日々の生活に欠かせない家電のひとつ、洗濯機。衣類をキレイにしてくれるその役割とは裏腹に、じつは内部には汚れが蓄積しています。定期的に洗濯槽のクリーニングをしないでそのままにしておくと、衣類の汚れがしっかり落ちなかったり、健康被害を引き起こしたりすることになりかねません。そこでここでは洗濯機の定期的なクリーニング方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年2月27日時点の情報です)
- 洗濯機には衣類汚れや水アカ、カビなどさまざまな汚れが蓄積している
- 洗濯機のクリーニングを怠ると、汚れが落ちなかったり、健康被害を引き起こしたりする
- 洗濯機をキレイに保つには月一回のクリーニングや、使わないときはフタをあけたままにするなどの対策がある
- 洗濯機を自身で分解して掃除、メンテナンスを施すのは絶対にNG
洗濯機にはどんな汚れがあるの?
洗濯機は日々使用していても、内部にさまざまな汚れが蓄積します。以下に洗濯機に溜まる主な汚れを説明します。
- 衣類汚れ
日常生活において洋服についた汗や皮脂、外出先の汚れなどが洗濯機内に付着し、次第に洗濯槽を汚す原因となります。
- ホコリ
洗濯機は毎日使用していても、内部に汚れやホコリが蓄積します。カビや雑菌は、蓄積した汚れやホコリを養分にして増殖していくため、さらに洗濯槽の中は不衛生な状態になります。特にフタの裏側や洗濯槽のフチなどが該当します。
- 水アカ
水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル成分が原因で発生します。 このミネラル成分が乾いて蓄積すると、石のような固い汚れになります。洗剤カスや石鹸カスと共に多く蓄積すると、さらに強固な汚れとなり、完全に分解・除去するのが難しくなるため注意が必要です。
- 洗剤カス
粉タイプの洗剤や柔軟剤を使っていると、溶け残りが固まって洗濯機内に付着します。原因は、洗たく物の量が多すぎる、石けんの使用量が適正でない、すすぎ回数が少ないなどが挙げられます。
- カビ
洗濯機内は湿気がこもりやすく、カビの繁殖に適した環境です。特に洗濯槽の内側に穴がある場合、穴の奥にカビが入り込んで増殖します。またシンプルに洗濯槽内が汚くなると、それらはカビにとって増殖する絶好の環境となり、さらに洗濯槽が汚れてしまいます。
- 雑菌
湿気と高めの温度がカビや雑菌の増殖に適しています。これらは洗濯機内で繁殖し、衣類に付着する可能性があります。
洗濯機の掃除を怠ると、これらの汚れが洗った衣類に付着し、不快な臭いや衣類の汚れ戻りが起こる可能性があります。定期的な洗濯機掃除で清潔な状態を保ちましょう。
洗濯機掃除に使用する洗剤は主にこの3つ
洗濯機掃除で使える洗剤には、以下があります。
- 塩素系漂白剤
- 酸素系漂白剤
- 重曹
以下でそれぞれの特徴、使い方を説明します。
塩素系漂白剤
【特徴】
- 力な除菌力があり、カビや雑菌を効果的に除去します
- 洗濯槽の掃除が簡単で、手軽に行えます
【使い方】
- 洗濯槽の中に水を入れ、規定量の塩素系漂白剤を加えます
- 洗濯機を運転させ、約5~30分ほど放置します
- 最後に水で洗い流します
酸素系漂白剤
【特徴】
- 泡立ちが良く、頑固な汚れを浮かせて落とします
- 臭いが気にならないのが魅力です
【使い方】
- 洗濯槽に水を入れ、規定量の酸素系漂白剤を加えます
- 液体タイプの場合は洗濯機を運転させ、約30分程度放置します。粉タイプの場合は、基本的につけ置き洗いをする場合に使用します。 40~60℃くらいのお湯に溶かして一定時間洗濯物をつけ置きします。
- 最後に水で洗い流します
重曹
【特徴】
- 食品にも使われている成分で、肌に優しいため安心して使えます
- 価格が手頃です
【使い方】
- 洗濯槽の50℃程度のお湯を満水の位置まで溜め、200gほどの重曹を加えます
- 洗濯機を運転させ、5~6時間程度放置します
- 最後にすすぎと排水を2回ほど行います
これらの洗剤を選んで、定期的に洗濯機の掃除を行うことで、清潔な状態を保ちましょう。
【ドラム式・縦型】自分でできる洗濯機クリーニング
洗濯機クリーニングは、洗濯物を清潔に保つために欠かせません。特にドラム式のような複雑な構造を持つ家電では、見落としがちな部分に汚れやカビが蓄積されやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。ここでは、自分でできる洗濯機クリーニングのポイントについて説明します。
細かいパーツ
洗濯機の中には、洗剤投入ケース、ゴミ取りネット、乾燥フィルター、排水フィルターなど、数多くの細かいパーツがあります。これらのパーツは、洗濯過程で直接汚れが蓄積しやすい部分であり、それぞれを定期的に取り外して、単体で丁寧に洗浄することが重要です。
例えば、洗剤投入ケースには洗剤カスが溜まりやすく、ゴミ取りネットには糸くずや小さなゴミが集まります。これらを水または中性洗剤を用いてブラシで優しくこすり、流水でしっかりと洗い流しましょう。乾燥フィルターや排水フィルターも同様に、定期的な洗浄が必要です。
フタの裏・パッキンの裏・洗濯槽のフチ
洗濯機のフタの裏側やパッキンの裏、洗濯槽のフチなどは、見えにくいため掃除が行き届きにくい部分です。しかし、これらの陰になっている部分には、洗濯機の使用中に湿気が溜まりやすく、カビや雑菌の繁殖場所となりがちです。クリーニング時には、これらの部分も忘れずにチェックし、湿らせたタオルや専用のクリーナーを用いて、丁寧に拭き取りましょう。
特にパッキンの裏側は、柔らかい布を使って優しく拭くことがポイント。洗濯槽のフチの汚れは、洗濯槽クリーナーを使用して定期的に除去することも効果的です。
洗濯槽
洗濯槽は、定期的に掃除することで洗濯物を清潔に保つだけでなく、洗濯機自体の寿命を延ばすことにも繋がります。ドラム式と縦型洗濯機では、その構造の違いから掃除の方法も異なります。ここでは、それぞれの洗濯機タイプに合わせた洗濯槽掃除の手順をご紹介します。
ドラム式
ドラム式洗濯機は、その構造上、洗濯槽の内部やゴムパッキンの裏側に汚れやカビが溜まりやすい傾向にあります。
- 準備:洗濯機の電源を切り、ドラム内の物をすべて取り出します。
- 洗剤投入口の掃除:洗剤投入口を取り外し、ぬるま湯と中性洗剤を使って汚れを落とします。
- 洗濯槽クリーナーの使用:ドラム式洗濯機専用の洗浄剤を使用し、高温の水で内部を洗浄します。市販の洗濯槽クリーナーを使い、指定されたプログラムで運転させることで、洗濯槽内部の汚れやカビを効果的に除去できます。
- ゴムパッキンの掃除:ドラムの扉周辺にあるゴムパッキンの内側を、柔らかい布で拭き取ります。この時、パッキンの裏側に隠れたカビや汚れも念入りに拭き取りましょう。
- 乾燥:掃除が終わったら、ドアを開けたままで内部が完全に乾くまで放置します。
縦型
縦型洗濯機は、比較的掃除しやすい構造をしていますが、定期的な洗濯槽の掃除が必要です。
- 準備:洗濯物を取り出し、洗濯機の電源を切ります。
- 洗濯槽クリーナーの使用:縦型洗濯機専用の洗濯槽クリーナーを使用します。洗濯槽クリーナーを洗濯槽に入れ、水を最大レベルまで入れた後、長時間運転する洗浄コースを選択して運転させます。
- 細かい部分の掃除:洗剤ケースやゴミ取りネットも取り外して洗浄します。これらのパーツは、水と中性洗剤で手洗いすることができます。
- 乾燥:洗濯槽の掃除が終わったら、蓋を開けて内部が完全に乾くまで放置します。これにより、カビや臭いの発生を防ぎます。
ドラム式も縦型も、定期的な洗濯槽の掃除によって、洗濯機を清潔に保ち、洗濯物にカビや臭いが移るのを防ぐことができます。掃除の頻度は使用状況にもよりますが、一般的には数ヶ月に一度の掃除を推奨します。
洗濯パン(洗濯機を支える台)
洗濯パン(洗濯機を支える台)は、洗濯機からの水漏れをキャッチしたりする、床を保護するための重要なパーツです。しかし日常的に目につきにくいため、掃除が見落とされがちです。定期的な洗濯パンの掃除は、カビや臭いの発生を防ぎ、洗濯機周りを清潔に保つために重要。以下に、洗濯パンの掃除方法をご紹介します。
【洗濯パン掃除の手順】
- 準備
洗濯機を洗濯パンから一時的に移動させる必要があります。洗濯機の移動は重量があるため、家族や友人に手伝ってもらうと良いでしょう。
- 粗い汚れを取り除く
洗濯パン内の糸くずやゴミなどの粗い汚れを、手で取り除きます。その後、掃除機を使用して細かいホコリやゴミを吸い取ります。
- 洗浄
中性洗剤を水に溶かした洗剤水を用意します。柔らかいスポンジや布を使って、洗濯パンの内側と外側を丁寧に洗います。特に、洗濯パンの隅や排水口周りには汚れが溜まりやすいため、念入りに掃除しましょう。
- すすぎと乾燥
洗剤が残らないように、清潔な水で洗濯パンをよくすすぎます。その後、乾いた布で水分を拭き取り、完全に乾燥させます。
- 洗濯機の設置
洗濯パンが完全に乾燥したことを確認したら、洗濯機を元の位置に戻します。この際、洗濯機が水平に設置されているかを確認し、不安定な状態になっていないかチェックしてください。
【注意点】
- 洗濯機を移動させる際は床を傷つけないように注意し、移動用のマットや布を使用すると良いでしょう。
- 排水口がある場合は、詰まりがないかを確認し、必要に応じて掃除してください。
定期的な洗濯パンの掃除は、洗濯機周りを清潔に保ち、不快な臭いやカビの発生を防ぐために役立ちます。面倒に感じるかもしれませんが、数ヶ月に一度の掃除を心がけると、洗濯機とその周辺環境をより快適に保つことができます。
洗濯機全体
洗濯機クリーニングの最終ステップとして、洗濯機全体の確認と拭き取り作業が非常に重要です。この工程では、細かいパーツの掃除や洗濯槽内部の洗浄だけでなく、洗濯機の外観や隙間、ボタンやディスプレイ周りの汚れも丁寧に取り除きます。こうすることで、洗濯機を衛生的に保ち、長期間にわたって最適な性能を維持することがでできるので、この工程を忘れずに行いましょう。
洗濯機の掃除をしないとどうなる?
洗濯機は日常生活に欠かせない家電製品の一つですが、定期的なメンテナンスを怠ると、思わぬ問題が発生することがあります。ここでは、掃除をしないことで起こりうる主な問題点について、説明します。
衣類汚れがしっかり落ちない
洗濯機の掃除を定期的に行わないと、洗濯槽内の汚れやカビが蓄積します。この蓄積した汚れが、洗濯物に再付着する原因となり、衣類の汚れがしっかりと落ちない、あるいは洗濯後にも不快な臭いが残るという問題が発生します。特に、洗濯槽の隠れた部分やゴムパッキンの裏側には、見えにくい汚れが溜まりやすいため、注意が必要です。
電気代が余計にかかる
洗濯機内のフィルターや排水路に汚れやゴミが詰まると、洗濯機の排水効率が悪くなり、結果的に洗濯機が正常に機能するために余計なエネルギーを消費することに。つまり、通常よりも高い電気代がかかってしまう可能性があるのです。フィルターの目詰まりは、洗濯機のパフォーマンス低下にもつながるため、定期的な清掃をおすすめします。
健康被害を引き起こすリスクがある
洗濯機の掃除を怠ると、カビや雑菌の繁殖にはうってつけの状態になります。これらの微生物は、アレルギー反応や皮膚炎、呼吸器系の問題など、人の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性も。特に、洗濯機から発生するカビの胞子は、洗濯物を介して室内に広がることもあるため、健康へのリスクは無視できません。
定期的な洗濯機のクリーニングは衣類を清潔に保つだけでなく、電気代の節約や健康リスクの低減にもつながります。洗濯機のメンテナンスは少しの手間を要しますが、快適な生活環境を維持するためには欠かせない作業です。定期的な掃除を心がけ、洗濯機を最適な状態に保ちましょう。
洗濯機をキレイに保つには
洗濯機をキレイに保つことは、衣類を清潔に保つだけでなく、洗濯機自体の寿命を延ばす上でも重要です。以下に、洗濯機を清潔に保つためのポイントを紹介します。
月1回掃除を行う
理想的な洗濯機の掃除頻度は、月に1回です。これは、洗濯機内部のカビや雑菌、洗剤カスなどの汚れを効率的に除去し、衛生的な状態を維持するために適切な間隔とされています。定期的な掃除を行うことで、洗濯機の性能を最適な状態に保ち、長期間にわたって使用することができます。
使わないときはフタをあけたままにする
洗濯機の使用後は、フタを開けたままにしておくことがカビ防止につながります。これは、洗濯機内部の湿度を下げ、カビの生育に必要な湿った環境を取り除くためです。特にドラム式洗濯機の場合、閉じた空間が湿気を保持しやすく、カビが発生しやすいため、使用後はドアを開けて乾燥させることが重要です。
洗剤や柔軟剤を使い過ぎない
洗剤や柔軟剤は、パッケージに記載されている推奨量を守って使用することがポイントです。過剰に使用すると、洗剤や柔軟剤が完全に溶けずに残ってしまい、洗濯槽内に洗剤カスが蓄積する原因となります。これは、洗濯物の洗浄効果を低下させるだけでなく、洗濯機内部の汚れや臭いの原因にもなります。
汚れ物を洗濯機に長時間入れっぱなしにしない
使用済みの衣類を洗濯機に長時間放置すると、衣類に含まれる皮脂や汗などの汚れが洗濯機内部に蓄積し、カビや雑菌の繁殖を促すことになります。使用済みの衣類はできるだけ早く洗濯し、洗濯機内部を清潔に保つことが重要です。
洗濯機を清潔に保つためには、これらの簡単なポイントを日常的に実践することが大切です。定期的な掃除と適切な使用法を心がけることで、洗濯機を長持ちさせ、常に清潔な洗濯物を保つことができます。
自分で洗濯機を分解洗浄するのは危険!
自宅で洗濯機の分解洗浄を試みることは、いくつかの重大なリスクを伴います。以下に、その危険性を詳しく説明します。
自己破損とみなされて保証適用外になる
洗濯機を分解して故障させた場合、メーカーの保証が適用されない可能性が高いです。多くのメーカーは、ユーザーが自分で分解したことによる故障を「自己破損」とみなし、保証対象外とします。買い替える羽目になるので、分解するのがやめたほうが懸命です。
ケガや感電のリスクがある
洗濯機は電気を使用する家電製品であり、内部には電気回路や鋭利な部品が含まれています。自分で分解することで、ケガをしたり、最悪の場合は感電してしまうリスクがあります。安全を最優先に考えるならば、専門知識がない限り分解は避けるべきです。
そもそも分解洗浄できない洗濯機もある
一部の洗濯機は、分解洗浄ができない設計になっていることがあります。特に最新のモデルや高機能な洗濯機は、内部の部品が複雑で、素人が分解することが難しい場合があります。洗濯機の取扱説明書を確認し、分解洗浄が推奨されているかどうかを確認してください。
関連記事:洗濯機の分解洗浄は可能?自分でできる掃除や注意点を解説
洗濯機を分解洗浄するならプロに頼ろう!
洗濯機を自分で分解洗浄することのリスクを述べましたが、それでも分解して洗浄したという方は、プロに依頼してはいかがでしょうか?やはり日常的に使用する家電ですから、清潔さをキープしておきたいものです。
そこでおすすめなのが、セゾンカードでおなじみのクレディセゾングループの会社が提供する「くらしのセゾン 洗濯機分解クリーニング」です。現在は東京都・埼玉県限定のサービスですが、経験豊富なスタッフが洗濯機を小さなパーツまで分解し、表面だけでなく見えない裏側までしっかり洗浄します。自分では届かないところまでキレイになるうえ、除菌・消臭コートなどのオプションなども準備しています。
ご自身で洗濯槽洗浄してみても洗濯機にカビが出続けるとお困りの方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
洗濯機は生活に欠かせない家電の一つですが、日々使用する中で見えない場所に汚れが蓄積し、その結果、洗濯物だけでなく健康にも悪影響を及ぼすことがあります。また洗濯機を清潔に保つことは、電気代の節約や洗濯機そのものの寿命も延ばすことにもつながります。
それらを防ぐためには、月一回ほどの間隔でキレイに掃除することが理想的。もし難しい場合はプロにクリーニングを依頼するのもおすすめです。