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【鍼灸師が解説】体の不調に効く、簡単にできる“セルフお灸”

【鍼灸師が解説】体の不調に効く、簡単にできる“セルフお灸”
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

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慢性的な頭痛や肩こり、メンタルの不調など、体調の悩みは人それぞれですが、「病院に行くほどではないな…」と思っている方も多いでしょう。そんな時は、セルフケアとして「お灸」を取り入れてみませんか?お灸とは、体のツボを熱で刺激することにより、さまざまな症状の改善を期待できる、東洋医学の治療法です。近年では自宅で簡単にできる「セルフお灸」の商品が、より簡単で安全な方法でお灸ができるとあって幅広い世代に人気があります。本記事では銀座「せんねん灸お灸ルーム」の鍼灸師・小泉洋一さんに、お灸の据え方やおすすめのツボなどを教えていただきました。

お灸は2000年前から変わらない東洋医学のひとつ

お灸は2000年前から変わらない東洋医学のひとつ

そもそもお灸とはどんなものでしょうか?

お灸は、ヨモギの葉から作られるモグサを使い、ツボを温めることで血行を促進し、自然治癒力を高めることで体で起こっている症状を改善していく治療法です。

2000年以上前に書かれた中国最古の医学書「黄帝内経」にはお灸について記されており、この時代にほぼ現在の形が完成していたとされています。その後、日本に伝わったのは奈良時代といわれており、長らく漢方とともに日本の医療を支えてきました。

近年では、高齢化や慢性疾患への対応の必要性から、お灸をはじめとする東洋医学が予防医学として再び注目されています。体の悪い部分に直接アプローチし、投薬や手術といった方法で原因を取り除いて治療する西洋医学とは異なり、未病の段階で治療する東洋医学は、健康維持や病気予防の観点で期待が高まっているといえるでしょう。

参考:https://www.sennenq.co.jp/labo/history.html

セルフお灸とはどんなもの?

セルフお灸とはどんなもの?

お灸には様々な種類が存在しますが、セルフお灸で使用するものはどんなものなのでしょうか?

現在の主流は、台座の中心に紙で円柱形に巻いたもぐさを立て、台座の底にシールを仕込んだものです。台座があるので火傷の心配が減ると同時に、シールで肌に固定するためポイントがズレることもありません。

そもそも、セルフでお灸を据える一番のメリットとは何なのでしょうか?

「今日いつもより体が重い」「頭痛がする」、「お腹がシクシクする」、など、自分の体の調子がいつもと違うなと感じることがあるかと思います。そんな時すぐに自分で自分の体をケアできるというのが、一番のメリットだと考えています。

気軽にセルフケアできるとはいえ、注意してほしいこともありそうです。

やはり火を使うものなので、十分取り扱いに注意していただくことと、やけどの恐れもあるので熱の感じ方に注意してください。最近は火を使わないものもありますが、こちらは長時間貼り続けていると低温やけどになる可能性があります。いずれにしても使用上の注意をよく守っていただくことが大切です。

より安全で簡単に。進化するお灸

最近では貼るだけで使用できる新しいタイプや、水をつけると発熱するものなど、火を使わなくても良いお灸も登場しています。小さな子どもがいる家庭や、より安全に使いたいという方にもおすすめです。

また、フルーツや花、緑茶のような香りのタイプも販売されているので、昔ながらの香りが苦手という方やよりリラックス効果を感じたいという方は、ぜひトライしてみてください。

さっそく実践。お灸の据え方をマスター

さっそく実践。お灸の据え方をマスター

ここからは、簡単にできるセルフお灸の手順をご紹介します。

自宅でお灸を行う場合は、もぐさが筒状にまとめられ、シール付きの台座があるタイプがおすすめです。台座があることで安定して使え、温熱もゆっくり伝わります。また、温熱の強弱を選べるタイプも販売されているので、初めての方はまずは低温タイプから試してみると良いでしょう。

必要なもの

台座付きのお灸、ライターや着火棒、水を張った灰皿や器、お灸を据える位置をまとめたツボの解説図やツボの説明書、据える位置に印を付けるためのサインペン

お灸の据え方

STEP1

ツボの解説図やツボの説明書を参考に自分の症状に合わせたツボを探し、そこにサインペンなどで印を付ける。

STEP2

お灸の台座に付いた薄紙を剥がし、指先に貼り付けたら、お灸の先端に火を点ける。煙が出ればOK。

STEP3

火が点いたら印の位置に貼り付ける。あたたかいと感じるうちはそのままにし、熱いと感じたら肌から外す。

STEP4

台座の部分をつかみ、ひねるように取り外す。使用済みのお灸は水を張った灰皿や器に捨てる。

POINT

熱さの感じ方は人それぞれですが、熱くなればなるほど効果があると勘違いする方がいらっしゃいます。昔、一般的だった直接もぐさを置くお灸の名残りかも知れませんが、現在販売されているものは、熱いから効果が高いというものではありません。ツボを温めることによって体が変化し、症状を緩和する効果が期待できるのです。熱さを感じたらすぐに取り外すようにして、心地よく熱を感じる程度でお灸をすると良いでしょう。

初心者でも見つけやすいツボを症状別に伝授

初心者でも見つけやすいツボを症状別に伝授

ツボは全身のいたるところに点在していますが、初心者がまず始めるなら、分かりやすく自分の手が届きやすい手と足のツボを覚えておきましょう。多くの方の悩みである代表的な症状別におすすめのツボを紹介します。

探し方として覚えておきたいポイントは、

  • 張りがなくへこんでいる
  • 押すと軽く痛む
  • カサついている

これらのことを意識してツボを探してみましょう。

女性特有の不調(むくみ・冷え・頭痛など):三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)

女性特有の不調(むくみ・冷え・頭痛など):三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)

三陰交(さんいんこう)→内くるぶしから指4本分あたりのことろ。骨と筋肉の境目。

女性特有の不調(むくみ・冷え・頭痛など):三陰交(さんいんこう)、合谷(ごうこく)

合谷(ごうこく)→親指の骨と人差し指の骨が合流したところ。

倦怠感:太渓(たいけい)

倦怠感:太渓(たいけい)

太渓(たいけい)→内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

肩こり:曲池(きょくち)

肩こり:曲池(きょくち)

曲池(きょくち)→肘を曲げた時にできる横じわの線の上。

消化器系の症状(お腹の冷えや下痢など):神門(しんもん)、足三里(あしさんり)

消化器系の症状(お腹の冷えや下痢など):神門(しんもん)、足三里(あしさんり)

神門(しんもん)→手のひら側で手首の小指寄りの端にあるくぼみ

消化器系の症状(お腹の冷えや下痢など):神門(しんもん)、足三里(あしさんり)

足三里(あしさんんり)→膝の皿の下、靭帯の外側にあるくぼみから指幅4本分のところ

メンタルの疲れ(ストレスやイライラ):内関(ないかん)、太衝(たいしょう)

メンタルの疲れ(ストレスやイライラ):内関(ないかん)、太衝(たいしょう)

内関(ないかん)→手と手首の境目にあるしわの真ん中から指3本分ひじ側へ進んだところ

メンタルの疲れ(ストレスやイライラ):内関(ないかん)、太衝(たいしょう)

太衝(たいしょう)→足の親指と人指し指の骨の交わるところ。

もっと知りたい、セルフお灸のあれこれ

もっと知りたい、セルフお灸のあれこれ

セルフお灸を始めるにあたっての注意点や、こんな時どうする?といったことなどを小泉さんにお伺いしました。

毎日やっても問題ありませんか?

もちろん毎日していただいて問題ありません。症状がおさまるとやめてしまう方もいらっしゃいますが、セルフケアで大切なのは予防です。継続していただくことで、良好な体調を維持することができます。ツボを温めて約5分、1日10分程度の手軽なセルフケアだからこそ続けて欲しいと思います。

一日何個まで使って良いのですか?

一日何個という決まりはありません。ただ、やりすぎてしまうとかえって疲労感がでてしまう場合もあります。天候や体調など、日によって熱の感じ方が変わるので、その日の体調に合わせて無理なく使っていただければと思います。

お灸を置いてはいけない部位はどこですか?

打撲や捻挫などケガの患部、熱を持っている患部、顔面、粘膜、湿疹やかぶれ部分、傷口、肌の発汗や濡れているところなどです。

持病がある人が使ってもいいのでしょうか?

糖尿病や呼吸器疾患がある方は注意が必要です。かかりつけの医師へご相談ください。

副作用はありますか?

熱を利用するため、やけど(水泡)は特に注意してください。また、煙に対するアレルギーや、肌に貼るシールによって起こる皮膚トラブルなどもあげられます。

子どもに使用しても問題ないでしょうか?

「せんねん灸」では幼児(未就学児)の使用は控えていただいています。

手が届かない場所はどうしたらいいでしょうか?

家族の手を借りてお灸を置いても良いのですが、お互いの都合もあってなかなか難しいですよね。例えば、背中にこりや張りを感じている方が多いと思いますが、ツボのあたりを温熱ジェルのようなもので数分ほど温めるだけでも楽になります。手が届かないところ、お灸をしにくいところはお灸にこだわらず、その場所を‟温める”と良いでしょう。

お灸をするのにベストな時間帯はありますか?

時間帯に決まりはなく、ご自身のライフスタイルにあったタイミングで使用してみてください。ただ、発熱している時、汗をかいている時、肌全体が温まり血行が良くなる入浴の前後や胃腸に負担がかかる食事の前後は避けましょう。

まとめ:お灸は自分の体と向き合う時間。気軽に取り入れてみて

まとめ:お灸は自分の体と向き合う時間。気軽に取り入れてみて

鍼灸師として日々、患者さんの施術をしたり、教室でお灸のコツを伝授している小泉さんは、お灸を「継続すること」で「自分自身の身体を知ることができる」と言います。

熱さの感じ方は人それぞれですが、熱くなればなるほど効果があると勘違いする方がいら生活スタイルが多様化すれば、体調を崩す原因も人それぞれです。だからこそ、自分の身体を自分でケアする‟セルフケア”はとても有益なことだと思います。セルフお灸もその手段のひとつとしてぜひ取り入れてもらえたらと思っています。虫歯予防のための歯磨きもセルフケアのひとつですが、毎日継続する必要性は皆さんもご存じだと思います。お灸も同じで、病気や体調不良の予防のために継続していただきたいですね。

もちろんお灸をする時間帯はいつでも構わないのですが、お灸を継続されている方にその秘訣をお聞きすると、朝起きて何よりも最初にお灸をする、というルーティンを実践している方が多いです。お灸をしてから、「さぁ今日も一日が始まるぞ!」といったイメージです。

ただ、真面目な方は、この時間に必ずやらなくてはいけない、とかえってプレッシャーに感じてストレスになってしまう可能性もあるので、そこまで気負わずに‟良い加減”で無理なく継続できることを心がけて欲しいと思います。

また、セルフお灸をすることは、自分の身体を知るきっかけになります。お灸を毎日据えることによって、いつもと違う身体の変化を感じるとこがあります。10分ほどのお灸タイムが自分自身と向き合う貴重な時間になってくれるのではないでしょうか。

個人差はありますが、お灸は継続して1週間ほどで効果を感じる、とおっしゃる方が多いです。自宅で簡単に始められるお灸を通して、ぜひ自分の身体と向き合ってみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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