外国人が日本で不動産を購入すること自体は不可能ではありません。しかし、日本人の場合と比べ利用できる金融機関が少ないなど、独特の問題点もあります。何も考えずに無計画に動いたところで、決して良い結果には結びつかないので、慎重に進めましょう。この記事では、外国人が日本の不動産を購入する際に知っておくべきことを解説します。
(本記事は2024年9月17日時点の情報です)
- 日本では外国籍の方でも不動産を購入できる
ただし、金融機関によっては永住権がないと住宅ローンが組めないこともある、永住権がない場合、日本人配偶者に保証人になってもらう、出身国の銀行を利用する、柔軟な対応をしてくれる金融機関を選ぶなどがある - 永住権がない外国人に対する住宅ローン審査では年齢、健康状態、勤続年数、収入などが考慮される
外国人は日本の不動産を購入できる?
日本では外国籍であっても不動産を購入することは可能です。法律上、外国人に対して不動産の売買や賃貸を拒否することは差別とみなされます。ただし、外国人が不動産を購入する際には、日本の法律や税制、登記手続きなどに関する知識がないと難しいでしょう。
不動産の購入には大きな費用がかかるため、現金で払える方はごくわずかです。そのため、多くの場合は住宅ローンを組む必要がありますが、これが外国人にとって最大のハードルとなります。
外国人が住宅ローンを組むためには永住権が必須?
住宅ローンを組むためには銀行から融資してもらう必要がありますが、外国人が金融機関から融資を受けるには、永住権が必要かどうかという問題があります。
実は、金融機関によっては永住権がなくても住宅ローンを組める場合もあります。しかし、住宅ローンの契約条件に永住権があることを盛り込んでいる金融機関が多いのも事実です。外国人は帰国する可能性がある、就労資格が得られず収入が不安定になりがち、などの背景があるため、十分な返済能力があると判断しづらいことが理由として挙げられます。
また、外国人の場合は在留期間やビザの種類によっても融資の可否が変わります。例えば、在留期間が1年以上残っていないと、就労ビザは発行されません。一方、永住権があれば、日本国籍の方と同様の基準で審査してもらえるので、住宅ローンを契約できる可能性も高くなります。
外国人が永住権を取得するための条件
外国人が日本で永住権を取得するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。主な審査基準は以下のとおりです。
【永住権の審査基準】
- 素行が善良であること:日本での生活において法律を遵守し、社会的に問題のない行動をしていること。
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること:経済的に自立しており、生活に必要な資金を自身で確保できること。
- そのものの永住が日本国の利益に合すると認められること:日本社会に貢献する可能性が認められること。
また、日本人の配偶者と結婚している、日本での長期間の滞在実績があるなど、特定の条件下では永住権を取得しやすくなる可能性があります。
外国人が日本で不動産を購入し、住宅ローンを組むためには、上記の条件を理解し、永住権取得に向けて適切な準備と手続きを進めることが重要です。また、各銀行の住宅ローン審査基準や提供条件を事前に調査し、ご自身に最適な金融機関を選択しましょう。
永住権なしで住宅ローンを組む方法
永住権のない外国人でも、条件によっては、住宅ローンを組める可能性があります。そこで、具体的にどのようにすれば永住権なしで住宅ローンを組めるのかについて解説しましょう。
なお、ここで紹介する方法は必ず住宅ローンが組めるというものではなく、可能性が高くなる方法であることをご理解ください。以降では、永住権なしで住宅ローンを組む方法について詳しく見ていきましょう。
日本人配偶者に保証人になってもらう
住宅ローンを提供する金融機関の中には、日本人もしくは永住権を持つ外国人の配偶者が保証人になるのを条件として融資を許可するところもあります。
これは、保証人が日本国籍や永住権を持っていれば返済能力に対する信頼度が高まるからです。ただし、融資が受けられても日本国籍や永住権取得者と比較して金利は高くなる可能性が高い点に注意しましょう。
また、保証人になってもらうには配偶者の同意が必要です。そのうえ、万が一返済が滞ったら、保証人にも責任が及びます。この方法を選ぶ場合は、配偶者とよく話し合ってから決めましょう。
出身国の銀行を利用する
自国の銀行が日本に支店を持っている場合、その銀行から住宅ローンを組むことができる可能性があります。母国の銀行は、顧客の信用履歴をすでに把握しており、追跡が容易であるというメリットがあるためです。
ただし、この方法では母国の金利が適用される場合が多く、金利の高低によっては、コストが高くなる可能性がある点に注意が必要でしょう。
頭金を多めに用意する
外国人に限ったことではありませんが、頭金を多めに用意すれば、審査に通りやすくなります。これは、頭金が多いほど、借入額が少なくなり、返済能力が高いと判断されるからです。
一般的には、頭金は物件価格の20%以上が望ましいと言われていますが、外国人の場合は、25~30%以上が目安となります。ただし、頭金を多く用意することは、貯蓄や資産の減少につながります。そのため、この方法を選ぶ場合は、将来のライフプランや緊急時の資金にも余裕があるかどうかを考えることが大切です。簡単にいうと「いざという時に使えるお金を確保できるか」を基準に頭金を決めましょう。
永住権がない外国人の住宅ローン審査内容
外国人であっても、住宅ローンを組む際は日本人と同じように返済能力や信用度を見極めるための審査が行われます。永住権がない場合は日本での滞在期間・就労状況が不安定な可能性も鑑み、さらに慎重な審査になると考えましょう。具体的にどのような内容が審査されるのかについて解説します。
【永住権がない外国人の住宅ローン審査内容】
- 年齢
- 健康状態
- 勤続年数
- 収入
- 居住年数
- その他の借入状況
- 日本語の習熟度
年齢
ローンの返済期間にわたって安定した収入が見込めるかを見極めるために、年齢も審査内容に含まれます。
一般的に、若年層よりも中年層の方が収入が安定しており、返済能力が高いとみなされますが、高齢になると退職後の収入減を理由に審査が厳しくなることもあるため要注意です。高齢で住宅ローンの申し込みをするなら、頭金を多くするなどの対策が必要になります。
健康状態
住宅ローンの返済は長期にわたるため、途中で延滞・滞納が起きないよう、健康状態もチェックされます。健康状態に不安があれば、返済期間中に病気で働けなくなる可能性も出てくるためです。
健康上の問題があると判断されると、ローンの審査に通らない可能性が出てきます。収入や勤続年数、居住年数や年齢に問題がなかったとしても、団体信用生命保険の加入が否決になったら、住宅ローンは契約できません。
勤続年数
住宅ローンを組む場合は、定期的な収入があることが必要です。勤続年数は、就労状況の安定性を示すという意味で、審査において必ずチェックされます。
しかし、永住権がない外国人の場合は、就労ビザの更新や雇用契約の更新などがあるという意味で、収入が不安定と判定されがちです。しかし、勤続年数が長ければ、就労ビザ・雇用契約が順調に更新されていると考えられるため、審査においても有利になります。
収入
収入も、住宅ローン審査においてチェックされる重要な項目のひとつです。安定した収入があることは、借り入れた金額を返済できる能力があることの証明となります。
審査においては、申し込み者の年収や収入源の種類、安定性が評価されます。正規雇用であればあるほど、また収入が高ければ高いほど、審査に有利になります。
逆に、自営業、フリーランスなど収入が不安定になりがちな働き方をしている場合は、審査に不利に働くことがあるので注意しましょう。ただし、条件次第では借りられる可能性はあるので、金融機関や不動産会社の担当者にも相談してみるのをおすすめいたします。
居住年数
居住年数も審査の重要な要素です。日本に長く住んでいると、安定した生活基盤があると見なされ、一定の信頼性があるという証明にもなります。
逆に、日本に短期間しか住んでいない場合は、将来的に日本を離れるリスクが高いと見なされ、審査に不利になる可能性があるので注意しましょう。
ただし、年齢や健康状態など、他の要素も鑑みて問題がないと判断されれば借りられるので、100%借りられないとまでは言い切れません。
その他の借入状況
申し込み者が他に多額の借入れをしている場合、返済能力に影響を与えるため、審査においてマイナスの要因となります。
住宅ローンを借りるとさらに返済額が増える以上、相応の支払能力がないと途中で滞納するリスクが高くなるためです。銀行は、すでに存在する借入れが返済計画にどのように影響を与えるかを評価するので、他のローンの返済が滞っている場合は特に審査に不利になります。
日本語の習熟度
日本語の習熟度は、契約内容を理解し、銀行と適切にコミュニケーションを取る能力があるかどうかを推し量る指標として使われます。日本語能力が高ければ、契約に関する誤解が少なく、銀行とスムーズにやり取りができるため、審査に有利に働くかもしれません。
一方、日本語が不自由な場合は、追加のサポートや説明が必要となり、審査過程で不利になる可能性があります。日本語が得意な家族・親族のサポートが受けられるなど、有利になる要素があれば伝えておきましょう。
永住権なしの外国人でも住宅ローンが組める銀行は?
金融機関によっては、永住権のない外国人は住宅ローンの申し込みができない決まりになっていることがあります。しかし、柔軟な対応をしてくれる金融機関もあり、所定の条件を満たせば住宅ローンを契約することが可能です。永住権のない外国人でも申し込みができる住宅ローンを扱う銀行を3つ紹介します。
【永住権なしの外国人でも住宅ローンが組める銀行】
- スルガ銀行(SUUMO提携住宅ローン)
- SMBC信託銀行プレスティア
- SBI新生銀行
スルガ銀行(SUUMO提携住宅ローン)
スルガ銀行のSUUMO提携住宅ローンは、外国人居住者にも対応したサービスを提供しています。このローンの特徴は、固定金利と変動金利の選択肢があり、利用者のニーズに応じた柔軟な金融計画を立てることができる点です。
【基本的な融資条件】
- お借入れ時点の年齢が18歳以上70歳未満で、最終返済時の年齢が82歳未満の方
- 団体信用生命保険に加入できる方
- その他、当社所定の条件を満たす方
- 原則、年収400万円以上かつ勤続1年以上の方
- 融資金額は30万円以上4億円以内
この住宅ローンは、日本で家族と暮らしたい外国人や、永住許可を申請予定の方に特におすすめです。保証人原則不要で、手続きがシンプルです。
SMBC信託銀行プレスティア
SMBC信託銀行プレスティアでは、外国籍の方でも日本に居住し在留資格を持っていて(短期滞在を除く)、日本語または英語での意思疎通が可能であれば、永住権なしでも申し込みが可能です。
【基本的な融資条件】
- 日本に居住している外国籍の方
- 在留資格(短期滞在を除く)があれば、永住権を持っていなくても申込受付可能
- 日本語もしくは英語で意思疎通可能な方
- お借入時の年齢が満18歳以上、完済時の年齢が満80歳の誕生日までの方
- 同行指定の団体信用生命保険に加入できる方
- 前年度のご年収(自営業の方は申告所得額)が500万円以上(不動産投資ローンは700万円以上)で安定した収入がある方
- 保証人は原則不要
永住権がない外国籍の方で、日本に居住し適切な在留資格を持ち、日本語または英語での意思疎通が可能な方に向いている住宅ローンです。
SBI新生銀行
SBI新生銀行の住宅ローンは、変動金利や固定金利を含む複数の金利タイプを提供しています。金利選択の柔軟性に加え、返済期間や融資額に関しても幅広い選択肢を用意しており、顧客のニーズに合わせたプランを選べるのも特徴です。
【基本的な融資条件】
- 借入申込時の年齢が20歳以上65歳以下で、かつ、完済時年齢が80歳未満であること
- 団体信用生命保険への加入資格を有すること
- 連続した就業2年以上、かつ前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること
- 自営業の方については業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)を有すること
- 永住許可がない場合には、日本国籍を有している配偶者または永住許可のある外国籍の配偶者が連帯保証人になること
- 同行に総合口座パワーフレックスを開設していること
永住許可がない外国人でも、日本国籍を有する配偶者または永住許可を持つ配偶者が連帯保証人になれば申し込みが可能です。安定した収入があり、長期間にわたって日本で生活し続ける計画がある外国人に適してている住宅ローンです。
銀行ではローンが組めなくてもセゾンファンデックスなら可能性があります
外国人が日本で住宅ローンを組む際、多くの銀行では永住権や日本国籍がないと審査に通りにくいのが現状です。しかし、セゾンファンデックスなら銀行とは異なる独自の基準で審査を行うので、永住権がなくても住宅ローンを組むことができる可能性があります。
永住権がない方でも住宅ローンが組めた事例を以下で紹介しているので、参考にしてください。
事例紹介:永住権なしで住宅ローンが組めた事例
「住宅ローンを組みたいけれど、永住権がないために悩んでいる」という方は、セゾンファンデックスに相談してみてはいかがでしょうか。
おわりに
この記事は、外国人が日本で不動産を購入し住宅ローンを組む際のさまざまな側面を解説しました。まず、日本では外国人でも法律上不動産を購入できること、そして住宅ローンを組む上で永住権は必須ではないがあると融資条件が改善される可能性があります。また、永住権のない外国人が住宅ローンを組むための方法や永住権なしでも住宅ローンが組める銀行を含めた金融機関についても知っておきましょう。
外国人が日本で不動産を購入するのは確かに難しい側面もありますが、やり方次第では決して不可能ではありません。購入を検討し始めた段階で、さまざまな金融機関をあたってみるのをおすすめいたします。