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リセールバリューとは?不動産価値の高い物件の選び方

リセールバリューとは?不動産価値の高い物件の選び方
豊嶋 泰匡 (株式会社Facilo Sales Executive)

監修者

株式会社Facilo Sales Executive

豊嶋 泰匡

大手不動産会社にて不動産仲介のマネージャーとして全社TOPセールスを複数回受賞。買取再販部門を責任者として立上げ、1棟事業用物件・区分マンションの仕入と再販を管轄。物件種別問わず契約・引渡し・リーシング等の不動産業務全般を経験。不動産実務を網羅的に経験した後、社内のSaaS部門へ異動し、不動産仲介会社向けプロダクトのセールスマネージャーとして事業成長に貢献。不動産仲介業のリード獲得から不動産査定、媒介獲得までの一連のプロセスを業務(リアル)とプロダクト(テクノロジー)を組み合わせ提案することによる顧客への価値提供を強みとし、2023年にはCEOアワード優秀賞を受賞。

不動産を購入する際、多くの人が重視するのは「資産価値」です。特に、将来的に売却する可能性がある場合、リセールバリュー(再販価値)の高い物件を選ぶことが重要になります。リセールバリューとは、購入した不動産が将来どれだけの価格で売却できるかを示す指標のこと。立地や建物の状態、市場の動向など、さまざまな要因によって決まります。

では、どのような物件が高いリセールバリューを維持できるのでしょうか?本記事では、不動産の価値を左右するポイントや、高く売れる物件の選び方について詳しく解説します。

不動産におけるリセールバリューとは?

不動産におけるリセールバリューとは?

リセールバリューとは、不動産を将来的に売却する際に期待される価格のことを指します。これは、特に居住目的および投資目的の両方で重要な指標です。不動産購入時にリセールバリューを意識することは、将来的な資産価値を維持し、ライフスタイルの変化に柔軟に対応するために重要です。

居住目的の場合

「住むだけだからリセールバリューは気にしなくてよいのでは?」という疑問を持たれる方もいるかもしれません。しかし、将来的に住み替えや家族構成の変化などで不動産を売却する可能性は十分にあります。今は想像がつかなくても、将来何が起きるかはわからないものです。

そうした際に、リセールバリューの高い物件であれば、売却益を得たり、売却によって得た資金を次の住まいの購入に充てたりすることができるのです。

投資目的の場合

投資目的で購入した不動産の場合、リセールバリューは収益性に大きく影響します。将来的な売却益だけでなく、賃貸需要の高さや空室リスクの低さもリセールバリューに影響するため、購入時から出口戦略を見据えた物件選びが重要です。

不動産におけるリセールバリューとは、購入した物件が将来売却される際の価値を指します。簡単に言えば、「再販時の価値がどの程度維持されるか、または上昇するか」という概念です。たとえば、新築時に7,000万円で購入した物件が、10年〜15年後に同じ7,000万円で売却できた場合、経年劣化や減価償却を考慮してもリセールバリューが高いと判断できます。さらに、もし売却価格が8,000万円や9,000万円に上昇していた場合は、価値が向上したと言えます。このように、購入時から売却時までの価格変動を考慮し、不動産の資産価値を測る指標となるのが「リセールバリュー」です。

リセールバリューを左右する3つの主要要因

リセールバリューを左右する3つの主要要因

リセールバリューは、主に以下の3つの要因によって左右されます。

  1. 立地(エリアの選び方)
  2. 物件のスペック(建物の質や間取り)
  3. 市場の動向と経済要因

これらの要因は、居住目的と投資目的でその重要度が異なります。

近年、「職住近接」という考え方が重視される中で、不動産を購入する際には、居住目的や投資目的のどちらの場合でも、多くの人が求める条件を満たす物件を選ぶことが重要です。たとえば、「駅から徒歩5分以内」「70㎡以上の間取り」「南向き」といった条件は、資産価値を維持しやすい傾向にあります。

立地

不動産購入において、将来の資産価値を左右する最も重要な要素のひとつが「立地」です。同じ物件でも、場所が異なればリセールバリューは大きく変わります。では、どのような立地を選ぶべきなのでしょうか?

居住目的で不動産を選ぶ場合、日々の生活の質と将来の資産価値を両立させることが重要です。駅近、商業施設、公園など、生活に必要な施設が揃っているエリアは、住みやすく人気も高いため、リセールバリューも高くなる傾向があります。特に、子育て世代にとっては、学校や公園の有無、治安の良さなどが重要なポイントとなります。また、将来的な家族構成の変化やライフスタイルの変化を考慮し、長く住み続けられるエリアを選ぶことが大切です。

一方、投資目的で不動産を選ぶ場合、安定した賃貸需要と将来的な価値の上昇を見据えることが重要です。たとえば、商業施設や公共交通機関へのアクセスが良いエリアは、賃貸需要が高く、空室リスクを抑えることができます。特に、駅近や大学周辺などは、単身者や学生からの需要が見込めます。また、開発が予定されているエリアや、人口が増加しているエリアは、賃貸需要の増加や、物件の価値の上昇が期待できます。街づくり計画を確認し、将来的な賃貸需要が見込めるエリアを選びましょう。

居住目的:快適な暮らしと将来の価値を両立させる投資目的:安定した収益と将来の成長を見据える
・生活利便性の高いエリアを選ぶ
・将来のライフスタイルを見据える
・将来の開発計画や人口動態をチェックする
・賃貸需要の高いエリアを選ぶ
・将来の開発計画や人口動態をチェックする
・駅近、商業施設へのアクセスが良いなど、賃貸需要の見込めるエリアが重要

リセールバリューを左右する主な要因のひとつに「立地」があります。駅近や商業施設・学校が近いエリア、さらには再開発が進んでいる地域は、高い資産価値を維持しやすい傾向があります。具体例として、豊洲エリアでは2007年頃には坪単価が200万円台だったものが、現在では400万〜600万円台まで上昇しました。同様に、川崎の武蔵小杉エリアや川崎エリアといった再開発が進む地域でも、不動産価格が大幅に上昇しています。

物件の間取り

不動産購入において、立地と同じくらい重要なのが「間取り」です。建物の間取りは、住み心地だけでなく、将来的な資産価値にも大きく影響します。では、どのような物件を選ぶべきなのでしょうか?

居住目的で不動産を選ぶ場合、日々の快適さと将来の安心を両立させることが重要です。内装や設備が新しく、質が良い物件は、住み心地が良いだけでなく、将来的な売却時にも高く評価されます。近年のリフォーム状況も確認し、メンテナンスが行き届いている物件を選びましょう。3LDKなど、一般的なファミリー層に使いやすい間取りは、需要が高く、リセールバリューも高くなる傾向があります。将来的な家族構成の変化も考慮し、柔軟に対応できる間取りを選ぶと良いでしょう。

投資目的で不動産を選ぶ場合、安定した賃貸需要と将来的な収益性を重視することが重要です。単身者向けならワンルームや1K、ファミリー層向けなら2LDKや3LDKなど、ターゲット層に合った間取りを選びましょう。インターネット無料、宅配ボックス、セキュリティシステムなど、入居者に人気の設備も導入されていると、空室リスクを軽減できます。

居住目的:快適な暮らしと将来の価値を両立させる投資目的:安定した収益と将来の成長を見据える
・内装や設備の質、リフォーム状況をチェックする
・家族構成に合った間取りを選ぶ
・資産価値の落ちにくい物件を選ぶ
・賃貸需要の高い間取りや設備を選ぶ
・安定した収益を生む物件を選ぶ
・建物の状態が良い物件を選ぶ

広さだけでなく、実は「間取り」もリセールバリューに大きく影響を与えます。たとえば、同じ70㎡の物件でも、使いにくい間取りと使いやすい間取りでは評価が大きく異なります。一般的によく売れる間取りとしては、中央に廊下があり、バルコニー側にリビング、玄関付近に洋室が配置されたものが挙げられます。このような汎用的な間取りは、多くの人にとって使いやすく、需要が安定しています。一方で、メゾネットタイプの物件などは、同じ広さでも内部に階段が含まれるため、実際に使える有効面積が狭くなる傾向があります。そのため、広告上では同じ70㎡と表記されていても、実際に内覧すると「思ったより狭い」と感じることがあるのです。

管理体制が整っているか

不動産を選ぶ際、立地や間取り、設備などに目が行きがちですが、実は「管理体制」もリセールバリューを大きく左右する重要な要素です。管理が行き届いていない物件は、将来的に資産価値が低下するリスクがあるため、購入前にしっかりと確認しておく必要があります。

特に注意すべきは「自主管理」の物件です。自主管理とは、住民自身がマンションの管理業務を行う方式で、管理会社に委託せず、住民が会計処理や修繕計画の策定などを分担して行います。一見すると管理費が抑えられるように思えますが、実は大きな落とし穴が潜んでいます。専門知識がない住民が管理を行うため、業務の負担が大きく、引き継ぎの問題や合意形成の難しさから、管理の質が低下しやすい傾向があります。

その結果、建物の維持・修繕が適切に行われず、資産価値が低下する要因になりかねません。管理体制は、日々の快適な暮らしを支えるだけでなく、将来の資産価値を守るためにも非常に重要です。購入を検討している物件の管理体制をしっかりと確認し、長期的な視点で安心して住み続けられる物件を選びましょう。

管理体制を確認するには、販売図面に記載されている管理方式をチェックしましょう。「全部委託」「一部委託」「自主管理」のいずれかが記載されており、特に「自主管理」と表記されている場合は注意が必要です。一般的に、管理会社にすべての業務を委託する「全部委託」の物件のほうが、長期的に安定した管理が期待できます。専門的な知識と経験を持つ管理会社が定期的な点検や修繕を行うため、建物の状態が良好に保たれやすく、資産価値も維持されやすいと言えます。

リセールバリューを考慮するなら?借地権付き物件の注意点

リセールバリューを考慮するなら?借地権付き物件の注意点

不動産購入を検討する際、一見安く見える物件に「借地権付き」と記載されていることがあります。借地権とは、土地の所有者(地主)から土地を借り、その上に建物を建てる権利のことです。マンションや戸建てには「所有権」と「借地権」の2種類の権利形態があり、借地権付き物件は土地の所有権を持たず、一定期間だけ土地を借りて建物を利用する形になります。借地権付きの物件は、土地の所有権がないため、ローンが組みにくいというデメリットがあります。

借地権の物件は存続期間が短くなると資産価値が下がりやすく、売却時に買い手が付きにくいことがあるため、リセールバリューを考慮するならば所有権付きの物件を選ぶほうが無難でしょう。不動産購入は、将来の生活設計にも大きく影響する重要な決断です。購入前に必ず確認を行い、不明点は仲介業者に問い合わせましょう。

まとめ: 将来を見据えた不動産購入のために

まとめ: 将来を見据えた不動産購入のために

不動産は、多くの方にとって人生で最も高額な買い物のひとつです。そのため、購入時には将来的な資産価値、つまりリセールバリューを意識することが非常に重要です。立地、物件のスペック、管理体制などを踏まえ、長期的な視点で物件を選ぶことが、リセールバリューを高めるための鍵となります。ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考にしてください。

不動産を購入する際に「将来的な売却」を意識している人は、実はそれほど多くないと感じています。居住目的や、投資目的でリセールバリューを重視する場合でも、最優先すべきは「将来的な買い手に選ばれやすい物件かどうか」という点です。ニーズは状況によって変動するため、最も資産価値を維持しやすい「多くの人に選ばれやすい間取りや管理体制」が整っている物件を選びましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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