早期退職制度を利用すれば、第二の人生を早くスタートできます。夢を叶えたり、現役時代にはできなかったことにチャレンジしたりする方も多いです。
- 「早期退職した時の退職金はどれぐらいになる?」
- 「早期退職制度を使う時の注意点は?」
そんなとき、このようなことが気になる方も多いのではないでしょうか。しかし、よく理解せずに制度を使って退職すると、思いがけない結果に繋がってしまうことがあります。
こんなはずではなかった、と後悔しないためにも、制度を正しく理解し、あなたのライフスタイルや老後設計にあった制度を選ぶことが大切です。
このコラムでは、早期退職制度の概要や知っておきたいメリット・デメリット、利用する際の注意点などを詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
早期退職制度とは?早期優遇退職制度と希望退職制度をあわせた総称
早期退職制度は、希望により定年前に退職できる制度です。「早期優遇退職制度」と「希望退職制度」を合わせた総称で、どちらも定年前に退職できるという点は同じです。
しかし、目的や性格が異なるため、利用する際にはメリットやデメリットを理解したうえで、あなたの希望や退職後のライフスタイルに合った方法を選ぶ必要があります。
早期退職制度を利用して第二の人生をスムーズにスタートさせるためにも、まずはそれぞれの制度のメリットやデメリットを確認していきましょう。
早期優遇退職制度とは
早期優遇退職制度は、福利厚生の1つとして多くの企業で採用されており、いつでも好きなときに使える制度です。選択定年制と呼ばれることもあり、自己都合での退職となります。
早期優遇退職制度のメリット
早期優遇退職制度のメリットは大きく2つあります。
- いつでも利用できる
- 退職金が割増される
早期優遇退職制度は、退職するタイミングをご自身で決められるのが大きな特徴です。利用する時期を自由に決められるため、退職後の計画を立てやすいのが良い点です。
また、早期優遇退職制度は従業員のキャリアアップや再就職の支援に力を入れている場合が多く、制度を使ってよりスムーズに求職活動を進めていくことが可能です。退職金が割増されることも多いため、起業して独立を考えている場合にも使いやすい制度です。
早期優遇退職制度のデメリット
早期優遇退職制度のデメリットは、自己都合での退職になるため失業保険を受け取れるまでに時間がかかるという点です。
早期優遇退職制度を利用した自己都合退職の場合、給付制限と呼ばれる、受給手続き日から7日後の翌日から2ヵ月間、失業保険を受給できない期間があります。
すぐに再就職する場合や、当面の生活費などを準備できる場合は問題ありませんが、再就職の予定がない、当面の生活費も工面できないという場合は注意が必要です。
希望退職制度とは
希望退職制度は、企業の経営改善や組改編などを理由に、従業員に対して退職希望者を募る制度です。自己都合退職とは違い、人員整理が目的であることが多く、リストラの前段階ともいえます。
希望退職制度のメリット
希望退職制度のメリットは主に2つです。
- 退職金が割増される
- 失業保険を早く受けられる
希望退職制度を使って退職した場合、早期優遇退職制度と同じように退職金が割り増しされることがほとんどです。また、会社都合での退職となるため、失業保険を早く受けられる「特定受給資格者」扱いになります。
特定受給資格者になると、失業手当の受給資格要件も緩和され、給付日数も手厚くなります。特定受給資格者の失業給付は、自己都合退職より2ヵ月早く始まり、最長で2倍以上受給できます。突然退職することになっても当面の生活に困ることはないでしょう。
希望退職制度のデメリット
希望退職制度のデメリットは、次の2つです。
- 制度を利用できる期間が限られている
- 必ず退職できるとは限らない
希望退職制度はいつでも使える制度ではなく、企業が募集した時に限り利用できる制度です。また、早期優遇退職制度が誰でも使える制度であるのに対し、希望退職制度は企業との合意が必要となるため、応募しても退職できない場合があります。
退職金が割増され、失業保険が手厚く給付されるとはいっても、準備期間が少ないまま突然退職することになる点には注意が必要です。
参照元:ハローワークインターネットサービス 雇用保険手続きのご案内
早期退職でもらえる退職金の額
早期退職でもらえる退職金の額は、企業の規定や勤続年数、最終学歴などによって異なります。実際にもらえる退職金のおおよその額は、退職規定や募集要項を確認すれば計算できます。
厚生労働省の調査によると、退職給付制度を導入している企業の割合は約75.5%。退職金の割増額の平均は15.7ヵ月で、中央値は12ヵ月分です。早期退職制度で退職金の割り増しを行う企業は約9割となっており、ほとんどのケースで割増されていることが分かります。
また、早期退職制度の対象者の適用年齢の下限平均は、45.5歳ということが調査結果から分かります。つまり、30代で利用しようと思っても、募集要項には45歳以上の方が対象で利用できないケースもあるということが伺えます。
参照元:事業再構築と雇用に関する調査(2002年06月17日)
早期退職制度に応募する前の注意点
早期退職制度を利用する場合、応募前に確認しておきたいことや、注意したいことがあります。
よく確認しないで応募すると、思いがけない結果になったり、思うようなセカンドライフが送れなくなったりするからです。
もらえる退職金の額や募集内容をよく確認してから申し込む
早期退職制度を利用する前に、もらえる退職金の額や募集内容をよく確認しておきましょう。もらえる退職金や割増の有無だけでなく、その他の条件についても確認しておくことが大切です。
また、自己都合退職か会社都合退職では、失業保険の受給条件に大きな差がでます。特に自己都合退職になる場合は、退職後の生活についてよく考えたうえで申し込むことが大切です。
募集内容を確認する時は、次の事項をチェックしましょう。
- 自己都合退職か、会社都合退職か
- もらえる退職金の額はいくらか、割増はあるか
- 有給の買い取りや求職活動のための特別休暇制度などはあるか
- 再就職のあっせんやサポートはあるか
再就職先がすぐに決まらない場合もある
早期退職制度を利用した場合、企業が再就職先のあっせんやサポートをしてくれる場合があります。
企業からのサポートがない場合は、ご自身で求職活動を進めていかなくてはなりません。思ったように再就職先が見つからない場合や、条件に合った職場がない場合もあり、想定していた以上の期間を無職のまま過ごす可能性もあるでしょう。
特に自己都合退職の場合、失業保険を受給できるまでには空白期間があります。すぐに再就職できなかった場合、生活していけるだけの余裕があるかどうか、必ず確認しておきましょう。
思ったように退職金がもらえないこともある
早期退職した場合、退職金は割増されることがほとんどです。しかし、なかには想像していたほど退職金の割増額が多くなかった、という場合もあります。また、退職金をもらっても、税金やその後の生活にかかる費用を考えると、充分な額ではなかったというケースも考えられます。
今後の生活に必要な金額はそれぞれ異なります。退職後の生活に必要な金額をあらかじめ計算し、もらえる金額がそれに対して充分な額かどうか確かめましょう。また、思ったような額がもらえないと判明した場合、貯蓄などで対応できるかどうかも把握しておくことが大切です。
早期退職で失敗しないために
早期退職で失敗しないためには、早めの準備や入念な計画を立てることが大切です。特に資金の準備には時間がかかり、目標額によっては数年では準備できないことがほとんどです。早期退職を成功させるために、現役時代から始めておきたいことを3つ紹介します。
退職後の生活は早めに考えよう
退職後の生活は退職してから考える、という方がいますが、それでは遅いです。早期退職制度の利用を考えている場合は特に、早めに退職後の生活を見据えた準備を始めましょう。退職理由が自己都合にしろ会社都合にしろ、退職のタイミングはとても大切です。そのときが来てから考えたり、準備したりするのでは、準備不足のまま退職の日を迎えてしまうことになりかねません。
早期退職の成功は、事前準備の量に左右されます。制度を利用するかしないかは別として、第二の人生をどうするかは積極的に考えておくことをおすすめします。
セカンドキャリアのための資金を貯めておこう
セカンドキャリアのために必要な資金は、現役時代から貯めておくことをおすすめします。資産形成は一朝一夕で行えるものではありません。若いうちから投資信託などでコツコツ積み立てておけば、いざというときの大きな味方になります。
セゾンポケットなら、プロが運用する投資信託も購入できるので、投資の詳しい知識も不要です。リスクを抑えながら資産形成でき、初心者でも安心して取り組めます。また、少額から始められるので、無理なく資産運用をスタートできます。
早期退職後に、起業や独立など大きな資金が必要になる予定がなくても、金銭的に余裕を持っておくことは老後の大きな安心に繋がります。退職後のプランが具体的に決まっている場合は、必要な資金額を調べたうえで計画的に準備を進めていきましょう。
セカンドキャリアに必要な資格やスキルを取得しておこう
退職後にやりたいことが決まっている場合は、必要な資格やスキルの取得も早めに始めましょう。
資格やスキルの取得には時間がかかります。退職を考え始めてから行動したのでは間に合わない場合もあります。また退職後は何かと忙しく、思ったように資格取得の時間を取れないこともあるため、在職中に取得しておくとスムーズです。
時間や金銭的な余裕がある現役時代に準備を始めれば、退職後すぐに次の生活が始められます。必要な資格やスキルを調べて、早めに取り組みましょう。
おわりに
早期退職がお得かどうかは、退職後の生活やそれまでにどれだけ準備できているかで大きく異なります。後悔しないセカンドライフを送るためには、早めの準備や退職するタイミングが重要です。
老後の生活はまだまだ先だと思っていても、時が経つのはあっという間です。早めに準備を始めても、困ることはありません。退職後に思い描いている生活によっては、退職金だけでは不充分な場合もあります。
老後のための資産形成は、少しでも早く始めた方が有利です。まだ早いと先送りするのではなく、現役時代から老後の生活について考え、早めに準備を始めましょう。