ドライクリーニングは、衣類のお手入れに不可欠なサービスの一つです。しかし、「ドライクリーニング」という言葉を耳にしても、その具体的な方法や、なぜ水洗いではなくドライクリーニングが必要なのか、そのメリットやデメリットについて詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。そこで本記事では、ドライクリーニングの基本から、どのような衣類をドライクリーニングに出すべきか、またそのメリットやデメリットまで、幅広く解説します。
(本記事は2024年2月27日時点の情報です)
- 自宅で水洗いできない、ドライクリーニングに出すべき衣類がある
- ドライクリーニングで使用する有機溶剤は3種類ある
- ドライクリーニングには「皮脂や化粧品などの油脂性の汚れが落ちやすい」「衣類の型崩れ、縮み、色落ちなどがしにくい」といったメリットがある
- ドライクリーニングには「汗や手あかなどの水溶性の汚れは落ちにくい」「石油系有機溶剤のニオイが残ることがある」といったデメリットがある
ドライクリーニングについての基礎知識を学ぼう
ドライクリーニングは、デリケートな素材や高価な衣類のお手入れには欠かせません。ここでは、そんなドライクリーニングの基礎知識として、その方法、必要性、およびクリーニング店で行われるその他の洗濯方法について解説します。
ドライクリーニングとは水洗いしない洗濯法
ドライクリーニングとは、水を使用せず特殊な溶剤を使って衣類を洗う方法のことです。この方法は、水洗いができない衣類や、特に汚れがひどい衣類の洗濯に適しています。溶剤には、汚れを落とす力があり、衣類を傷めることなく洗浄することができます。
ドライクリーニングが必要とされるワケ
水に弱いセーターや特殊な素材の衣服は、水洗いではなくドライクリーニングで洗うことが求められます。これは、水洗いによって衣類が縮んだり、色落ちしたりするのを防ぐためです。また、ドライクリーニングは、油性の汚れを落とすのに特に効果的です。
クリーニング店で行うドライクリーニング以外の洗濯方法を紹介
クリーニング店では、ドライクリーニング以外にもさまざまな洗濯方法が用いられます。その中でも、「ランドリー」「ウェットクリーニング」「特殊クリーニング」が主なものです。
ランドリーは、一般的な水洗いのことを指します。ウェットクリーニングは、水と洗剤を使って洗う方法で、ドライクリーニングよりも衣類に優しい洗浄方法のこと。特殊クリーニングは、レザーやファーなど、特殊な素材の衣類の洗濯に用いられます。
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ドライクリーニングで使用する有機溶剤は3種類
ドライクリーニングは水を使用しない代わりに、衣類の汚れを落とすためにさまざまな有機溶剤が使用されます。これらの溶剤はそれぞれ異なる特性を持ち、衣類によって最適な溶剤を選択することが重要です。主に使われる有機溶剤は以下の3種類です。
- パークロロエチレン
- フッ素系溶剤
- 石油系溶剤
以下で詳しく説明します。
油汚れがよく落ちる「パークロロエチレン」
パークロロエチレンは、その強力な溶解能力により、特に油性の汚れに対して高い効果を発揮します。衣類の色あせや素材の痛みを最小限に抑えながら、頑固な汚れを効率的に除去することが可能です。
この溶剤は、長年にわたりドライクリーニング業界で広く使用されてきました。しかし、環境への影響や健康への懸念から、使用が制限されつつある国もあります。
洗浄と乾燥が時短になる「フッ素系溶剤」
フッ素系溶剤は、その速乾性により洗浄から乾燥までのプロセスを大幅に短縮することができる新しいタイプの溶剤です。
この溶剤は環境への負荷が比較的低く、人体に対する安全性も高いとされています。また、衣類へのダメージも少ないため、デリケートな素材の衣類にも適しています。
日本で最も多く使われる「石油系溶剤」
石油系溶剤は、日本国内で最も普及しているドライクリーニング用の有機溶剤です。生地に優しく、繊細な服のクリーニングにも向いています。また、石油系溶剤は油汚れに強く、特に油脂性の汚れをしっかりと落とすことが可能です。
ドライクリーニングに出すメリットとデメリット
ドライクリーニングは、特定の衣類にとって非常に効果的な洗濯方法ですが、その利用にはメリットとデメリットがあります。
ここでは、ドライクリーニングを選択する際のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
ドライクリーニングの主なメリットには以下のものがあります。
- 皮脂や化粧品などの油脂性の汚れが落ちやすい
- 衣類の型崩れ、縮み、色落ちなどがしにくい
それぞれについてみていきましょう。
皮脂や化粧品などの油脂性の汚れが落ちやすい
ドライクリーニングは、衣類に付着した油性の汚れに対して非常に強い効果を発揮します。日常生活で発生する皮脂や化粧品の汚れ、食用油など、水洗いでは落ちにくい汚れも特殊な溶剤を用いることで効率的に取り除くことができます。高価な衣類やデリケートな素材の衣類に最適なクリーニング方法といえます。
衣類の型崩れ、縮み、色落ちなどがしにくい
ドライクリーニングは水を使用しないため、衣類の縮みや型崩れ、色落ちのリスクを最小限に抑えることができます。そのため衣類が長持ちし、見た目も美しさを保ち続けることができます。とくにカシミアやレーヨンなどのデリケートな素材の衣類は、水洗いによる負担が大きく、型崩れや色落ちを起こしやすいので、ドライクリーニングがおすすめです。
デメリット
ドライクリーニングの主なデメリットには以下のものがあります。
- 汗や手あかなどの水溶性の汚れは落ちにくい
- 石油系有機溶剤のニオイが残ることがある
それぞれについて説明します。
汗や手あかなどの水溶性の汚れは落ちにくい
ドライクリーニングのデメリットとして、汗や手あかなどの水溶性の汚れは落ちにくいという特性があります。これは、ドライクリーニングで使用する溶剤が水溶性の汚れとは溶け合わない性質を持つためです。
石油系有機溶剤のニオイが残ることがある
ドライクリーニングで使用される石油系の溶剤は、その効果の一方で、衣類に特有のニオイを残すことがあります。これは、使用される溶剤が汚れとともに衣類に残留することが原因で、クリーニング店の溶剤管理や処理技術によっては、このニオイを最小限に抑えることが可能ですが、完全に避けることは難しい場合もあります。
衣類をキレイな状態に保つには、ドライクリーニングだけに頼るのではなく、衣類の種類や汚れの性質に応じて、適切な洗濯方法を選択しましょう。
ドライクリーニングしたほうが良い衣類を見分けよう
ドライクリーニングは、水を使わずに特殊な溶剤で汚れを落とす洗濯方法。特定の種類の衣類には、ドライクリーニングが理想的な選択肢です。しかし、すべての衣類がドライクリーニングに適しているわけではありません。そこで、どの衣類をドライクリーニングに出すべきかを見分けるための基準を紹介します。
ドライクリーニングマーク+水洗い不可の表示の衣類
「水洗い不可」のマークがついていて、かつ「ドライクリーニング」のマークがある衣類は、ドライクリーニングがおすすめのケア方法で、対象にはウール、皮、シルク、レーヨン製品などが含まれます。
これらの素材は水に弱く、家庭での洗濯には向いていません。しかしドライクリーニングでは水を使わないため、繊維へのダメージや色褪せ、型くずれが少なく、効果的に汚れを落とすことができます。
ブランド品やオーダーメイド品などの高額な衣類
高価な衣類、特にブランド品のコートやオーダーメイドのスーツ、パーティードレスなどは、ドライクリーニングに出すことをおすすめします。これらのアイテムは素材やデザイン、フィット感など多くの要素で既製品のアイテムとは違いがあり、自宅での洗濯には不向きです。一方、ドライクリーニングなら素材への影響が少なく、長持ちさせることが可能です。
関連記事:ダウンのクリーニングにかかる費用はどれくらい?クリーニングすべき頻度やおすすめのサービスもご紹介
もっと知りたい!ドライクリーニングに関するQ&A
ドライクリーニングに関して、知っているようで知らないことが多いかもしれません。ここでは、特によくある質問に答えていきます。
間違えて洗濯してしまったらどうなる?
「ドライクリーニング専用」と表示された衣類を間違って水洗いしてしまうと、縮んだり、色落ちしたり、シワや毛羽立ちができるなどの問題が発生することがあります。
例えば、ウールやシルクなどの天然素材は特に縮みやすく、デリケートな色や柄の衣類は色落ちのリスクが高まります。洗濯マークをしっかりと確認し、ドライクリーニングが必要な衣類はクリーニング店に持ち込みましょう。
ドライクリーニングのマークがある衣類は自宅で洗濯できない?
ドライクリーニングのマークがある衣類は、必ずしも「ドライクリーニングしなければならない」というわけではありません。「手洗いマーク」または「洗濯マーク」があれば自宅でも洗濯可能です。しかし「水洗い不可」の場合は、クリーニング店へ出すことをおすすめします。自宅で洗濯する際は、適切な洗剤を使用し、慎重に取り扱うことが大切です。
クリーニング店へ行くのが面倒なときには
クリーニング店に足を運ぶのが面倒、または忙しくて時間が取れないときには、以下の方法があります。それぞれについて解説するので参考にしてください。
【方法1】自宅で水洗いする
ドライクリーニングのマークのついた衣類でも、一部は自宅で水洗い可能です。ただし、衣類の素材や色落ちの可能性などを考慮する必要があります。具体的な手順は以下の通りです。
- 洗濯桶に30℃以下の水を入れる
- 洗剤を適量加え、衣類を浸ける
- 手で優しく押し洗いする。強く擦ったりしないように注意が必要
- 洗濯後は、衣類の形を整えて平らに広げ、風通しの良い場所で自然乾燥させる
ただし、この方法は衣類によっては色落ちや型崩れの原因となる可能性があるため、必ず洗濯表示を確認し、自宅で洗濯可能な衣類にのみ適用してください。
【方法2】宅配クリーニングを利用する
忙しくてクリーニング店へ出向く時間がない、またはクリーニングに出したい衣類がたくさんで運ぶのが大変な方のために、「宅配クリーニングサービス」があります。このサービスは、自宅から服を送るだけでクリーニングが完了するため、非常に便利。以下に、宅配クリーニングの利用方法を説明します。
- 宅配クリーニングのWebサイトから注文する
- 専用キットに衣類を詰める
- 衣類を詰めてから指定の集荷事業者に渡す
- 検品後、クリーニングが開始される
- クリーニング済の衣類が自宅に届く
これらの方法を利用すれば、クリーニング店へ行く手間を省きつつ、衣類をきれいに保つことができます。どの方法を選ぶかは、衣類の素材や汚れの度合い、自分の生活スタイルなどを考慮して判断しましょう。
宅配クリーニングなら「くらしのセゾン」へご依頼を
店舗に行かずにいつでも24時間インターネットで申し込みをして、自宅へ集荷に来てもらうスタイルのクリーニングです。宅配クリーニングは、保管サービスがあるなどとても便利なサービスで、いまでは全国的に普及しています。
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- 入会金・月額料なしの都度払い
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- 12ヵ月間の保管サービスが無料
- さまざまなオプションサービスが無料(直径2㎝までの衣類のシミ抜き、毛ゴミ・毛玉取り、ボタン直し、シルエット仕上げ、ふんわり加工、静電気防止加工、抗菌加工など)
まさにクリーニング店に足を運ぶのが面倒、または忙しくて時間が取れない人にうってつけのサービスといえます。下記リンクに詳細な情報が掲載されているので、興味のある方はぜひ!
おわりに
ドライクリーニングは特定の衣類に必須の洗濯方法です。ここではドライクリーニングの基礎知識、使用される有機溶剤の種類、メリットとデメリットなどを解説しました。大切な衣類を清潔、キレイに保ちたいなら、それぞれに適切な洗濯の方法を選びましょう。また、もし自身でクリーニング店に行くのが面倒くさい場合には、宅配クリーニングのご利用もおすすめです。