せっかく洗濯したのに、なんだか生乾き臭い…。クローゼットから服を取り出したら、何とも言えない嫌な匂いが…。そんな経験ありませんか?本記事では、洗濯物が臭う本当の理由と、重曹やお酢といった身近な自然素材を使った「ナチュラル洗濯」を本橋ひろえさんの解説とともにご紹介します。家族の健康も守りながら、爽やかな毎日を手に入れましょう。
洗濯のお困りごと!汚れの正体を知ろう
洗濯は毎日の家事ですが、なかなか落ちない汚れや気になるニオイなど、お悩みは尽きませんよね。まずは、そんな洗濯のお悩みを解決するヒントとなる、汚れの正体について科学的に解説します。 洗濯に関する悩みは、大きく分けて汚れ・ニオイ・黄ばみの3つに分類できます。
汚れ:体から出るものと外からつくもの、そして洗濯機も!
汚れは、大きく分けて体から出るものと外からつくものの2つに分けられます。
体から出るものには、汗や皮脂などがあります。一方、外からつくものには、ホコリ、花粉、食べ物、泥など、さまざまなものが挙げられます。さらに洗濯機自体が汚れている場合、カビや雑菌が繁殖し、それが洗濯物に移ることもあります。
ニオイ:原因は雑菌!部屋干しや洗濯槽の汚れも影響
洗濯物のイヤなニオイは、主に洗い残した皮脂と雑菌の繁殖が原因です。
汗や皮脂などの汚れが雑菌の栄養源となり、これが増殖することで不快なニオイが発生します。特に、部屋干しや濡れたまま放置した衣類は、湿気がこもりやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。また、洗濯槽自体が汚れている場合や、洗剤や柔軟剤の使いすぎも、ニオイの原因となります。
黄ばみ:汗や皮脂の酸化が主な原因!日光や水道水も影響
黄ばみは、皮脂汚れが空気中の酸素と反応して酸化することで発生します。
特に、首回りや脇など、肌と密着する部分は汚れがこびりつきやすく、黄ばみも目立ちます。また、洗剤の残留や、紫外線による色素の破壊も黄ばみの原因となります。水道水に含まれるミネラルが洗剤と反応して発生した石鹸カスが黄ばみになることもあります。
ナチュラル洗濯の基本のアイテム
ナチュラル洗濯とは、自然由来の素材を使ったもので、環境への負荷が少ないものを使って洗濯すること。
今回は、三大汚れを落とすために必須のアイテムをご紹介します。本橋さんによると、ナチュラル洗濯で必要なアイテムは次の4つです。
粉せっけん(または固形石けん) | 天然油脂を原料とした石けんは、シンプルで肌への刺激が少ないのが特徴です。 ※固形石けんの場合は、スライサーなどで使用します。 |
重曹 | 石けんを助ける助剤として使います。 |
クエン酸 | アルカリ性の汚れやニオイを落とすために使用します。 |
酸素系漂白剤 | 水に溶けると活性酸素を放出し、除菌効果を発揮します。さらに水質をアルカリ性に保ち、石けんの効果を向上させます |
この4つのアイテムを使い、正しい方法で洗濯を行えば、シミ、汚れ、黄ばみ、ニオイといった洗濯の悩みをすべて解決することができます。少ないアイテム数で幅広いタイプの汚れに対応できるので、経済的です。そして何より4つの成分は、環境への負荷が少なく、人体への刺激も少ないため、使い方を守れば、特に赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心して使うことができます。
知っておきたい洗濯物の正しい洗い方
洗濯機の種類や、使える水の温度によって、洗い方や気を付けなければいけない注意点もさまざま。
特に、汚れを効果的に落とす上で大きなポイントは「お湯を使うこと」。
私たちの皮脂の主成分は、文字通り「あぶら」なのです。この脂汚れは、冷たい水だけではなかなか溶けず、繊維の奥にこびり付いてしまいます。そのため、皮脂臭が残り湿った時間が長いと生乾き臭の原因の雑菌が繁殖します。
縦型洗濯機の場合
毎日使う洗濯機。特に縦型洗濯機は、多くの家庭で活躍していますよね。でも、洗濯物のニオイが気になったり、汚れが落ちにくかったり、黄ばみが気になったり…そんなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
実は、ちょっとしたコツや工夫で、より効果的に洗濯をすることができます。
基本の洗い方
使うアイテムは「石鹸」「酸素系漂白剤」「重曹」の3つです。三つの比率が約3対1対1の量で使っていきます。たとえば、60L水量の場合、重曹:1/2カップ、石鹸:大さじ3杯、酸素系漂白剤:大さじ3杯を目安に、水の量に合わせて使用する量を変更していきます。男性や子どもは、女性と比べて皮脂の分泌量が約2倍になるため、家族全員分の衣類を洗う場合や、汗をかきやすい夏の洗濯には、基本量の約2倍必要になります。
まず大切なことはお湯で洗うということ。皮脂汚れは、40℃前後のお湯で洗うと効果的に落とせます。一般的な洗濯機では水でしか洗えないものが多いため、洗う水の温度が37~42度前後になるようにお湯を足して洗っていきます。ただし、衣類の素材によっては高温に弱いものもあるので、事前に品質表示タグを確認しましょう。
また、節水はエコですが、少ない水では衣類の繊維の中の汚れまでしっかり洗えていないため、水をしっかり使うことが大切です。目安としては、洗濯物がしっかり水に浸かった状態になっていること。洗濯物の量に合わせて、水量を調整しましょう。この時、洗濯物の重さだけでなく、素材や汚れ具合も考慮することが大切です。
次に、洗剤をしっかり溶かすこともポイントです。洗剤は、洗濯機に入れる前に洗面器などでお湯で溶かしてから入れると、より効果的に汚れを落とすことができます。特に、溶けにくい洗剤を使用する場合は、この方法がおすすめです。
すすぎは2回以上、できればタテ型は溜めすすぎ、ドラム式なら注水を行い、洗剤が残らないようにしましょう。洗剤量が多い場合は、念入りにすすぎを行うことが大切です。
水しか使えない場合
水しか使えない場合でも、工夫次第でしっかりと汚れを落とすことができます。
汚れがひどい部分、特に襟や袖口などは、ぬるま湯で洗剤をつけて揉み洗いするなど、予洗いを行うと効果的です。
ドラム式洗濯機の場合
ドラム式洗濯機は、少ない水量で洗うため、洗濯物が完全に水に浸からず、汚れが落ちにくいことがあります。また、高温のお湯での洗浄が難しい機種が多く、皮脂汚れや頑固な汚れが落ちきらないことも。そんなドラム式洗濯機で、しっかりと洗濯をするためには、どのように洗うのが良いのでしょうか?
お湯が使える場合
お湯が使える場合、まずは汚れ具合に合わせて洗剤の量を決めていきます。
そして、洗濯物が完全に水に浸かるように、十分な量の水を使用しましょう。洗濯中に一時停止し、洗濯物が水に浸かっているか確認しましょう。すすぎは2回以上行い、洗剤が残らないようにしましょう。
水しか使えない場合
ドラム式洗濯機で最も効果的なのが、洗面台やバケツを使ったつけ置き洗い。事前にに洗濯物を洗剤液に浸け置きすることで、汚れをゆるめて落としやすくします。衣類の素材や汚れの程度によって時間を調整しましょう。
大事な洋服を長く快適に!おしゃれ着洗いの基本
せっかくのおしゃれ着、長く着たいですよね。でも、デリケートな素材のお洋服は、普通の洗濯では傷んでしまうことも。
おしゃれ着洗いは、洗濯表示を確認することから始まります。洗濯表示には洗濯機で洗えるか、手洗いが必要か、漂白剤や乾燥機の使用が可能かなどが記載されています。
実際に洗う際は、手洗いで、ぬるま湯で優しく洗うのがポイントです。なお高温のお湯は、衣類の色落ちや縮みの原因になるので避けましょう。洗剤の量は、衣類の量や汚れ具合に合わせて調整しましょう。洗剤が多すぎると、衣類に残ることがあり、肌荒れの原因になることも。
衣類が傷む最も大きな原因は「長く水に浸かりすぎること」です。10分以下の短時間で手洗いし、弱めの脱水で済ませましょう。
おしゃれ着の洗濯方法
おしゃれ着も、製品表示に手洗いのマークがついていれば、特別な洗剤を使わなくても、ナチュラル洗濯で汚れや黄ばみを落とし、ニオイのない綺麗な状態に洗濯することができます。おしゃれ着を洗濯する際の注意点は下記のとおりです。
ウール | 手洗いが基本です。中性洗剤を使い、ぬるま湯で優しく押し洗いしましょう。脱水は軽く、形を整えて平干しします。 |
カシミア | ウールと同様に手洗いが基本です。ドライクリーニングが推奨される場合もあります。 |
シルク | 手洗いが基本です。中性洗剤を使い、ぬるま湯で優しく押し洗いしましょう。脱水は軽く、形を整えて平干しします。 |
リネン | 比較的丈夫な素材ですが、色落ちしやすいものもあります。単独で洗うか、似た色のものと一緒に洗うようにしましょう。 |
コットン | 比較的丈夫な素材ですが、水につけすぎるとと縮むことがあります。 |
なかなか落ちにくい「シミ抜き」のポイント
ナチュラルな分、「汚れが落ちないんじゃないの?」というイメージが強いナチュラル洗濯ですが、「シミがついてしまった!」そんな時でも大丈夫です。
特に固形石鹸は、シミ抜きに非常に効果的です。液体洗剤が水で薄まるのに対し、固形石鹸は水分を含んでいないため、強力な洗浄力を持っています。ケチャップや醤油、コーヒーなどの食べこぼしから、シャツの襟や袖の黒ずみ、皮脂汚れ、さらには血液汚れまで、幅広いシミに使えます。
<固形石鹸を使ったシミ抜きの方法>
- ぬるま湯で洗い流す
まず、シミの部分をぬるま湯で軽く洗い流し、汚れを流します。 - 固形石鹸を塗る
シミに直接固形石鹸を塗ります。 - もみ洗い
もみ洗い、または洗濯ブラシでこすり洗いします。 - ぬるま湯で洗い流す
石鹸をよく洗い流し、洗濯機で洗います。
固形石鹸を使ったシミ抜きは、環境にも優しく、経済的にもメリットが大きい方法です。ぜひ、ご家庭で試してみてください。ただし、デリケートな素材の衣類の場合は、事前に目立たない部分で試してから使用しましょう。
部屋干しを臭わせないコツ
「部屋干しすると臭う」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、実は、部屋干しそのものが臭いの原因ではありません。洗濯物に汚れが残っていることが、部屋干し臭の原因なのです。
洗濯物に残った皮脂やたんぱく質などの汚れは、長時間湿った状態で放置されると、雑菌が繁殖しやすくなります。部屋干しは外干しに比べて乾く時間がかかるため、雑菌が繁殖しやすい環境が生まれてしまいます。この雑菌が作り出す物質が、いわゆる「部屋干し臭」や「生乾き臭」の原因となります。
部屋干し臭を防ぐためには、洗濯時にしっかりと汚れを落とすことが重要です。特に効果的なのが「お湯での洗濯」です。汚れをしっかり落とすことで、雑菌が繁殖する温床をなくし、部屋干し臭の発生を防ぎます。部屋干し臭に悩んでいる方は、ぜひ一度、洗濯方法を見直してみてください。
まとめ:洗濯物の黄ばみ&臭いはナチュラル洗濯で解決!
黄ばみや臭いの原因は、洗濯物に残った皮脂や汗などの汚れが、雑菌の温床となり、悪臭を発生させること。特に、部屋干しは湿気がこもりやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。ナチュラル洗濯は、環境にも人にも優しく、そして何より、洗濯物の清潔さを保つ上で非常に効果的な方法です。肌が敏感な方でも安心して使えるナチュラル洗濯を、あなたも試してみてはいかがでしょうか?
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