親族へ内祝いを贈りたいけれど、何から始めれば良いのか、そもそも何を贈れば喜ばれるのだろうかと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。せっかくの機会なので、相手に喜んでもらえる内祝いを贈りたいことでしょう。
親交の深い兄弟や従兄弟などの場合は気軽に何が欲しいか、何が好みかと尋ねることができるかもしれません。一方で、なかなか会えない親族や目上の親族の場合、好みを尋ねることは難しいと思います。
親族へ内祝いを贈る場合、いただいた金額に合わせた内祝いの予算が決まっています。また、内祝いでは不適切とされるギフトも存在します。このコラムでは、親族への内祝いの予算の相場やおすすめのギフト、贈るタイミング、マナーについて解説します。これから親族へ内祝いを贈る予定の方は、参考にしてみてください。
1.内祝いとは何?
内祝いと聞くと、お祝いをもらったお返しをするというイメージがある方が多いのではないでしょうか。実は、内祝いという言葉そのものには、お返しという意味はありません。内祝いは、「身内の中で結婚や出産などのおめでたいことがあった際に、近所や職場の方、親戚の方などと喜びを分かち合うもの」という意味があります。そのため、昔はお祝いをもらっていなくても、宴席に呼び内祝いを渡していました。
ところが現代では、昔の内祝いの考え方と少し意味合いが異なってきています。お祝いの有り無しにかかわらず、内祝いを渡すことはなくなり、相手からお祝いをもらった際のお返しとして内祝いを渡すようになりました。しかし、地域によっては昔の慣習が根付いている場合があるので、その際は居住地域の慣習に合わせるようにしましょう。
2.親族への内祝いの予算はいくら?
親族への内祝いの予算は、基本的にはいただいた金額の半額〜3分の1程度が相場となっています。いただいた金額を超えないようにすることが前提の考えとしてあります。また、親族が自身より目上の方なのか、同年代や年下の親族なのかでも内祝いの相場が変わってきます。
目上の親族の場合、いただくお祝いの金額の相場は3〜5万円の場合が多いです。その場合、半返しだと1.5〜2.5万円となりますが、目上の方に半返しを行うことはマナー違反とされています。そのため、3分の1程度である1〜1.6万円程度の予算で決めておくと良いでしょう。
同年代や年下の親族の場合、内祝いの相場は5千〜1万円の場合が多いです。気を付けるポイントは、連名でも個別で内祝いを贈る点です。例えば、いとこ同士、もしくは兄弟の連名でお祝いをいただいた場合も、内祝いは一人ひとりに贈りましょう。
一方で、親族の年齢に限らず5〜10万円など高額なご祝儀をいただく場合があります。高額なご祝儀の場合、3分の1〜4分の1程度を相場とする考えがあります。しかし、高額なご祝儀を受け取った際は、家族内で相談をし、相場にとらわれず、相手への気持ちを伝えるということを重視して内祝いを贈ると良いでしょう。
3.親族への内祝いの選び方
親族への内祝いの選び方のポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。相手への感謝の気持ちを伝えることを意識して選ぶことが大切です。
3-1.ライフスタイルや趣味に合わせる
親族のライフスタイルや趣味が分かる場合は、そのライフスタイルや趣味に合った内祝いを贈ると喜ばれることでしょう。甘いものが好きな方にはスイーツギフトを、お酒が趣味の方にはビールやワインなど好きな銘柄のお酒を渡すのも良いかもしれません。
3-2.年齢や家族構成にふさわしいものにする
例えば、血圧を気にしている年上の親族の場合には、健康面を考慮して減塩のグルメギフトを贈る、小さな子どもがいる親族の場合は、子どもが喜びそうなキャラクターがプリントされた内祝いを贈るのも良いでしょう。また、相手が一人暮らしの場合、お米などの消耗品を選ぶなど、年齢だけでなく家族構成を意識して内祝いを選ぶことも大切です。
3-3.シンプルなデザインにする
相手に喜んでもらいたいと思うあまり、自分好みのデザインを選んでしまうのはおすすめできません。これは、受け取った相手が、あなたが選んだデザインを必ず気にいるとは限らないためです。相手の好みが分かる場合は、好みに沿ったデザインを選ぶと良いですが、好みが分からない場合は、無地や色味の派手でないシンプルなデザインを選ぶようにしましょう。
4.おすすめの内祝いギフト
内祝いの相場が決まったとしても、何を贈れば喜ばれるのかと、ギフト選びに悩む方は多いのではないでしょうか。親族におすすめの内祝いギフトを解説します。
4-1.グルメ
消耗品の代表格であるグルメも内祝いでの人気ギフトの一つとなっています。有名ブランドのお菓子やお肉、お酒が好きな親族には焼酎や日本酒なども良いでしょう。小さな子どもがいる親族には果物ジュースの詰め合わせなどもおすすめです。生物を贈る際は、遠方の親族に贈る場合に日持ちしないことがあるので、できる限り日持ちするものを選ぶか、配送期間を把握してから贈るようにしましょう。
4-2.消耗品
内祝いにおける消耗品とは、グルメ以外の洗剤やタオルなどの日用品のことを指しています。洗剤やタオルは生活するうえで必需品なので、たくさんもらっても迷惑に思わず、喜ぶ方が多いでしょう。特に洗剤は、食器用と洗濯用洗剤がセットになったギフトセットがあるため、ギフト選びに迷う時間も短縮できます。
4-3.カタログギフト
カタログギフトは、親族に選ぶ楽しみを味わってもらえるだけでなく、自身がギフト選びに悩む必要もないため、おすすめの内祝いギフトの一つといえます。カタログギフトには、グルメや体験型、生活雑貨品などさまざまなものが載っています。親族の好みがそもそも分からないという場合も、カタログギフトを贈ることで双方にとって満足できることでしょう。
4-4.名入りギフト
名入りギフトは、ご自身の親への内祝いギフトとして贈るのがおすすめです。名入りのお米やお酒、フォトフレームなどさまざまな名入りギフトがあります。ご自身の親なので、どの名入りのギフトが良いか気軽に尋ねてみても良いかもしれません。形として残したいならフォトフレーム、消耗品が良いならお菓子やお酒など、ニーズに合わせたギフトを贈りましょう。
5.内祝いで選んではいけないもの
親族への内祝いのお返しは、ハンカチや縁起の悪い割れ物、刃物は避けた方が良いです。これは、ハンカチは弔事の内祝いとして使用され、割れ物や刃物には「縁を切る」という意味が連想されるためです。例えば、特に親交の深い親族がハンカチが好きだった場合、相手方の好みに合わせてハンカチを贈ろうと考えてしまうかもしれません。しかし、一般的にはマナー違反となるので、好みだけを優先せずにマナーに沿った内祝いを贈るようにしましょう。
また、ギフトカードや商品券を贈る際も注意が必要です。マナー違反ではありませんが、金額が分かってしまうため、嫌味として捉えられる場合があります。そのため、相手側が喜んでくれるか、不快な思いをしないかという視点で選ぶと良いでしょう。
6.親族に内祝いを贈る際のマナー
親族に結婚や出産の内祝いを贈る際のマナーにはどのようなものがあるのでしょうか。マナーを知らずに内祝いを贈ってしまうと、相手を不快にさせてしまう場合があります。
6-1.贈るタイミング
贈るタイミングは出産祝いと結婚祝いで異なります。一般的に、出産祝いの場合はお宮参りの後すぐに、結婚祝いの場合は入籍1ヵ月以内となっています。すぐ贈ることで相手方も喜びます。また、お祝いを宅配便で受け取った際には、電話をして一言お礼を伝えることがマナーです。
6-2.のし紙をかける(書き方)
のし紙を包装する場合、のしには「内祝い」や「寿」と書きます。内祝いに現金を贈ることはマナー違反とされていますが、やむを得ず現金を贈る場合には、「御礼」と書くことが一般的とされています。
6-3.お礼状を添える
メッセージカードや挨拶状などのお礼状を添えることで、より丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。お礼状の内容は、お祝いに対する感謝だけでなく、赤ちゃんの様子や近況を伝えると、より好感の持てる内祝いとなります。
6-4.相手が喪中の場合
相手が喪中の場合、内祝いを贈っても良いのか迷う方が多いのではないでしょうか。基本的には喪中の方に対して内祝いを贈ること自体は問題ありません。一方で、贈るタイミングに関しては配慮する必要があり、相手方の四十九日を過ぎてから贈るのがマナーとなっています。気になる方は、水引を外してしまっても良いでしょう。
7.親族から結婚、出産祝いが贈られた後の手順
親族からお祝いが届いたら、できるだけ早く内祝いを準備し贈るようにしましょう。親族から結婚や出産のご祝儀などを贈られた後の、内祝いを贈るまでの手順は以下の流れになります。
- 連絡をとり、お礼を伝える
- 内祝いの相場、贈る時期、慣習を調べる
- 品物を選定、発注する
- 到着日を設置する
一つひとつ解説します。
7-1.連絡をとり、お礼を伝える
遠方の親族からお祝いをいただいたら、まずは連絡をとりお礼を伝えます。受け取った時間が午前中から夕方の時間帯であれば、その日のうちに連絡をとって問題ありません。届いてすぐに連絡をすることで、感謝の気持ちを伝えられるだけでなく、無事にお祝いが届いたと相手を安心させることができます。
一方で、夜間帯にお祝いが届いた場合、親族側が就寝している場合があるため、急いでその日のうちに連絡を取ることはせず、翌日の午前中など日中にすると良いでしょう。また、親族の電話番号がどうしても分からない場合があるかもしれません。その際は、手紙やメールで伝えることも可能です。
7-2.内祝いの相場、贈る時期、慣習を調べる
内祝いの相場は、いただいた金額の半返し〜3分の1となっています。贈る時期は、出産内祝いはお宮参りを過ぎた生後1ヵ月頃から生後2ヵ月以内まで、結婚祝いの場合は入籍1ヵ月以内となっています。相場や贈る時期はどの地域でも同じですが、慣習に関しては地域ごとで違いがあるため、しっかりと把握しておく必要があります。
例えば、内祝いとは別に少額のお返しをする「おため返し」を行う地域があります。内祝いを贈って一安心と思っていても、知らぬ間に親族に嫌な思いをさせてしまう場合があるため、事前に把握しておくことが大切です。
7-3.品物を選定、発注する
ハンカチは一般的に弔事の内祝いとして使用され、割れ物や刃物には「縁を切る」という意味が連想されるため、出産や結婚の内祝いには適さない品物となります。また櫛も「苦しみ」や「死」を連想させるため、内祝いには適しません。
発注の際は、メッセージカードなどのお礼状や命名書をつけることができます。お礼状や命名書を通して感謝の気持ちや子どもの名前を伝えることができるので、利用することをおすすめします。
7-4.到着日を設定する
到着日や到着する時間帯まで把握できる場合には、できる限り相手の都合を確認するようにしましょう。休日だろうと安易に日時指定すると、親族側の予定が入っていて受け取れなかったということにもなりかねません。お祝いのお礼をする際に、受け取りの都合の良い日の確認を事前にしておくと、到着日をスムーズに設定することができるでしょう。
おわりに
内祝いと聞くと、いただいたお祝いへのお返しを想像する方が多いと思いますが、本来の意味は、「身内の中で結婚や出産などおめでたいことがあった際に、近所や職場の方、親戚の方などと喜びを分かち合うもの」です。言い換えれば、お返しではなく、自ら相手方に内祝いを渡して喜びを分かち合うという意味でした。現在も、この昔ながらの慣習を取り入れている地域もあります。
親族への内祝いの予算は、基本的にはいただいた金額の半額〜3分の1程度が相場です。親族の好みやライフスタイル、年齢に合わせたギフトを選ぶようにしましょう。また、内祝いを贈る際のタイミングやのし紙の書き方にもマナーがあります。お祝いをいただいたらまずは連絡を取り、お礼を伝え、適切なタイミングで内祝いを贈るようにします。親族への感謝の気持ちと幸せをお裾分けする気持ちを伝え、お互いにとって良かったと思える内祝いをしましょう。