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ここがポイント!おひとりさまの相続対策②~法定相続人がいないケース~

ここがポイント!おひとりさまの相続対策②
セゾンのくらし大研究 編集部

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おひとりさま(ここでは、配偶者も子どももおらず、両親もすでに亡くなっている方を指します)の相続対策について不安を抱える方は多くいらっしゃいます。おひとりさまの相続対策には、いくつかの特徴や留意点がありますので、これらを踏まえた早めの対策が有効です。今回は、「法定相続人がいないケース」について、具体的な事例を通じて考えてみましょう。

元気なうちに、かしこい相続対策を

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意外と複雑!おひとりさまの相続財産が国庫に帰属するまで

行政書士の先生から、おひとりさまであるBさん(50代・女性)からの、こんなご相談事例をお聞きしました。「私の両親はすでに他界しており、兄弟姉妹もいません。ずっと独身ですので、子どももいません。私の財産は、自宅マンションと預貯金と株式が少し。相続人がいない人の相続財産は国庫に帰属すると聞きましたが、誰がそういう手続きをしてくれるのでしょうか?」。

Bさんのように家族構成を要因として法定相続人がいない場合の他、法定相続人全員が相続放棄をした場合など、被相続人の財産を相続する方がいない状態のことを「相続人不存在」といいます。この相続人不存在の場合、利害関係人または検察官からの申立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。

相続財産管理人は弁護士、司法書士などの専門職が選ばれることも多く、債権者に対して被相続人の債務を支払うなど、相続財産の清算を行います。なお、特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた方や被相続人の療養看護に努めた方など、被相続人と特別の縁故があった方など)として認められる方がいる場合は、家庭裁判所の決定に従い、相続財産の分与を行います。

また相続財産管理人の報酬は、相続財産のなかから支払われますが、100万円程度の金額になることもあります。これらの清算を終えて、財産に余剰がある場合、余った財産は国庫に帰属することになります。

なお、一連の手続きの過程では、「相続財産管理人選任の公告」、「相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告・催告」、「相続人捜索の公告」などが必要となり、完了するまでに1年半から2年程度かかるのが通常です。

スタートボタンを押す方がいないと、相続財産が放置される可能性も

ここがポイント!おひとりさまの相続対策②

肝心なのは、誰かが相続財産管理人選任の申立てを行わないと、相続財産の清算手続きがスタートしないということ。相続財産管理人選任の申立てができるのは、利害関係人または検察官となっていますが、具体的には、①債権者、②特別縁故者、③相続放棄者のいずれかが行うケースが大半です。

③について補足します。相続放棄をした方は、相続財産を管理する方が決まるまでは、「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」、その財産の管理を継続しなければなりません。空き家となった老朽化した実家が崩落して近隣に損害を与えたような場合、管理者として損害賠償を請求されるリスクがあります。従って、相続人全員が相続放棄をした場合、管理責任を免れるためには、相続財産管理人の選任が必要になるのです。

Bさんの場合、誰がスタートボタンを押してくれるのでしょうか。Bさんに借金はなく、①債権者はいません。②特別縁故者もおらず、もともと相続人がいないため、③相続放棄者も発生しようがありません。ということは、Bさんの相続財産は、相続人不在のまま、清算手続きが始まらず、当面の間、放置される可能性が高いと思われます。

かなり先の話になるかもしれませんが、管理費の未納額が大きくなった段階で、Bさんの自宅マンションの管理組合が債権者として動く可能性が考えられるといったところです。

「最悪の場合、国が引き取ってくれるから、まあいいか・・・と思っていましたが、そんな単純な話ではないのですね。このままでは、色んな方に迷惑をかけてしまいそうです。何かいい対策はないですか?」とBさんはおっしゃいました。

法定相続人がいない場合の相続対策でも、遺言書の作成が切り札に!「遺贈寄附」という選択肢も

Bさんのように、法定相続人がいない方の場合、いわゆる、おひとりさまの場合の相続対策のポイントは、相続財産の行き先をしっかり決めておくという一点に集約されます。遺言によって財産を無償で譲ることを「遺贈」といいますが、財産を譲る相手(受遺者)には特段の制限はなく、法定相続人でもそれ以外の方でも法人や団体でも構いません。

「親しい友人何名かに」とか、「家族のように老後の面倒を見てくれた隣家の方に」というように個人を受遺者とする遺言を作成する方もいますが、Bさんのようなケースでは、最近、社会に役立つ活動をしているNPO法人や公益財団法人の他、自治体や母校への「遺贈寄附」を選択する方が増えています。

財産を渡したい特定の個人が思い浮かばない方でも、遺贈寄附を受け付けている法人や団体は非常にたくさんありますので、パンフレットを取り寄せ、担当者の話を聞いてみて、どういうプロセスなのか、納得のいく遺贈寄附先(複数でも構いません)を決めていくことはできるのではないでしょうか。

ただ、遺贈寄附を行うため、せっかく遺言書を作成しても、寄附先とのコミュニケーションミスから遺贈を放棄されてしまう可能性もあります。

例えば、大多数の法人・団体では、不動産の遺贈寄附を受け入れておらず、Bさんのマンションもそのまま遺贈することは難しいかもしれません。

そんな場合は、相続財産を換価処分(売却)し、換価された金銭を遺贈する「清算型遺贈」がおすすめです。遺贈寄附先との折衝、遺言書の文案の考案・調整など、遺言書の作成段階からサポートしてくれる弁護士、司法書士などの専門家を確保のうえ、死後、しっかり遺贈が実現できるよう、遺言執行者に指定しておくと安心です。

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おわりに

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