インバウンド需要の増加に伴い、民泊経営に興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。民泊経営はホテルに比べて手軽に始められる点や、高い利回りが期待できる点が魅力となり、副業や不動産投資の一環として検討する方も多いです。
しかし、民泊経営が初めての方にとっては「どこで物件を探せばいいのか?」「どのような物件を購入すればよいのか?」といった疑問を抱えているかもしれません。
本記事では、民泊物件の購入方法や探し方、選び方のポイントを詳しく解説します。民泊物件を購入するときのポイントも紹介するため、これから始めようと考えている方にとって役立つ内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。


民泊物件はどのように購入すればよい?

民泊を始める方法には、大きく分けて「賃貸物件を借りて運営」と「物件を購入して運営」の2つがあります。
そのうち、物件を購入して運営する場合は、以下の流れで進めていくことになります。
- 物件探し
ポータルサイトや不動産会社を活用して、気に入った物件を探す - 物件の申し込み
購入したい物件が決まったら申し込みをし、購入の意思を示す「買付証明書」を提出し、売主との交渉を進める - 売買契約の締結
価格や条件が合意に至れば、売買契約を締結する
価格やその他の条件が合意に至れば、売買契約を結びます。契約内容や重要事項をしっかり確認しましょう。
また、物件によっては自治体の規制やマンションの管理規約により、民泊運営に制約が設けられている場合があります。契約前に民泊運営が可能かどうかを必ずチェックしておきましょう。
さらに、物件購入に必要な資金が不足している場合は、金融機関からの融資を検討するのが一般的です。民泊用の物件購入には、住宅ローンではなく投資用ローンや事業融資などを利用するケースが多いため、適切な資金計画を立てましょう。
民泊物件の種類

民泊物件には、主に次の3種類があります。
- 区分マンション
- 一棟マンション
- 戸建て
以下で各物件の特徴を見ていきましょう。
区分マンション
区分マンションとは、マンションの1室を単位として購入する物件のことを指します。初期費用が比較的抑えやすいため、手軽に民泊経営を始められるのが特徴です。
ただし、多くのマンションでは管理規約で「民泊禁止」と定められている場合があります。そのため、購入前に必ず管理規約を確認し、民泊が許可されているかどうかを確認することが重要です。
一棟マンション
一棟マンションは、建物全体を所有する形の物件です。規模が大きいため、複数の部屋を活用しながら運営することができ、まとまった収益を狙える可能性があります。また単独で所有権を持つため、管理規約の制約を受けにくい点も大きなメリットです。
一方で、一棟マンションの購入には高額な初期費用が必要となることが一般的です。そのため、多くの場合は金融機関から融資を利用することになるでしょう。
戸建て
戸建て物件は、マンションのような管理規約の制約を受けることがないため、比較的自由に民泊を運営できるのが特徴です。
近年では、古民家を活用することで日本の伝統的な雰囲気を提供し、観光客からの人気を集めるケースも増えています。
ただし、戸建てはリフォーム費用や維持管理の負担が大きくなることがあるため注意が必要です。特に古民家の場合は、耐震補強工事や水回りの改修が必要になることが多いため、購入前に修繕費用を含めた資金計画をしっかり立てておくことが重要です。
民泊物件のかしこい探し方

ここでは、民泊の賃貸物件や売買物件を効率的に探す方法を5つ紹介します。
- 一般の不動産ポータルサイトで検索
- 民泊物件専門のポータルサイトで検索
- 民泊運営代行業者や仲介業者の活用
- 届出住宅の一覧から検索
- 保有物件の活用
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
一般の不動産ポータルサイトで検索
民泊物件は、一般の不動産ポータルサイトで探すことができます。不動産情報サイトには売買・賃貸のさまざまな物件が掲載されているため、民泊に適した物件を探しつつ、エリアごとの相場観を掴むことができます。
ただし、後述する民泊専用のポータルサイトよりも民泊向け物件の掲載数は少なめであるため、並行して他の方法でも探すようにしましょう。
民泊物件専門のポータルサイトで検索
民泊に特化したポータルサイトを活用する方法もあります。これらのサイトでは、民泊経営を想定した物件が掲載されているため、効率的に民泊向けの物件を探せる点がメリットです。
ただし、掲載されている物件の多くは転貸(サブリース)向けの賃貸物件であり、購入できる物件情報は少ない傾向にあります。購入を前提とするのであれば、上述した一般の不動産ポータルサイトと併用して探してみると良いでしょう。
民泊運営代行業者や仲介業者の活用
民泊運営代行業者や仲介業者を活用して民泊物件を探す方法もあります。民泊市場に精通した業者に相談することで、非公開の物件情報を紹介してもらえる可能性があります。
中には売却を希望しているオーナーの情報を持っているケースもあり、掘り出し物件を見つけやすくなるメリットがあります。
ただし、これらの業者は仲介や運営代行を専門としているため、民泊運営のメリットばかりが強調される可能性がある点には注意が必要です。
届出住宅の一覧から検索
自治体が公表している「住宅宿泊事業届出住宅一覧」から、すでに民泊営業の許可を得ている物件を確認することもできます。
同じマンション内に空き物件があれば、民泊運営が認められている可能性が高いため、運営を開始しやすいでしょう。
ただし、リストは自治体が定期的に更新しているため、必ずしも最新の情報が反映されているとは限りません。実際に物件を検討する際はオーナーや管理会社へ直接確認することをおすすめします。
保有物件の活用
すでに所有している不動産がある場合、それを民泊物件として転用する方法も有効な選択肢です。
新たに物件を購入・賃貸する必要がないため、初期費用を抑えつつスムーズに事業を始められるメリットがあります。立地や設備が民泊運営に適していれば、収益性を高めることで将来的に資産価値が上がる可能性もあります。
また、活用されていなかった不動産を民泊として運用することで、収益を生み出す資産へと転換できるかもしれません。
民泊物件を選ぶポイント

民泊物件を探すにあたり、どのような観点で選べば良いのかわからない方は多いでしょう。民泊物件を探す際は、次のポイントを押さえて検討してみてください。
- 収容人数
- 観光客の多い地域
- 築年数
- 駅から徒歩圏内
ひとつずつ解説します。
収容人数
民泊物件を選ぶ際には、想定する宿泊者の層に合った収容人数をチェックしておくことが重要です。ターゲットによって求められる広さや間取りが異なるため、立地やニーズに合わせて適切な物件を選びましょう。
例えば、海外からの旅行者は家族やグループで訪れることが多く、ある程度の収容人数がある物件を好む傾向にあります。一方で、日本人向けの民泊ではひとり旅やビジネス利用が多く、コンパクトなワンルームや1LDKの物件でも十分な需要があります。
観光客の多い地域
観光客が多い地域に物件を構えることで、安定した稼働率を見込むことができます。しかし、リゾート地や特定のイベントを中心とした地域では閑散期の稼働率が著しく低下するケースも少なくないため、需要の変動を考慮した戦略が必要です。
以下のようなエリアでは季節変動に注意しましょう。
- スキーリゾート(冬の需要は高いが、夏は低迷)
- 海水浴場・ビーチリゾート(夏は人気だが、冬は閑散)
- 避暑地や高原リゾート(夏は賑わうが、冬は閑散としがち)
- 大規模イベントの開催地(イベント時は満室でも、それ以外の期間は需要が低い)
築年数
民泊物件では、築年数が新しいほど良いとは限りません。ターゲットによっては、築年数がある物件のほうが、魅力があります。
築浅物件: 都市部では清潔感や最新設備が求められるため、ビジネス利用の宿泊者には築浅の物件が好まれます。
築年数のある物件: 外国人観光客には、日本の伝統的な雰囲気を楽しめる古民家や町家が人気です。ただし、築年数が古い物件は修繕費や耐震補強などのコストがかかるため、購入時には維持管理費用も考慮する必要があります。
大半の観光客はスーツケースやキャリーバッグを持ち歩くため、駅から徒歩圏内の物件は利便性が高く、集客しやすくなります。特にビジネス利用を想定する場合は、駅近であることが重要な要素となります。
ただし、駅近の物件は価格や賃料が高めに設定されていることが多いため、初期費用とのバランスを考慮して選びましょう。
駅から徒歩圏内
大半の観光客はスーツケースやキャリーケースを持ち歩いているため、駅から徒歩圏内の物件は利便性が高く、集客しやすくなります。
特にビジネス利用を想定する場合は、駅から近い物件が最優先となることが多いでしょう。
ただし、駅近の物件は価格や賃料が高めに設定されている傾向があるため、初期費用とのバランスを考慮して選びましょう。
民泊物件を購入する際の注意点

民泊物件を購入する際は、以下の点に注意したうえで進めてください。
- 物件ごとに定められているルールを把握しておく
- 地域の条例等も確認しておく
- 出口戦略も考えておく
順番に解説します。
物件ごとに定められているルールを把握しておく
民泊物件を購入する際は、物件ごとに異なるルールを事前に確認しておきましょう。
分譲マンションで民泊を始める場合、管理規約のチェックが必須です。管理規約で民泊を禁止しているマンションも多いため、購入前に管理規約を必ず確認し、民泊運営が可能かどうかを把握しておく必要があります。
購入後に運営できないリスクを避けるためにも、慎重に確認しましょう。
一方、戸建ての場合はマンションのような管理規約がないため、民泊を始めやすいメリットがあります。
ただし、住宅ローンを利用して購入した物件で民泊を始める場合、金融機関の融資条件によって民泊運営が制限される可能性があるため、事前に融資条件を確認することが重要です。
地域の条例等も確認しておく
民泊物件を購入する際は、国のルールだけでなく、地域ごとの条例や規制も確認しましょう。自治体によっては、民泊の許可条件を旅館業法よりも厳しく設定されている場合があります。
例えば、ある地域では「土日のみ営業可能」といった制限があるため、年間を通じて継続的な運営は難しくなることがあります。
また、フロントの設置義務や管理者の常駐義務を定めている自治体もあり、人件費や設備投資といった想定外のコストが発生する可能性も考えられます。
このように、地域の規制によって運営方法を変えなければならないため、事前に自治体の最新の条例を確認しておくことが大切です。
出口戦略も考えておく
民泊物件を購入する際は、将来的に売却を視野に入れて選ぶことも重要です。特に、民泊事業を一定期間運営した後に、物件を手放す可能性がある場合は、売却しやすい物件かどうかもあらかじめチェックしておくとよいでしょう。
一般的に、駅近や人気の観光地が近くにあったりする物件は需要が高く、売却しやすい傾向にあります。こうした立地の物件は、民泊運営を続ける以外にも、通常の賃貸や他の用途に転用しやすいため、資産価値を維持しやすいメリットがあります。
また、売却時には民泊事業の実績(稼働率や収益)を提示できると、次のオーナーにとって魅力的な物件となり、スムーズな売却が期待できます。そのため、運営開始後も収益データをしっかりと記録しておくことが大切です。
民泊を始める際の必要な資金

民泊経営を始めるにあたり、物件取得費のほかにもさまざまな費用が発生します。運営を開始するためには、まとまった資金が必要です。主な初期費用は以下のとおりです。
- 物件取得費
- 修繕費
- ハウスクリーニング代
- 家具や家電の購入費
- 宿泊者向けの消耗品(シャンプーやタオルなど)
これらの費用を考慮すると、民泊を始めるには数百万円~数千万円の費用がかかることがあります。官公庁の住宅宿泊事業実態調査によると、物件費用を含む初期費用が1,000万円を超えた事業者は23.3%にのぼるとの報告もあります。
特に、古民家など築年数の古い物件を活用する場合、耐震補強や水回りの改修などのリフォーム費用が高額になることがあります。一方で、すでに民泊運営が行われていた「居抜き物件」を活用すれば、設備が整っているため初期費用を抑えられる可能性があります。
民泊経営を始めるにあたり、物件取得費の他にもさまざまな費用が発生します。運営を開始するためには、まとまった資金が必要です。主な初期費用は、以下のとおりです。
- 物件取得費
- 修繕費
- ハウスクリーニング代
- 家具や家電の購入費
- 宿泊者向けの消耗品(シャンプーやタオルなど)
これらの費用を考慮すると、一般的に民泊を始めるには数百万円~数千万円程度の費用がかかるといわれています。官公庁の住宅宿泊事業実態調査によると、物件費用も含めた初期費用が1,000万円を超えた事業者は23.3%にのぼるとの報告もあります。
特に、古民家など築年数の古い物件を活用する場合、耐震補強や水回りの改修などのリフォーム費用が高額になることもあります。
一方で、居抜き物件(すでに民泊運営が行われていた物件)を活用すれば、設備がすでに整っているため、初期費用を抑えられる可能性があります。
融資が必要な際は不動産投資ローンを活用する

民泊のために融資を受ける場合は、住宅ローンではなく投資用ローンや事業融資を利用するのが一般的です。
たとえば、セゾンファンデックスの不動産投資ローンは民泊物件にも対応しており、築年数が古い物件に対しても柔軟な対応が可能です。これにより、より幅広い物件選びができ、柔軟な民泊事業の展開が期待できます。
民泊物件の購入費や運営時のランニングコストを賄うために、融資を活用することも検討しましょう。物件の購入だけで資金を使い切ってしまうと、その後の修繕費や広告費、水道光熱費などの支払いが難しくなる可能性があります。
- 修繕費
- 広告費
- 水道光熱費 など
民泊運営のために融資を受ける場合、住宅ローンではなく投資用ローンや事業融資を利用することが一般的です。
たとえば、セゾンファンデックスの不動産投資ローンは民泊物件にも対応しており、築年数が古い物件にも対応が可能です。そのため、より幅広い物件選びができ、柔軟な民泊事業の展開が期待できるでしょう。
資金計画をきちんとした立てたうえで民泊経営を進めることが大事
民泊物件を探す際は、一般の不動産ポータルサイトに加え、民泊物件専門のポータルサイトや仲介業者を利用すると効率的です。購入時には以下の点を考慮しましょう。
- 収容人数
- 築年数
- 立地条件
- 自治体の条例(事前に確認が必要)
民泊経営を安定して続けるためには、きちんとした資金計画を立てることが求められます。
物件購入費だけでなく、リフォーム費用やランニングコスト、想定外の出費にも備える必要があります。資金ショートのリスクを防ぐためにも、必要に応じて不動産投資ローンの活用を検討しましょう。
また、銀行の不動産投資ローンの審査が通らなかった場合でも、「セゾンファンデックスの不動産投資ローン」をご検討ください。銀行の不動産投資ローンの審査が通らなかった場合でも対応可能なため、資金調達に悩んでいる方はぜひ、お気軽にご相談ください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。