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スパイスってどう使う?香り引き立つスパイスカレーの作り方入門

スパイスってどう使う?香り引き立つスパイスカレーの作り方入門
スパイシー 丸山

監修者

スパイシー 丸山

北海道出身のカレー研究家で、カレーマイスター講師やナレーターとしても活動。テレビ出演や著書『東京スパイスカレーガイド』などで知られ、週10回以上カレーを食すほどの熱狂的なカレー愛好家。ブログやSNSでもスパイスカレーの魅力を発信している。

「スパイスカレー作ってみたいけど、スパイスの使い方がよくわからない…」そんな風に思っていませんか?


実はスパイスは、たった3つでも本格的な香りと味わいが出せる、身近で奥深い調味料。コツさえつかめば、誰でもおうちでお店のようなカレーが作れます。

本記事では、初心者でも迷わないように、スパイスの基本的な使い方や組み合わせ方、そしてシンプルなスパイスカレーの作り方をスパイスカレーを知り尽くす研究家、スパイシー丸山さんにお伺いしました。
 初めてでも失敗しにくい「スパイスカレー入門」、今日から始めてみませんか?

なぜ今スパイスカレーが人気なの?

なぜ今スパイスカレーが人気なの?

近年、専門店の増加やSNSでの広がりを背景に、スパイスカレーが注目を集めています。健康志向や多様な食スタイルへの対応、そして“自分好みに作れる自由さ”も、人気の理由のひとつです。では、なぜ今スパイスカレーなのか。その魅力を探ってみましょう。

健康志向&グルテンフリーで注目されている

市販のルーに比べて油分を控えやすく、小麦粉を使わずに作れることから、スパイスカレーはグルテンフリーを意識する方にも好まれています。体への負担を減らしつつ、スパイスの力で代謝促進や食欲増進も期待できるため、食事で体調を整えたいというニーズにもマッチ。味だけでなく“からだにやさしい”カレーとして、選ぶ方が増えています。

自分好みにアレンジできる“自由さ”が魅力

スパイスの種類や量を調整することで、辛さも香りも思い通りに仕上げられるのがスパイスカレーの面白さ。具材も肉・魚・豆・野菜など自由自在です。

魚を使ったカレーのように、市販のルーではなかなか作りにくい料理でも、スパイスを使えば驚くほど美味しく仕上がります。辛さの調整ができるのはもちろんのこと、お店のような本格的な味が意外と手軽に再現できる点も大きな魅力

例えばラーメンをスープから自宅で作るのはかなりハードルが高いですが、スパイスカレーは炒めて、水分を加えて、塩で整える、工程がシンプルなので、料理初心者にも非常にやさしい料理といえるでしょう。

発汗作用や代謝促進がクセになる!

スパイスに含まれる成分には、発汗作用や代謝促進、消化を助ける働きがあるとされており、食後にすっきりとした感覚や、体の軽さを実感する方も少なくありません。

とくに暑い季節や食欲が落ちたときには、スパイスの程よい刺激が内側から元気を引き出してくれるような感覚があり、クセになるという声も。

これだけでOK!基本のスパイスと使い方

スパイスカレーづくりに特別な知識や材料は必要ありません。まずそろえたいのは、クミン・コリアンダー・ターメリックの3種類。これだけで“カレーらしい”味がしっかり決まります。ここでは、基本スパイスの特徴と、初心者でも失敗しにくい使い方をご紹介します。

カレーの基本スパイス

スパイスカレーを作るのに欠かせない3大スパイスといえば、まず以下の3種類があげられます。

・ターメリックカレーの黄色を生み出すスパイス。独特の土っぽさとほんのり苦味があり、油で加熱すると甘い香りに変化します。見た目に華やかさを加えるだけでなく、炎症作用があるともいわれ、健康面でも注目されています。

クミン:スパイスカレーの香りの軸となる、最も“カレーらしい”香りを持つスパイス。炒めると香ばしさが立ち、料理全体の風味の軸になります。

・コリアンダー:パクチーの種を乾燥させたもので、爽やかでほのかに甘く、柑橘を思わせる香りが特徴。クセがなく、他のスパイスとのなじみもよいため、まとまりのある風味に仕上げてくれます。

まずはこの3種類のスパイスから揃えてみましょう。

スパイスは加えるタイミングがカギ

スパイスカレー作りでは、スパイスそのものよりも“加えるタイミング”が味を大きく左右します。ホールスパイス(粒)は、油で炒めて香りを立たせるのが基本。鍋に油をひいて加熱し、1分ほど炒めることで、豊かな香りが引き出されます。

一方、パウダースパイス(粉)は、玉ねぎやトマトを炒めてペースト状になった後に加えるのがポイント。焦がさず、香りを活かす絶妙なタイミングが、おいしさの決め手になります。

まずは“パウダースパイスだけでカレーを作ってみる”ことに慣れるのが大切です。ホールスパイスを使うと香りに深みは出ますが、最初からすべて揃えようとするとハードルが高く感じてしまうことも。基本のパウダースパイスを使って、少しずつ自分のペースで試していくのがおすすめです。慣れてきたら、次のステップとしてホールスパイスを取り入れていけばOK。無理なく続けることが、スパイスカレーの楽しさにつながります

他にもある、覚えておきたい香りづけスパイス

基本のスパイス3種(クミン・コリアンダー・ターメリック)だけでも“カレーらしい”味は作れますが、お店のような香り高い一皿を目指すなら、もうひと工夫をすると効果的です。

・シナモン:少量のシナモンを加えると、香りにふくよかな厚みと奥行きが生まれます。ほんのり甘くスパイシーな香りは、お店のような雰囲気を演出するのに効果的。ただし、好みが分かれるスパイスでもあり、入れすぎると風味が強く出すぎてしまうので注意が必要です。使うなら小さじ1/2程度からがおすすめ。

ガラムマサラ:シナモンやカルダモン、クローブなどをブレンドしたミックススパイスで、香りの“仕上げ”に使われます。基本のスパイスに加えるだけで、香りに厚みと奥行きが出て、ぐっとお店のような味わいに。初心者にも扱いやすい万能スパイスです。

・チリパウダーやカイエンペッパー:辛く仕上げたいときは、“辛み系スパイス”を加えるのが定番です。もし手元にない場合は、一味唐辛子でも代用可能。なお、七味唐辛子は他の香辛料がブレンドされているため辛さを足すだけなら一味を選ぶのが正解です。

・カルダモン:爽やかでスッと抜けるような清涼感のある香りが特徴。少量でも料理全体の印象を引き締め、スパイスカレーを一気に“お店の味”へと引き上げてくれる名脇役です。やや高価ではありますが、余裕があればぜひ取り入れてみたい存在。使用する時は小さじ2程度入れてみましょう。

・クローブ:クローブは甘さとスパイシーさを併せ持つ香りが特徴のスパイスで、カレーに加えると重厚感のある風味が生まれます。ただし香りが非常に強いため、入れすぎには注意。小さじ1/8ほどのごく少量で十分です。使いすぎると全体のバランスを崩すこともあるので、アクセントとして控えめに加えるのがコツです。

初心者でも作れる!基本のスパイスカレーレシピ

初心者でも作れる!基本のスパイスカレーレシピ

スパイシー丸山さんの数あるレシピの中から、今回ご紹介するのは、トマト・生姜・ニンニク不使用の“超お手軽キーマカレー”。スパイスカレーに挑戦してみたい初心者にもぴったりな、シンプルながら本格的な味わいが楽しめる一皿です。

簡単キーマカレー(3人前)

【材料】

  • 挽き肉(鶏・合挽きなど)…300g
  • 玉ねぎ(中)…1個
  • ケチャップ…45g(鍋に5周ほど)
  • 水…200cc
  • 塩…小さじ2/3(味を見て調整)
  • 油…大さじ3(キャノーラ油など)

【スパイス】

  • クミンパウダー…大さじ1
  • コリアンダーパウダー…大さじ1
  • ターメリックパウダー…大さじ1/2
  • 一味唐辛子…小さじ1/2

※より本格的にしたい場合は、ガラムマサラ大さじ1/2を追加するのもおすすめ。

【作り方】

  1. フライパンに油をひき、みじん切りにした玉ねぎを中火で8〜10分炒め、アメ色にする。
  2. スパイスとケチャップを加え、さらに1分炒める。
  3. 挽き肉を加え、全体になじむまで約5分炒める。
  4. 水を加えて5分ほど煮込む。
  5. 塩で味を整えたら完成!

【ポイント】

トマトやニンニク・生姜を使わず、ケチャップで代用することで材料をぐっとシンプルに。玉ねぎを炒めてスパイスとケチャップを加えたら、あとは挽き肉→水→煮込むだけ。スパイス初心者でも挑戦しやすく、少ない材料で本格的な味が楽しめる一品です。手軽に“スパイスカレーの第一歩”を踏み出したい方におすすめですよ。

スパイスをもっと楽しむ!日常使いのアイデアと活用法

スパイスをもっと楽しむ!日常使いのアイデアと活用法

いつもの食材にスパイスをひとふりすれば、たちまちインドの副菜やエスニック風の一皿に早変わり。スパイスはカレーだけでなく、日常の料理に気軽に取り入れて楽しめる万能アイテムです。

カレー以外にも使える、スパイスの簡単アレンジ

・玉ねぎにチリペッパー+レモン汁でアチャール風
薄切り玉ねぎをチリペッパーとレモン汁で和えるだけ。辛味と酸味がクセになる、インド風のさっぱり副菜に。

・キュウリ+クミン+レモンでカチュンバル風
ざく切り野菜にクミンとレモンを加えるだけで、爽やかな香りが広がるエスニックサラダに。カレーのお供にもぴったりです。

・ターメリックとニンニクでインド風の炒め物に
野菜や肉を炒めるときにターメリックとニンニクを加えるだけで、手軽にインド風の香り高い一品に仕上がります。

・ヨーグルトにクミンでライタ風
ライタとは、インド料理の副菜のひとつで、ヨーグルトをベースにした冷たいサラダやディップのような料理。ほんのりスパイシーで爽やかな味です。

・レトルトカレーにクミンやコリアンダーを後がけ

仕上げにスパイスをひとふりするだけで、レトルトでも香りが立ち、ワンランク上の味わいに。余ったスパイスの活用にもおすすめ。

スパイスの保存と使い切りのコツ

スパイスは基本的に冷蔵庫保存不要で、湿気のない常温保存でOK。100円ショップでも意外と揃えやすく、特にターメリック・クミン・ガラムマサラは置いてある確率が高めです。

あまりたくさん買いすぎず、まずは少量からスタートするのがおすすめです。せっかく気合を入れて揃えても、使わずに眠らせてしまったらもったいない。なるべく期限内に使い切れる量で、無理なく楽しむのが、スパイスを続けるコツです。

まとめ:スパイスカレーを日常に取り入れてみよう

スパイスカレーは、特別な道具もテクニックもいりません。基本のスパイスと、ちょっとしたコツを知るだけで、香り高く、自分好みの一皿を作ることができます。

日本人はもともと料理上手な方が多いと思うのですが、「スパイス」となると急にハードルが上がるように感じてしまう方も少なくありません。でも、実はそんなに難しく考えなくて大丈夫。日常の料理ができるスキルがあれば、粉を入れて炒めて煮込むだけで本格的な一皿になります。カレー粉のような感覚でまずは気軽に試してみてほしいですね。特別な技術がなくても、お店で食べるような料理が自分で作れる喜びは、スパイスカレーならではの魅力です。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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