ミニ株」があります。ミニ株とは、取引所が定める1売買単位の10分の1単位の株式の持ち分、またはその整数倍の株数を売買する取引のことです。「株式ミニ投資」とも呼ばれます。
単元未満株とミニ株は、「100株より少ない単位で株式を購入すること」としてほぼ同じ意味で使われていることも多いのが実情です。
ミニ株や単元株はおすすめしないといわれることがありますが、その理由のひとつに「議決権がなく、株主優待も受け取れないことが多い」というデメリットが挙げられます。ただし、配当は保有する株式数に応じて受け取ることが可能です。
単元未満株での投資が100株に達したらどうなる?
単元未満株を買い足していき、1単元(100株)に達した場合は、自動的に通常の単元株として扱われます。議決権や株主優待が得られるうえ、通常手数料での取引も可能です。
単元未満株のメリット
ここでは、単元未満株の具体的なメリットとして、以下の5点を解説します。
【単元未満株のメリット】
- 少額から株式投資ができる
- 分散投資・積立投資がしやすい
- 損失額が少なくなる
- 配当金や株主優待を受け取れる場合がある
- 投資の勉強ができる
少額から株式投資ができる
単元株は、少額から株式投資ができるのがメリットです。
例えば、株価が2,500円の株式を購入する場合、単元株として購入する(=100株購入する)ためには少なくとも25万円が必要です。実際はこれに加えて取引手数料がかかります。
一方、単元未満株であれば通常の100分の1など少額から投資することが可能です。先ほどの例では、1株2,500円から購入できます。多額の資金を用意する必要がないため、これまで手が出せなかった銘柄も選べる点が、単元未満株に投資する大きなメリットといえるでしょう。
分散投資・積立投資がしやすい
単元未満株を利用すれば、少ない資金で複数の銘柄に分散投資を行うことができます。また、少額でも定期的に買い続けることで、積立投資と同じ効果を得ることが可能です。「定期的に定額分を購入する」というドル・コスト平均法により、平均購入金額を引き下げることができます。
以下の図のように、毎日同じ予算でりんごを買えるだけ買い続けていくと、結果として1個当たりの平均の値段を引き下げられると考えるとわかりやすいでしょう。
損失額が少なくなる
単元未満株への投資の場合、取引単位が少ない分、値下がりしたときでも大きな損失は生じにくくなっています。
例えば、1株2,700円だった株式が2,500円までに値下がりしたとしましょう。1単元(100株)を購入していた場合、損失は2万円になります。しかし、購入していたのが1株だけなら、損失は200円に過ぎません。心理的なハードルははるかに低くなるので、投資もしやすくなります。
配当金や株主優待を受け取れる場合がある
単元未満株式であっても、配当金は受け取れます。ただし、株主優待の扱いは銘柄によって異なるのが実情です。
多くの銘柄では100株以上を株主優待の対象としているため、単元未満の投資では受け取れないことがあります。どうしても受け取りたい場合は、単元未満の投資でも株主優待が受け取れる銘柄を選びましょう。
投資の勉強ができる
単元未満株への投資のメリットとして、投資の勉強にも役立つことが挙げられます。
投資を勉強する方法はさまざまありますが、効果的なのは実際に投資をしてみることです。しかし、通常の株式投資だとある程度の資金がないと始められません。しかし、単元未満株への投資であれば少額の資金から始められるので、思いたったらすぐにチャレンジできます。
また、単元未満株への投資であっても、通常の株式投資と同じように損益は生じるので、利益を出すにはどうすれば良いかを考えなくてはなりません。自らの頭で考えて答えを出すことが、効果的な学びになるでしょう。
単元未満株のデメリット
単元未満株への投資にはメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、具体的なデメリットとして、以下の5点を解説します。
【単元未満株のデメリット】
- 取引できる証券会社や銘柄が限られる
- リアルタイムでの取引ができない
- 議決権の行使が認められず、株主総会へ参加ができない
- 手数料負けしやすい
- 大きなリターンが狙えない
取引できる証券会社や銘柄が限られる
単元未満株への投資は、すべての証券会社で扱っているわけでありません。そのため、単元未満株への投資をしたい場合は、扱いのある証券会社を選びましょう。
また、具体的にどの銘柄に投資できるかは、証券会社によって異なります。自分が投資したい銘柄の扱いがあるか、合計でどれだけの銘柄を扱っているかを基準にして選びましょう。
リアルタイムでの取引ができない
単元未満株では、リアルタイムでの投資はできません。
通常の株式投資の場合、取引所での取引時間内であればリアルタイムでの売買ができます。例えば、東京証券取引所の場合、9時~11時30分(前場)と12時30分~15時(後場)の間であればリアルタイムでの取引が可能です。
しかし、単元未満株への投資の場合、取引できる時間帯が決まっています。例えば、SBI証券の場合は以下のとおりです。
東証 | 注文時間 | 0:00~07:00 | 07:00~10:30 | 10:30~13:30 | 13:30~24:00 |
約定タイミング | 当日前場始値 | 当日後場始値 | 当日後場引け (終値) | 翌営業日 前場始値 | |
9:00約定 | 12:30約定 | 15:00約定 | 翌9:00約定 |
注文から購入までにタイムラグが発生する以上、狙ったとおりの株価で売買ができない可能性がある点に注意しましょう。ただし、一部の証券会社ではリアルタイムの取引も可能です。
議決権の行使が認められず、株主総会へ参加ができない
単元未満株を保有していたとしても、議決権の行使は認められず、株主総会への参加もできません。
議決権とは、株主総会の議案の決議に参加できる権利のことです。株主総会への出席だけでなく、書面やインターネット(電子)投票により行使できます。
原則として、1株につきひとつ議決権が与えられる仕組みであるため、単元未満株しか保有していない場合はそもそも議決権がありません。議決権がない以上、株主総会に参加することも不可能です。
手数料負けしやすい
単元未満株への投資の特徴として、1単元株での取引に比べ手数料が割高になる傾向があります。そのため、売買により利益を出せても、手数料がかかる分利益が減ってしまったり、損をしたりすることもあるため要注意です。
1単元株での取引の場合、手数料が定額でも、単元未満株の場合は取引ごとに手数料がかかるケースが多いことも背景にあります。証券会社によって具体的な扱いは異なるので、しっかり確認してください。
大きなリターンが狙えない
単元未満株への投資は投資額が少額であるためローリスクな反面、大きなリターンは狙えません。そのため、資産を大きく増やすことは難しいのも実情です。
リターンを増やしたいなら、単元未満株への投資で練習し、自信がついたところで1単元株での取引に移行すると良いでしょう。
単元未満株はどんな人に向いている?
単元未満株は、投資初心者に向いているサービスといえるでしょう。少ない資金から始められるうえ、急激に値下がりしたとしても多額の損失を被る可能性は低いからです。
例えば、1株3,000円で購入した株式が2,700円まで値下がりしたとしましょう。1単元(100株)購入していた場合、損失は3万円です。しかし、1株だけ購入していた場合は、損失が300円で済みます。心理的なハードルを下げつつ投資ができるので、投資額を増やす前の練習として最適です。
また、多額の資金が用意できない場合にも向いています。単元株に投資する場合、銘柄にもよりますが10万円以下で購入できる銘柄は決して多くありません。しかし、単元未満株への投資であれば数万円で複数の銘柄に投資できます。
単元未満株に対応するおすすめの証券会社
単元未満株への投資を扱うおすすめの証券会社として、以下の4社をご紹介します。
【単元未満株に対応するおすすめの証券会社】
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
SBI証券
サービス名称 | S株 |
手数料 | 売買手数料率(税込):売買ともに0円 スプレッド:なし |
対応銘柄 | 東証(プライム・スタンダード・グロース)上場銘柄:買付・売却ともに可 名証(プレミア・メイン・ネクスト)・福証(Q-Board含む)・札証(アンビシャス含む)上場銘柄:売却のみ可能 |
SBI証券では「S株」という名前で単元未満株への投資ができます。取引コストが一切不要で、スプレッド(株価と取引価格の価格差)もないため、手数料の安さを重視する方におすすめです。
TポイントまたはPontaポイントを使って単元未満株を購入することもできます。
楽天証券
サービス名称 | かぶミニ® |
手数料 | 売買手数料率(税込):売買ともに0円 スプレッド:寄付取引はなし、リアルタイム取引は0.22% |
対応銘柄 | 東京証券取引所上場銘柄のうち楽天証券が選定したもの (2023年8月14日現在寄付銘柄数1,602銘柄、リアルタイム銘柄数746銘柄) |
楽天証券では「かぶミニ®」という名前で単元未満株への投資を扱っています。大きな特徴は、通常の株式取引と同様、リアルタイムに取引が可能であることです。平日の昼間に時間を取れる方なら、チャンスを逃さずにトレードができるでしょう。
マネックス証券
サービス名称 | ワン株 |
手数料 | 買付:無料 売却:0.55%(最低手数料52円) ※2024年1月開始の新NISA口座の場合は買付が無料、売却は実質無料(全額キャッシュバック) |
対応銘柄 | <買付> 店頭取引の場合、東証上場銘柄のうち同社が選択した1,500銘柄(2023年12月21日時点) 委託取引の場合、店頭銘柄以外の東証・名証上場銘柄 <売却> 店頭取引の場合、東証上場銘柄のうち同社が選択した1,500銘柄(2023年12月21日時点) 委託取引の場合、店頭銘柄以外の東証・名証・福証・札幌上場銘柄 |
マネックス証券では、「ワン株」という名前で単元未満株への投資を扱っています。特筆すべき点は、貸株サービスが利用できることです。つまり、利用者が株式をマネックス証券に貸し出すことで、貸株金利が受け取れます。
持っているだけで金利が毎日つくため、資産を増やす方法としても活用することが可能です。
おわりに
単元未満株への投資には、少額投資であるため、大きなリターンが望めないというデメリットがあります。しかし、裏返せば、少額投資だからこそ、リスクもそこまで大きくならないというメリットといえるでしょう。通常の株式投資に比べて、はるかに少ない資金で始められるのも大きな魅力です。
単元未満株への投資は、投資初心者で、これから勉強をしていきたいという方にもおすすめです。「今年こそは投資デビューを果たしたい」とお考えなら、まずはトライしてみてはいかがでしょうか。