「ゴルフをやってみたいけど、道具をそろえたり練習をするハードルが高い」と思っている方にぴったりなのが「フットゴルフ」という新しいスポーツです。ゴルフ場の美しい景色の中で、サッカーボールを蹴りながら仲間とワイワイ楽しめるフットゴルフは、運動不足解消やリフレッシュにも最適。
本記事では、フットゴルフの基本ルールや必要な道具、楽しみ方などを「日本フットゴルフ協会」の田村一人さんに解説していただきました。この記事を読めば、あなたもきっとフットゴルフを始めたくなるはず!
フットゴルフとは?

フットゴルフとは、サッカーボールを使ってゴルフのルールでプレーする新感覚のスポーツです。年齢や経験を問わず楽しめる手軽さから、世界中で注目を集めています。ここでは、フットゴルフの発祥や、日本での広まりについてご紹介します。
ゴルフとサッカーを融合させたスポーツ!
フットゴルフとは、サッカーとゴルフを融合させた新しいスポーツで、ゴルフコースを使用して、できるだけ少ないキック数でサッカーボールをカップに入れることを目指します。ゴルフの「コースマネジメント」や「戦略性」、サッカーの「体のバランス」や「キック技術」が求められるため、奥深い楽しみがあります。両スポーツのエッセンスを取り入れたフットゴルフは、従来のゴルフにはない新しい体験を提供してくれるでしょう。
フットゴルフの発祥はオランダ
サッカーボールでゴルフをする発想は以前からありましたが、競技として確立したのはオランダのミハエル・ヤンセンとバス・コルステンの2人です。彼らは、サッカー選手が練習後にロッカールームまで、いかに少ない回数でボールを蹴るかという遊びから着想を得て、2008年に初のフットゴルフ大会をオランダで開催しました。その後、初めての公式大会が開催され、徐々に世界中に広まり、2012年には初の国際大会「フットゴルフワールドカップ」がハンガリーで開催され、8カ国77名の競技者が参加しました。この競技は比較的新しいものながら、手軽なルールや年齢を問わず楽しめることから、急速に人気を高めています。
日本でも人気が高まっている
フットゴルフは日本でも近年注目を集めるようになり、急速に広がりを見せているスポーツです。2014年には「日本フットゴルフ協会」が設立され、普及活動が本格的に始まりました。協会主導のもとでルールの整備や大会の運営が進められ、国内でも徐々に競技としての認知が高まっています。現在では各地でイベントや大会が開催され、プロ選手による熱戦も見られるようになり、メディアで取り上げられる機会も増加。フットゴルフの魅力がより多くの人々に届くようになっています。
フットゴルフは“史上最速で世界に広まった新スポーツ”ともいわれています。特にサッカーとゴルフが根付いているヨーロッパやアメリカ、南米では広がりも早いですね。日本でも協会発足からわずか2年で賞金付きのツアーが開催されるなど、注目度が高まっています。正確なデータはないですが、国内でも年間で数万人がプレーしているといわれていて、認知度も人気も広がってきていると思います。
フットゴルフの基本を知ろう

フットゴルフをもっと楽しむためには、まずその基本を知ることが大切です。ここでは、フットゴルフのルールや必要な道具、マナーなど、初心者の方にもわかりやすく解説します。シンプルながら奥深いこのスポーツの魅力に触れ、きっと興味を持てるはずです。
プレーは本物のゴルフ場で
フットゴルフは、実際のゴルフ場を使って行うのが大きな特徴ですが、どのような使い方をするのでしょうか。
通常のゴルフ場は18ホールが通常ですが、1ホールの距離はかなり長いです。フットゴルフではゴルフの1ホールを2~3分割して、その中にフットゴルフ用のホールを設置します。
イメージとしては、ゴルフ場の約半分のスペースがあれば、フットゴルフのプレーが十分にできるという感じです。たとえば、ゴルフの9ホール分を使って、フットゴルフの18ホールを構成することが可能です。
プレー時間も移動距離も、ゴルフに比べてかなり短め。さらに、グリーン上には入らないように設計されていて、グリーン以外のエリアにフットゴルフ用の大きなホールが設けられています。
ルールも基本的にはゴルフに準じていて、それぞれのホールに「パー3」や「パー4」などが設定され、スコアの付け方もゴルフと同じ方式です。
使用するボールについて
フットゴルフを楽しむ際に最も重要な道具はサッカーボールです。通常、公式ルールに基づいて5号球を使用します。
フットゴルフのルール上、使用するボールはFIFA(国際サッカー連盟)の公式5号球とされています。つまり、一般的なサッカーボールと同じサイズのものを使います。特別なボールを用意する必要はなく、5号球であれば基本的に問題ありません。
服装やふるまいにもマナーがある
フットゴルフはゴルフ場を使うスポーツのため、服装やふるまいにも一定のマナーが求められます。気持ちよくプレーするためにも、基本的なルールとマナーを押さえておきましょう。
フットゴルフの服装は、基本的にプレーするゴルフ場のドレスコードが適用されます。10年の間に多少の変化はありますが、原則としてポロシャツや襟付きのシャツ、長ズボンまたは短パンの着用が求められます。Tシャツやデニム、サンダルなどはマナー違反とされるため注意が必要です。
靴については、サッカーのスパイクは芝を傷めてしまうためNG。基本的にはスニーカーや、フットサル用シューズ、サッカーのトレーニングシューズなど、裏面が平らで芝を傷つけないものが推奨されています。
また、プレーする場所はあくまで「ゴルフ場」。駐車場などコース外でボールを蹴ったり、リフティングをしたり、過度に賑やかに振る舞うのは他の利用者の迷惑になることもあります。ゴルフ場ならではのマナーを意識して、気持ちよく楽しむことが大切です。ボールを蹴るのはコースの中だけにしましょう。
フットゴルフのルールとプレー方法

フットゴルフを安全かつ楽しくプレーするためには、あらかじめルールを理解しておくことが大切です。ここでは、「日本フットゴルフ協会」が定める基本ルールをもとに、基本的なプレー方法について詳しくご紹介します。
基本のルール
・プレースタートとキックの方法
ティーエリアからボールを蹴ってスタートします。ボールは一挙動のみで動かします。ボールが完全に止まるまで、次のプレーを待ちます。
フットゴルフでは、「ボールは必ず蹴ってプレーする」ことが大原則です。足の裏で押したり、足をボールに乗せたまま転がすような動きは認められていません。サッカーのプレー中によく見かける、ボールに足をつけた状態でジワッと押し出すような動作もNGとされています。
キックの仕方には「飛ばす」「転がす」などの違いはあっても、いずれも“足で一挙動で蹴る”ことが求められます。
・プレーの順番やマナー
基本的にカップから一番遠い位置にいるプレーヤーが最初にボールを蹴ります。他のプレーヤーのキックやボールの妨げになる場合は、ボールをマークしたり持ち上げることができます。ボールはあるがままにプレーし、蹴る前にボールを動かしたり、障害物から動かしたりすることは認められていません。
・カップインとスコア
ボールが各ホールに設けられた直径50cmほどのカップに完全に入った時点でそのホールは終了です。蹴った回数(キック数)がスコアとなり、18ホール終了時点での合計スコアが少ない人が勝ちとなります。
プレー人数とプレー時間
フットゴルフには厳密な人数制限はありませんが、一般的にはゴルフと同じく「1組あたり4人」でプレーするのが主流です。これは大会でも普段のラウンドでもほぼ共通で、多くのプレイヤーがこの形式で楽しんでいます。
基本は個人戦としてプレーしますが、大会によってはチーム戦の形式が導入されることもあります。ただし、普段のラウンドでは個人でのプレーが基本。気の合う仲間とグループを組んで、和やかな雰囲気の中で楽しむスタイルが多く見られます。
また、プレー時間の目安は18ホールで約2時間程度。参加人数や混雑状況によって多少前後しますが、比較的テンポよく楽しめるのも魅力のひとつです。
どこでプレーできる?
全国にはフットゴルフ専用のコースや、時間帯限定でプレーできる施設があり、初心者でも気軽に楽しめます。
なかでも、日本フットゴルフ協会が認定する「公認コース」は、競技基準に沿った設計がなされており、安心してプレーできる環境が整っています。協会の公式サイトでは、公認コースの所在地や詳細情報を確認することが可能です。
プレーするためには原則として予約が必要なため、訪れる前に事前確認をおすすめします。
フットゴルフの魅力とは

サッカーの爽快感とゴルフの戦略性を融合したフットゴルフは、今注目の新感覚スポーツ。誰でも気軽に始められ、自然の中でのびのびと体を動かせるのが魅力です。この章では、そんなフットゴルフの楽しさや、幅広い世代に支持される理由についてご紹介します。
手軽に始められる
フットゴルフの魅力は、なんといってもその手軽さ。必要なのはサッカーボール一つだけ。ゴルフのように高価なクラブを揃える必要もなく、マナーにそった服装とスニーカーがあれば、すぐにプレーできます。ルールもシンプルで、ボールを蹴ってホールに入れるまでの回数を競うだけです。初めてでもすぐに楽しめる気軽さがあり、家族や友人と一緒に始めるスポーツとしてもぴったりです。
まったく運動をしてこなかった方や、別の競技をしていた方でも気軽にスタートでき、ルールもシンプルで始めやすいのが魅力です。実際に、現在日本代表として活躍している選手の中にも、かつては高校球児だった人もいるんですよ。サッカー経験ゼロから始めて、実力をつけて代表入りを果たす。そんなストーリーが生まれるのもフットゴルフならではです。
老若男女問わず楽しめる
フットゴルフは、サッカーのような激しい運動を必要とせず、年齢や性別を問わず誰でも楽しめます。小さな子どもからお年寄りまで、自分のペースでプレー可能で、身体能力よりもコントロール力や戦略が重要なので、経験を積むほど上達できます。また、友達や家族、会社の仲間など、幅広い層の方々と一緒に楽しむことができます。
ゴルフ場ならではの自然の中でプレーできる
フットゴルフは、手入れの行き届いた芝生の上で、開放感たっぷりの環境でプレーできます。コース内の木々や池、起伏のある地形が戦略性を高め、プレーがより面白くなるはずです。
鳥のさえずりや季節の風景を感じながら、リラックスしてスポーツを楽しみましょう。
ゴルフに馴染みのない人にとって、ゴルフ場はあまり訪れる機会のない場所かもしれません。手入れの行き届いた芝や自然に囲まれた静かな環境は、歩くだけでも心地よく、非日常の空間としての魅力があります。フットゴルフでは、そうした空間の中でプレーできるため、はじめて訪れた人にとっては新鮮な体験となりますよ。
まとめ:フットゴルフで新しいスポーツ体験を

本記事では、フットゴルフのルールや魅力を紹介しました。サッカーとゴルフの良さを融合したこのスポーツは、年齢や経験を問わず誰でも楽しめます。自然の中で仲間と気軽にプレーできる爽快感を、ぜひ一度体験してみてください。
フットゴルフは、新しいスポーツだからこそ、関わる人それぞれが自分なりの楽しみ方や関わり方を見つけられる魅力があります。元サッカー選手がセカンドキャリアとして取り組む例もあれば、まったくの未経験者が自然の中でのびのびとボールを蹴ることに新鮮さを感じることもあります。
まだプレーできる場所は限られていますが、特にこれからの季節は、自然の中で過ごす時間そのものが心地よい体験になりますよ。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。