冬の間に溜め込んだ脂肪を脱ぎ捨て、軽やかで心地いい身体を手に入れるには何から始めたらいいのでしょうか?運動したほうがいいとわかっていても、ジムに行くのは面倒、そもそもどんな運動が自分に合っているかわからないという方も少なくないでしょう。
まずは “エクササイズの王様”といわれるスクワットからトライ!医師が考案した「30秒で運動不足を解消するドクターズスクワット」は、効率よく筋力アップを叶え、痩せやすい身体づくりをサポートします。
なぜ冬は太りやすいのか?
冬は太りやすいというイメージを持っている方も多いかもしれませんが、エネルギー代謝の観点から考えると、冬は体温を維持するためにエネルギーが使われるため、基礎代謝は夏より冬のほうが高いのです。したがって、基本的に冬は夏よりも痩せやすい季節といえます。しかしながらイベントも多い12月、1月は、食事からの摂取カロリーが高くなりがちなので、むしろ体重増加の傾向に。
そこで食事の際に、太らないように気を使うべきなのはカロリー。1時間歩いて消費されるカロリーは、おにぎり1個と同等です。ならば1時間歩くよりも、おにぎり1個分のカロリーを減らすほうがラクで、長く続けられます。
つまり痩せたい人が体重管理を行う時には、食事面に重きをおくことが最重要です。さらにスクワットのような運動も取り入れて、食事と運動の両輪で体重管理を行うのが理想です。ちなみにスクワットは、下半身の大きな筋肉をまとめて鍛えることができる、とても優れた運動。大きな筋肉を動かすとエネルギーの消費量もアップします。
また筋トレなどで体を動かすと内臓の動きも良くなりますので、筋肉を鍛えることは大人世代にとってメリットばかりです。
ドクターズスクワットとは?
さまざまあるエクササイズの中でも、スクワットはとにかく簡単!にもかかわらず、自己流でやると思っていたような効果が得られない、ということがあるようです。
「ドクターズスクワット」は、筋肉ドクターのニックネームを持つ吉原さんが考案。上から下にしゃがむ通常のスクワットよりも、下から上へ立ち上がる方が高低差をしっかり保ててエネルギーを要すという事実に気づき、医師ならでは視点で開発された、最大限の効果を生む“究極のスクワット”です。
おすすめしたい方は?
運動不足や加齢によって筋肉量や筋力は低下します。特にシニア世代は運動器の機能の低下により移動機能(歩くなど)が低下する症状である「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」に気をつけていただきたいです。症状があるのに自覚されていない方が多く、危惧されています。
60代、70代の方の“今歩けるからこの先も大丈夫”は思い込みに過ぎません。運動器の機能は徐々に低下しますから、今から運動習慣を身につけたいものです。
以下に当てはまる方は、特に注意が必要です。
- デスクワークが中心の方
- 下半身を引き締めたい方
- 足腰の衰えを感じている方
- 運動不足を気にしている方
- 運動が苦手な方
- 体重を減らしたい方
- 中年期以降
一般的なスクワットとの違い
まずは一般的なスクワットを思い出してみてください。背筋をのばしたまま腰を落とすのですが、前かがみになりすぎたり、膝とつま先の位置に気を使ったり、正しいフォームがわからない方が多いようです。スクワットの盲点は、人によってはしゃがみが浅くなり高さにロスがあること。ドクターズスクワットは「しゃがんだ状態から立ち上がる」という、順番が逆のスクワット。出発点が違うだけなのに、身体の上下動が大きく、運動の達成感も味わうことができます。
具体的にいうと「和式トイレのしゃがんだ状態から立ち上がる」動作と同じイメージ。下から上への動きは思った以上に軽く、単純に真上に立ち上がるだけなのでフォームを気にしなくて済みます。
一般的なスクワットとドクターズスクワットとで鍛える筋肉は同じです!
- 太ももの前に位置する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
- 太ももの裏側に位置するハムストリング
- お尻に位置する臀筋(でんきん)
- 背中の脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
実践!ドクターズスクワット
一般的なスクワットでは膝が前に出ることをNGとする場合もありますが、ドクターズスクワットは単純に「しゃがむ」「立つ」の2つのポーズを繰り返すだけ。しゃがんだところから立ち上がると、猫背になりにくく、自然と正しいフォームで行うことができるうえ、鍛えたい下半身や背中の筋肉にしっかりアプローチができます。手を前に出す理由は“やじろべえ”の原理。身体の前後のバランスが取りやすいのです。
① しゃがむ
足を肩幅に開き、つま先をやや外側に向ける。両腕を前に伸ばし、両手の平を下向きにして重ねる(手のひらはどちらが上でもOK)。背筋をまっすぐ伸ばすことを意識しつつ、0.5秒くらい姿勢を止める。
② 立つ
口から息を吐きながら、かかとを浮かせないように膝をしっかり伸ばして立ち上がる。胸を軽く前に突き出し、目線はまっすぐ前に。この状態から鼻から息を吸いながら①に戻る。
③ ①➡②を30秒間繰り返す。
1回30秒
1回30秒がドクターズスクワットの決め手。リズミカルに続けると、30秒で10回程度のスクワットができます。30秒は誰がやってもつらさを感じず、動きが雑にならないギリギリの運動時間。どうしても運動量に物足りなさを感じる場合は、1日2回以上行っても問題ありません。1回30秒という時間だけは必ず守りましょう。
毎日挑戦!
通常の筋トレは、毎日行わずに筋肉を休ませる日を設けたほうがいいともいわれますが、それは筋肉痛をもたらすような筋肉負荷が極端に高いトレーニングでの見解。
ドクターズスクワットは、毎日行うのがおすすめです。
ドクターズスクワットが習慣になるヒント
楽しくなければ運動は続きません。楽しみながら無理なく続けられる方法をご紹介します。
ながらドクターズスクワット
おすすめは“ながらドクターズスクワット”。日常生活の一部に取り入れる方法で、時間がない方や効率を重視する方におすすめです。。
●テレビCM中に…テレビCMの長さは15秒、または30秒。つまり1~2本のCMを目安にドクターズスクワットを行えば、1日のノルマを達成できます。
●電子レンジの待ち時間に…時間が確認できるレンジの温め時間もスクワットタイム!
●スマホを使う際に…スマホを見る時にドクターズスクワットを行う!そんなルーティンを決めてやり忘れを防止しましょう。
●洗濯物を干す時に…洗濯物干しの際のかがむ動作と連動させると習慣化しやすくなります。H3.シニア向けドクターズスクワット
立ち上がるのがキツくて続けられないという方もなかにはいるかもしれません。ドクターズスクワットを行う際に、「膝に手を当てる」だけでも動作がラクになります。
また足腰に不安を抱える高齢者の方は、転倒に注意。足元にふらつきを感じる方は、テーブルやイスにつかまって行いましょう。つかまってもつかまらなくてもなくても、効果にそれほど大きな差はありません。
ドクターズスクワットのさらなるメリット
スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれ、大きな筋肉とともに周囲の細かな筋肉も一度に刺激できるエクササイズです。筋肉を鍛えることのメリットは身体的、精神的にさまざまあります。
身体と心の健康をもたらす
スクワットをすると、筋肉内で乳酸物質が発生します。乳酸は筋肉を増やしたり、糖や脂質の代謝を促進する成長ホルモンの分泌を促す作用があります。さらに成長ホルモンは、免疫や認知機能を高めます。ただし加齢とともに成長ホルモンの分泌量は減少します。スクワットを行うことで成長ホルモンの分泌を刺激しましょう。
若々しさをもたらす
筋肉を鍛えている人は若々しい!その理由は「若返りホルモン」と呼ばれる「マイオカイン」にあるようです。マイオカインとは、筋肉から分泌されるホルモンの総称で、全身に良い影響を及ぼすと考えられています。下半身の筋肉が一気に動かされるとマイオカインを分泌します。このホルモンは解明されていないことも多いのですが、糖尿病などの疾患の予防にも役立つといわれています。
血糖値の上昇を抑える
食事から摂取した糖の上昇を抑えるため、食後30分がドクターズスクワットのゴールデンタイム!筋肉が糖を横取りし、食後の血糖値の上昇を抑えます。
中性脂肪を減らす
中性脂肪が増える主な原因は、「食べ過ぎ」や「運動不足」などの生活習慣です。運動不足だと中性脂肪が過剰になり、やがて内臓脂肪や皮下脂肪が増えるリスクが高まります。その解決もドクターズスクワットが近道です。
ひざ痛と腰痛にアプローチ
ひざ痛と腰痛の共通点は、関節の動きを支える筋力の低下。ドクターズスクワットでひざと腰の関節周りの筋力を高めて、痛みが出ない体を作りましょう。
もの忘れ予防に
スクワットで身体が動くのは、脳が指令を出し、その指令通りに筋肉が動くからです。運動時に感じた平衡感覚などは脳に伝えられ、神経細胞を刺激して興奮させます。そのため運動は、脳のはたらきを活性化させ、認知機能を高め、ひいては認知症の予防につながるのです。
効果をより早く出すための方法
たんぱく質を意識して摂取
筋肉の材料はたんぱく質。その推奨量は体重1㎏あたり約1gといわれ、体重60㎏ならば1日60gほどのたんぱく質摂取が必要です。例えばお肉の場合、重さがそのままたんぱく質の量ではないので、60gを摂るには最低300gを食べる必要があります。お肉以外にも豆腐などからもたんぱく質は摂取できますから、筋肉量を増やしたい方は、積極的にたんぱく質摂取を心がけましょう。
ウォーキングとセットで行う
ぽっこりお腹が気になる内臓脂肪型肥満の方に実践してほしいメニューが、筋トレ+有酸素運動です。ドクターズスクワットの後にウォーキングを組み合わせてみましょう。
ドクターズスクワットで脂肪にアタックする準備を整えて、有酸素運動のウォーキングで遊離脂肪酸を燃焼。ウォーキングの目安は1日20分程度が目安で、こま切れでも構いません。
姿勢を正す
姿勢の悪さは万病の元といわれます。“猫背”などの姿勢を見直すと見栄えが良くなるだけでなく、身体が疲れにくくなります。ドクターズスクワットで筋力を高めて正しい姿勢に戻ると、呼吸効率も良くなります。
太りやすくなった人、一生歩きたい人も日常に筋トレを
若い頃に運動していた方も、継続していなければ期限切れです。運動こそ「継続は力なり」なのです。ドクターズスクワットは歯磨きと一緒で、やり忘れを感じるようになったら、日常生活の一部になったサインです。筋肉は人を元気にしますから、ドクターズスクワットを習慣化するとエスカレーターから階段に、どんどん行動が好転していきます。冬太りが残っている方から、一生歩ける人でいたい方までドクターズスクワットを習慣にしましょう。
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