身の回りには便利な家電製品が増えてきていますが、その分電気代が上がっているのも事実です。「毎月の電気代が高い」「電気代を節約したい」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。しかし、何から始めれば良いのか分からない、節約方法が分からない方もいるでしょう。
そこで、このコラムでは、平均的な電気代を参考にしながら、電気代が高くなってしまう原因や電気代を節約する方法を紹介します。電気代が高いと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
1.電気代が高くなってしまう原因とは?
電気料金は「基本料金」「従量料金」「燃料費調整額」「再エネ発電促進賦課金」で構成されています。電気代が高くなってしまう原因は、主に基本料金と従量料金が高いことが原因です。この2つをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.基本料金が高い
基本料金とは、契約アンペア数によって決まり、電気を使わずとも発生する料金です。アンペア数には10、15、20、30、40、50、60Aがあり、大きくなればなるほど一度に使える電気の量が増加します。
アンペア数を下げれば基本料金を安くすることはできますが、下げ過ぎると頻繁にブレーカーが落ち、不便に感じる可能性があります。1人暮らしなのか、夫婦なのか、家族が多いのか、あまり電化製品を使わないのか、同時に電化製品を利用することが多いのかなど、家族構成や生活スタイルによって必要なアンペア数は変わります。
現在、契約しているアンペア数は、分電盤や電気ご使用量のお知らせで確認できるので、まずはチェックしてみましょう。
1-2.従量料金が高い
従量料金とは、使用電力量に応じて支払う料金のことです。1kWh使用で〇円という単価が設定されていて、電力の使用量が多ければ多いほど単価が高くなります。東京電力を例にして見ると、3つの段階で料金が設定されています。
単位 | 料金(税込) | |
最初の120kWhまで(第1段階料金) | 1kWh | 19円88銭 |
120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金) | 1kWh | 26円48銭 |
上記超過(第3段階料金) | 1kWh | 30円57銭 |
参照元:東京電力料金単価表(従量電灯B)
従量料金は、使用量に単価をかけて計算します。
例)200kWh使用した場合
19円88銭×120kWh+26円48銭×80kWh=4,504円 となります。
電力の使用量が多ければ多いほど単価も高くなるので、比例して電気代も高くなってしまいます。従量料金を下げるには、電力の使用量自体を下げる必要があります。
2.世帯別の電気代平均
電気代は何人暮らしなのか、世帯人数によっても大きく異なります。以下は世帯人数別の電気代の平均値です。世帯人数が多ければ多いほど電気代も比例して高くなっています。
世帯人員 | 平均金額 |
1人 | 5,791円 |
2人 | 9,515円 |
3人 | 10,932円 |
4人 | 11,788円 |
5人 | 12,471円 |
6人以上 | 16,003円 |
参照元:e-Stat|2020年世帯人員・世帯主の年齢階級別
3.普段の生活で電気代を節約する
電気代が高くなるのは、基本料金が高い、従量料金が高いことが原因と説明しました。契約を変更する以外にも普段の生活の中で、節約を意識した行動をすることで電気代を削減することが可能です。
3-1.待機電力を減らす
待機電力とは、家電製品を使用していなくても発生する電力で、モニターや時計、リモコン機能を維持する為のものです。使わない時は、コンセントから抜くことで待機電力を節約できます。
しかし、いちいちコンセントの抜き差しをするのは面倒だったり、摩耗が気になったりすることもあります。その場合は、切り替えのタップが付いたコンセントを使用しましょう。コンセントの抜き差しよりも簡単にできるので、節電を継続しやすくなります。
3-2.なるべく外出する
外出する時間を増やすことで、家で電気を使う時間を減らすのも電気代節約方法の1つです。外出を多くすることで出費が増えてしまっては意味がありませんが、勉強したり本を読む時は図書館を利用したり、ショッピングモールでウィンドウショッピングをするのも良いかもしれません。
3-3.電力使用量をこまめに確認する
毎月の電力使用量をこまめにチェックすることで、節約の意識が高まります。毎月の使用量の違いを確認すれば、節電によって電気代が節約される結果が見えるため継続しやすくなるからです。使用量は、検針票やWeb上のマイページで確認できます。会員登録をしてWeb上で確認できるようにしておけば、前月との比較、昨年の同じ月の使用量などを確認でき便利です。
3-4.窓に断熱対策をする
夏の暑さや冬の寒さを遮断するためには、断熱対策をすることが有効です。窓は開口部が大きく、外気を取り入れやすくなっているので、外気の影響を受けやすくなります。玄関や窓を閉めていても、夏は暑く、冬は寒さを感じることがあります。少しでも電気代を抑えるには、カーテンや断熱シートなどで対策を行ないましょう。
4.家電の使用方法で電気代を節約する
電気代を節約する方法は、普段の生活の節電の他に、家電の使い方でも節約できます。家電の性能や使い方によっても電気の使用量は大きく異なり、節電を意識することが大切です。次からは、家電に関しての節約方法を解説します。
4-1.古い家電を買い替える
電化製品の省エネ性能は、年々向上しています。壊れないからとそのまま古い家電を使い続けていると、電力を大きく消費し、電気代の負担が大きくなるでしょう。
家電の中で消費電力の大きい冷蔵庫や照明、テレビ、エアコンなどは、新しく買い替えることで大きな節電に繋がります。思い切って買い替えをすることで、月々の電気代を抑えられ、長い目で見るとお得になるでしょう。
4-2.省エネ家電に買い替える
家電の買い替えの際には省エネ型の製品を選ぶようにしましょう。冷蔵庫は10年前と比べて約40%~47%、LED電球は一般電球に比べて約86%、テレビは9年前と比べて約42%の省エネと大きく省エネ化が進んでいます。家庭でもその恩恵を受けるには、買い替えの際に省エネ家電を選択すると良いでしょう。
4-3.家電ごとの電気代と節約方法
省エネ家電に買い替えることで節約が可能ですが、節電を意識した使い方によっても電気代の節約が可能です。代表的な家電について、平均的な電気代とそれぞれの節約方法を解説していきます。
・テレビ
50型のテレビの電気代は、年間約3,679円です。大きさによって違うので、画面が大きくなれば比例して電気代も高くなります。
テレビの電気代節約方法
- 使わない時はリモコンではなく主電源を切る
- 明るさを調整する
・エアコン
11畳用〜17畳用のエアコンの電気代は、年間約38,459円です。エアコンも大きさに比例して電気代が高くなりますし、部屋ごとに設置されてることが多いので部屋や家族の人数が多いと必然的に電気代が高くなります。
エアコンの電気代節約方法
- サーキュレーターを併用する
- 短時間の外出はつけたままにする
- 夏は28度、冬は20度を目安にする
- 定期的にフィルターを清掃する
- 自動運転にする
・冷蔵庫
3人〜4人用の451L〜500Lの冷蔵庫の電気代は、年間約8,406円です。冷蔵庫は家電の中でも消費電力が大きいので、しっかりと節電を意識しましょう。
冷蔵庫の電気代節約方法
- 食品を詰め込み過ぎない
- 季節ごとに温度設定を変える
- 冷蔵庫の周りに何も置かない
- 扉の開閉時間・回数を減らす
冷凍庫の電気代節約方法
- 食品を詰めて隙間をなくす
- 扉の開閉時間・回数を減らす
・洗濯機
ドラム式洗濯機の電気代は、年間約8,869円です。縦型なのかドラムなのか乾燥機能も使うのかによって金額は大きく変わります。
洗濯機の電気代節約方法
- 容量の範囲でまとめて洗う
- 詰め込み過ぎない
- 汚れがひどくない時はお急ぎ・スピードコースを使用する
- 乾燥機能を使わず干す
・炊飯器
3合~5.5合のIH炊飯器の電気代は、年間約2,265円です。何合炊きか、炊飯の仕方によっても金額が変わります。
炊飯器の電気代節約方法
- 長く保温機能を使わない
- まとめて炊く
- エコモードを使用する
・照明
14畳まで対応のシーリングライトの電気代は、年間約2,610円です。照明の種類や対応可能な広さによって電気代は変わります。
照明の電気代節約方法
- こまめに消す
- 白熱電球をLEDに変更する
- 明るさ調整で省エネ
- 人感センサー利用
5.季節によって電気の節約方法を変える
夏と冬では、冬の方が電気代が高くなる傾向があります。外気温と室内温度の差が大きくなったり、日照時間の短さで照明をつける時間が長かったり、外出の機会が減ったりと電気を使う頻度や時間が増えるためです。夏と冬それぞれに適した節約方法で電気代を削減していきましょう。
5-1.夏の節約方法
夏の電気代で大きな割合を占めるのはエアコンです。エアコンの節約方法と合わせて以下の方法も試してみましょう。
- グリーンカーテンやすだれで直射日光を遮る
- 公共施設の利用やショッピングモールに出かけて在宅時間を減らす
- 暖房便座を消す
5-2.冬の節約方法
冬は寒さからどうしても電気代が高くなりがちです。以下のような節約方法を試してみましょう。
- 洋服で調節する
- 冷蔵庫の設定温度を低くする
- エアコンではなく、こたつや電気毛布を利用する
- 窓に断熱対策をする
6.契約を見直して電気代を節約する
電気代を大きく節約したい場合は、電力会社やプランの変更、契約アンペア数の変更などがあります。電力の自由化に伴い自身で電力会社を選べるようになりましたが、そのままの契約になっている方も多いのではないでしょうか。この機会に電力の契約に関して見直しをしてみることをおすすめします。
6-1.契約しているアンペア数を見直す
アンペア数を変更することで、基本料金を下げて節約できます。下げすぎても、すぐにブレーカーが落ちてしまい、不便になってしまっては意味がありません。世帯の人数や家電の使用状況から適切なアンペア数を契約するようにしましょう。
6-2.支払方法を見直す
電気代の支払いは、口座振替、クレジットカード、振込みと3種類の方法があります。大手電力会社では口座振替を利用すると毎月55円の割引を受けられるサービスがあります。一部の電力会社やプランによって割引対応外の場合があるので、利用している電力会社の割引を確認してみましょう。
口座振替の割引がなかった場合は、クレジットカードを利用して支払うことでポイント還元が受けられお得です。
6-3.電力会社や契約プランを見直す
2016年4月より電力の自由化がスタートし、大手電力会社だけでなく、ご自身で自由に電力会社を選択できるようになりました。各電力会社によって様々なプランが用意されており、ご自身のライフスタイルに合ったプランを契約することで電気代の節約が可能です。
しかし、ご自身で、イチから電力会社を比較検討することは時間も労力もかかり大変な作業です。以下のサイトから簡単に電気料金を比較できるので、ぜひ参考にしてみてください。
おわりに
電気代を節約するには、大きく分けて3つの方法があります。契約やプランの見直し、省エネ家電への買い替え、節電を意識した行動や家電の使い方をすることです。電力自由化で自由に電力会社を選択できるので、ご自身に合ったプランに変更することで大きな節約が見込めます。
また、家電買い替えの際は、省エネ性能が高い物を買うことをおすすめします。少し高くても、省エネ性能が高ければ、長い目で見てお得になります。あまりに古い家電を使っている場合は、壊れていなくても思い切って買い替えることも1つの選択肢でしょう。
節電を意識した行動や家電の使い方はすぐにでも始められます。大きく節約できるかは家族の協力度合いも大きく影響するので、家族と暮らしている方は、協力を求めてみましょう。