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高カカオチョコレートとは?効能や選び方を紹介

高カカオチョコレートとは?効能や選び方を紹介
藤田 康子

執筆者

日本チョコレート・ココア協会 事務局長代理

藤田 康子

チョコレート・ココアの製造者の団体「日本チョコレート・ココア協会」は、今年で29回目を迎える「チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム」や展示会などを開催し、チョコレート・ココアの普及・消費促進のための広報活動などを行っている。

「高(ハイ)カカオチョコレート」は、栄養成分が豊富で、健康効果が期待できるといわれています。ブームの後に人気が定着し、最近ではカカオ70%、80%、90%以上の高カカオチョコレートがスーパーやコンビニなどで手軽に手に入るようになりました。健康の観点からもますます注目の高まる高カカオチョコレートについて、日本チョコレート・ココア協会の藤田さんに教えていただきました。

高カカオチョコレートとは?

高カカオチョコレートとは?

甘くて美味しいだけがチョコレートの魅力ではありません。最近では“ストレス低減”や“脂肪や糖の吸収を抑える”などの作用をもたらす、機能性表示食品としてのチョコレートも数多く登場しています。中でも健康高感度層に人気なのが、「高(ハイ)カカオチョコレート」です。

チョコレートにはカカオ分を21%以上含む「チョコレート」と、カカオ分7%以上を含む「準チョコレート」の2種類に分類されます。高カカオチョコレートと呼ばれるものに明確な定義はなく、カカオ由来の含有率が70%以上のチョコレートを指すことが多いようです

高カカオチョコレートは全体的に甘さを抑えたビターな味わいで、カカオ豆特有の風味を楽しめることも人気の理由になっています。

カカオ豆の栽培について

チョコレートの主原料であるカカオ豆は、“カカオベルト”と呼ばれる赤道付近の地域で主に栽培されてきました。最近は土壌づくりからこだわった有機(オーガニック)カカオ豆が原料の高カカオチョコレートも多く出回っていますが、一般的なカカオ豆から作られる高カカオチョコレートと品質に大きな差はないと考えられています。

チョコレートができるまで

一般的なチョコレートと高カカオチョコレートとで製造過程に変わりはありません

まずカカオ豆の薄皮を取り除き、その茶色い豆を砕くと「カカオニブ」が出来上がります。それを炒ってすり潰し、ドロドロの形状になったものを「カカオマス」と呼びます。そこにカカオ由来のココアパウダーやココアバター、砂糖、ミルクなどを混ぜ合わせてチョコレートが完成します。

チョコレートの成分と効果

チョコレートの成分と効果

これまで食品や飲料として親しまれてきたチョコレートの歴史は3000年以上といわれています。

近年はチョコレートの研究がすすみ、美容や健康効果に関する報告が多数あります。

【チョコレートの代表的な成分】

カカオポリフェノールフラバノールとも呼ばれる、カカオ豆に含まれる代表的な栄養成分。赤ワインやお茶などにも含まれているが、チョコレートのほうが豊富。
テオブロミンカフェインに似た働きを持つ、チョコレート苦味成分。自然界でテオブロミンを含むのはほぼカカオ豆のみ。
食物繊維チョコレートのカカオマスはリグニンという水に溶けにくい不溶性食物繊維を豊富に含有。ただしカカオの産地や収穫時期によって、その量は異なるといわれている。
脂質カカオ豆の約50%は、“ココアバター”と呼ばれる脂肪分で構成されており、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの成分を含む。
カフェインアルカロイドという化合物の一種。高カカオチョコレート(25g)のカフェイン量は意外に少なく、レギュラーコーヒー1杯に含まれる5分の1程度。

チョコレートには他にも、タンパク質、糖質、ミネラル類などが含まれています。カカオの含有量が豊富な高カカオチョコレートは、より頼もしい働きかけが期待できるといえそうです。

抗酸化作用

チョコレート・ココアに含まれているカカオポリフェノールは、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用に優れています。この作用によって、コレステロール値の改善、高血圧の予防、疲労回復、精神の安定、動脈硬化の予防、肌の老化防止など、幅広い効果が期待できます。

脂肪蓄積の予防

甘いものを食べると太るというイメージがありますが、チョコレートの苦味成分のテオブロミンには脂肪分解作用があるうえ、脂肪分のステアリン酸は体脂肪として蓄えられにくい性質を持っています。また、糖質を減らす“ローカーボ”を意識する食事と高カカオチョコレートの長期摂取で、抗肥満効果が期待できるという研究報告があります

脳の活性化

カカオポリフェノールは、加齢とともに減少する脳の重要な成分BDNF(脳由来神経栄養因子)(脳由来神経栄養因子)に働きかけるといわれています。

ストレス改善

チョコレートの独特な香りやテオブロミンには、脳に刺激を与え、リラックス感をもたらす作用があります。特に高カカオチョコレートを食べることで、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの働きを抑え、ストレス軽減に役立つといわれています。

便通改善

腸の蠕動運動を活発化する食物繊維を多く含むチョコレートは、便秘の解消にも役立ちます。

冷え性改善

飲むチョコレート=ココアには血流を良くし、冷え性改善効果が認められています。テオブロミンが血管を拡張させ、血流を増やすことで体温を上昇させるのです。

ちなみにココアとホットチョコレートは基本的に厳密な違いはなく、基本的に同じものです。

高カカオチョコレートの食べ方

高カカオチョコレートの食べ方

チョコレートを食べすぎれば肥満につながることもありますし、高カカオチョコレートをたくさん食べれば健康になるというわけでもありません。では、どれくらいの量をどのように食べるのがいいのでしょうか?

適切な摂取量

厚生労働省・農林水産省の「食事バランスガイド」によると、チョコレートなど菓子・嗜好飲料の目安は1日200kcal程度。板チョコレートで換算すると、1日あたり35gくらいが適量です。

カカオポリフェノールの抗酸化作用を期待する場合は、ビターチョコレートを1日5~10gを毎日食べ続けることがおすすめです。板チョコレートにおきかえると、1,2片くらいが目安です。

食べるタイミング

チョコレートは嗜好品のため、食べたいときに食べるのがいちばんです。

ただし、身体の抗酸化作用を維持するために高カカオチョコレートを食べる場合は、まとめて一気に食べるよりも、1日数回、時間を置いて少量ずつ食べるようにしましょう。チョコレートの抗酸化作用はあまり持続性がないため、こまめに食べることが大切なのです。

苦味が気になるときの食べ方

甘さを抑えた高カカオチョコレートは、初めて食べたときに「苦い」と感じる方も多いでしょう。特にカカオの量が多いほど苦味は強くなります。高カカオチョコレートの苦味が気になる方は、ビターチョコレートの摂取から始めてみるのがおすすめです。

摂取する際の注意点

摂取する際の注意点

​​チョコレートを食べ過ぎると、「鼻血がでる」「ニキビができる」というのは俗説です。ただし注意も必要。摂取する際の注意点をみていきましょう。

食べ過ぎに注意

高カカオチョコレートは一般的なチョコレートよりも、利尿作用、興奮作用などがあるカフェインやテオブロミンといった刺激になる成分をやや多めに含まれるため、食べ過ぎには気を付けましょう。カカオの脂質は良質で太りにくいといわれていますが、カカオの含有量が多い高カカオチョコレートは、その分脂質が多く、一般的なチョコレートより1.2~1.5倍の量を含むものもあります。

保存場所に注意

チョコレートは賞味期限が長い食品ですが、油脂が入っているのでどうしても酸化が気になります。長期保存を避け、早めに食べきるようにしましょう。

もちろん高温での保管もNGです。チョコレートが溶けて冷えて再び固まると、表面が白っぽくなる“ブルーム現象”が起こることがあります。食べても問題はありませんが、チョコレート本来の品質を保つためにも涼しい場所で保管しましょう。

妊娠中は控えめに

チョコレートは少量ですが、カフェインを含んでいます。妊婦、小児は、過度な摂取は控えたほうがいいでしょう。

高カカオチョコレートを試してみよう

高カカオチョコレートを試してみよう

さまざまな健康効果があるとされる高カカオチョコレートではありますが、あくまで嗜好品です。カカオの配合濃度でも味わいが異なりますが、主成分であるカカオ豆の産地や育てられた環境でも特徴が生まれます。カカオ豆本来の風味を体感できる高カカオチョコレートを選ぶ際は、ワインやコーヒーを楽しむように、「どんな味・香りなのか」を意識してみてください。色々な高カカオチョコレートを試しながらお気に入りを見つけてみましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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