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毎日の料理や災害時にも役立つ!ポリ袋調理のススメ

毎日の料理や災害時にも役立つ!ポリ袋調理のススメ
今泉 マユ子

監修者

管理栄養士

今泉 マユ子

士、災害食専門員の資格を持ち、防災食アドバイザーとして全国で400以上の講演を行う。著書は「SDGsクッキング」「もしもごはん」「防災教室」シリーズなど22冊。レトルトの女王、缶詰の達人とも呼ばれ、テレビ出演も200回以上になる。ラジオ、新聞、雑誌、WEBサイトなどでも活躍中。

洗い物が少なく、後片付けも簡単、しかも、栄養満点の料理が手軽に作れるとしたら、嬉しいですよね。

忙しい毎日でも、災害時でも、手軽に美味しい食事をしたいと思いませんか?そんな時に役立つのが「ポリ袋調理」です。ポリ袋ひとつで、食材を入れて、湯煎するだけ!簡単なのに、本格的な味が楽しめます。

今回は、今泉マユ子さんに、ポリ袋調理のメリットや注意点、おすすめの簡単ポリ袋調理を紹介していただきます。

ポリ袋調理が人気の理由

ポリ袋調理が人気の理由

近年、SNSでも話題のポリ袋調理。その手軽さから、多くの料理愛好家や仕事や育児に忙しい方たちに支持されています。

ポリ袋調理は、なぜこんなにも人気なのでしょうか?その理由を詳しく見ていきましょう。

時短調理が可能

ポリ袋料理は、火も水も使わない調理が可能です。ポリ袋の中に缶詰の中身や乾物などを入れて混ぜるだけで1品作ることができます。食材の組み合わせ次第で栄養バランスが整い、短時間で火も水も使わないので、被災したときにも役立つ調理法です。

調理した後は、ポリ袋をそのまま器にかければ、洗い物を減らせることもメリットのひとつ。忙しい方や料理初心者でも簡単に作れる点も魅力です。

ポリ袋に食材を入れて混ぜるだけの調理を、即作れて即食べられる「即食レシピ®」と呼んでいます。ポリ袋の中に缶詰や乾物など、食材を入れて袋の外から混ぜるだけ。衛生的で洗い物も少なくてすむので、停電、断水した時にも作りやすく、忙しい時や子どもと一緒に作るのにもぴったりです。レシピは自由なので、ぜひ普段の食事で材料を組み合わせて作ってみてください。

災害時の強い味方!火や水が限られていても調理できる

災害時にはライフラインが止まることがあります。ポリ袋調理はそんな時にも役立ちます。

ポリ袋に食材を入れて湯煎すると、温かい料理を作ることができます。湯煎に使った水は繰り返し使うことができるので、断水時にも貴重な水を無駄にしません

一つの鍋で何種類も同時に作ることができるのもいいところです。でき上がりをポリ袋のまま器にかけてそのまま食べると器が汚れず洗い物を減らすことができます。非常時に備えて、ポリ袋調理を覚えておくと心強いでしょう。

ポリ袋に食材を入れて湯煎する調理を、私は「お湯ポチャレシピ®」と呼んでいます。一般的にはパッククッキングと呼ばれていますが、名前から想像しやすく、また「お湯にポチャンと入れてゆらゆら湯煎して、どんな時でも温かい料理を食べてほしい」との思いで名付けました。水とカセットコンロ、カセットガスボンベも忘れずに備え、どんな時でも温かい食事をとることができるようになっていただきたいです。

アウトドアやキャンプでも活躍する万能調理法

ポリ袋調理はアウトドアやキャンプでも大活躍。キャンプ場では少しでも荷物を軽くしたいところですよね。そんな時、ポリ袋調理なら鍋一つでご飯やメインディッシュを同時に作ることが可能。準備や片付けに手間がかからないので、自然の中でゆっくり食事を楽しめます。

さらに、レシピ次第で本格的な料理も簡単に作れるので、家族や友人とアウトドアでの食事がより一層楽しくなります。

ポリ袋に入れるところまで自宅で準備しておけば、キャンプ場では湯煎するだけの手軽さが魅力です。湯煎している間はほったらかしにできるので、のんびりキャンプ時間を楽しめますね。アウトドアでお湯ポチャレシピに慣れておくと、災害が起きた後も臨機応変に作れるようになると思います。ぜひ楽しみながらトライしてみてください。

ポリ袋調理の基本的な手順

ポリ袋調理の基本的な手順

ポリ袋調理は、誰でも簡単にできる調理法です。

ここでは、ポリ袋を使った調理の基本的な手順を紹介します。手軽に美味しい料理ができるコツを、ぜひ参考にしてください。

STEP1必要な食材をポリ袋に入れる

まず、食材をポリ袋に入れるところからスタートです。食材の切り方は調理時間に影響するため、野菜など火が通りにくい食材は薄めにカットすると良いでしょう。厚みがあると時間がかかります。ポリ袋に食材を入れたらなるべく空気を抜きます。この調理方法は真空調理の応用になり、なるべく空気を抜いて真空に近づけるのが美味しく作る秘訣です。

また空気を抜くことで湯煎中に袋が浮かぶのを防ぎます。ポリ袋を結んだあと、袋をなるべく平らにしておきます。厚みがあると加熱ムラがおきてしまいますが、平らにすると均等に加熱されます。

分量を増やす場合は、1つの袋に入れる量はそのままに、袋の数を増やすようにしてください。1つの袋に入れる分量を増やすと湯煎に時間がかかってしまい、うまくできあがりません。

STEP2:湯煎で加熱するだけ

次に、湯煎用の鍋を用意します。水の量は鍋の高さ半分くらいを目安に入れます。水の量が多いとポリ袋を入れると溢れることがあるので注意が必要です。

そして鍋底に1枚皿を敷きます。耐熱性のポリ袋を使いますが、熱い鍋底にずっと触れていると穴があくことがあるので、鍋底につかないように皿を敷いてその上にポリ袋をのせて加熱します。お湯が沸騰するまで強火で、沸騰したら弱めの中火で加熱していきます。

「災害時の備えとして、カセットコンロとカセットガスボンベを用意しましょう。調理時間は、食材やレシピによりますが、湯煎調理は火が通るまで30分以上かかるものもあります。カセットガスボンベなどの燃料は多めに用意しておきましょう。
加熱時間が長い料理の場合は、均一に火を通すために、時々ポリ袋の向きを上下反対にしてください。
湯煎時間が異なる複数の料理を作る場合は、時間がかかる物から時間差で湯煎をはじめて同時にできあがるようにしても良いです。またパスタなど、のびてしまう料理以外は長時間一緒に湯煎していても大丈夫です。
湯煎の終わったポリ袋は高温になっています。トングなどを利用して火傷に注意しましょう。

ポリ袋調理は、洗い物が少なく衛生的

ポリ袋調理は、洗い物が少なく衛生的

鍋やフライパンを使わず、食材をポリ袋に入れて調理する「ポリ袋調理」は、洗い物が少なく、後片付けがとても簡単です。食器を洗う手間が大幅に省け、忙しい毎日はもちろん、災害時やアウトドアなど、さまざまなシーンで活躍します。

できあがったポリ袋の封はできるだけ切らずにほどいてください。SDGs、環境問題を考えてポリ袋を使うことに抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、切らなければゴミ袋として再利用することができます。被災した時は衛生的に作ることが大切なのでポリ袋を上手に活用して、そして使い捨てにするのではなく、最後まで使い切ってほしいと思います。

ポリ袋選びが重要!調理の際には、注意書きを必ず確認しよう

ポリ袋選びが重要!調理の際には、注意書きを必ず確認しよう

ポリ袋調理は、手軽で便利な調理法ですが、すべてのポリ袋が調理に適しているわけではありません。間違ったポリ袋を使用すると、溶けてしまったり、穴があいて火傷をする可能性があります。

混ぜるだけの即食レシピに使うポリ袋は、食品用なら何でもOKですが、湯煎するポリ袋調理や、今回ご紹介するお湯ポチャレシピには、必ず耐熱性のポリ袋を使用しましょう。通常のポリ袋は、熱で溶けてしまったり、穴があくことがあります。ポリ袋が破れてしまうと、せっかくの料理が台無しになってしまいます。

ポリ袋が薄くて袋が破れそうな場合や、長時間の加熱が必要な料理の場合は、ポリ袋を二重にして調理することで、より安心して調理ができます。お湯を使う調理の際には、必ず「高密度ポリエチレン製」「湯煎できます」などの表示を確認して選んで下さい。

ポリ袋調理は、手軽で便利な調理法ですが、安全に楽しむためには、使用するポリ袋の種類や注意点についてしっかりと理解しておくことが大切です。正しい知識をもって、安全にポリ袋調理を楽しんでください。

ポリ袋選びはとても重要です。必ず表示を確認して「湯煎可」のものや「耐熱性の高密度ポリエチレン製」のポリ袋を使用してください。半透明のポリ袋がおすすめですが、その場合でも厚さが薄い場合は2枚重ねなどした方が安心です。透明のポリ袋は厚みがあって丈夫そうに見えても熱に強いわけではないのでお湯ポチャレシピには使わないでください。

専門家が直伝!ポリ袋調理おすすめレシピ集

専門家が直伝!ポリ袋調理おすすめレシピ集

管理栄養士であり、防災食アドバイザーでもある今泉さんは、ポリ袋の中に食材を入れて作る湯煎調理のことを「お湯ポチャレシピ®」と呼んで、お湯ポチャレシピ本を出版しています。

今回は、今泉さんがこれまで手掛けてきた「お湯ポチャレシピ」や、ポリ袋ひとつで簡単に調理できる「即食レシピ®」から、初心者でも挑戦しやすいおすすめレシピをご紹介します。

切り干し大根の塩昆布お茶和え

(材料2人分)
切り干し大根…30g
塩昆布…大さじ1(約8g)
お茶(緑茶、麦茶、ウーロン茶など)…100ml

(作り方)
ポリ袋に材料を全て入れて混ぜる。

切り干し大根の塩昆布お茶和え
切り干し大根塩昆布お茶和え

こちらはポリ袋に食材を入れて混ぜるだけの「即食レシピ」です。今は洗わなくていい切干大根も売っていますが、汚れが気になる場合は洗ってから使用してください。。歯ごたえのある食感が災害後の食事としてもおすすめです。しっかり噛むと唾液がでて誤嚥性肺炎を防ぎ、血流もよくなります。よく噛んで召し上がってください。

オムライス

◆ケチャップライス

(材料1人分)
米(無洗米)…70g
水…1/2カップ(100㎖)
ケチャップ…大さじ2
あればドライサラミなど…適量

◆オムレツ

(材料1人分)
卵…1~2個
あればチーズなど…適量
塩…ひとつまみ

(2袋を同時に湯煎する作り方)
1.高密度ポリエチレン製ポリ袋2枚にそれぞれの材料を全て入れ、なるべく空気を抜いてねじり上げ、袋の上の方を結ぶ。
2.1/2の水を入れて皿を敷いた鍋に①を2袋とも入れ、蓋をして火をつける。
3.沸騰したら中火にして、20分加熱し、蓋をしたまま10分間蒸らす。
※オムレツは加熱時間10分間、蒸らし5分間ででき上がりますが、ケチャップライスと同じ時間加熱しても大丈夫です。

ポリ袋に入れたライスとオムレツ
出来上がりオムライス

冷蔵庫の常備食材ナンバー1の卵は常温保存可能ですが、温度変化に弱いため、一度冷蔵庫に入れた卵は常温保存には適していません。停電したときはお湯ポチャレシピでゆで卵や、オムレツ、プリンなどを作って、美味しく無駄なく活用しましょう。

シーフードブイヤベース風

(材料1人分)
冷凍シーフードミックス…80g
冷凍ブロッコリー…5個(約50g)
冷凍揚げナス…3個(30g)
(あれば)ヘタをとったミニトマト…3個
顆粒コンソメ…小さじ1/2
水…200ml
お好みでドライパセリ…適宜

(作り方)
1.高密度ポリエチレン製ポリ袋に材料を全て入れ、なるべく空気を抜いてねじり上げ、袋の上の方を結ぶ。
具材は袋の中で広げておく。
2.1/2の水を入れて皿を敷いた鍋に具材の入ったポリ袋を入れ、蓋をして火をつける。
3.沸騰したら中火にして10分間加熱し、火を止めて蓋をしたまま5分間蒸らす。食べる時にお好みでドライパセリをちらす。

シーフードブイヤベース風

冷凍野菜を活用した野菜たっぷりレシピです。冷凍の玉ねぎのみじん切りや洋風野菜ミックス、きんぴらミックスなどは下ごしらえ済みなので料理にそのまま使えてお湯ポチャレシピにも最適です。冷凍から揚げや、焼売、フレンチポテトなどをスープに入れても美味しいですよ。

災害時に役立つ!ポリ袋調理のコツと注意点

災害時に役立つ!ポリ袋調理のコツと注意点

ポリ袋調理は、災害時のような限られた状況下でも、温かい食事を手軽に取れる便利な調理法です。しかし、いざという時に慌てないためには、普段からの準備と練習が重要です。さまざまなポリ袋調理のレシピを試して料理のバリエーションを増やしておきましょう。各レシピの調理時間を事前に確認しておけば、効率的に食事を準備できます。ポリ袋調理は、緊急時だけでなく、普段の生活でも時短家事に役立つ方法です。事前の備えが、非常時の大きな助けになります。

私は足を骨折して1か月間ギプス生活だったとき、お湯ポチャレシピで過ごしました。1か月間鍋を洗わずにすみました。湯煎の水は蒸発するのでその分足す必要があることも分かりました。その時の経験から、「食材と高密度ポリエチレン製ポリ袋があれば、もしもの時も1か月間は工夫して温かい食事ができる!」と自信になりました。ぜひ、普段の食事やアウトドアでお湯ポチャレシピをつくり、「知ってる」を「できる!」にしてください。どんな時でも温かい食事が摂れますように。

まとめ ポリ袋調理で美味しく、温かく栄養補給

まとめ ポリ袋調理で美味しく、温かく栄養補給

ポリ袋調理は、「簡単で美味しい」が叶う調理法です。普段の食事だけでなく、災害時にも頼れる強い味方です。手軽なメニューはもちろん、季節の食材を取り入れることで、より美味しく、栄養バランスの取れた食事が楽しめます。ガスや電気が使えない時でも、温かい食事が食べられ、キャンプや登山など、野外での調理に便利です。ポリ袋調理で、毎日の食事をもっと美味しく楽しんでみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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