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【アイロンがけ職人が伝授】裏技満載!意外と知らないアイロンがけの基本とコツをマスターしよう

【アイロンがけ職人が伝授】裏技満載!意外と知らないアイロンがけの基本とコツをマスターしよう
樋山 正幸

監修者

アイロンがけ職人

樋山正幸

カタログやWebサイト、イベントなどで衣類やカーテン、寝具などさまざまなアイテムにアイロンをかける専門の職人として活動。1日100点以上を、長年培ってきた技術でスピーディーかつ綺麗に仕上げるアイロンがけのプロ。

「クリーニングに出したみたいに、自宅でも綺麗に仕上げるのはどうすればいいの?」 そう思ったことはありませんか?アイロンがけは意外と奥が深く、綺麗に仕上げるのが難しいと感じている方も多いはず。でも、基本的な知識やちょっとしたコツを押さえるだけで、プロのような美しい仕上がりを実現できるんです。

本記事では、「アイロンがけのプロ」が教える、アイロンをかける際のポイントを詳しく解説します。 このテクニックをマスターすれば、まるでクリーニング店で仕上げたような仕上がりになるはずです。

アイロンがけをする前にするべきこと

アイロンがけをする前にするべきこと

アイロンがけを綺麗に仕上げるためには、洗濯表示などを確認したり、アイロンをかける衣類の状態をチェックするなど、アイロンがけをする前にやるべきことを解説します。

洗濯表示を必ずチェック

まずは、衣類に付いている洗濯表示をチェックしましょう。衣類の素材によっては、アイロンの温度やスチームで傷んでしまう可能性があるため、初めてアイロンがけする衣類は必ず確認するようにしてください。

平成28年12月1日から衣類の洗濯表示がより詳しくなり、アイロンのマークの中に「・」がいくつあるかで、アイロンをかける際の適温が分かるようになっています。

旧表示の場合、マークの形や内容が異なるため、そちらの表示に従って取り扱ってください。

「・」点が1個の場合…110℃までの低温

「・」点が1個の場合…110℃までの低温

「・・」点が2個の場合…150℃までの中温

「・・」点が2個の場合…150℃までの中温

「・・・」点が3個の場合…200℃までの高温

「・・・」点が3個の場合…200℃までの高温

アイロンに✕マーク…アイロンがけはNG

アイロンに✕マーク…アイロンがけはNG

シワが多い時は一度湿らせる

長い間畳んでいてたくさん折りジワがついていたり、素材によってシワができやすいものなど、アイロンをかける前の状態はさまざまです。

アイロンをかけたい服にかなりシワがよっている場合、全てをアイロンで伸ばすのは大変ですよね。そんな時は一度洋服を水で濡らすとある程度のシワが伸び、その後のアイロンがけが楽になります。濡らす際は霧吹きを使用し、服が湿る程度にすれば十分です。全体にシワがあり、霧吹きでなかなか伸びない場合には、一度水に浸し、少し湿る程度まで乾かした後にアイロンをかけましょう。

必須アイテムをそろえよう

必須アイテムをそろえよう

アイロンがけの必須アイテムから、プロが推奨する「これがあったら便利」なものまで、きれいにシワを伸ばすためのアイテムをご紹介します。

アイロン

市販されているアイロンには主に2種類あります。最もシンプルなのが、熱と本体の重さで衣類のシワを伸ばす「ドライアイロン」です。


家庭でよく使用されているアイロンといえば、本体に入れた水でスチームを出せる「スチームアイロン」ではないでしょうか。コード付きのものか、充電して使用できるコードレスタイプの2種類がありますが、用途によってどちらを選ぶべきかは異なります。

コードレスは使い勝手がよく便利ですが、アイロンを衣類から離したときに温度がすぐに下がってしまうというデメリットがあります。枚数が多くない、一部分だけ使いたいという方であればコードレスでも問題ありませんが、ある程度の点数をかけたい場合は、常に一定の温度を維持してくれるコード付きの方がおすすめですね。

アイロン台

アイロン台は、衣類を平らに保ち、効率的にアイロンがけができるようにするためのものです。アイロンの熱を逃がし、衣類を焦がしてしまうのを防ぐ役割もあります。

アイロン台は面積が大きい方がかけやすいため、四角い平型のものがあれば十分ですが、スラックスなどのパンツ類やYシャツのアイロンがけを多くする方は、それぞれ形状に適したアイロン台がおすすめです。

袖用のアイロン台である「袖馬」は、細長いYシャツなどの袖を通して立体的にアイロンがけができるので、仕上がりがより美しくなります。Yシャツのアイロンがけを多くする方は持っておくと便利かもしれません。また、アイロン台の脚付きの中で特におすすめなのが、脚が片方だけについていて、形状が「つ」の字になったもの(舟形のアイロン台など)。シャツ、スカート、パンツなどをアイロン台に着せたり、はかせた状態で回しながらかけられますし、面積もある程度大きいので、通常のアイロン台としても問題なく使用できるでしょう。

当て布

アイロンの当て布は、衣類を傷めることなくきれいに仕上げるために非常に重要なアイテムです。特に、デリケートな素材の衣類や、直接アイロンを当てると光沢が出てしまう素材の衣類には、当て布を使用するようにしましょう。市販されているアイロン用の当て布やアイロン本体に被せるタイプの物もありますが、自宅にある綿100%のハンカチやガーゼなどでも十分代用できます。

霧吹き

シワができやすい生地をしっかり伸ばす際、全体を湿らせるために使用します。

基本的には水のみの霧吹きスプレーを使うようにしてください。市販されているのり入のアイロン用のスプレーは、Yシャツなどパリッとさせたいものに使用するのは良いのですが、シミになる可能性もあるので目立たないところで試すなど注意が必要です。

アイロンがけの基本

アイロンがけの基本

アイロンのかけ方は衣類によって異なりますが、シワが伸びる仕組みやポイントをいくつか押さえておくと、アイロンがけをする際に役立ちます。

アイロンの熱を当ててシワが伸びた部分は、そこが冷えることによって固まり、シワがない状態を維持する、というのが基本の考え方です。なので、部分的に熱を当て、シワを伸ばして冷ます、を繰り返していけば、シワのない綺麗な状態になる、という仕組みですね。ただ、アイロンがけの最中に衣類を動かしていると、すでにアイロンをかけた場所に再度シワがついてしまったり何度も同じ場所をかけてしまったりと、なかなかうまくいかないことも多いと思います。タックが入っていたり装飾があったり、衣類によってアイロンのかけ方はさまざまですが、シワが綺麗になる仕組みを知っていると、かけ方にも工夫が生まれるはずです。

スチーム機能を使いこなす

「スチーム機能」とは、アイロン本体から高温の蒸気を噴出させる機能のことで、この蒸気の力で衣類の繊維を柔らかくし、シワを伸ばすことができますが、この機能をどんな素材に、どんなタイミングで使用するべきか、以外に知らない方が多いといいます。

アイロン不可の表示があるものや、毛足が長い素材(ファーやベロアなど)以外であれば、基本的にスチーム機能を使うのがおすすめです。何より蒸気が出るので、衣類を焦がすリスクを減らすことができます。お使いのアイロンによっては弱~強といった温度設定ができるかと思いますが、まずは弱で様子をみた方がいいですね。

【衣類別】まるでクリーニング店の仕上がり。アイロンがけのコツとポイント

【衣類別】まるでクリーニング店の仕上がり。アイロンがけのコツとポイント

ここからは、プロも実践しているアイロンをかける順番や押さえるべきポイントやちょっとした裏技などを衣類別に紹介していきます。

※かけ方は一例として紹介しています

Yシャツ

Yシャツ

アイロンがけが必要な洋服でまず思い浮かぶのがYシャツではないでしょうか?シワのないパりっとしたYシャツは、清潔感を演出するのにも重要な要素です。アイロンがけのプロである樋山さんがおすすめするYシャツにアイロンをかける際の手順と、押さえるべきポイントを教えてもらいました。

<樋山さんおすすめの手順>


  1. 脇の縫い目に沿ってアイロンをかけます。

  2. まずはタックが綺麗に仕上がるよう、袖口の部分だけかけます。その後、袖口以外の部分をかけますが、袖馬があれば通して回しながらかけ、肩の部分と襟首も袖馬の丸みを利用してアイロンを当てていきます。袖馬がない場合、袖口を押さえ、上に引っ張りながらふんわりとアイロンを当てます。
  3. 身頃部分
    身頃部分にアイロンをかけていきます。舟形のアイロン台がある場合はYシャツを着せ、胸、ポケット部分、背中部分などを回しながらアイロンをかけていくと、作業がスムーズに進められると思います。背中部分にタックがある場合、先にヨーク(肩から背中にかけての切り替え部分)をかけると綺麗なタックに仕上がります。
  4. 前立て
    ボタンとボタンホールがある場所が前立てです。先にボタンがある方を下にしてかけ、次にボタンホール側をかけていきます。

<ポイント>

Yシャツは“左右半分ずつに分ける”という手順でアイロンをかけるといいかもしれません。まず右半分をかけ、その間は左半分はたるませておく。反対に左半分をかけているときは右半分をたるませておく、といった具合ですすめると、最終的に綺麗な仕上がりになると思います。アイロンがけを仕事にしている私でも、Yシャツは平らなアイロン台だけでやろうとするととても難しいんですよね。なので、もしYシャツを頻繁にアイロンがけするという方は、ぜひ袖馬や舟形のアイロン台を取り入れてみてください。仕上がりが段違いで良くなるのでおすすめですよ。
また、ジャケットを着用する時期であれば、ジャケットから見える部分(襟や袖口、前立て)を重点的に綺麗に仕上げると、時短になっていいかもしれません。

スラックス

スラックス

パンツ類の中でも特にアイロンがけが必須なスラックスは、綺麗にセンターラインを入れるのが難しいと感じる人が少なくないはずです。

色が黒系のものはアイロンをかけるとテカりがでてしまうことがあるので、心配であれば当て布をしてください。また、スラックスで一番難しいのが、センターラインをアイロンで上手につけること。前だけにラインがあるもの、前後両方にあっても前と後ろが非対称だったりと、ものによってさまざまですが、前後両方にラインがある場合、いっぺんに線をつけようとするのはNGです。まずは前だけの線をつけ、次に後の線をつける、といった具合に分けて作業すると線が2重になることもなく、綺麗に仕上がりますよ。

Tシャツ

Tシャツ

素材によってアイロンがけが必要なほどシワになってしまうのがTシャツです。特に綿100%のものはシワになりやすいですが、シンプルなものであればほぼ平面なので、比較的簡単にアイロンがけができます。

Tシャツはまず最初に袖の部分から始めます。ただ、袖の形状に沿ってアイロンをすると折り目がついてしまいますよね。より綺麗にするには、まず折り目の部分を広げ、その部分だけ先にアイロンをかけると線が入らず仕上がります。その後は全体をかけても大丈夫ですが、もしプリントや装飾があるものならあて布をした方が安心です。また、脇の内側にタグがついていることが多いと思いますが、一緒にTシャツの上から押し当ててしまうと、タグの形が浮き出てしまうことがあるので、タグをずらしてアイロンをかけると綺麗に仕上がりますね。これはTシャツに限らずいえることなので、細かい部分まで気になる方はぜひ実践してみてください。

ニット

ニット

シャツやパンツ類に比べて取り扱いが難しいと感じるニットは、アイロンがけもどのようにしたら良いのか迷いがちですが、比較的簡単にシワが伸ばせる衣類の一つだといいます。

ニットは直接アイロンを当てず、アイロンを浮かせながらかける「浮かしがけ」がおすすめです。その際もスチームをふくませると、繊維がふくらんで、乾いたときに形が整います。
一点注意が必要なのが、アイロンがけしたニットをそのままハンガーに掛けてしまうと肩の部分にハンガーの跡がついて型崩れしてしまいます。どうしてもハンガーにかけたい場合は、袖を肩の部分に引っ掛けるなどして、重さで下がらないようにしましょう。

最後に一工夫。アイロンをかけた後にするべきこと

アイロンをかけた後は、衣類に湿気や熱が残っている場合があります。この状態で動かしたり着用すると、再びシワがつきやすくなるため、注意が必要です。アイロンをかけた後はすぐに動かさず、衣類がしっかりと冷え、湿気が抜けたことを確認してから着るようにしましょう。

また、アイロンをかけ終わった衣類は、早めにハンガーにかけるのがおすすめです。ハンガーにかけることで、衣類に残った湿気や熱が効率よく逃げ、シワがつくのを防ぐことができます。これにより、仕上がりをきれいな状態で保つことができます。

まとめ:きれいな仕上がりでアイロンがけを楽しい時間に

まとめ:きれいな仕上がりでアイロンがけを楽しい時間に

アイロンがけが上達すれば、今まで義務感にかられていた作業が楽しいものに変わるかもしれません。

アイロンがけに正解はありません。自分なりにかけ方を工夫したり、こうやったら綺麗になるかな、といった感じで試行錯誤しながら成功体験を積み重ねていくことが大切です。マニュアル通りでなくても、自分にあったやり方を見出して、アイロンがけを楽しい時間にしてもらいたいですね。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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