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ビジネスローンで開業資金の調達はできる?審査のポイントや注意点を徹底解説

ビジネスローンで開業資金の調達はできる?審査のポイントや注意点を徹底解説
荒木 和音

執筆者

FPライター

荒木 和音

金融分野専門ライター。大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績を持つ。家計相談や企業向けのリスクコンサルティングなどを計10年以上経験し独立。現在は暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。FP2級保有。

開業資金の確保は、新たにビジネスを始める際の大きな課題のひとつです。資金調達の手段として「ビジネスローン」を検討している方も多いかもしれませんが、事業の実績がない状態で本当に融資を受けられるのか、不安を感じている方も少なくないでしょう。

結論から言うと、開業資金に充てられるビジネスローンはあります。しかし、申込の段階で業歴や提出書類、事業形態(個人事業主はNGなど)などの条件をクリアできないことも多く、融資を受けられないケースは珍しくありません

今回の記事では、ビジネスローンを開業資金として利用する際のポイントを徹底解説します。審査でチェックされる項目についても理解し、スムーズにビジネスをスタートさせるための準備を整えましょう。

不動産担保ローン
不動産担保ローン

開業資金を借りたい!ビジネスローンの審査でチェックされるポイント

開業資金を借りたい!ビジネスローンの審査でチェックされるポイント

ビジネスローンで開業資金を調達する際、審査では事業計画や収益性に加え、事業主の信用力や返済計画も重要視される傾向があります。これらのポイントを理解し、対策を講じることが融資を受けるためには重要です。

以下では、具体的な審査項目や、開業資金を借りやすくするための準備方法について解説します。

事業の収益性や将来性

ビジネスローンの審査で特に重視されるのが、事業の収益性と将来性です。これらは返済能力に直結するため、融資の判断に大きく影響します。

すでに事業を行っている場合は、過去の決算書を参考にして審査を行います。一方、開業前で実績がない場合は「事業計画書」が審査における重要な判断材料となります。市場競争力の高さや、成長の見込みがあることを示す具体的なデータを盛り込み、説得力のある事業計画書を作成しましょう。

返済計画

開業時にビジネスローンを利用する際は、返済計画も審査で重視される傾向があります。返済計画がしっかりしていれば、金融機関に対して「貸し倒れのリスクが少ない」と判断される可能性があります。

事業の成長に応じて返済をどう進めるのかを具体的に示しましょう。万一収益が予想を下回った場合でも、どのように返済資金を確保するのか、説明できるよう準備しておくことも大切です。

有価証券や不動産などの担保や連帯保証人をつけることで、融資を受けられる可能性があるかどうかを相談してみるのもひとつの方法です。金融機関からすれば、担保や保証人は返済が滞った場合のリスクヘッジになります。

事業主の信用力

開業前で事業の実績がない場合は、事業主個人の信用力が重視される傾向があります。個人の信用力が高ければ、金融機関にとって「返済がスムーズに進む可能性が高い」と判断され、融資を受けやすくなる場合もあるでしょう。反対に、過去に長期延滞などの履歴があると、返済に不安があると見なされてしまい、審査に影響もあります。

審査に影響するポイントとしては、事業主のスキルや個人事業主時代の実績などが挙げられます。例えば、開業前から同じ業種に携わっていれば事業が安定して継続する可能性が高く、返済が滞るリスクも低いと判断してもらいやすくなるでしょう。

また、個人の信用情報も審査における重要なポイントのひとつです。信用情報とは、金融機関やクレジット会社が「お金を貸しても大丈夫か」を判断するために確認する情報です。

信用情報には、主に次のような内容が記録されています。

  • クレジットカードやローンの新規申込情報
  • クレジットカードやローンの契約内容
  • クレジットカードやローンの支払い状況(残債や入金履歴)

信用情報が健全であるほど金融機関からの信頼度が高まり、融資の審査を通過しやすくなります。一方で、支払いを延滞していると「事故情報」が残り、審査に不利になる可能性があります。

不安がある場合は、延滞を解消してから申し込む、事故情報が消えてから申し込むなど、信用情報を改善してから申し込みましょう。なお、事故情報は信用情報機関によって5〜7年ほど保管されることが決められており、期日を過ぎないと消去されません。

開業資金をビジネスローンで借りる前に知っておくべき注意点

開業資金をビジネスローンで借りる前に知っておくべき注意点

開業資金をビジネスローンで借りる際は、銀行融資などを利用する場合と比べて条件が厳しくなることがあります。特に、金利や借入額の面で予想以上に負担が大きくなることがあるため、慎重に検討することが大切です。ここでは、ビジネスローンを利用する際に注意すべきポイントについて説明します。

金利の負担が重くなる可能性がある

ビジネスローンの金利は、通常の銀行融資に比べて高く設定されていることが多く、相場は1.0〜18.0%程度です。特に開業前の事業主の場合、返済能力を判断する材料が限られており、金融機関はリスクを避けるために金利を高めに設定する傾向があります。金利が高いほど返済総額が増えるため、ビジネスローンでは必要最低限の金額を借りるようにしましょう。

少しでも金利負担を軽減したい場合は、自己資金を多めに準備したり金利が低い銀行のビジネスローンを検討するのも有効です。

開業資金の全額を借りられるとは限らない

ビジネスローンの融資限度額は、一般的に銀行融資よりも低めに設定されており、500万円から1,000万円程度です。

高額融資に対応しているビジネスローンも存在しますが、必ずしも希望どおりの金額が融資されるわけではありません。借入限度額は法人の売上や、自己資金額などを踏まえて個別に設定されます。とくに開業前の事業主は返済リスクが高いと見なされやすいため、希望する金額を下回ることは少なくありません

資金不足を避けるためには、他の融資方法も併用することが大切です。

ビジネスローン以外で開業資金を用意する方法

ビジネスローン以外で開業資金を用意する方法

ビジネスローン以外にも、開業資金を調達する方法はいくつかあります。審査の条件は厳しい場合もありますが、ビジネスローンに比べて金利が低かったり、融資限度額が大きかったりと、有利な条件で資金を借りられるケースもあるため、検討する価値はあるでしょう。

ここでは、代表的な開業資金の調達方法について紹介します。

銀行の融資

銀行の融資は大きく分けて「プロパー融資」や「信用保証付き融資」の2種類があります。

  • プロパー融資:銀行独自の裁量で顧客に融資をする方法
  • 信用保証付き融資:信用保証協会などを保証人として融資をする方法

プロパー融資は一般的に低金利で融資限度額が大きく、保証人・担保不要で融資を受けられることが特徴です。しかし、審査は厳しい傾向にあります。開業前で事業実績のない状態では、決算書などの返済リスクを判断する材料がほとんどないため、審査はなおさら厳しくなる可能性が高いのが実状です。

一方、信用保証付き融資の場合、万一返済が滞った際には信用保証協会から銀行に返済が行われるので、融資を受けやすい傾向にあります。

実際に、開業資金を目的とした融資制度も存在します。東京都・東京信用保証協会・金融機関の三者が協力して融資を行う「都創業融資」では、以下のいずれかに該当する方を融資対象としています。

  • 現在、事業を営んでいない方で、1ヵ月以内に新たに個人で、または2ヵ月以内に新たに会社を設立して東京都内で創業しようとする具体的計画をお持ちの方
  • 創業した日から5年未満の中小企業者、組合
  • 分社化をしようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社

融資限度額は3,500万円、金利も2%前後であるため、ビジネスローンよりも好条件で融資を受けられるかもしれません。

参照元:東京信用保証協会「都創業融資(略称:創業)

ただし、審査に通過するためには、創業計画書や預金通帳の写し、定款の写しなど、一般的なビジネスローンよりも多くの書類が必要になることがあります。融資を受けるまでに2〜3ヵ月程度かかることもあるので、早めの申し込みが必要です。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している政府系金融機関のひとつです。日本政策金融公庫の創業融資は、低金利かつ融資限度額が高額であるという特徴があります。

限度額は最大で7,200万円(そのうち運転資金は4,800万円)まで、金利も2〜3%程度で借入が可能です。女性の方や35歳未満または55歳以上の方などは、さらに低い金利が適用されるケースもあります。

参照元:日本政策金融公庫「新規開業資金

ただし、創業融資の審査では自己資金の額も重視されます。自己資金が少ないと審査に通過しにくくなる可能性もあるので、最低でも借入希望額の2割程度の自己資金を用意しておくとよいでしょう。

参照元:日本政策金融公庫「よくあるご質問 創業をお考えの方

自治体の補助金や助成金

自治体が行う補助金や助成金を利用して、開業資金を調達する方法もあります。補助金や助成金のメリットは、融資とは異なり返済不要である点です。

例えば東京都の「令和6年度第2回 創業助成事業」では、400万円を限度額として、賃借料・広告費など創業初期に必要な経費のサポートを受けられるなど、東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社は、都内開業率を2030年度に12%まで向上させる政策目標の達成に向け、都内創業予定者等に対し、創業初期に必要な経費の一部を助成する「創業助成事業」を実施しています。

参照元:東京都「令和6年度第2回 創業助成事業募集のお知らせ
    ※申請期間:令和6年9月25日~10月4日

ただし、基本的には後払いであり、先に支出をしてから申請しなければなりません。また、審査の結果、資金調達できない場合もあります。先述の東京都創業助成事業の採択率は、毎年1〜2割程度です。

参照元:TOKYO創業ステーション「「創業助成事業」過去の採択情報について

そのため、補助金や助成金を受けられなかった場合に備え、別の資金調達方法も検討しておくとよいでしょう。

まとまった開業資金が必要ならセゾンの不動産担保ローンをご検討ください

まとまった開業資金が必要ならセゾンの不動産担保ローンをご検討ください

ビジネスローンで開業資金を調達しようとしても、審査に通らないこともあるでしょう。そんな時に役立つのが「不動産担保ローン」です。自身が保有している不動産を担保にすることで、低金利でまとまった開業資金を借りられます。

セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン」は、銀行とは異なる独自の審査基準を採用しています。通常のビジネスローンや銀行融資では難しいケースでも対応可能なので、開業資金を目的とした利用も可能です。

最大融資金額は5億円。法人や代表者が所有する不動産だけではなく、親族の不動産を担保として利用することや二番抵当にも対応しています。

日本全国対応で、年間9,000件以上の申し込み実績があるのも安心できるポイントです。開業資金の調達にお困りの方は、お気軽にご相談ください。

セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンの詳細はこちら

不動産担保ローン
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開業資金をビジネスローンで調達するなら他の方法も検討しておくことが大切

開業資金をビジネスローンで調達するなら他の方法も検討しておくことが大切

開業資金の調達方法として、ビジネスローンの活用は有効な施策となります。しかし、申し込み時には事業実績を示す決算書などの提出を求められるケースが多く、開業前だと審査に通るのが難しい場合もあります

さらに、審査では事業計画や返済計画、事業主の信用力が重視されるため、開業資金を目的とした申し込みは不利になりがちです。そのため、ビジネスローンに加え、他の資金調達手段も事前に検討しておきましょう。例えば、日本政策金融公庫からの借入や不動産担保ローンなどを検討しておくと、万一ビジネスローンの審査に通らなかった場合でも、スムーズに資金調達を進められるでしょう

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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