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30代から節約から投資へシフトチェンジ!投資歴10年、堅実派・橋本マナミさんの資産形成術

物価の上昇や新NISAの登場で、資産運用に興味を持つ人が増えています。しかし、「失敗するかも」と不安で一歩踏み出せないケースも多いのではないでしょうか。

タレントの橋本マナミさんもその一人。20代の頃は「投資は難しそう」と地道に節約し、貯蓄をしてきたそう。けれど、30代になってから資産運用を始めて、意識に変化がありました。

13歳から芸能界でキャリアを築いた橋本さんに、結婚・出産など、さまざまなライフイベントを通じたお金との向き合い方と資産運用についてうかがいます。

《プロフィール》

橋本マナミさんの画像

橋本マナミさん

1984年8月8日生まれ。山形県出身。1997年、第7回全日本国民的美少女コンテストで演技部門賞を受賞。TVドラマや舞台、CMなどへ出演する。17歳で上京するも下積み時代が長く続き、習い事などで自己研鑽を続ける日々を送る。27歳ごろより大人びた印象のグラビアで人気を博し、28歳で発売した写真集「あいのしずく」が話題となる。その後、タレントとしてバラエティ番組などで活躍する。現在は活躍の場を大きく広げ、モデルや女優として雑誌やTVドラマ、舞台などに多数出演する。2019年に結婚し、現在は2児の母。

   

下積み時代は、ひたすら「自己投資」

13歳から芸能界で仕事を始めた橋本マナミさんですが、仕事で得たお金を自分で管理するようになったのはいつからですか?

17歳の頃ですね。山形から上京して一人暮らしを始めたんです。それまでのお給料は貯蓄していて、上京する時に母から渡してもらいました。

当時の「お金」の価値は、どういうものでしたか?

私の実家は裕福ではなかったので、お金をやりくりする大変さを身近に感じていました。学生時代は、友人と出かけるタイミングで必要なお金をもらう生活。お祭りに行ったら100円の綿あめを買うべきか、小銭を握りしめてずっと悩むタイプでしたね。

上京して一人暮らしがスタートすると、まとまったお金が入ったのでは…と思います。心境に変化はありましたか?

いえ、この頃はまだそんなにお金はなかったですね。家賃は事務所が払ってくれていましたが、売れているわけじゃないから東京で暮らすにはギリギリの生活でした。高校へ通う定期代も生活費から捻出するから、半分はなくなるんです。近所の青果店で野菜を安く買って、学校にお弁当を作って持って行きました。

その頃から手帳タイプの家計簿も付け始めて、独身時代はずっと続けましたね。結婚してからは、私だけの出費じゃなくなったので付けなくなりましたけど。

下積み時代は、ひたすら「自己投資」

高校卒業後もまだ仕事は少なくて。でも、時間がたっぷりあるので、習い事に通っていました。それも安くすむところを探して、区のカルチャーセンターなんかに行きました。話をするのが苦手だったからエッセイ講座とか。周りはおじいちゃんおばあちゃんしかいないから、何を書いても褒められました(笑)。実は、事務所からは「うちの方針とは異なる癖がつくから」と外部のワークショップは禁止されていたのですが、内緒で参加していました。

仕事関係の方たちから食事に誘われることもあったんですけど、それよりも習い事にお金を使いたくて。でも、顔は出したほうがいいかなって思って「何も食べないから、お金を払わなくてもいいですか?」って交渉して参加していました。

自己投資をしっかりするタイプだったんですね。

芸能界に入ってから自己投資という考え方を知って、自分に何が足りないのかを常に考えるようになりました。時間はたくさんあるけれど、友人は大学へ進学して遊んでくれないし、同じように芸能界に入っても飲み歩いているうちに太って辞めちゃった子もいたりして。それを反面教師にして自分を客観的に観察して、経験を積もうと必死でした。

ブレイク後、33歳で証券会社の門戸を叩く

長い下積み時代を経て、20代後半でグラビアの仕事を開始。そこで「国民の愛人」として大ブレイクします。物欲も出てきたのでは?

売れてすぐにお給料が高くなったわけではないので、数年は実感がわかなかったんです。少しずつ潤ってきたときにブランド品を購入したこともありましたけど、あまり興味が持てなくて。タンスの肥やしになっていたから、最近リサイクルショップで売りました。

今持っているブランド品は、自分が気に入ったものだけ。子どもがいると汚れるし、たくさん荷物が入る大型バッグが必要で、私も飽きちゃうから。積極的に購入することはなくなりました。

そうすると、売れてからも節約生活ですか?

そうですね。売れない時代が長かったから、「いつ仕事がなくなるかわからない」と不安で貯めていました。電車賃をなるべく抑えたくてちょっと遠回りでも交通費が安く済むルートを選んだり、片道1時間くらいならディスカウントストアで買った自転車で現場へ向かったり。

ブレイク後、33歳で証券会社の門戸を叩く(橋本マナミさん)
では、資産運用を始めようと思ったきっかけは?

30歳の頃、投資が得意なヘアメイクさんから、「自分が働くならお金も働かせたほうがいいよ」ってメイク中にささやかれるようになって。それでようやく「投資を考えてもいいのかな」って思い始めました。

でも、投資ってこわいイメージがあったんです。「知識がある人がやれば儲かるけど、素人が手を出したら失敗するものだ」って。だから、まずは保険料払込期間が5年間の元本保証型生命保険に入りました。

本格的に投資を始めたのはいつですか?

33歳の頃です。銀行にお金を貯めていても増えないことがわかって、友人も利用していた証券会社の窓口に立ち寄ってお願いしました。

当時は「損しても仕方がない」という気持ちで金額を決めて、担当者がすすめる個別株と投資信託に一気に投資しました。

「投資したお金が0になるハイリスクなものは避けて」とお願いして、海外の情勢や将来性を丁寧に説明してもらって納得したものを買いました。個別株を購入して、初めて配当金を手にしましたね。

でも、やっぱり証券会社も売りたい商品がありますから。すすめられて購入した株が急落したこともあります。それで、全部信じちゃいけないんだって学びました。

夫にも資産運用の大切さを伝えて

本格的に投資を始めた橋本さんは35歳で結婚しますが、パートナーとお金や資産運用について話し合いましたか?

話し合いました。でも、夫もお金を使うのはあまり好きじゃないタイプで、生活は大きく変わらなかったんです。誕生日プレゼントの予算も1万円までと決めていたし、今では送り合うこともなくなりました。夫に買ってもらった高級品って婚約指輪くらいですね。

もし私が浪費家の方と一緒にいたら、「もったいない!」って気持ちになるはず。自分のお金じゃないのに(笑)。だから、お金の価値観が似ているのは結婚生活に必須なんだと思います。

節約家の橋本さんですが、お金を使う「ここぞ!」というところはありますか?

子どもの教育や自分たちの習い事です。私はボイトレや演技のレッスンには惜しみなく使っています。あとは旅行。せっかくだからご褒美でちょっといいホテルを選んだりしています。

うちは夫と口座を分けていて、生活費や子どもにかかるお金も折半なんです。資産運用については、いつの間にか私も「お金も働かせたほうがいいよ」って夫にささやくようになりました(笑)。

夫にも資産運用の大切さを伝えて(橋本マナミさん)
ヘアメイクさんが橋本さんにささやいたように…。

夫は損をしたくないタイプだからそれまで投資をしたことがなかったんですけど、私があまりにもささやくから気になったみたいで。まずはいろんな本を読んで研究して、結婚して2年くらい経ってから始めました。最近は、同じ銘柄に投資して会話の種になっています。

橋本さんの資産運用に対する価値観も数年で大きく変わったんですね。肯定的に捉えられたきっかけは何ですか?

半導体メーカーの株で、資産がかなり増えた経験があるからです。株が下がると不安になってすぐに売っちゃうけど、当時はほとんどチェックせずにそのままにしていました。そうすると徐々に株価が上がっていったんですよね。

今では「若い頃から少額でも投資を始めたほうがいい」と思っています。投資で増えた資産がなかったら、自分の習い事もできなかったでしょうから。それからは投資の重要性が理解できて、小まめにチェックするようになりました。

大きな成功体験があると、つい熱中してつぎ込んだりしちゃいませんか?

こわいですよね。私は堅実なタイプなので、たくさん買おうとは思わないんです。何度も検討して、やっと少しだけ買うスタイルです。

夫にも資産運用の大切さを伝えて
個別株はどういう種類を購入されているんですか?

Apple、アマゾン、Visa、マイクロソフトなど、米国株の著名なIT銘柄が中心ですね。投資の比率は資産の3分の1くらいでしょうか。割合は増えましたけど、現金も残すようにしています。そうじゃないと、株価が下がった「買い時」に投資ができなくなりますから。なるべく利息が高い銀行に貯蓄しています。

あとは60歳以降、年金代わりに使う予定で生命保険にも加入しています。

「生命保険には加入せず、投資しろ」と言う専門家もいますが、橋本さんはどう考えていますか?

「投資に回したほうがいい」という気持ちもわかりますし、実際のところ、私も投資をはじめてからは生命保険の比率を少し減らしました。でも、生命保険は元本保証型だったら安定しているし、リスク分散と資産のポートフォリオを充実させる意味でも持っていて損はないかなと思っています。

橋本マナミさんの資産の変遷

情報は鵜吞みにせず、自分で判断する

子育てと仕事で忙しい中、資産運用に関する情報はどう仕入れていますか?

投資に詳しいヘアメイクさんに聞いたり、女子会で話題にしたりしますね。「先々週は株価が下落したけど、来週は上がってくるらしいよ」とか。

あとは夫が投資の本を読むので、その中から何冊かすすめてくれます。ほかにも、夫からは株に関わるニュースやおすすめ株がLINEで送られてくるんです。でも夫のすすめで買った株がずっとマイナスだったことがあって。「まだ素人さんだから信用できないな」ってスルーしています(笑)。

情報は鵜呑みにせず、自分で判断するんですね。

そうですね。経済番組やニュースサイトはそこまでチェックしないんですが、銘柄を検索して株価チャートを見たり、気になる銘柄を一覧でまとめておいて、判断しています。あとは投資された皆さんが書いた評価のコメントを参考にしたり。それでも「絶対に安心」というものはないので、難しいです。

これから挑戦したい投資はありますか?

ヘアメイクさんから「持ち株が偏っているからリスク分散したほうがいいよ」とアドバイスをいただいて、資産のポートフォリオを広げたいと考えています。たとえば、「有事の金」と言われるほど、不況のときにも価値が下がりにくい「金」の購入にも興味を持っています。

情報は鵜吞みにせず、自分で判断する
お子さんの金融教育についてはどう考えていますか?

上の子が4歳なんですけど、最近はお手伝いを頑張ったら10円をあげて、貯まったらお買い物するようになりました。そうやって、少しずつお金の価値を理解してくれたらうれしいです。

これから資産運用を始める方に、橋本さんがアドバイスするとしたら?

ネット証券口座を開設して個人で投資を始める方法もありますけど、最初は何を買えばいいかわからないんですよね。だから、手数料を多く支払うことになりますけど、専門家に相談しながらやるのもひとつだと思います。私の母もファイナンシャルプランナーの資格を持った方に相談して、60歳から投資を始めたんですよ。

これから資産運用を始める方に、橋本さんがアドバイスするとしたら?

そうですね。今すぐ資産を増やしたいわけじゃなければ、少額を投資して長い目で様子を見るのもアリだと思います。10年後には2倍になっていることもありますから。

私の資産運用も、放置が基本です。証券会社で投資をしていた頃はリスクが大きな株を買った経験があるんですけど、今はリスクがなるべく少ないものを選んでいます。リスクが高い株は小まめにチェックが必要ですが、低リスクであれば10年くらいのスパンで見ればいいかなって。

これから資産運用を始める方に、橋本さんがアドバイスするとしたら?

人任せでもいいですけど、世界の情勢や各国の政治家の発言なんかにも注目するようになるから、勉強になりますよ。何より、自分でやった方がおもしろいんです。私は自分で続けていく予定です。

最初は投資するのが不安だったけど、今は「若いうちから始めたほうがいい」とまで前向きに捉えられるようになりました。これも少しずつ自分で経験を積み重ねてきたからこそだと思いますから。

(取材・執筆協力=ゆきどっぐ 撮影=塩谷哲平 図版作成=サンノ 編集=ノオト)

一緒に学ぶ!知識ゼロからの資産形成 マネー研究会

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セゾンのマネー研究会

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