みずみずしくて甘い、冬の白菜。美味しくてヘルシーな「発酵白菜」を仕込んでみませんか?
「発酵白菜」と聞くと、なんだか難しそう…と感じる方も多いかもしれません。しかし、実は自宅で簡単に作ることができる、身体に嬉しい発酵食品なのです。
今回は、発酵白菜の基本の作り方から、アレンジレシピまで、京都の人気店「発酵食堂カモシカ」を手掛ける関さん監修のもと、プロが教える失敗しない発酵白菜の作り方をご紹介します。
発酵白菜とはどんなもの?
「発酵白菜」は、白菜を塩漬けにし、乳酸菌の働きによって発酵させた保存食品です。発酵過程で白菜の水分が乳酸菌によって分解され、栄養価が向上するとともに、特有の酸味と風味が生まれます。
日本の白菜漬けや台湾の酸菜(ツァサイ)など、地域によってさまざまな味わいが楽しめるのも魅力で、家庭でも簡単に自分好みの発酵白菜を作ることができます。
白菜が持つ驚きの薬膳パワー
白菜は、古くから薬膳食材として重宝されてきた野菜です。中国では、古くから大根、豆腐とともに「養生三宝」と呼ばれるほど、その効能が認められています。
白菜は、体内の余分な熱を取り除き、胃腸の働きを整え、消化不良や便秘を改善する効果が期待できます。また、このほかにも、体内に溜まった老廃物を排出することで、肌荒れやむくみの改善、高血圧予防や、心を落ち着かせ、ストレス緩和に役立つと言われています。
発酵することでさらに高まる薬膳効果
白菜を発酵させることで、乳酸菌が生成され、栄養価がさらに高まります。乳酸菌は腸内環境を整える働きがあり、免疫力向上や便秘改善に役立つと言われています。発酵白菜は、食欲をそそる酸味と旨みが特徴で、ご飯のお供はもちろん、炒め物やスープなど、さまざまな料理に活用できます。
基本から学ぶ!失敗しない発酵白菜の作り方
発酵白菜作りは、一見難しく感じるかもしれませんが、実は意外と簡単です。プロのコツを押さえれば、誰でも美味しい発酵白菜を作ることができます。ここからは、京都の人気店「発酵食堂カモシカ」を営む関さんに、初心者でも失敗しない美味しい発酵白菜の作り方を教えていただきます。
発酵白菜を作る方法としては大きく二つあり、ひとつは「漬け物袋を使い、重石を使って漬ける」基本の方法、ふたつめは「保存瓶で塩水漬けにする」方法です。漬け物桶など専用の漬物容器を使うのが一般的ですが、少量作る場合は大きめの保存瓶などでも問題ありません。食べる量に合わせて容器を選びましょう。
白菜の選び方
まずは発酵白菜に使う白菜選びのポイントから。発酵白菜づくりに適した白菜は「新鮮」であること。発酵は、白菜に含まれる乳酸菌が糖分を分解して乳酸を作り出す過程です。新鮮な白菜ほど、乳酸菌が活発に働き、美味しく発酵が進みます。白菜を購入する際には、傷んでいる部分や変色している部分がないかを確認し、葉が張りのある白菜を選びましょう。
発酵の進み具合に影響があるため、農薬をできるだけ使用しないオーガニック白菜を選ぶのもポイントです。
①漬け物袋を使い、重石を使って漬ける方法
◆材料
- 白菜 1/4 (約400g)
- 塩 8g~16g (白菜の重量に対して2~4%量)
◆必要な道具
- 漬け物桶
- 白菜の重量の2~3倍の重さの重石+漬け物袋
白菜を切らずにヘタの部分に包丁をいれて手で割いて4分割にします。その状態で、ざぶざぶと水洗いし、しっかりと水気を拭き取りましょう。そして、そして、白菜全体に塩をまんべんなく擦り込むようにします。葉一枚一枚を丁寧にめくりながら、やさしく塩を擦り込んでいきます。
白菜を漬け物袋に入れた後、漬け物桶に入れ、袋の上から重石を乗せます。室温20℃前後の暗所で2晩ほど寝かすと、白菜の水分がじわじわと上がってきます。その間に乳酸菌が増えて発酵が進み、白菜漬けが完成します。
特に、芯の部分は水分が多いので、葉の部分よりも多めに塩を振るのがポイントです。塩を擦り込むことで、白菜から水分が引き出され、味が染み込みやすくなります。
②保存瓶で塩水漬けをする方法
◆材料
- 白菜 1/4 (約400g)
- 塩 8g~20g (白菜の重量に対して2~5%量)
◆必要な道具
- 大きめの保存瓶
- ビニール袋+水
白菜を切らずに水洗いし、白菜全体に塩をまんべんなく擦り込むようにします。洗った白菜を塩もみと同じ濃度の塩水の中に浸けていきます。お皿や水を入れた袋などで軽く重しをして、白菜が出ないようにします。室温20℃前後の暗所で1-2晩ほどおくと、美味しく発酵します。
白菜を塩水に浸けて発酵させる「塩水漬け」は、塩水の中に白菜を浸けるだけ。つまり韓国でよく食べられている「水キムチ」です。白菜が浮かないように、水を入れた袋などで軽く重しをするのがポイントです。発酵が進みやすくなります。白菜からの水分もでるので、漬けた時より少し水分も増します。
発酵初心者が気をつけたい注意点
誰でも手軽に作れる発酵白菜。発酵の魅力は、食材の旨みを最大限に引き出し、栄養価もアップすることですが、気を付けるべき注意点はあるのでしょうか。
ここからは、発酵初心者さんが失敗なく美味しく作るための3つのポイントをご紹介します。
衛生管理
発酵食品作りで最も大切なのは、清潔な環境を保つことです。基本的な衛生管理を怠ると、雑菌が繁殖し、せっかく作った発酵白菜がダメになってしまう可能性があります。
包丁やまな板、容器などは、熱湯消毒を行い、料理の前後は必ず手を洗い、清潔な状態を保ちましょう。より衛生的に作業したい場合は、使い捨て手袋を使うのもおすすめです。
発酵中の観察を行う
発酵は、生きている微生物の働きによるもの。そのため、毎日様子を観察することが大切です。カビの発生や白菜の色が変色したり、変なにおいがしたりする場合は、廃棄しましょう。
また、発酵時間も重要です。レシピに記載された時間を目安にしつつ、白菜の状態を見ながら調整しましょう。発酵が不足すると、風味や食感が物足りなく、逆に発酵しすぎると酸味が強くなりすぎてしまうことがあります。
温度管理を徹底する
発酵が最も活発に行われるのは、一般的に25~40℃と言われています。温度が低すぎると発酵が遅くなり、高すぎると乳酸菌が死んでしまう可能性があります。夏場は冷蔵庫で管理するなど、温度に注意しましょう。冬場は暖かい場所で発酵させるため、保温対策を行う必要があります。温度管理をしっかりと行うと、美味しい発酵白菜を作ることができます。
1ヶ月以内には食べきる
発酵が進むと、酸味が強くなりすぎてしまうことがあります。好みはありますが、酸味が強すぎると、料理に使いにくくなったり、溶けやすくなったり、そのまま食べるのが辛く感じられることもあります。そのため、発酵白菜は1ヶ月以内を目安に食べきるようにしましょう。
【専門家監修】発酵白菜を用いたアレンジメニュー
せっかく作った発酵白菜でも、毎日同じメニューでは飽きてしまいますよね。発酵白菜は、そのまま食べるのはもちろん、さまざまな料理にアレンジして楽しめます。ここからは関さんに発酵白菜のアレンジメニューをご紹介していただきます。毎日でも飽きずに食べられる、新しい発酵白菜の食べ方をぜひ見つけてください。
キムチ
発酵白菜は、実はキムチの下漬けと同じ工程です。発酵白菜の水気をしっかり絞ってからヤンニョムを混ぜれば、自家製の白菜キムチを作ることも可能です。水気を切った白菜に唐辛子粉、ニンニク、生姜、砂糖、魚醤、白玉粉などを入れて混ぜて重石をして発酵させます。辛さは唐辛子粉の量で調整できるので、自分好みの自家製キムチが簡単に作れます。
餃子
発酵白菜を細かく刻んでしっかり絞れば、餃子の具材としても絶品です。発酵白菜を使用することで、塩もみの工程が不要になり、調理時間を短縮できます。発酵白菜に含まれるうま味成分や適度な塩味が餃子の具に深い旨味を加えてくれ、味わいに奥行きが出ます。
台湾風「酸っぱ鍋(酸菜白肉鍋)」
豚肉やキノコ、そして発酵した白菜を使って鍋料理にすれば、台湾風の「酸っぱ鍋(酸菜白肉鍋)」が楽しめます。豚バラ肉の脂っこさを発酵白菜の酸味でさっぱりと中和し、独特の旨みを味わえる美味しい鍋料理です。発酵白菜の酸味が強くなってからでも、豚バラでまろやかな味わいになるので、寒い季節におすすめです。
お好み焼き
キャベツの代わりとして使うと、ジューシーなお好み焼きに仕上がります。発酵白菜の水気を絞ってから使えば、食感もバランス良く仕上がります。さらに、発酵による栄養価の向上も期待できるという嬉しいメリットも。発酵白菜の酸味を生かすため、ポン酢しょうゆで食べるのもおすすめです。
この他にも、キムチの素が余っている場合は、豚肉と一緒に炒めて豚キムチにするのも手軽で美味しいですよ。発酵白菜は、さまざまな料理にアレンジ可能で、そのたびに違った味わいを楽しめるのでおすすめです。
まとめ:美味しく健康的な発酵白菜で食事をもっと楽しく
健康と美味しさを兼ね備えた発酵白菜。
シンプルな材料と手順で、美味しくヘルシーに作れるので、ぜひ食卓にプラスしたい一品です。正しい知識とちょっとしたコツさえ押さえれば、誰でも簡単に美味しく発酵白菜を作ることができます。この記事で紹介したレシピを参考に、あなただけのオリジナル発酵白菜を作ってみませんか?
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。