アパートやマンションに住む人の多くは、入居する際に家財保険への加入を求められているのではないでしょうか。家財保険に加入しないと入居できないケースがほとんどですが、基本的に保険自体は自分で選んで加入できます。
この記事では、賃貸住宅に住む人が自分で家財保険に加入するメリットやデメリット、家財保険選びのポイントなどを詳しく解説します。自分に合った家財保険に保険料を抑えて加入したい人は、ぜひ参考にしてください。
- 賃貸でも家財保険は自分で選んで加入でき、不動産会社が指定した保険に必ずしも入る必要はない
- 家財保険には家財補償、借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険の3種類の補償が含まれ、それぞれが異なるリスクに対応している
- 自分で家財保険を選ぶことで補償内容をカスタマイズでき、余分な補償を削って保険料を抑えられる可能性がある


そもそも家財保険とは?

家財保険と火災保険は混同されがちですが、実際には明確な違いがあります。両者の関係について正しく理解すると、賃貸住宅に住む際の保険選びがスムーズになります。
家財保険と火災保険の違いとは?
火災保険は主に建物と家財を補償対象としています。ただし、賃貸住宅の場合、建物自体は大家さんが火災保険に加入しているため、借主である入居者が加入するのは家財部分の補償が中心です。
そのため、賃貸住宅の入居者が加入する火災保険は、一般的に家財保険と呼ばれます。家財保険は火災保険の一部であり、家電や家具、衣類といった入居者の所有物(家財)が火災や災害などで被害を受けた際に補償を受けられます。
賃貸でも家財保険に自分で加入できる?
賃貸契約時に、不動産会社から紹介される家財保険に必ずしも加入する必要はありません。多くの場合、家財保険の加入は必須ですが、保険商品は代理店やインターネットを通じて自分で選べます。
ただし、不動産会社から「借家人賠償責任保険の補償金額1,000万円以上」といった条件が指定されている場合は、それに従う必要があります。また、自分で家財保険に加入した場合は、契約完了後に保険証券の写しの提出を求められるのが一般的です。
賃貸に住む際に必要な保険は3種類

賃貸物件の契約時に加入を求められる家財保険には、通常3種類の補償がセットされています。これらの補償は入居者をさまざまなリスクから守るために必要です。
それぞれの補償がどのような役割を持ち、どのような場面で役立つのか見ていきましょう。
家財保険
家財保険は、入居者が所有する家財の損害を補償する保険です。家財とはテレビや冷蔵庫、洗濯機といった家電製品をはじめ、ソファやテーブルといった家具、衣類、食器、本、さらにはパソコンのような電子機器まで含まれます。
これらの家財が火災や落雷、風災、水災、盗難などによって損害を受けた場合に、保険金が支払われます。例えば、台風で窓ガラスが割れて雨が吹き込み、家電製品が故障した場合や、火災によって家具が焼失した場合などが補償対象です。
借家人賠償責任保険
借家人賠償責任保険は入居者が賃貸物件自体に損害を与えてしまった場合に、大家さんへの法律上の損害賠償責任を補償する保険です。例えば、うっかりガスコンロの火を消し忘れて火災が発生し、壁や天井が焼けてしまった場合や、洗濯機のホースの接続不良で水漏れを起こし、クッション部分に水濡れ被害が広がってしまった場合などが対象となります。
賃貸物件入居にあたり、入居者が求められる家財保険の補償は借家人賠償責任保険です。
個人賠償責任保険
個人賠償責任保険は、日常生活のあらゆる場面で他人に損害を与えてしまった際の賠償責任を補償する保険です。借家人賠償責任保険が賃貸物件に対する損害を補償するのに対し、個人賠償責任保険は第三者への損害を幅広くカバーします。
集合住宅でよくあるのが、洗濯機の水漏れで階下の部屋に被害を与えるといったケースです。その他、自転車走行中に歩行者と接触してケガをさせてしまった場合、買い物中に商品を誤って落として破損させた場合なども補償されます。
賃貸に住む際に家財保険に自分で加入するメリット

賃貸住宅に入居する際に自分で家財保険を選ぶと、適切な補償で保険料も抑えられる可能性があります。
補償範囲を自分で決めるため有事の際に使いやすい
自分で家財保険に加入するメリットのひとつは、補償内容を自分のニーズに合わせてカスタマイズできる点です。不動産会社が指定する保険は標準的な補償内容であるケースが多いため、必要以上の補償が含まれていたり、逆に希望する補償が不足していたりする場合があります。
自分で選べば、自分の所有物に合わせた補償額を設定できます。また、自分で内容を理解したうえで加入するため、いざというときに「この被害は補償されるのか」と迷うことなく、スムーズな保険金請求が可能です。
自分の生活スタイルやリスクに応じた最適な保険を選ぶと、必要なときに本当に役立つ補償を受けられるでしょう。
コストが抑えられる可能性がある
自分で家財保険を選ぶと、保険料を抑えられる可能性があります。不動産会社が提案する保険プランには、実際には必要のない補償が含まれている場合もあり、余分な保険料負担につながります。自分のライフスタイルや所有している家財に合わせて必要な補償だけを選べば、無駄なく経済的です。
また、一般的に1年契約よりも2年契約の方が割安になるケースが多く、手続きの手間も半分で済みます。さらに、インターネット経由で直接保険会社と契約すると、同じ補償内容でも保険料が安くなる可能性があります。自分のニーズに合った保険を比較検討すると、最適な保険料で必要な補償を得られるでしょう。
賃貸に住む際に家財保険に自分で加入するデメリット

賃貸住宅に入居する際に自分で家財保険に加入する場合、知識不足から契約に時間がかかったり、補償内容が不十分になったりするリスクがあります。
選択肢が多く検討や申し込みに時間がかかる
自分で家財保険を選ぶ際のデメリットとして、選択肢の多さと手続きにかかる時間が挙げられます。賃貸の家財保険で入居日に合わせて補償を開始させるためには、余裕を持った申し込みが必要です。特に引っ越しシーズンは、入居日の2週間前までには申し込みを済ませておくとよいとされています。
しかし、保険会社や商品によって補償内容や保険料が異なるため、比較検討するには保険の基礎知識が必要です。各社のウェブサイトを見比べたり、見積もりを取ったりする作業には、想像以上に時間がかかります。
一方、不動産会社が紹介する保険なら、その場で申込書に記入するだけで手続きが完了するケースもあります。
家財保険に加入する場合、他の引っ越し準備と並行して計画的に進める必要があるのです。
補償が充分でない恐れがある
自分で家財保険を選ぶ際には、保険料を抑えようとするあまり、必要な補償を削ってしまうリスクがあります。例えば、水災補償を外して保険料を安くしたものの、台風による浸水で家財が損害を受けた場合、一切補償されません。また、高額な家財を所有しているにもかかわらず、家財の評価額を低く設定してしまうと、実際の損害額に対して十分な保険金が支払われないおそれもあります。
不動産会社が提案する保険は一般的な生活スタイルを想定した標準的な補償内容になっている場合が多いため、こうした補償不足のリスクは低いでしょう。
家財保険を比較検討する際に押さえておきたいポイント

家財保険に自分で加入する場合、複数の保険会社のプランの比較検討が大切です。その際に押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
必要充分な補償範囲の設定
家財保険を選ぶ際に最も重要なのは、適切な補償範囲の設定です。まず確認すべきは、不動産会社や大家さんから指定された借家人賠償責任保険の金額(一般的に1,000万円以上)をカバーできているかという点です。
次に、自分の住む地域や生活環境に合わせた補償内容を検討しましょう。例えば、河川近くに住む場合は水災補償、治安に不安のある場合は盗難補償が重要になります。また、家財の補償金額は、実際に所有している家財の価値に見合った金額に設定する必要があります。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、家具、衣類といった、すべての家財を買い直すとしたらいくらかかるか概算してみましょう。一人暮らしなら300〜500万円、家族なら500〜1,000万円が目安になります。
納得して支払いのできる保険料の設定
適切な保険料で家財保険に加入するためには、まず自身の家財の量に合わせて保険金額を設定します。そのうえで、同じ条件で複数の保険会社を比較検討しましょう。家財保険の保険料は一般的に2年契約で1万〜2万円程度が相場となっています。ただし、補償内容や建物の所在地といった要素で保険料は変動します。
最近ではネット型の家財保険が増えており、各社のウェブサイトで簡単に見積もりシミュレーションができます。
一例として、ある保険会社の賃貸住宅(アパート・マンション)の家財保険の保険料例を紹介します。補償内容は盗難や水災なども含めたプランです。なお、この例の賠償とは借家人賠償責任補償と個人賠償責任補償の合計を指します。
保険金額(想定される家族構成) | 保険料(2年契約) |
---|---|
家財200万円・賠償1,000万円(20代一人暮らし) | 7,400円 |
家財700万円・賠償1,000万円(30代3人家族) | 14,900円 |
複数社の見積もりを比較し、同じ補償内容でもどれだけ保険料に差があるのかを確認してみましょう。
賃貸に住む人が自分で家財保険に加入する際によくある疑問

賃貸契約の家財保険を自分で選ぶ際に、多くの方が抱える疑問点をQ&A形式でまとめました。
火災保険や家財保険への加入は法律上の義務ではありませんが、ほとんどの賃貸契約では加入が条件となっています。保険に入らないと契約自体を断られるケースがほとんどです。
仮に入居できたとしても、万が一火災や水漏れを起こして物件に損害を与えた場合、借家人賠償責任保険がないため、修繕費用を全額自己負担しなければなりません。賠償すべき金額は、数百万円から数千万円に及ぶ可能性もあります。
また、自分の家財が損害を受けた場合も、買い替え費用はすべて自己負担となります。
保険に加入していても契約期間が切れると補償されなくなるため、更新も忘れないようにしましょう。
基本的に賃貸物件でも火災保険や家財保険は自分で選んで加入できますが、物件や不動産会社によっては制限が設けられている場合があります。このような場合は、指定された保険に加入しないと入居を断られる可能性があるため、条件に従う必要があるでしょう。
ただし、実際には多くの賃貸物件では、入居者が自分で選んだ家財保険に加入できるのが一般的です。その際は「借家人賠償責任保険の補償額が1,000万円以上であること」といった指定の条件を満たす保険に加入し、保険証券の写しを不動産会社に提出すれば問題ありません。
不動産会社が指定した家財保険にすでに加入していても、他の保険への乗り換えは可能です。乗り換える際は、補償の空白期間を作らないよう、まず新しい保険に申し込み、契約が成立してから既存の保険を解約するという順序で進めましょう。
また、契約期間の満了時に自分で選んだ保険に更新するのもひとつの方法です。生活環境の変化に合わせて補償内容を見直したい場合も、多くの保険会社では契約期間中でも補償内容の変更が可能です。ただし、大幅な変更の場合は解約して新たに契約し直す必要があるケースもあります。
乗り換え後は、新しい保険証券のコピーを不動産会社に提出しましょう。
自分に合った補償と金額を選ぶなら「セゾンの家財保険」がおすすめ

賃貸物件にお住まいの方でも、自分のライフスタイルに合った家財保険を選んで加入できます。さまざまな保険がある中で、特におすすめなのが「セゾンの家財保険」です。
「セゾンの家財保険」は家財の補償はもちろん、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険もセットになっており、賃貸生活で必要な補償をしっかりカバーしています。
また、家財の保険金額は自分のライフスタイルに合わせて選べるため、無駄なく保険料を抑えられる可能性があります。
さらに、インターネットから24時間いつでも申し込み可能で、わずか数分で手続きが完了する手軽さも魅力です。補償内容や保険料のシミュレーションも簡単にできるため、自分に合った保険プランを見つけやすいでしょう。万が一の事故の際のサポート体制も充実しており、安心して契約できます。
まずはセゾンの家財保険のウェブサイトでシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。


おわりに
賃貸住宅でも不動産会社から指定された家財保険に必ずしも加入する必要はなく、自分で選んで加入できます。自分のライフスタイルや家財の量に合わせた保険を選ぶと、必要な補償を適切な保険料で得られる可能性があります。引っ越しの準備は忙しいものですが、万が一のときに備えて家財保険の内容をしっかり確認することが大切です。自身に最適な保険を見つけて、安心な賃貸生活を送りましょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

