近年、環境問題への関心の高まりから、「サステナブルな暮らし」が注目されています。使い捨てプラスチックの削減や、エコバッグの利用など、日々の生活の中で環境に配慮した行動を心がけている方も多いのではないでしょうか。
そんなサステナブルな暮らしに役立つアイテムとして、今再び注目を集めているのが「風呂敷」です。風呂敷は、一枚の布でありながら、包む、運ぶ、飾るなど、さまざまな用途に使える万能アイテム。日本の伝統文化である風呂敷は、その機能性や美しさだけでなく、環境に優しいという点でも優れています。
本記事では、風呂敷の基本的な使い方から、現代のライフスタイルに合わせた活用法まで、幅広くご紹介します。風呂敷を暮らしに取り入れて、サステナブルでおしゃれな生活を始めませんか?
いま風呂敷が見直されている理由とは?

近年、風呂敷が再び注目を集めています。かつては日常的に使われていた風呂敷ですが、現代においてなぜ見直されているのでしょうか?その背景には、環境問題への意識の高まりや、日本文化への再評価など、さまざまな要因がありそうです。
サステナブルな暮らしへの関心の高まり
使い捨てのプラスチック製品が環境に与える影響が問題視される中、風呂敷は繰り返し使用できるため、廃棄物を減らす助けになります。エコバッグやラッピングとしても活用でき、何度でも使える風呂敷は、使い捨て文化に頼らない選択肢として注目されています。
近年、人や社会、地域、環境などに優しいモノを選ぶ「エシカル」や環境を守りつつ持続可能な状態を作る「サステナブル」といった言葉が日常的に使われるようになりました。特に2020年のレジ袋有料化後、多くの人々が積極的にエコバッグを使うようになり、エコ意識がさらに日常生活に浸透していったと感じます。それと同時に、風呂敷もこれまでのようにお弁当を包む程度の非日常的な使い方から、日常生活にもっと寄り添った存在に変化してきたように思います。
多機能で便利
風呂敷は、エコバッグ、収納、プレゼント包装、さらには防災時の応急処置など、さまざまな用途に使える万能アイテムです。この柔軟性が、日常的に活用される理由となっています。
風呂敷は小さくたためて持ち運びが便利です。コロナ禍で衛生面への関心が高まる中、エコバッグへの意識の高まりをきっかけに、風呂敷をバッグとして活用する方が増えたと感じています。風呂敷は繰り返し洗え、清潔さを保てる点が大きな魅力となり、衛生面でのニーズにぴったり応えるアイテムなんです。
伝統文化の再評価

日本の伝統文化が再び注目を集める中で、風呂敷もその一つとして関心を集めています。さらに、近年の訪日外国人の増加により、風呂敷の魅力が国内外で改めて評価されています。
「かまわぬ」にも連日多くの外国人観光客の方に訪れていただいており、風呂敷は繰り返し使えるうえにデザイン性も高く、サステナブルな選択肢として注目されています。また、一枚の布で多彩な包み方ができる点も魅力のひとつで、実際にパフォーマンスを披露すると、その汎用性の高さに驚かれるお客様も多いですね。
おしゃれで映えるアイテム
デザインや色、素材のバリエーションが豊富で、おしゃれな風呂敷はSNSでも注目を集めています。使い方次第で、個性を表現できるアイテムとしても人気です。
用途に合わせて、私たちもデザインや生地の質感を変えてるんです。例えば、スカーフのように使いたい場合は、結んだときにふんわりとした仕上がりになるよう、より柔らかい生地を選ぶことをおすすめしています。また、通常風呂敷は裏側が染まらず白っぽくなりがちですが、結んだときにチラッと見えた裏側まで美しく見えるよう、特殊な染色技法を採用しているものもあります。こうした細部へのこだわりや、目に見えない部分の工夫にも注目してほしいですね。
風呂敷の基本を知ろう

風呂敷は、日本の伝統的な包み布で、さまざまな用途に活用できる万能アイテムです。その歴史は奈良時代にさかのぼり、江戸時代には銭湯で衣類を包むために使われるようになり、「風呂敷」という名前が定着したのだそう。
そんな風呂敷には、素材やサイズのバリエーションが豊富にあり、用途に応じたさまざまな包み方、結び方も存在します。それぞれの特徴や使い方について、詳しく見ていきましょう。
素材ごとの特徴
風呂敷にはさまざまな素材があり、それぞれに特徴や適した使い方があります。使用するシーンや目的に応じて、最適な素材を選んでみましょう。
- 綿:丈夫で日常使いに最適。エコバッグや収納用におすすめ。
- 絹:高級感があり、贈り物のラッピングやフォーマルな場面に適している。
- ポリエステル:軽くて撥水効果が高い。アウトドアにも使いやすい。
また、綿素材のなかでも、ハリがあるものは形が整いやすいバッグ包みに、やわらかいものは箱ものを包むのに適しています。
豊富なサイズ展開
用途に合わせて、様々なサイズの風呂敷を使い分けてみましょう。
50cm前後
お弁当やスープジャーを包んだり、バンダナとして頭に巻いたりもできます。また、ギフトラッピングとしてなら、ジャム程度の瓶が1、2個包めるサイズです。
70cm前後
ワインボトルを包むのに最適なサイズです。また、必要最低限のものが入るサイズのハンドバッグもつくることができます。
100cm以上
一升瓶が包める一番大きなサイズ。大きな荷物、エコバッグはもちろん、カフェテーブル用のテーブルクロスや目隠し用カーテンにもぴったりです。使い勝手が良いので一つ持っておくと便利です。
基本の包み方
風呂敷には大きく分けて3つの基本的な包み方があります。それぞれを使い分けることで、風呂敷の活用範囲が広がります。まずは、この3つの包み方をマスターして、風呂敷を上手に使いこなしましょう。
平包み
箱や書類などを最もシンプルに包むのが「平包み」です。結び目を作らず、風呂敷の端を折り込んで包むため、見た目がすっきりと美しく仕上がります。贈り物や重要な書類を包む際によく用いられ、改まった場面でも活用される包み方です。
1.風呂敷を広げ、包む物を中央に置く。

2.手前部分を上に折って包む物の下に入れ込む。

3.左右の布をしっかりと重ねる。

4.最後に上の部分を畳んで端を包むものの下に入れ込む。

完成

お使い包み
お使い包みは、風呂敷の端を結んで取っ手を作ることで、持ち運びしやすくする包み方です。持ち手ができるため、日常使いに適しており、お弁当を包む際によく用いられます。
1.風呂敷を広げ、包む物を中央に置く。

2.手前と奥の布をかぶせて包む。

3.左右の端を持ち上げ、しっかりと結ぶ。

完成

瓶包み
瓶をしっかりと包むため、安定感があり、持ち運びにも便利です。特にワインや日本酒の瓶を贈る際に使われることが多い包み方で、風呂敷の美しいデザインとともに、贈り物としても一層華やかになります。

- 風呂敷を広げ、瓶を中央に立てて置く。
- 対角線の両端を瓶の上部に持ってきて結ぶ。
- 残りの両端を交差させながら包み、正面で結ぶ。
- 上の布をさらに結んで、持ち手を作る。
基本の結び方
次に、風呂敷の基本となる2つの結び方を紹介します。これらの結び方を包み方と組み合わせることで、さまざまなバリエーションが広がります。
真結び
結び目がしっかりと固定され、解けにくいのが「真結び」です。しかし、解くときには簡単にほどけるため、非常に便利で実用的です。
1.風呂敷の左右の端を持ち、交差させる。

2.右側を後ろに回して折り込む。

3.右端を下からくぐらせて引き上げる。

4.右端を左手側に倒す。

5.左端を上から被せ、できた輪に下から通す

6.左右の端を引っ張り、結び目をしっかりと締め、形を整える。
両端を引いて完成

ひとつ結び(片結び)
その名の通り、風呂敷の角を単独で結ぶ方法です。この結び方は、風呂敷の片方の端を結ぶだけで簡単に締めることができるため、主にバッグなどを作る時に使われます。片結びは、結び目がしっかりとしており、開け閉めが簡単にできるのが特徴です。
1.風呂敷の端を三角に折りたたみ、その角で輪を作り、先端を中を通す。

2.角と元を引っ張りキュッと締める。

すぐに使える!風呂敷の便利な活用法

風呂敷は、一枚の布でありながら、包む、運ぶ、敷く、飾るなど、使い方次第で日常が豊かになる便利なアイテムですが、ここからは、すぐに活用できる風呂敷の便利な使い方をご紹介します。
バッグとして
風呂敷バッグは、結び方によってさまざまな形や大きさのバッグを作ることができます。基本的な結び方をマスターすれば、用途やファッションに合わせてアレンジが可能です。
基本の「しずく型バッグ」の作り方
1.風呂敷を裏返し、三角になるよう畳む。

2.両端をそれぞれひとつ結びにする。

3.内側から裏返し、結び目を内側に入れ込む。

4.頂点の部分を真結びにする。

完成

同じやり方で大きめの風呂敷(100cm以上)を使えば、エコバッグとして利用可能です。

また、「お使い包み」を応用することで、大きめの本などを収納できるバッグとしても活用できます。

プレゼントのラッピングに
紙や袋のラッピングと違い、何度でも使える風呂敷ラッピングは、環境にも優しく、見た目もおしゃれです。
ボトルなら「瓶包み」、箱なら「平包み」できれいに包め、そのまま相手にプレゼントすれば、包みも再利用できて二度うれしい贈り物になります。
生地の質感を活かして包む場合は、柔らかい生地を選ぶのがおすすめです。格式の高い場面で贈り物をする際には、やはりシルク素材が適していると思います。シーンに合わせて素材を選ぶことが大切ですね。
また、柄選びもシーンに合わせるとより特別感が増します。例えば、「麻の葉」模様は、麻の成長が早いことから縁起が良いとされ、昔から赤ちゃんの出産祝いなどに使われてきました。お祝いの席では、こうした伝統的な柄を選ぶのもおすすめです。
収納やインテリアにも活用
季節物の整理やインテリアとしての利用もおすすめ。季節感のある柄を取り入れるのも楽しさのひとつです。
- シーズンオフの服や小物を包んで保管して衣類収納に
- 棚や収納ボックスの目隠し布として活用

- カフェテーブルやラウンドテーブルのクロスとして

- クッションカバーとして

季節限定の家電は、ほこりを防ぐために風呂敷を活用するのがおすすめです。例えば、扇風機は羽根や細かい部分にほこりが溜まりやすいですが、本体部分に風呂敷をかけておけば、夏場に取り出した際もすぐに使えます。風呂敷は洗えば、また気持ちよく使えるので便利ですね。
また、風呂敷をタペストリーのように飾って楽しむ方もいらっしゃいます。インテリアとして取り入れるのも素敵な使い方のひとつですね。
アウトドアや旅行先持っていくと便利
大きめサイズのものであれば、レジャーシート代わりにも使えるので、ピクニックやビーチで活躍してくれます。レジャーシートはその用途に特化しているため便利ですが、使い終わると出番がなくなりがち。その点、風呂敷ならレジャーシートとして使った後も、さまざまな用途に活用できます。
また、スーツケースの荷物整理にも便利です。お土産が増えた時にもサッとバッグとして活用できるので、旅行先でも役立つアイテムといえるでしょう。
いざという時に役立つ!防災や緊急時の風呂敷活用術

風呂敷は緊急時にも役立つ便利なアイテムです。捻挫や骨折時の簡易的な固定帯として利用できたり、風呂敷でタオルを包めば簡易的な防災頭巾としても使えるため、万が一の際に役立ちます。
もちろん、専用の防災グッズが理想ですが、外出先で何も準備がない場合、風呂敷の使い方を知っていることでリスクを減らすことができるかもしれません。かさばらず持ち運びやすいので、普段からカバンや車に1枚入れておくと、いざという時に非常に役立ちます。
まとめ:風呂敷を日常に取り入れよう!

風呂敷は、エコで便利なアイテムとして、日常生活のさまざまなシーンで活躍します。エコバッグとして使ったり、贈り物のラッピングに活用したり、収納や旅行にも役立ちます。また、緊急時や防災時にも有用なアイテムです。使い方を工夫すれば、風呂敷一枚で多くのシーンに対応できるので、ぜひ日常に取り入れてみましょう。
風呂敷は、暮らしの名脇役であり、時には主役にもなるアイテムです。お話しした内容で、風呂敷の多彩な使い方やその可能性の広がりを実感いただけたのではないでしょうか。
風呂敷の使い方には、「こうでなければいけない」という固定観念はなく、自由に使える点が魅力です。また、繰り返し使えてエコで便利な点や伝統的な柄からポップな柄まで多彩なデザインがあることも大きな魅力ですね。もしかすると、「少し難しそう」と感じた方もいるかもしれませんが、もっと気軽に、日常生活の中で風呂敷を活用していただきたいと思います。
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