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話題の「ピックルボール」とは?初心者のための入門ガイド

話題の「ピックルボール」とは?初心者のための入門ガイド
西上 茂 (日本ピックルボール協会・副会長)

監修者

日本ピックルボール協会・副会長

西上 茂

2015年に設立された日本国内のピックルボール振興を担う公式団体。ピックルボールの普及や競技力向上、世代を超えた交流の推進を目的に活動している。選手や団体の登録制度があり、公認大会やイベント、講習会なども開催。「3世代スポーツ」「生涯スポーツ」「新しい仲間の創出とコミュニティの創出」の3本柱でピックルボールの発展に努めている。

最近じわじわと注目を集めているスポーツ「ピックルボール」。
 テニス・バドミントン・卓球のいいとこ取りともいえる競技で、アメリカでは中高年層を中心に爆発的な人気となっています。

「気になるけど、どんなルール?」「初心者でも本当にできるの?」と思っている方も多いはず。 実はピックルボールは、体への負担が少なく、運動が苦手な方でも楽しめるスポーツです。道具はシンプルで、すぐに始められる手軽さも魅力です。

この記事では、そんなピックルボールの魅力や基本ルール、始め方のポイントなどを、「日本ピックルボール協会」副会長 西上 茂さんにわかりやすく解説していただきました。
 まずは「どんなスポーツか知りたい」という気持ちから、一歩踏み出してみましょう!

ピックルボールとはどんなスポーツ?

ピックルボールとはどんなスポーツ?

画像提供:日本ピックルボール協会

最近じわじわと注目を集めている「ピックルボール」。実はアメリカでは大ブームとなっているスポーツです。

ここでは、細かなルールの前に、ピックルボールがどんなスポーツなのか、そしてなぜ多くの人に支持されているのかをご紹介します。

テニス・卓球・バドミントンをミックスした新感覚スポーツ

ピックルボールは、バドミントンコートとほぼ同じ広さで行う、ダブルスが基本の球技です。

ルールはシンプルで、専用のパドル(ラケット)とプラスチック製の穴あきボールを使ってプレーします。

ピックルボールは、テニス、バドミントン、卓球の魅力をバランスよく取り入れた“ハイブリッドスポーツ”です。テニスのようなラリーの楽しさがありながら、使用するコートはバドミントンとほぼ同じサイズ。さらに、打ち方や使用するパドルの形状は卓球にも似ており、誰でも親しみやすいのが特徴です。

そんなピックルボールは、1965年にアメリカ・ワシントン州で誕生。当初は、家族で楽しめるようにと、テニスコートの一部を活用して作られた遊びがきっかけでしたが、次第にルールが整えられ、競技として発展しました。

アメリカではすでに競技人口が1,000万人を超えるなど、国民的スポーツとしての地位を確立しています。その勢いは日本にも波及しており、近年はメディアでも取り上げられる機会が増え、各地で体験会やクラブ活動が活発化。知名度とともに愛好者も着実に増え続けています。

年齢・運動経験に関係なく楽しめる

動きがコンパクトでスピードも比較的ゆるやか。シニア層や運動初心者でも無理なく参加できるのが大きな魅力です。実際にアメリカでは、60代〜70代のプレイヤーが中心になって大会も開催されています。

また、祖父母・親・子どもといった三世代が同じコートで一緒に楽しめる、まさに“世代を超えたスポーツ”です。身体への負担が少なく、80代のプレーヤーも元気に大会に出場しているほか、聴覚障害のある方も通訳なしでプレーできるなど、あらゆる人が参加できる「インクルーシブな側面」も持っています。

初心者同士でもラリーが続きやすく、試合中のちょっとした会話から自然に笑顔が生まれる。そんな、人とのつながりを実感できるスポーツでもあります。

適度な疲労感が心地良い

ピックルボールは、テニスの約1/4ほどの運動量と言われており、身体に過度な負担をかけずに楽しめるのが大きな魅力です。激しい動きや瞬発力はあまり求められないため、体力に自信がない方や運動が久しぶりの方にもぴったり

実際に、テニス経験者が年齢や体力の変化をきっかけにピックルボールへ移行するケースも増えています。 「ちょうどいい運動」で、楽しみながら長く続けられるスポーツとして、幅広い世代から注目を集めています。

初心者でも安心!ピックルボールの基本とルールを解説

初心者でも安心!ピックルボールの基本とルールを解説

画像提供:日本ピックルボール協会

ピックルボールは、初めての人でもすぐに楽しめるシンプルなルールが魅力のスポーツです。

ここでは、これから始めたい方に向けて、最低限おさえておきたい基本ルールを分かりやすくご紹介します。

プレイ人数

ピックルボールはシングルスとダブルスの両方でプレーできますが、一般的にはダブルスが主流です。ダブルスには、男子ペア・女子ペア・男女混合ペア(ミックスダブルス)など、さまざまな組み合わせがあり、レベルや目的に応じて自由に楽しめます。

コートの広さ

コートの広さはバドミントンのダブルスコートとほぼ同じで、多くの体育館では既存のバドミントンコートをそのまま利用可能です。そのため、専用設備を用意する必要がなく、手軽に始められるのも魅力のひとつ。なお、ネットの高さは約90cmと、バドミントンよりもやや低めに設定されています。

サーブのルール

  • サーブは腰より下の位置から打つ(アンダーハンド)のが基本です。
  • サーブは対角線の相手コートに1回で入れる。やり直しはありません。
  • 1人目がサーブし、ミスしたらパートナーに交代します。
  • 両方ミスすると相手チームにサーブ権が移ります。

得点と勝利条件

得点できるのはサーブ側のみ。ラリーポイント制ではありません。1ゲームは11点先取が基本(15点や21点の試合形式もあり)。10-10になった場合は、2点差がつくまで続けます。勝敗は、3ゲーム中2ゲームを先に取った方の勝ちです。

2バウンドルールとは?

ピックルボールでは、ラリーの最初に必ず2回バウンドさせるルールがあります。

  • サーブを受けた側は、ボールを1回バウンドさせてから返す
  • 返されたボールも、サーブ側が1回バウンドさせてから返す

この「お互い1回ずつバウンドさせる」ルールを“2バウンドルール”といいます。

その後は、ノーバウンド(ボレー)で打ってもOKになります。

2ノンボレーゾーン(キッチン)とは?

ネットのすぐ前のエリアは「ノンボレーゾーン」と呼ばれ、通称「キッチン」といいます。

このゾーンには特別なルールがあります。

  • この中では、ノーバウンドのボール(ボレー)を打ってはいけません
  • ライン上もキッチン扱いなので、ラインを踏んでボレーしても反則(フォルト)です
  • バウンドしたボールは打ってOK(地面に1回落ちたらOK)

つまり、スマッシュなどの強打を防ぎ、安全でフェアなプレーを保つためのエリアです。

始めるために必要な道具と服装

始めるために必要な道具と服装

必要なのは専用のパドルとボールだけ

ピックルボールで使うのは、いわゆるラケットではなく、「パドル」と呼ばれる板状の用具です。見た目は卓球のラケットに少し似ていますが、一回り大きく、軽くて扱いやすいのが特徴。価格はおおよそ1万〜3万円台が主流ですが、上級者向けの高性能モデルではさらに高価なものもあります。

板状の構造で耐久性も高く、メンテナンスの手間がほとんどかからないため、初心者でも扱いやすく、長く使い続けることができます。

ボールは、プラスチック製の穴あきボールを使用します。非常に軽いため、スピードが出すぎず、初心者でもラリーが続けやすく設計されています。

服装とシューズは動きやすければOK

ピックルボールは、特別なウェアやシューズがなくてもすぐに始められます。服装は動きやすいものであればOK。ただし、使用するボールは黄色が多いため、黄色系のトップスは視認性が下がることがあるので避けるのがおすすめです。

シューズも、一般的な運動用スニーカーで十分。専用シューズがなくても、気軽に体験できます。まずは「今あるもので始めてみる」スタンスで、誰でもすぐに楽しめるのがピックルボールの良さです。

どこでできる?ピックルボールの始め方

どこでできる?ピックルボールの始め方

画像提供:日本ピックルボール協会

一人でも大丈夫!地域のスポーツ施設や公民館で体験できるかをチェック

「ちょっとやってみたい」と思ったら、まずは体験会や地域のクラブ活動に参加するのがおすすめです。ピックルボールは1人でも参加しやすく、その場でペアを組んで楽しめる環境が整っているので、初心者でも安心です。

もっとも確実なのは、日本ピックルボール協会(JPA)に直接問い合わせる方法です。年齢や運動経験に応じて、近くの活動場所を紹介してもらえることもあります。

また、近年では一部のテニススクールでもピックルボールのレッスンを取り入れていたり、
SNS上で、地域の活動団体や体験会情報が発信されていたりと、情報源もさまざまです。

ただし、JPAが把握していない団体や個人グループも多数あるため、参加前には開催日時や内容をしっかり確認しておくと安心です。

道具はレンタルや貸出でOK!手ぶら参加も可能

ピックルボールは、最初から高価なパドルを買う必要はありません。ほとんどの体験会やクラブ活動では、レンタル用のパドルが用意されているので、手ぶらで参加しても大丈夫です。

ボールも会場側で準備されていることが多く、道具をそろえる前にまずは体験してみるというスタイルが一般的です。

まとめ:新しい趣味に、ピックルボールという選択を

まとめ:新しい趣味に、ピックルボールという選択を

画像提供:日本ピックルボール協会

ピックルボールは、年齢や運動経験に関係なく、誰もが楽しめる「3世代スポーツ」です。親子3世代が同じコートに立ち、会話を交わしながら自然とつながっていく。そんな温かい光景が生まれるのも、このスポーツならではの魅力です。

競技としてだけでなく、人と人をつなぎ、生活を豊かにする“ウェルネススポーツ”として、いま広がりを見せています。

勝ち負け以上に、笑顔や会話、そして地域での新たなつながりを生み出すピックルボール。これからの時代にふさわしい、誰にとっても“始めやすく、続けやすい”スポーツとして注目されています。

まずは気軽に体験してみてください。きっとあなたも、「続けてみたい!」と思えるはずです。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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