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【食中毒予防】初夏から夏にかけてのキッチン衛生管理

【食中毒予防】初夏から夏にかけてのキッチン衛生管理
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

気温と湿度が上がる初夏から夏にかけては、家庭内の食中毒リスクが一気に高まる季節です。特に気をつけたいのが、冷蔵庫の使い方や調理器具の衛生状態、そして保存方法の見直しです。

本記事では、厚生労働省が公開する最新の食中毒予防情報をもとに、家庭のキッチンでできる“食中毒予防の基本”をわかりやすく解説します。目に見えないからこそ油断しがちな「菌やウイルス」への備えが、家族の健康を守る第一歩です。

知っておきたい!食中毒の主な原因菌・ウイルス

知っておきたい!食中毒の主な原因菌・ウイルス

食中毒を予防するには、まず最初に「どんな菌やウイルスが、どのように繁殖して、どんな症状を引き起こすのか」を知ることが大切です。

特に気温・湿度が高くなる初夏から夏場は、多種多様な病原体が活発に増殖しやすい時期。ここでは、家庭での感染リスクが高まりやすい代表的な原因菌・ウイルスと、その特徴をわかりやすく解説します。

食中毒が「夏に多い」のはなぜ?

気温25℃以上・湿度70%以上になると、細菌が一気に繁殖しやすくなります。特に家庭内では「常温保存」「調理後の放置」が原因になることが多く、知らず知らずのうちに食中毒リスクを高めてしまいがちです。日差しが差し込むキッチンや、調理中に開けたままの窓、ちょっとしたぬるま湯環境なども、菌の温床をつくる可能性があるので注意が必要です。

代表的な原因菌とその特徴

・カンピロバクター
 鶏肉などに多く、少量でも発症しやすい。中心温度75℃で1分以上の加熱が有効です。下痢・腹痛・発熱が主な症状で、多くの場合1週間程度で治癒します。潜伏期間は1~7日と長めです。

・サルモネラ菌
 卵や食肉の表面に付着しやすく、加熱不足が主な原因。二次汚染を防ぐため、調理器具の使い分けが重要です。下痢・腹痛・嘔吐などの急性胃腸炎の症状や発熱が主な症状で、潜伏期間は12時間~48時間程度です。

・腸管出血性大腸菌(O157など)
 生野菜や井戸水などを介して感染。乳幼児や高齢者は重症化リスクが高いため、十分な加熱と衛生管理が欠かせません。全く症状がない場合もありますが、激しい腹痛、著しい血便などの症状が現れる場合もあります。潜伏期間は3~8日程度です。

・黄色ブドウ球菌
 人の手指や皮膚に常在し、おにぎりや弁当の具材で増殖しやすい。手洗いの徹底と、調理後すぐの保存がポイントです。
症状としては悪心・嘔吐があり、潜伏期間が0.5~6時間(平均3時間)で概ね24時間以内には改善します。

参照元:厚生労働省|食中毒

冷蔵庫の温度&収納テクで菌をブロック!

冷蔵庫の温度&収納テクで菌をブロック!

食中毒予防の第一歩は「適切な温度で保存すること」と「ムラなく冷気を循環させること」です。

厚生労働省が推奨する冷蔵室4℃以下、冷凍室−18℃以下の維持を基本に、開閉時の温度上昇を抑える工夫や、食材の詰め込みすぎを防ぐレイアウトを実践しましょう。これだけで、庫内の菌繁殖リスクをぐっと下げることができます。

冷蔵庫は開けるだけで温度上昇

庫内温度は冷蔵室4℃以下、冷凍室-18℃以下が目安です。ドアの開閉を繰り返すと一気に温度が上がるため、出し入れは素早く、まとめて行いましょう

食材の詰め込みすぎはNG

冷気が循環しないと温度ムラが生じ、菌の繁殖リスクが高まります。庫内の詰め込みは7割程度にとどめ、吹き出し口の前は空けるよう意識してください。

匂いや液だれ防止に保存容器を活用

肉・魚・生野菜はパックのままではなく、密閉できる保存容器へ移し替えましょう。汁漏れによる二次汚染を防ぎ、ニオイ移りも抑えられます。

調理器具の正しいお手入れ

菌の二次汚染を防ぐには、生鮮食品に触れた後の調理器具や手指をしっかり洗浄・消毒することが欠かせません。

まな板・包丁はすぐに洗う

同じまな板で生肉と野菜を切るのは厳禁です。使い終わったまな板や包丁は熱湯またはキッチン用漂白剤で除菌し、台ふきんやスポンジも乾燥・除菌を習慣化しましょう。

こまめな手指消毒も忘れずに

調理前、生肉を触った後、盛り付け前には、石けんでの手洗いとアルコール消毒をセットで行いましょう。

また、レシピの検索などでやりがちな調理中の“ながらスマホ”は菌の媒介源になるため避けましょう。

台ふきんやスポンジの雑菌にも注意

濡れたままのふきんやスポンジには、菌が大量に繁殖します。こまめに交換する、または電子レンジで加熱・煮沸などの除菌を習慣にしましょう。

残りものを安全に保存・再加熱するポイント

残りものを安全に保存・再加熱するポイント

食事の後に残った料理も、正しい手順を踏めば安心して翌日以降に楽しむことができます。

常温放置はNG。2時間以内に冷蔵庫へ

料理を食卓に出したままにすると、常温で菌が急増します。「まだ温かいから」と長時間置くのは厳禁。浅い容器で粗熱を取ってから遅くとも2時間以内には冷蔵・冷凍保存しましょう。

冷蔵・冷凍時は“日付管理”も忘れずに

保存容器に調理日をラベリングして管理し、冷蔵は2~3日以内、冷凍は1カ月以内を目安に消費するのが安全です。

 再加熱は中心温度75℃以上を目安に

電子レンジや鍋で再加熱するときは、全体が十分に加熱されていることを確認しましょう。カレーや煮物は底に菌が残りやすいため、よくかき混ぜてから再加熱してください。再加熱時は中心温度75℃以上を確実にクリアすることが大切です。

食中毒予防Q&A

食中毒予防Q&A

よくある疑問をQ&A形式でおさらいし、食中毒対策ポイントを確認しましょう。

お弁当は何時間もつ?

夏場は3~4時間以内に食べ切るのが理想。保冷剤を併用し、汁気の多いおかずは避けましょう。

カット野菜やお惣菜はすぐ食べるべき?

開封後はできるだけ早く食べ切ること。野菜は水分が多く、菌が繁殖しやすい点に注意が必要です。

食べ物の見た目・においで判断して大丈夫?

食中毒菌は「見た目もにおいも変わらない」ことが多いため、目や鼻だけで判断しないことが重要です。

今日から始めよう!夏の食中毒ゼロ習慣

今日から始めよう!夏の食中毒ゼロ習慣

食中毒は、家庭内で起こり得る身近なリスクです。しかし、冷蔵庫の使い方や調理器具の衛生管理など、日常のちょっとした行動の見直しでリスクを大幅に低減することができます。見えない菌だからこそ「見える行動」を意識し、家族の健康を守る夏のキッチンづくりをはじめてみませんか?

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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