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頭皮のベタつき改善に!専門家が教える今日からできる正しいケア方法

頭皮のベタつき改善に!専門家が教える今日からできる正しいケア方法
福田 令子 (花王株式会社 花王ヘアケア研究所 上席主任研究員)

監修者

花王株式会社 花王ヘアケア研究所 上席主任研究員

福田 令子

育毛研究開発を専門にするヘアケア研究員。サクセス/セグレタ等育毛剤開発、頭皮・頭髪基盤研究も行っている。

「夕方になると頭皮がベタついて不快」「シャンプーしてもすぐに髪がペタッとしてしまう…」そんな頭皮のベタつきに悩んでいませんか?頭皮のベタつきは、皮脂分泌のバランスが乱れているサインです。放置すると毛穴詰まりや臭いの原因となり、髪の健康にも悪影響を与えかねません。

この記事では、花王ヘアケア研究所 上席主任研究員の福田さんに取材のもと、頭皮がベタつく原因や、ベタつきやすい人の特徴、すぐにできる改善方法や、頭皮をベタつかせないためのお手入れ方法を詳しく解説していただきます。

そもそも、頭皮がベタつく原因とは?

そもそも、頭皮がベタつく原因とは?

頭皮がベタつくのは、「皮脂」と「汗」が主な原因です。特に、頭皮は全身で最も皮脂腺が多く、顔のTゾーンの2倍以上ともいわれています。そのため、皮脂の分泌量が非常に多く、汗と混ざることでベタつきやヌルつきといった不快な感触につながりやすくなります。

さらに、汗には塩分などの成分が含まれており、これもベタつきの原因となります。海水が肌に触れたときにベタつくのと似たような現象が、頭皮でも起きているというわけです。

福田さん:頭皮から分泌される皮脂には、液体状のものもあれば固形に近いものもあります。これらの皮脂は「油性」であるため、水やお湯だけでは落としきることができません。なので、一時話題になったシャンプーなどを使わず、お湯だけで髪を洗う「お湯シャン」では、皮脂や汚れを完全に除去するのは難しいといえます。

毛髪が頭皮のベタつきを加速させている

加えて、頭皮には髪の毛が密集しているため、分泌された皮脂や汗を髪の毛がキャッチし、頭皮付近に留めています。このように、頭皮は皮脂の分泌量が非常に多い上に、油性の汚れが落ちにくく、髪の毛によって汚れが残りやすいという、まさにベタつきやすい条件が揃っているのです。

季節によって、ベタつきが変わるのはなぜ?

季節によって、ベタつきが変わるのはなぜ?

皮脂は毛穴から分泌された後、頭皮全体へ広がり、やがて髪の毛へと移っていきます。上記は洗髪後3日間の皮脂の挙動を表したデータです。時間の経過とともにベタつきの範囲が広がり、より強く不快感を覚えるようになります。たとえば、夏は気温が高いため皮脂が柔らかくなりやすく、汗と混ざって髪に移行しやすくなります。その結果、頭全体がベタついているように感じることも。

一方で、冬は気温が低く皮脂が固まりやすくなるため、髪には移りにくくなるものの、頭皮に皮脂が溜まりやすくなる傾向があります。季節によって皮脂の「状態」や「移動のしやすさ」が違うことで季節ごとにベタつきの感じ方が異なるのです。

頭皮がベタつきやすい人の特徴

頭皮がベタつきやすい人の特徴

ベタつきが気になる人には、以下のような特徴が見られます。日常の習慣や体質、ストレスの影響など、さまざまな要因が関係しているため、自分に当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。

皮脂の分泌量が多い方

もともと皮脂の分泌が多い体質の人は、頭皮にも皮脂が溜まりやすく、ベタつきを感じやすい傾向があります。特に、「アンドロゲン(男性ホルモン)」は皮脂分泌に関与するので要注意です。男性は年齢を重ねても皮脂分泌が大きく減少しにくいため、女性よりもベタつきを感じやすいことがあります。

汗をかきやすい体質

汗をかきやすい体質の方は、頭皮付近の湿度が高まり、皮脂と混ざることでベタつきが増長されることがあります。緊張しやすい方や暑がりの方は、気づかないうちに汗を多くかいており、頭皮環境が乱れてベタつきやすくなっている可能性があります。

ストレスの蓄積や生活習慣が乱れている

ストレスがたまるとホルモンバランスが乱れ、「アンドロゲン」の分泌が活発になることがあります。そのため、皮脂の分泌が増え、頭皮がベタつきやすくなります。また、睡眠不足や偏った食生活といった生活習慣の乱れも、皮脂の過剰分泌や新陳代謝の乱れを引き起こす原因となります。

ちゃんと洗えていない

シャンプーの際に汚れや皮脂がしっかり落とせていないと、毛穴や髪の根元付近に皮脂が蓄積し、頭皮のベタつきやニオイの原因になります。洗い残しがあると雑菌も繁殖しやすくなるため、正しい洗髪方法でしっかり洗うことが大切です。シャンプーをつけて洗う時だけでなく、すすぎ流す際にも指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗うことを心がけましょう。

頭皮のベタつきを解消!今日からできる3つのケア方法

頭皮のベタつきを解消!今日からできる3つのケア方法

ベタつきの原因を正しく理解したら、毎日のケアで頭皮環境を整えていきましょう。

ここからは、正しいシャンプーの方法や、保湿&ケア、頭皮に優しい生活習慣について詳しくご紹介します。

頭皮トラブルを予防!正しいシャンプーの手順

頭皮トラブルを予防!正しいシャンプーの手順
(出典:花王ヘアケアサイト)

頭皮のベタつきやかゆみ、ニオイといったトラブルを防ぐには、毎日のシャンプーを見直すことが大切です。

まずは正しいシャンプーの手順から見ていきましょう。

1. 髪を濡らす前に絡まりをとく

髪がもつれていると、濡らしたときにさらに絡まりやすくなり、ダメージの原因に。洗う前に手ぐしや目の粗いブラシで軽くとかしておきましょう。

特に、スタイリング剤が多く残っている場合や、長期間洗髪できなかった場合は、頭皮に優しいクッションブラシで頭皮からとかすことで、皮脂や汚れが落ちやすくなります。

2. 髪と頭皮をしっかり濡らす

シャワーで髪の表面だけでなく、指で髪をかき分けながら頭皮までしっかり濡らします。こうすることでシャンプーがよく泡立ち、全体に行き渡りやすくなります。

3. シャンプーは「頭皮」につける

シャンプーは髪ではなく、頭皮につけることが大切。洗い残しが多い耳の後ろや襟足、後頭部を意識して、髪をかき分けながら頭皮に塗布しましょう。シャンプーは手のひらで軽く広げてから使うと、ムラなくなじませやすくなります。

4. 指の腹でやさしくマッサージするように洗う

爪を立てず、指の腹を使って小刻みに動かしながら頭皮全体を洗います。髪が長い場合は、泡で髪を包むようにして毛先までやさしく洗いましょう。

油性成分である皮脂は、水だけでは落としにくいため、シャンプーの洗浄成分の力を借りてしっかり洗い流すことが大切です。また、泡がクッションの役割を果たし、髪の摩擦ダメージも軽減してくれます。さらに、皮脂が溜まりすぎると菌の増殖を招き、ニオイやかゆみなどの原因にも。シャンプーブラシを使うと、指が届きにくい部分にもシャンプーをしっかりなじませることができて便利です。頭皮に軽く当て、左右にやさしく動かすのがコツです。

すすぎがカギ! 洗い残しがないように

すすぎがカギ! 洗い残しがないように
(出典:花王ヘアケアサイト)

頭皮や髪のベタつき、ニオイ、かゆみなどの悩みの原因は、「洗い方」だけではなく「すすぎ不足」にあることも。正しいシャンプー方法で、トラブルの少ない清潔な頭皮環境を目指しましょう。

① 耳のうしろは意外と見落としがちなポイント
髪が生えていないため、すすぎが甘くなりやすい部位ですが、実はすすぎ湯が流れる通り道でもあるため、汚れやシャンプーの成分が残りがちです。トラブルの原因にならないよう、手で触れながら丁寧にすすぐことを心がけましょう。

② 後頭部〜襟足・耳のうしろはすすぎ残し注意ゾーン
シャンプー中にずっと同じ姿勢でいると、お湯が届きにくく、すすぎ残しが起こりやすい場所です。首の角度を少し変えるだけでも、お湯が行き届きやすくなります。意識して動かしてみてください。

③ 頭皮をしっかり洗えていないと、トラブルの原因に
皮脂や脂肪酸などの油分が落としきれていないと、ニオイやベタつき、かゆみ、フケの原因になることがあります。シャンプーをしっかり泡立てて頭皮を洗った後、指の腹で優しく頭皮をマッサージするようにすすぎましょう。

④ すすぎ不足は、せっかくのシャンプー効果を台無しに
シャンプーがしっかり泡立っていても、すすぎが足りないと汚れや洗浄成分が頭皮に残ってしまいます。頭皮を触りながら、ぬるつきがなくなるまで念入りにすすぐのがポイントです。すすぎの時間は、洗っている時間と同じか、それ以上を目安にすると安心です。

皮脂のべたつきが特に気になる方は、毛穴まわりの皮脂までしっかり落とせるタイプのシャンプーで、丁寧に洗うのがおすすめです。毎日のシャンプーを丁寧に行うだけで、頭皮環境は大きく変わります。「頭皮を洗う」という意識を持って、今日から正しいシャンプー習慣をはじめましょう。

濡れたまま放置せず、根本からしっかり乾かす

濡れたまま放置せず、根本からしっかり乾かす
(画像提供:花王株式会社)

湿った状態が続くと、頭皮には常在しているマラセチア菌などの菌が繁殖しやすくなります。これが、かゆみ・フケ・ニオイなどのトラブルを引き起こすことも。だからこそ、髪を洗ったあとは根元からしっかりと乾かすことがとても大切です。

乾かす際のポイントは、ドライヤーの風を頭皮に直接当てるイメージで使うこと。反対側の手で髪をジグザグにかき分けながら、根元に風が届くようにすると、効率的に乾かすことができます。ショートヘアの場合は、毛先が丸いクッションブラシを使い、髪の生え際からつむじに向かって全体を丁寧にとかしていきます。

つい毛先ばかりを乾かしたくなりますが、実は根元がしっかり乾いていれば毛先も自然と乾きやすくなるため、まずは頭皮に集中しましょう。「濡れたまま放置」は絶対にNG。しっかり乾かすことが、清潔な頭皮環境づくりの第一歩です。

ドライシャンプーやケア用品を活用する

ドライシャンプーやケア用品を活用する
(画像提供:花王株式会社)
ドライシャンプーやケア用品を活用する2
(画像提供:花王株式会社)

日中、シャンプーをする時間がない時に便利なのが、ドライシャンプーやケアシートの活用です。シャンプーができない昼間でも、髪を整えたりするタイミングに合わせてドライシャンプーを使うことで、根元からの皮脂や汗を効果的に取り除き、髪を快適に保つことができます。

ドライシャンプーには、さっぱり感が得られるタイプや、髪をツヤツヤに仕上げるタイプ、スプレータイプやパチパチと弾ける感触でスッキリするタイプなど、さまざまな種類があるため、シーンに合わせて使い分けることができます。

ドライシャンプーの他にも活用していただきたいのがシャンプーブラシです。手のひらにフィットする持ちやすさや、頭皮を心地よくマッサージできる形状にこだわっています。髪の長い方には柔らかいタイプを選びましょう。頭皮のマッサージに適した製品は、頭皮の血行促進をしっかりと感じたい方に特におすすめです。ご自身の髪の長さや重視するポイントに合わせて選んでみてください。

ベタつきにサヨナラ!頭皮にまつわるQ&A

ベタつきにサヨナラ!頭皮にまつわるQ&A

頭皮は髪の健康を支える大切な部分ですが、意外と見落とされがちです。日常生活の中でのちょっとした疑問や、頭皮ケアに関する悩みは多いもの。ここでは、よくある頭皮に関する質問をピックアップし、丁寧に解説していきます。

Q.夏の強い紫外線、帽子はかぶりっぱなしで大丈夫?

帽子は、夏の強い紫外線から髪や頭皮を守るための大切なアイテムです。しかし、長時間かぶりっぱなしにしていると、帽子の中が蒸れてしまいます。すると頭皮の菌が繁殖しやすくなるため、頭皮環境が悪化する原因となることも。紫外線が強い外出時には帽子をかぶり、室内に入ったら脱いで頭皮を休ませるなど、状況に応じた調整を心がけましょう。

Q.頭皮ケアにおすすめのブラシは?

ヘアブラシは、毛先が丸く、ブラシ面がクッションタイプで頭皮に優しく圧力がかからないものがおすすめです。さらに、ブラシの歯が細くて滑りが良く、髪の毛が絡まりにくいタイプを選ぶと、毎日の使用でも髪や頭皮を傷めることなくケアができます。 

Q.頭皮に良い食べ物ってあるの?

頭皮は皮膚の一部なので、健康な頭皮を保つためには、タンパク質やビタミン、炭水化物など、さまざまな栄養素が必要です。もし一部の栄養素が足りないと、体全体の調子が崩れ、栄養がうまく吸収されなくなったり、効果的に働かなくなります。大切なのは、特定の食べ物を食べることよりも、バランスよく食事を摂ることです。たとえば、ラーメンや油っぽい食べ物ばかり食べたり、ご飯だけで済ませるような偏った食事は避けましょう。野菜や良質なタンパク質、ミネラルをバランスよく取り入れることが、健康な頭皮を作るために大切です。

まとめ:頭皮のベタつき改善で健やかな髪へ

まとめ:頭皮のベタつき改善で健やかな髪へ

頭皮のベタつきは、放っておくとかゆみやニオイ、髪のボリュームダウンなど、さまざまな悩みにつながることも。しかし、自分の頭皮タイプに合ったケアや、生活習慣の見直しを行うことで、十分に改善が可能です。毎日のケアを少しずつ見直しながら、健やかでサラサラな髪を目指しましょう。頭皮環境を整えることが、美しい髪への第一歩です。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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