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慰謝料請求されたときのNG行動は?支払えない場合の対応も紹介

慰謝料請求されたときのNG行動は?支払えない場合の対応も紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

慰謝料の請求を受けると、焦って支払いそうになったり相手に連絡をとりたくなったりするかもしれません。しかし、何の考えもなしに行動してしまうと、間違った対応をしてしまう可能性があります。また、支払えない場合や納得できない場合はどうしたらいいのか、わからない方もいるでしょう。今回は、慰謝料を請求されたときの対応について、どんなシーンで請求されるのか、請求されたらどうしたら良いのかなどお伝えしていきます。

この記事を読んでわかること
  • 慰謝料は、不貞行為、暴力、セクハラ、パワハラなどの不法行為が原因で請求されるもので、請求を受けた際には、請求された金額の妥当性や自身の支払い義務の有無を冷静に検討することが重要。
  • 慰謝料の相場は、不倫を例に取ると離婚に至ったか否か、当事者の経済力などによって異なる。そのため請求された金額を相場と比較し、適切性を判断することが必要になる。
  • 慰謝料請求に対して支払わずに無視したり、嘘をついたり、相手に対して不適切な発言をするなどの行為は、裁判に発展するリスクがあり、支払いが困難な場合は減額や分割での支払いについて交渉することも可能。自身で交渉が難しい場合には弁護士に相談することをおすすめする。
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慰謝料を請求されるのは不法行為をしたとき

慰謝料を請求されるのは不法行為をしたとき

慰謝料とは、不法行為により相手が負った精神的苦痛の賠償のために支払うものです。不法行為を定めたものとして、以下の法律があります。

  • 民法709条

『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』

  • 民法710条

『他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。』

他人に対して、経済的または精神的損害を与えた場合には賠償する責任があると定められているため、不法行為があった場合には、慰謝料を支払う必要があるのです。

具体的にどのようなものが不法行為に当たるのか、確認してみましょう。

不貞行為

不貞行為とは、夫婦や婚姻、内縁関係にある男女のうち、どちらかが他の異性と肉体的な関係を持つことです。婚姻関係にある夫婦または、事実上夫婦同然の関係にある男女には、パートナー以外と性的な関係を持ってはいけない「貞操(ていそう)義務」があります。これに反した場合、相手の権利や利益を侵害したとされます。

不倫や浮気は不貞行為に当たるのかと疑問を持つ方もいるかもしれませんが、不倫や浮気は必ずしも不貞行為にはなりません。法律上不貞行為として認められるのは、「性的な関係を持っている場合」が通常です。

そのためメールのやり取りや2人でドライブに行く、別れ際にキスをするなどの行為は、浮気や不倫になり得ますが、法律上の不貞行為にはならないのです。

悪意の遺棄

民法779条において「悪意の遺棄とは、夫婦間の義務に不当に反すること、正当な理由なく夫婦間の義務を履行しないことであり、離婚原因となる」とされています。

夫婦は、民法752条において、同居、協力、扶助の義務を負っているのです。そのため、正当な理由なくこれらの義務を果たさない場合、悪意の遺棄として責任を問われることになります。

わかりやすく言うと、正当な理由がなく別居をする、生活費を出さないなどの行為は、悪意の遺棄です。また遺棄者から別居を開始した場合でなくても、暴力などが理由で同居できない状況に陥らせた場合は悪意の遺棄に当たります。

セクハラ・パワハラ

職場での性的な言動や暴言、暴力など、いわゆるセクハラやパワハラも不法行為の1つです。セクハラとは、一概にどんな発言がそれに当たるのかはっきりとはしていませんが、厚生労働省においては以下のような内容を例として挙げています。

  • 性的な冗談を言う
  • 食事やデートに執拗に誘う
  • 性的な関係を強要する
  • わいせつな図画を配布したり提示したりする 

パワハラは、職場上の地位や人間関係などにおいて優位に立つほうが、業務の範囲以上の身体的苦痛や精神的苦痛を与えたり、職場の環境を悪化させたりする行為を言います。具体的には次のような内容です。

  • 殴る・蹴るなどの暴力
  • ゴミ箱など物に当たる威嚇行為
  • 人格を否定するような言動をする
  • 必要以上に厳しい叱責を繰り返す など

職場で性的な言動を受けたり上司から暴言や暴力を受けたりして、精神的苦痛を被った場合、セクハラやパワハラを理由に加害者に対し、慰謝料の請求ができます。

暴力行為

故意または過失によって相手にケガを負わせたり生命を侵害したりした場合も、民法上不法行為に当たります。

夫婦間であっても、暴力を行うことは犯罪に当たるのです。しかし、証拠が揃わなかったり、故意や過失が全くなかったりする場合は、不法行為に認められない可能性もあります。慰謝料の請求を行うことを想定している際は、録音データを残したり、病院代などの領収書を残しておいたりしましょう。

名誉棄損

不特定多数に見られる可能性があるSNSや掲示板などに書き込みをしたことで、相手の社会的評価を低下させたり低下を招く可能性を生じさせたりした場合、名誉棄損に当たる可能性があります。

ただし、社会的評価の低下が見られたり、低下する危険性が認められたりした場合でも、すぐに不法行為として名誉棄損に当たるとされるわけではありません。裁判上では、不法行為といえる程、社会的評価が低下した場合、不法行為として名誉棄損に当たると判断されます。

慰謝料請求されたらまず考えること

慰謝料請求されたらまず考えること

突然、内容証明郵便により慰謝料を請求する書面が届いたら、パニックになる方も多いかもしれません。また自宅や職場に何の連絡もなく相手が訪れて、慰謝料を請求されるケースもあります。慰謝料を請求された際は、どのような対応をしたら良いのか確認しておきましょう。

まずは落ち着き冷静になる

慰謝料を請求された際には、まず冷静になり、対応方法を考えることが大切です。トラブルを起こしたことで落ち込んだり、どうしたら良いかわからずにひとりで悩んでしまったりして、問題を先送りしてしまう方もいるかもしれません。

慰謝料請求書に支払期限が記載されていると、焦ってしまいがちですが、冷静に対応できないと良くない結果につながってしまうこともあります。焦ることなくご自身の置かれた状況を判断し、落ち着いて内容を確認しましょう。

事実誤認がないか

なかには、慰謝料の請求をした側が事実を誤認しているケースもあります。

例えば不倫や浮気に係る慰謝料請求を受けた場合、親密に見えるような付き合いがあったとしても性交渉の事実がなければ、不倫や浮気を証明する証拠がそろうことはないため、慰謝料請求に関して訴訟される心配もありません。慰謝料を請求した側は、不貞行為があったと思い込んでいる場合もありますが、事実ではないことを丁寧に説明しましょう。

支払う責任があるのか

慰謝料を請求されたからといって、必ずしも支払う責任があるとは限りません。慌てて相手に連絡をして、うっかり支払う旨を伝えてしまうと、後々減額交渉をしにくくなったり慰謝料の支払いを否定することが難しくなったりする場合があります。そのため支払義務があるかどうかきちんと確認しましょう。

以下に、不倫によって慰謝料を請求された場合で、支払う必要のないケースを具体的に紹介します。

【不倫で慰謝料請求されたときに支払う必要のないケース】

  • 性行為や肉体関係の事実がない
  • 相手の夫婦関係がすでに破綻していた
  • 相手が既婚者であると過失なく認識していなかった
  • 自分の意志に反して性行為を強要された
  • 慰謝料請求の時効が過ぎている

慰謝料を請求する責任があるかどうかを法的に判断するのが難しい場合は、弁護士などに相談すると良いでしょう。

請求金額が相場と比べて高過ぎないか

慰謝料を請求する側が、感情的になっていたりできるだけ多く慰謝料を受け取りたいと考えたりしていると、相場を大きく超えた費用を請求してくるケースもあります。

慰謝料を支払う責任があったとしても、請求された慰謝料の金額が高額過ぎる場合は、必ずしもその額を支払わなければいけないわけではありません。減額交渉できるケースもあるので、相場がいくらなのかを知っておくことが大切です。

慰謝料の相場 

慰謝料の相場 

慰謝料を算定する際には、さまざまな事情を考慮します。慰謝料の相場や過去の事例で支払われた慰謝料を見てみましょう。

不倫の場合

不倫の場合に発生する慰謝料の相場は、以下のようになります。

【不倫の慰謝料の裁判上での相場】

離婚した場合…100~300万円

離婚しない場合…数十万~100万円

不倫の慰謝料は、裁判になった場合でも話し合いをした場合でも上記の相場を意識した交渉が行われます。離婚に至った場合は、精神的苦痛が大きかったと判断されるため、離婚しない場合に比べて慰謝料の金額相場は高くなるのです。

慰謝料を算定する際に、請求された側の社会的地位や経済力などが考慮されることはありますが、経済力があるという理由で高額な慰謝料を請求された場合は、減額交渉の余地があるため、すぐに支払うことはしないようにしましょう。

参照元:不倫の慰謝料を請求された…同じ境遇の人の気持ちや注意点を解説 | リーガライフラボ

悪意の遺棄の場合

悪意の遺棄とは、生活費を渡さない、健康なのに働かない、正当な理由がない別居など、夫婦間の義務に反する行為をすることを指します。悪意の遺棄による慰謝料の相場は50~250万円です。婚姻関係が長かったり、生活費を渡していない期間が長かったりする場合に慰謝料は高額になります。

参照元:慰謝料について | 山口離婚相談は弁護士法人牛見総合法律事務所へ

セクハラ・パワハラの場合

セクハラやパワハラの慰謝料の相場は、被害者が勤務を続けている場合には数十万~100万円程度。しかし、セクハラなどが原因で休職や退職に追い込まれた場合は、数百万円以上になるケースもあるのです。さらに、セクハラやパワハラの頻度や期間、内容、加害者の立場、被害状況などにより左右されます。

セクハラやパワハラの慰謝料は、嫌がらせをしている加害者本人だけでなく、使用者責任を問われる雇い主側にも請求可能です。加害者と雇い主は、被害者に対し連携して賠償する義務があるため、加害者が何らかの理由で支払えない場合は、雇い主が全額の慰謝料を支払うことになります。

参照元:セクハラによる慰謝料相場と増額要素とは|実際に請求する方法も紹介|法律相談ナビ

暴力行為の場合

暴力行為の場合の慰謝料は、被害者が受けた被害の程度により異なります。ケガをしない程度の暴力の場合、慰謝料の相場は数十万円程度です。

しかし、ケガをして治療が必要になる場合は、治療費だけでなく精神的苦痛も大きいとされて数百万あるいは1,000万円を超えるようなケースもあります。

参照元:暴行罪の慰謝料・示談金の相場は?弁護士が詳しく解説! | 刑事事件に強い弁護士による無料相談

名誉棄損の場合

名誉棄損の場合、慰謝料額は被害者が個人であるか事業主や法人であるかにより異なります。個人の場合は、10~50万円、事業主などの場合は50~100万円程度です。さらに名誉棄損の内容や被害状況によっても異なります。下記に事例を挙げて慰謝料の金額を紹介しましょう。

【SNSへの誹謗中傷の投稿の例】

ある政党に対する誹謗中傷についてSNSに書き込みをした場合、その内容について政党や個人が特定され、書き込みにより社会的評価を下げられたと主張されたケースでは、名誉棄損が成立し、300,000円の慰謝料を支払うよう命じられました。

【SNSでの悪質ななりすまし行為の事例】 

SNSで被害者本人の顔写真を使いなりすまし、ネット上の第三者を罵倒するような投稿をし続けた事例では、加害者は被害者に対し、600,000円の慰謝料の支払いを命じられました。

参照元:名誉毀損の慰謝料はいくら?請求事例と弁護士に依頼して訴える費用|ベンナビIT(旧IT弁護士ナビ)

慰謝料請求されたときのNG行動 

慰謝料請求されたときのNG行動 

慰謝料を請求された際には、以下のような行動はとらないように気をつけましょう。

無視する

慰謝料請求に関する内容証明郵便が届いた場合、無視をしてはいけません。慰謝料の請求を無視し続けていると、誠意がないと判断され、今後、金額の交渉が難しくなることがあります。

また裁判を起こされる可能性も出てくるのです。裁判になると、裁判所に出向いたり書類を作成したりと、大きな負担となるため、内容証明郵便が届いた場合は、内容を確認し対応しましょう。

嘘をつく

事実があったにもかかわらず、それを隠すような行為はしないようにしましょう。例えば不倫で訴えられたときに、肉体関係がないと嘘をつくことはNG。

慰謝料を請求された時点では、証拠を提示してこなかった場合でも、実際にはすでに証拠を握られていることもあります。もし嘘をついたことがばれてしまうと、相手を怒らせることになり、高い慰謝料を請求された場合でも減額交渉することが難しくなる可能性があるのです。

請求内容を鵜呑みにする

慰謝料を請求されたことでパニックになり、どうしたら良いかわからず、とりあえず書類にサインをしたり、請求された慰謝料を支払おうとしたりする方もいるかもしれません。

しかし、相手が請求してきた金額が、相場より高額なケースもあります。また事情によっては、慰謝料の支払い義務が法的にはない場合もあるため、請求された慰謝料を鵜呑みにせず、内容を正しく判断することが大切です。

感情的になって不適切な発言・行動をする

慰謝料を請求されると、感情的になったり気持ちがたかぶったりしてしまうことがあるかもしれませんが、相手やその配偶者に対して不適切な発言や行動をしてしまうことは避けましょう。嫌がらせをするなどの行動や、相手を傷つけるような発言は、場合によっては慰謝料の増額につながってしまうケースもあります。

慰謝料を支払えない場合の対処法 

慰謝料を支払えない場合の対処法

精神的な苦痛を与えてしまった相手から請求された慰謝料の金額が高額過ぎて、支払えない場合、まずは相手が話し合いに応じてくれるかどうか確認しましょう。そのうえで、以下のような方法で対応してみましょう。

減額交渉をする

相手が請求してきた慰謝料が、相場よりも高額な場合も決して少なくありません。特に請求する方の収入や加害者に対する怒りの程度によっては、高額な金額を請求されるケースや、相場の金額であっても支払えないケースもあるでしょう。

そのような場合は、経済的理由から請求額には応じられない旨を伝えるとともに、いくらなら支払えるのかを伝えて交渉します。減額の依頼をする際は、当事者であるという誠意を示し交渉しましょう。また、支払えない旨を相手に理解してもらうためには、負債状況や家計状況、収入額などを開示することも検討しておく必要があります。なお、なかなか応じてもらえない場合は、弁護士を通して減額を目指すのもおすすめです。

分割払いを申し出る

収入が少なく資産もない場合、請求した側と支払う側の双方の合意があれば、慰謝料は分割払いも可能です。ただし、分割払いにすると加害者との関係を長引かせることになるため、快諾してもらえない可能性もあります。

場合によっては、支払ってくれるのであれば分割払いでも良い、と考える方もいるので、相手が感情的にならないように交渉してみましょう。

交渉が難航する場合は弁護士への依頼も

ご自身で慰謝料の交渉をしようと考えていた場合でも、相手は交渉に応じてくれる方ばかりではありません。交渉に応じてもらえないと、精神的にも辛いうえに本業に支障をきたすこともあるため、弁護士に依頼するのも良いでしょう。

弁護士は法律の専門家です。相手が弁護士を立てている場合は、こちらが間違った対応をすると不利になりやすくなるので、こちらも弁護士に依頼したほうがスムーズでしょう。

弁護士に依頼すると、費用がかかります。しかし、正しく対処してもらうことで、結果的に支払い金額を減らすことができる可能性もありますので、ご自身だけで解決できない場合は、トラブルに発展する前に、法律事務所に相談してみましょう。

おわりに

慰謝料を請求されると、驚いて支払いに応じてしまったり、請求してきた相手に負の感情を抱いたりして何か言いたくなることもあるかもしれません。しかし、焦って行動してもご自身にとって良いことは少なく、逆に請求額が大きくなってしまうこともありますので、まずは請求内容について冷静になり、支払い義務の有無や支払い額の妥当性をよく確認してみましょう。

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