賃貸物件に住む人や住む予定の人は、家財保険の保険金額や保険料が気になるのではないでしょうか。賃貸の家財保険は商品によって補償内容や保険料に差があります。
今回は家財保険の保険金額や保険料の相場や選び方、保険料を抑えるコツなどを詳しく解説し、手頃な保険料で補償を確保できる家財保険も紹介します。この記事を読めば自分に最適な家財保険を見つけられ、無駄な出費を抑えつつ十分な補償を得られるようになるでしょう。
(本記事は2024年7月17日時点の情報です)
家財保険とは?基本情報をチェック
家財保険は、家具や家電といった家財を補償する火災保険です。火災や自然災害が発生した場合、家財も大きな被害を受ける可能性があり、家財保険は重要な役割を果たします。また、賃貸住宅に入居する際に加入する火災保険には建物の補償はなく、家財のみが補償されるタイプが一般的です。
最初に家財保険の主な内容や、必要性について解説します。
家財保険とは
家財保険とは火災保険の一部で、補償対象が「家財」である保険を指します。家財とは家具や家電製品、衣類、食器など、住宅内にある生活に必要な動産のことです。家財保険は火災や水害、盗難などによって家財が損害を受けた場合に、その損害を補償してくれます。
火災保険との違い
火災保険は火災だけでなく、自然災害や盗難などによって、建物や家財などが受けた損害を補償する保険です。家財保険と火災保険は別の保険ではなく、火災保険の中に家財保険が含まれるという関係です。
火災保険の補償対象は建物と家財に分かれており、必要な補償を選んで契約します。通常、賃貸住宅のように建物が自分のものでない場合は建物についての火災保険は加入せずに、家財保険のみに加入します。
家財保険の必要性
賃貸住宅の契約では、一般的に家財保険への加入が求められます。通常、賃貸住宅用の家財保険は火災や水害などの災害発生時に家財の損害を補償するだけでなく、借家人賠償責任補償が付帯されているためです。借家人賠償責任補償は、入居者の不注意などで部屋や建物に損害を与え、オーナーへの賠償責任が発生した場合に補償してくれるものです。
賃貸住宅の家財保険は多くの場合、不動産会社を通じて加入手続きが行われますが、自分で保険会社を選ぶこともできます。自分で保険会社を選ぶ場合、補償内容や補償範囲を比較検討できる点がメリットです。自分のニーズに合った保険選びによって適切な補償を得られると同時に、保険料の最適化も図れます。
自分に合った家財保険料の決め方
賃貸住宅に住む人が家財保険の保険料を最適化するには、家財や起こりうるリスクを適切に評価した保険金額を設定する必要があります。また、予算内に保険料を納めることも大切です。ここでは賃貸住宅の入居者が、自身の状況に合った保険金額を決める方法を解説します。
所有する家財の金額から決める
家財保険の保険金額を決める際、まず自分の所有する家財の総額を把握しましょう。家具、家電、衣類、食器など日常生活で使用する主な物品をリストアップしていきます。その際、特に高額な家電などは見落とさないよう注意が必要です。
算出した金額をもとに万が一の全損時に備えて、家財を買い替えられる程度の保険金額を設定します。ただし、必要以上に高額な設定は保険料の無駄につながるので、適切なバランスを考えましょう。
「簡易評価表」の目安金額に沿って決める
所有する家財の種類や数が多いと、個別に金額を推定したり、合計したりするには手間がかかります。その場合、保険会社が提供する簡易評価表を参考にするのも1つの方法です。簡易評価表の内容は保険会社によって異なりますが、一般的には家族構成や専有面積ごとの家財の目安となる金額を表にしています。
ここでは、家族構成別と専有面積別の家財の目安となる金額を一覧表で紹介します。
【家族構成別】
家族構成 世帯主の年齢 | 2名 ※大人2名 | 3名 ※大人2名 ・子ども1名 | 4名 ※大人2名 ・子ども2名 | 5名 ※大人2名 ・子ども3名 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 |
35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 |
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 |
45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 |
50歳前後 | 1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
【専有面積別(賃貸の場合) 】
33㎡未満 | 33~66㎡ | 67~98㎡ | 99~131㎡ | 132㎡以上 |
350万円 | 640万円 | 900万円 | 1,150万円 | 1,420万円 |
簡易評価表の保険金額は、あくまで目安です。所有物が少ない場合は、簡易評価表の金額より少ない保険金額を設定してもよいでしょう。
ただし、実際に必要な金額より著しく低い保険金額を設定してしまうと、事故発生時に十分な補償を受けられないおそれがあります。家財の保険金額は簡易評価表を参考にして現実的な金額を設定するようにしましょう。
賃貸の家財保険料の一般的な相場
家族構成ごとの家財保険金額の目安から、おおよその保険料を紹介します。賃貸住宅の家財保険の多くは家財と個人賠償責任保険の補償がセットになっており、保険料は補償全体に対して決まります。以下の保険料は家財のみの保険料であるため、あくまで参考にとどめてください。
世帯主が40歳の場合の保険料目安(建物の構造はマンション、保険期間は1年間)
家族構成 | 家財保険金額 | 保険料の目安 |
単独世帯 | 300万円 | 3,840円 |
大人2名 | 1,130万円 | 7,580円 |
大人2名・子ども1名 | 1,220万円 | 8,180円 |
家財保険料を安く抑えるコツ
賃貸契約の際に不動産会社を通して火災保険に加入すると、保険金額が多すぎるようなケースもあるでしょう。自分で過不足のない補償内容を考えて保険を選ぶと、保険料を抑えられる可能性があります。ここでは、家財保険料を抑えるコツを紹介します。
不要な特約が付いていないか確認する
家財保険には基本的な補償に加えて、特約を付帯できます。しかし、不要な特約が付いていると、保険料が高くなってしまいます。たとえば、水災補償は、マンションの高層階に住んでいる場合は不要かもしれません。また、個人賠償責任特約は、すでに他の保険でカバーされている可能性もあります。契約前に補償内容をしっかり確認し、本当に必要な特約だけを選ぶようにしましょう。
シンプルなプランを選ぶ
家財保険には、補償範囲の広いプランや手厚い補償が付いたプランなどさまざまな種類があります。補償範囲が広いほど保険料は高くなる傾向にあるため、補償範囲が限定的で保険料が安いシンプルなプランを選ぶのも1つの方法です。ただし、必要な補償まで削らないように注意しましょう。
支払い方法や保険期間を検討する
家財保険の保険料を抑えるには、支払い方法や保険期間の選択も重要です。多くの保険会社は長期契約や一括払いに対して割引を適用しており、1年ごとに保険料を支払う場合に比べて払い込む保険料の総額は安くなります。長期契約の保険期間は2年から5年の間で選択が可能です。また、保険料を一括で支払うと、通常は分割払いよりも総額が安くなります。
複数の保険会社を比較する
家財保険を選ぶ際は、複数の保険会社の商品を比較することが重要です。家財保険は各社で補償内容や保険料が異なるため、比較によって自分のニーズに合った最適な保険を見つけられる可能性が高まるからです。
たとえば、保険料が安くても補償範囲が狭かったり、必要な特約がなかったりする商品もあります。補償内容と保険料のバランスを考慮して、自分に最適な家財保険を選びましょう。
家財保険の主な補償範囲
家財保険は、家財が火災で焼失したとき以外にも補償を受けられるケースがたくさんあります。ここでは、家財保険の補償内容を解説します。
家財保険の主な補償内容
家財保険はどのような場合に補償されるのか、主な補償内容を見ていきましょう。
【落雷・火災・破裂・爆発】
家財保険の基本的な補償内容には、落雷、火災、破裂・爆発による損害が含まれます。また、自室からの出火だけでなく、隣室や上階からの延焼被害(もらい火)も補償対象となります。失火責任法により、隣室の住人に重大な過失がない限り、もらい火の原因となった住人に対して損害賠償請求はできません。家財保険はもらい火の損害までカバーされる、重要な保険なのです。
落雷、火災、破裂・爆発による損害には、以下のようなケースが考えられます。
- 落雷による損害:落雷によって電化製品が故障した場合
- 火災による損害:火災によって家具や家電が燃えてしまった場合
- 破裂・爆発による損害:調理中にガスコンロが爆発し、キッチン用品が損傷した場合
これらのケースで家財保険に加入していれば、損害を受けた家財の修理費用や買い替え費用が補償されます。
【風災・雪災・雹災などの災害】
家財保険は台風や竜巻などの風災、豪雪や雪崩などの雪災、雹(ひょう)などによる被害も補償します。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 風災による損害: 台風で窓ガラスが割れ、飛来物により家財が壊れた場合
- 雪災による損害: 屋根に積もった雪の重みで家が損壊し、家財がつぶれた場合
- 雹災による損害: 雹によって窓ガラスが割れ、家財が壊れた場合
風災・雪災・雹災などの補償は、保険会社やプランによっては補償の対象とならない場合や条件があるため、注意が必要です。
【水災】
家財保険における水災補償は台風、豪雨、河川の氾濫などによる水害による被害を補償します。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 集中豪雨で近くの川が氾濫し、部屋が床上浸水して家電製品が使用不能になった場合
- 台風で近くの川が氾濫し、床上浸水によって家具も水浸しになった場合
住んでいる場所の水災リスクが高い場合には必要な補償ですが、マンションの上階に住んでいる人などは外してもよいでしょう。
【盗難・水ぬれなど】
家財保険は盗難や水ぬれなど、日常生活で起こりうるトラブルによる家財の損害も補償します。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 盗難による損害:空き巣に入られ、家財を盗まれた場合
- 水ぬれによる損害:給排水設備の故障や階上からの水漏れで、家財が水浸しになった場合
【破損】
家財保険は、偶然の事故による家財の破損も補償します。たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 子どもが遊んでいて、誤ってテレビを壊してしまった場合
- 掃除中に誤って、家具に傷を付けてしまった場合
破損の補償額には上限が設定されていたり、自己負担額(免責金額)が適用されたりする場合もあるので、契約時に詳細を確認する必要があります。
家財保険の補償対象となるもの
家財保険の補償対象となる家財には、主に以下のようなものが該当します。
- 家電製品
- 家具
- 衣類
- 食器
- 寝具
- 楽器
- 自転車(外出先の盗難は対象外)
貴金属・宝石・書画・骨董(とう)などのうち、1個または1組の価額が30万円を超えるものは保険証券に明記されていなければ、補償の対象にならない場合があります(明記物件)。
家財保険の補償対象外となるもの
家財保険では、以下のようなものは補償対象外となります。
- 自動車
- 現金
- 有価証券
- 切手
- クレジットカード
- プログラム、データなど
家財保険の対象は住居専用建物およびこれに収容されている家財であり、屋外にあるものは補償されません。ただし、保険会社によっては、建物に保管されている現金の盗難を補償する商品もあります。
オプションで追加できる補償
家財保険では、基本の補償に加えてオプションとして補償を追加できる場合があります。たとえば、「個人賠償責任補償」は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりして損害賠償責任を負った場合の補償です。また、携行品損害特約では外出先での家財の損害も補償対象となります。
保険会社ごとに付帯できるオプションは異なるため、比較検討する際にはよく調べてみましょう。
賃貸の家財保険をおさがしなら「愛ある家財保険」
手頃な保険料でしっかりした補償の賃貸住宅向け家財保険を検討中の方には、「愛ある家財保険」がおすすめです。「愛ある家財保険」は賃貸住宅の場合、年間3,600円から加入できるという手軽さが特徴です。シンプルな補償内容でわかりやすく、インターネットでの加入率は約9割と、オンラインで簡単に手続きできます。
多くの家財保険は2年契約で保険料が2万円前後なのに対し、「愛ある家財保険」は2年契約でも6,500円からと保険料が割安です。また、引っ越しが多い賃貸住宅の入居者でも、住所変更だけで契約を継続できるのもメリットです。
補償内容は、火災・落雷・破裂・爆発の基本的な補償に加え、風災・ひょう災・雪災、さらには近隣への見舞費用やドアロックの交換費用まで幅広くカバーしています。この機会に「愛ある家財保険」を検討してはいかがでしょうか。
おわりに
家財保険は賃貸契約では必須の保険で、加入すると室内の家財が火災や自然災害で損害を受けた場合に補償を受けられます。不動産会社を通じての加入もできますが、自分で選んだ保険に加入する方法もあります。所有する家財に見合う保険金額を過不足なく設定でき、負担の大きすぎない保険料の家財保険を選びましょう。
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