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親から相続した“ガラガラの駐車場”が「収益物件」に大変身!40代会社員の「不動産投資」成功事例

親から相続した“ガラガラの駐車場”が「収益物件」に大変身!40代会社員の「不動産投資」成功事例
【執筆者】山中 伸枝 (株式会社アセット・アドバンテージ・代表取締役)

執筆者

株式会社アセット・アドバンテージ・代表取締役

山中 伸枝

1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーを目指す。2002年にファイナンシャルプランナーの初級資格AFPを、2004年に同国際資格であるCFP資格を取得した後、どこの金融機関にも属さない、中立公正な独立系FPとしての活動を開始。金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。

40代というと、親が高齢となり、相続について悩む人も少なくありません。なかには親から田舎の土地を継ぎ、その活用方法に悩んでいる人もいるでしょう。すぐに処分を検討するのもひとつの方法ですが、活用しだいで魅力的な「優良資産」に変わる可能性があります。40代会社員の事例をもとに、不動産の活用方法をみていきましょう。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝氏が解説します。

放置されがちな田舎の“不良資産”…適切な活用で“優良資産”に

放置されがちな田舎の“不良資産”…適切な活用で“優良資産”に

「『使われていない土地』を眠らせておくのはもったいない」

「親から相続した土地があるけれど、どう使えばいいかわからない」

……こうした悩みを抱える40代は少なくありません。特に、地方都市や郊外にある駐車場や更地は、収益化の手段がわからず、そのまま放置されがちです。しかし、適切な活用をすれば、“不良資産”だと思っていた土地が、毎月の安定収入を生む“優良資産”に変わる可能性があります。

父から相続した“田舎の駐車場”を「賃貸アパート」にした結果…

父から相続した“田舎の駐車場”を「賃貸アパート」にした結果…

都内の会社に勤務する杉山さん(仮名・46歳)は数年前、実家の近くにある月極駐車場を父親から相続しました。

10台分のスペースがあるものの、実際の稼働はわずか3台。収入は月に3万円程度で、固定資産税を差し引くと、ほとんど手元に残らない状態でした。

また、父親の代では集金もすべて手渡し。さらに、草取りなどの環境整備も父親自身が行っており、将来的な維持管理の負担や、採算の合わない現状に限界を感じていたそうです。

「このまま自分が同じやり方を引き継ぐのは難しい。もっと効率的で、収益性のある活用法はないか」

そんな悩みを知り合いに相談したところ、「この土地を賃貸アパートに変えたらどうか」と提案を受けました。

立地は最寄り駅から徒歩12分の住宅地。大きな町へのアクセスが悪くないことから、働く単身者向けのニーズが高いエリアです。さらにコンビニ・スーパーまで徒歩5分圏内と恵まれています。

考えた末、杉山さんは思い切って、木造2階建てのアパート(1K×6戸)を新築することにしました。建築費は約6,500万円で、うち2,000万円は自己資金、残りは銀行ローンを活用しました。

家賃は周辺の相場を鑑みて、1戸あたり月5万円に設定。6戸満室の場合、月30万円、年間で360万円の家賃収入が得られます。

駐車場契約者には、3ヵ月前から誠実に対応

アパート建築にあたり、まずは既存の駐車場を閉鎖する必要があります。

そのため、駐車場契約者への対応が必要です。杉山さんは契約内容を確認し、1〜2ヵ月の解約予告が必要とされていたため、3ヵ月前に文書で通知しました。

通知には、終了理由と解約日、代替駐車場の案内なども添えました。場合によってはクレームにつながる可能性もあるため、法的に適正な手続きをとること、そして誠実な説明を心がけることが非常に重要です。

アパート建築には、プランニングから完成までおよそ8ヵ月かかりました。設計打ち合わせ、建築確認申請、着工、竣工、入居募集までを含めると、1年近く駐車場収入も家賃収入も入らない期間が生まれたことになります。

しかし、失った金額は、月3万円×12ヵ月=年間36万円程度です。仮に10年で360万円の差が出るとしても、アパートから得られる家賃収入360万円、10年間で3,600万円と比較すれば、長期視点では圧倒的に有利といえるでしょう。

所得税や住民税の軽減が叶う…「減価償却」がもつメリット

所得税や住民税の軽減が叶う…「減価償却」がもつメリット

まとまった家賃収入が得られることは不動産投資の大きなメリットですが、不動産投資のメリットは、家賃収入だけではありません。杉山さんのように、アパートを新築すると建物部分に対して「減価償却」という会計処理を行うことができます。

木造アパートの法定耐用年数は、22年です。今回のケースでは建物部分の評価額を約4,000万円とし、年間で約180万円程度の減価償却費を計上できました。

この費用は実際の支出を伴わずに経費として扱えるため、課税所得を圧縮できます。結果として所得税や住民税が軽減され、実質的な手取り収入がアップします。

経費を考慮しても、約10万円の利益を確保

ただし、アパート経営では、家賃収入すべてが利益になるわけではありません。杉山さんは毎年の経費として、以下を見込んでいます。

・火災・地震保険料

……年間約10万円

・管理会社への手数料

……年間約18万円(家賃の5%)

・修繕・維持費

……年間20万円程度を積み立て

・固定資産税・都市計画税

……年間約15万円

■合計……63万円

杉山さんの場合、これに減価償却を加えると、課税所得を大きく抑えつつ、月約10万円のキャッシュフロー(手残り利益)を確保することが可能です。

「空室リスク」が大前提…不動産投資を成功させるコツ

「空室リスク」が大前提…不動産投資を成功させるコツ

不動産投資をはじめるうえでの注意点として、満室を前提にするとうまくいきません。杉山さんは、「空室リスク」を常に想定しつつ、「埋まりやすい物件」に仕上げる努力をしました。

設計の段階では、不動産管理会社の意見を反映し、次のようなポイントを取り入れました。

  • バス・トイレ別、独立洗面台付き
  • Wi-Fi無料、宅配ボックス付き
  • 防犯性の高いオートロック、TVモニター付きインターホン
  • オンラインでの入居申し込み・自動決済システム(クレジットカード可)による非対面手続き対応

など

特に若年層や単身者は、「スマホ1つで完結する契約や支払い」「不在時でも荷物が受け取れる設備」といった、合理的でストレスフリーな暮らしを求める傾向があります。

杉山さんの物件は、こうしたトレンドをしっかり捉えていたため、竣工からわずか1ヵ月で満室となりました。

2部屋が空室でも黒字…安定経営のカギを握る「無理のない設定」

杉山さんの場合、年間家賃収入360万円に対して、ローン返済が約180万円、諸経費が約63万円、手元に残るのは約117万円。月あたりにすると約9万7,500円のキャッシュフローです。

仮に2部屋が一時的に空室になっても、家賃収入は月20万円。返済・経費を差し引いても、数万円の黒字を維持できます。「無理のない返済計画」と「適切な家賃設定」が、長期にわたる安定経営のカギを握るのです。

綿密な戦略で “未来の安心”を

綿密な戦略で “未来の安心”を

不動産投資の主なメリットは以下の3点です。

1.毎月の安定収入

……給与以外の収入源を確保

2.節税効果

……減価償却で所得税・住民税を軽減

3.資産活用・相続対策

……土地を活かし、次世代にも資産を遺す

一方、建築費の高騰や空室リスク、修繕費の負担など、乗り越えるべきハードルも少なくありません。だからこそ、収支の見通しや専門家との連携、そして冷静な判断力が求められます。

40代は、親が高齢となり、相続を受ける機会が増える年代です。さらに、老後資金の準備を始めるべきタイミングでもあります。

いま目の前にある資産を“未来の安心”に変えるため、明確な目的と計画を立ててみてはいかがでしょうか。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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