いきなりですが、投資信託の利回りの計算方法はご存じでしょうか。利回りは投資信託を運用するうえで大切な指標になるため、必ず理解しておきたい用語の1つです。
しかし、利率や騰落率といった専門用語が使われることもあり、どれが何の意味を指すのか、何を重要視すれば良いのか分かりにくいですよね。投資信託は管理や運用を専門家が代行してくれるため、詳しい知識がない方や投資初心者でも安心して始められる金融商品です。
しかし、投資信託を正しく選ぶためには、利回りや騰落率、利率といった基本的な用語を理解しておくことが大切です。
- 「投資信託の利回りって何?」
- 「投資信託の利回りの計算方法が知りたい!」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、投資信託を始めたい方のために、始める前に知っておくべきポイントを含めて詳しく解説します。投資信託に必要な用語の意味が分かると、投資信託を上手に選べるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
投資信託の利回りと計算式
利回りは、投資信託を運用するうえで必ず確認しておきたい指標の1つです。最初に、利回りの意味や計算式について確認していきましょう。
利回りとは
利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことを指します。簡単にいうと、1年間にどれぐらい利益が出るかを数字で表したもので、通常は1年間の利回りのことを表します。
例えば、100万円分購入した商品が1年後105万円になった場合、その商品の利回り(年利)は5%です。利回りは非常に重要です。なぜなら、仮に利回り差が数%低かったとしても、長期間複利で運用した場合は結果として大きな差になるからです。
特に資産運用ではこの利回りや長期運用という考え方が基本になるため、投資信託を選ぶ際は必ず確認する数字です。
利回りの計算式
利回りは、以下の式で計算することができます。実際は税金などの費用も考慮する必要があるため、導き出される数字は概算です。実際にどのように計算するのか、計算例を見てみましょう。
- 計算式:利回り(%) = (分配金 + 売却益) ÷ 投資元本 × 100
例題:元本100万円の商品を1年間運用し、3万円の分配金を受け取り、102万円で売った場合の利回りは、次のように計算します。
- 計算式:利回り(%) = (3万円 + 2万円) ÷ 100 万円 × 100 = 5%
この場合、利回りは5%になります。
利回りと間違えやすい「騰落率」と「利率」の違い
投資信託を運用する際は、利回りのほかにも騰落率や利率といった言葉が登場します。それぞれ利回りとの違いを見ていきましょう。
利回りと騰落率の違い
騰落率は、投資信託の基準価額がある一定期間に変動した率のことです。1年間でどのくらい値上がりまたは値下がりしたのかを表した数字です。騰落率は、次の計算式で求められます。
・計算式:配当・分配金込み月間騰落率(%)=(月末の価格 + 月内の配当・分配金 – 月初の価格)÷ 月初の価格 × 100
例えば、基準価額10,000円の投資信託が1年後11,000円に値上がりした場合の騰落率は10%です。利回りは分配金込みの基準価額の騰落率といい換えることができます。分配金がない場合は、基準価額の騰落率がそのまま利回りになります。
利回りと利率の違い
利率とは、元本に対する利息の割合です。分配金 ÷ 投資元本 × 100で計算できます。利回りは利息を含めた収益の割合を指しますが、利率は利息のみの割合です。
投資信託の利回りの確認方法
投資信託の利回りは、その時々の運用状況によって異なるため、明確に示すことはできません。一部の公社債投資信託のみ、過去1週間等の運用実績をもとに、参考の利回りを表示しています。
利回りが確定し実益になるのは、売却するときのみです。預金や債券のように利回りを表示することはできません。利回りを確認する方法は以下の2つです。
- 投資信託協会や投資信託会社のWEBサイト
- 販売会社のランキング
投資信託協会や投資信託会社のWEBサイトには、利回りや分配金の推移が掲載されており、検索することが可能です。また、販売会社のWEBサイトでも、売れ筋や人気商品といったランキングと並び、利回りの高い商品を紹介している場合があります。
いずれも過去の実績をもとにしているため、参考利回りにはなりますが、投資信託を選ぶときの検討材料の1つにするのも良いでしょう。
投資信託の利回りの平均はどれぐらい?
投資信託の利回りの平均や、目標利回りとリスクの考え方を見ていきましょう。
利回りの平均を出すのは難しい
投資信託の利回りの平均値を求めるのは、とても難しいです。なぜなら、投資対象や投資場所(日本国内・海外など)が異なるからです。また、最終的な利回りは売却後でなければ確定しないため、売却前に正確な利回りを計算することはできません。
そのため、利回りのランキングなどは、過去の運用結果から計算したものになっています。
目標利回りとリスクの考え方
利回りの平均を出すことは難しいですが、運用方針によって目標とすべき利回りの目安はあります。利回りが高くなればなるほど、リスクも上がります。
目標とする利回りと、リスクの考え方の目安は以下のとおりです。投資信託の目的や運用を行う期間、運用する金額によって目標とする利回りが異なることを理解しておきましょう。
目標利回り | 運用方針 |
3%以下 | リスク低めの安定した運用 |
3~5% | 平均的なリスクの標準運用 |
5~8% | リスク高めの積極的な運用 |
投資信託はどう選ぶ?利回り以外のチェックポイントと上手に選ぶコツ
投資信託を選ぶときは、利回りだけで判断するのではなく、総合的に決めていきましょう。投資信託を選ぶときにチェックポイントや注意点を、順に解説します。
騰落率やパフォーマンスを確認
投資信託を選ぶときは、利回りだけでなく騰落率やパフォーマンスもチェックするようにしましょう。パフォーマンスとは、運用成果や運用実績、過去の価格の動きなどのことです。
騰落率やコストなど、利回り以外の要素も考慮し、総合的に判断すると投資信託を上手に選べます。利回りだけ、騰落率だけ、というように1つの項目だけを重要視して商品を選ぶのはおすすめしません。利回りや他の要素も確認しながら、総合的に判断することが大切です。
利回りの高い商品はリスクも高いことに注意
利回りが高い商品は、リスクも比例して高い傾向にあります。しかし、安全を求めて利回りが低い商品のみを選ぶことも良いですが、そうした場合、高いリターンを望むことは難しいでしょう。
ご自身のリスク許容度や投資の目的によっても、選ぶべき投資信託は変わります。利回りだけを追いかけるのではなく、ご自身のリスク許容度も考えたうえで選ぶようにしましょう。
ここでいうリスクとは、「危険」という意味ではなく、「不確実性」を指しています。リスクを取ることで、期待リターンが見込めるかもしれないし、一方で、逆に触れた場合、大きくマイナスになるかもしれません。この損益のブレ幅が「リスク」であり「不確実性」を意味しています。
投資信託にかかる手数料もチェック
投資信託には、購入手数料、信託報酬、信託財産留保額といった手数料も必要です。コストは利回りにも大きく影響するため、商品を選ぶときには手数料も把握しておきましょう。投資信託で発生する手数料は、以下のとおりです。
手数料名 | 内容 |
購入時手数料 | 投資信託を購入するときに、販売会社に支払う手数料 |
運用管理費用(信託報酬) | 投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて支払う費用。 投資信託の信託財産から間接的に支払われる |
信託財産留保額 | 投資信託を購入・解約する際に手数料とは別に徴収される費用 |
監査報酬 | 投資信託の計理が正しく行われているかを監査するための費用。 投資信託の信託財産から間接的に支払われる |
売買委託手数料 | 証券会社を通じて株などを買うとき、証券会社に支払う手数料。 発生するたび間接的に支払われる |
利回りだけでなく、上記のような手数料といったコストも必ず確認しましょう。一見、利回りが良い投資信託であったとしても、高コストで運用されている投資信託であった場合、収益が出たとしても、結局、手残りとしては減ってしまい、リスクをとってまでやる必要がなかったということにもなりかねません。
なお、一般的に、購入時手数料がかからないノーロード型の商品もあります。その他の手数料に関しても、投資信託の目論見書に必ず載っていますので、購入前に確認するようにしましょう。
5-4.投資対象や投資方針を目論見書で確認
投資信託を選ぶときには、どのような投資をしていくのか、投資対象や投資方針を確認しておくことも大切です。目論見書には、投資信託の目的・特徴や投資対象、投資銘柄、運用方針、想定されるリスク、運用実績などが記載されています。必ず購入前に確認しておきましょう。
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初めて投資をする際には、投資信託をどこで始めるかもしっかり検討しましょう。それぞれの販売会社ごとに特色があり、扱っている商品も異なります。
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おわりに
投資信託を選ぶ際に、利回りが大切な指標となります。ただし、利回りが高い商品はリスクも高い傾向があるため注意が必要です。また、投資信託を選ぶには、利回りだけでなく、騰落率やパフォーマンス、コストのほか、投資対象や投資方針も詳しく確認し理解したうえで購入しましょう。
目論見書には、その投資信託商品の必要な情報が全て記載されているため、購入前にしっかり目を通しておくことが大切です。気になる銘柄を見つけたら、利回りだけで判断するのではなく、目論見書等を確認しながら総合的に判断する癖を付けておきましょう。
投資信託のなかには、購入時の手数料が無料の銘柄や、運用手数料が安価に抑えられているものがあります。賢く運用したい方は、利回りだけでなく、コスト面にも注目してみることをおすすめします。