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【初心者向け】民泊の始め方を徹底解説!自宅・賃貸の違いや気になる費用も紹介

【初心者向け】民泊の始め方を徹底解説!自宅・賃貸の違いや気になる費用も紹介
荒木 和音

執筆者

FPライター

荒木 和音

金融分野専門ライター。大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績を持つ。家計相談や企業向けのリスクコンサルティングなどを計10年以上経験し独立。現在は暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。FP2級保有。

副業や不動産活用の手段として注目を集めているビジネスが「民泊」です。大きな特徴は、自宅の空き部屋を貸し出したり賃貸物件を活用したりと、さまざまな方法で始められる点です。

2018年に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されて以降、訪日外国人の増加などを背景に普及が進んでいます。副業として取り組む会社員や、資産を有効活用したい不動産オーナーにも広がりを見せています。

しかし「ルールが多くて難しそう」「どんな準備が必要かわからない」「本業を続けながらでも運営できるのか?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。

この記事では、民泊の基本的な仕組みを解説したうえで、始めるために必要な準備や費用、運営のポイントについて詳しく紹介します。民泊をスムーズに始められるようになるためにも、ぜひご一読ください。

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民泊を始めるには?まず法律の基礎を知ろう

民泊を始めるには?まず法律の基礎を知ろう

民泊を運営する際は、法律を遵守する必要があります。ルールを知らずに始めてしまうと罰則を受ける可能性もあるため、事前に基本的な知識を身につけておきましょう。

運営形態

日本の民泊は主に3つの運営形態に分けられ、それぞれ異なる法律が適用されます。自分の運営方針や目的に合わせて選びましょう。

民泊の種類適用される法律営業日数許可要件
民泊新法住宅宿泊事業法年間180日まで住宅宿泊事業者としての届出が必須
特区民泊国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例上限なし(最低宿泊日数の制限あり)自治体ごとに異なる
簡易宿所旅館業法上限なし旅館業法に基づく許可が必要

ここからは、それぞれの運営形態について詳しく解説します。

民泊新法

民泊新法は、2018年に施行された「住宅宿泊事業法」に基づく民泊制度です。

メリットデメリット
・届出制のため、旅館業法よりも開業が容易
・特区民泊と異なり、全国で運営可能
・年間180日までの営業制限がある
・自治体ごとに独自の規制があり、運営しにくい地域もある

旅館業法のように厳しい許可申請が不要で、比較的手軽に始められるのが特徴です。また、後述する特区民泊とは異なり、エリア制限がなく全国どこでも運営が可能なため、立地に縛られずに民泊事業を展開できます。

一方、民泊新法(住宅宿泊事業法)では全国で運営できるものの、年間180日までという営業日数の上限があるため、安定的な収益を求めるにはやや不向きな面もあります。

加えて、自治体ごとに独自の条例でさらに厳しい制限が設けられていることもあるため、事前に十分な確認が必要です。

特区民泊

特区民泊は、国家戦略特別区域法に基づき、特定の区域内で運営できる民泊です。営業日数の制限はありませんが、自治体ごとに異なる運営要件が定められています。

メリットデメリット
・年間営業日数の制限がないため、安定した収益を見込める
・旅館業法より比較的簡単な手続きで開業できる
・2泊3日以上など最低宿泊日数の制限があることが多く、短期滞在客を取り込みにくい
・特定の区域に限られるため、場所の選択肢が少ない

特区民泊は、新法民泊のような年間180日の営業制限がないため、長期的な収益を狙いやすい形態です。

ただし、最低宿泊日数が決められている場合が多く、短期旅行者にアプローチしにくい点が注意すべきポイントです。

また、国家戦略特区に指定された地域でしか運営できないため、立地の自由度が下がります。

簡易宿所

簡易宿所は、旅館業法に基づく宿泊施設です。営業日数の制限はありませんが、開業には保健所の許可を得なければなりません。

メリットデメリット
・年間営業日数の制限がない
・繁忙期や長期滞在の利用客を見込みやすい
・保健所の許可申請が必要で、開業までのハードルが高い
・住居専用地域や工業地域などでは営業ができない

簡易宿所は年間の営業日数に制限がないため、繁忙期や長期の滞在客をターゲットにしやすく、安定した収益が見込めます。特に観光地などで長期滞在ニーズに応えることで集客の幅が広げられるでしょう。

一方で、簡易宿所を開業するには保健所の許可必要で、書類の準備や現地検査など一定の手間がかかります。

また、用途地域によっては営業が認められないケースもあり、住居専用地域や工業地域では開業できない点にも注意が必要です。物件選びの段階から、開業可能な地域かどうかを入念にリサーチし、スケジュールにも余裕を持って準備を進めましょう。

居住要件・設備要件

民泊を始めるには、法令で定められた居住要件・設備要件を満たす必要があります。

民泊新法の居住要件(民泊新法の場合)

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋:(例:住民票がある自宅など)
  • 入居者の募集が行われている家屋:(例:空室となっている賃貸住宅)
  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋:(例:別荘やセカンドハウスなど)

これらに当てはまらない「完全な空き家」や、新築の投資用マンションなどは、条件を満たさない限り利用が認められない場合があるため注意してください。

なお、特区民泊や簡易宿所に居住要件はありません。

民泊を行う際は、各運営形態ごとに定められた設備を用意する必要があります。

民泊新法特区民泊簡易宿所
台所必要必要不要
浴室必要必要必要(公衆浴場などによる代替も可)
便所必要必要必要
洗面設備必要必要必要

古い物件を活用する場合はリフォームが必要になるケースもあるため、事前にリサーチし、必要な設備を整備しておきましょう。

参照元:国土交通省「民泊制度ポータルサイト 対象となる住宅

自宅(所有物件)で民泊を始める前に知っておきたいこと

自宅(所有物件)で民泊を始める前に知っておきたいこと

自宅で民泊を始める際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 家主居住型と家主不在型がある
  • 住宅ローンが残っている場合は転用が制限される

家主居住型と家主不在型がある

民泊は「家主居住型」と「家主不在型」があります。それぞれのメリット・デメリットを簡単にまとめると、次のとおりです。

メリットデメリット
家主居住型・チェックインやトラブル対応を自分でしやすい
・運営コストを抑えられる
・ゲストとの交流を楽しめる
・プライバシーの確保が難しい
・貸し出せる部屋数が限られる
家主不在型物件全体を貸し出せるため、より本格的な宿泊施設として運営しやすい住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられるため、コストがかかる

家主居住型は、オーナー自身が住んでいる住宅の一部を貸し出すスタイルです。

ゲストと同じ建物内で生活するため、一定のコミュニケーションが必要になりますが、その分管理や対応がしやすく、運営コストを抑えられるのが特徴です。

自宅を他人と共有することへの配慮は必要ですが、初めて民泊を始める方にとっては、比較的取り組みやすい形態と言えるでしょう。

家主不在型は、オーナーが常駐せず、物件全体を貸し出すスタイルです。

宿泊施設としての独立性が高いため、本格的に民泊ビジネスを運営したい方や、活用していない物件を所有している方に向いています。ただし、管理業務を外部に委託する場合は、その費用も収支計画に含めて検討する必要があります。

住宅ローンが残っている場合は転用が制限される

住宅ローンが残っている自宅でも、一定の条件を満たせば民泊として利用が可能です。一般的には以下のような制約があります。

  • 家主居住型であること
  • 民泊として使用する面積が住宅全体の2分の1以下であること

つまり、住宅ローン利用中の物件では、家主不在型の民泊運営は原則として不可とされるケースが多く、注意が必要です。

さらに、金融機関によってはローン契約に「住居としてのみ使用する」と明記していることもあり、無断転用は契約違反となり、ローンの一括返済を求められる可能性もあります。

賃貸物件で民泊を始める前に知っておきたいこと

賃貸物件で民泊を始める前に知っておきたいこと

賃貸物件で民泊を運営する場合、オーナーまたは管理会社の許可が必須です。無断で運営すると、賃貸借契約の解除や損害賠償請求につながるリスクがあります。

たとえ賃貸借契約に「転貸可」と書かれていても、宿泊施設としての民泊運営は「契約の使用目的に反する」と判断される可能性が高く、実際に契約解除が認められた判例もあります。

また、民泊新法や特区民泊では、開業申請時に「賃貸人の承諾書」などの提出が求められます。オーナーの許可を得られない場合は、そもそも民泊を始めることができません。

どうしても許可が得られない場合は、最初から「民泊利用可」として募集されている物件を選ぶのが安全です。たとえば、不動産会社が民泊用途で紹介している物件や民泊物件.comのような転貸可能物件に特化したサイトを活用するとよいでしょう。

賃貸物件で民泊を運営する場合も、自宅で運営する場合と同様に前述した「居住要件・設備要件」を満たす必要があります。

なお、賃貸物件での民泊は一般的に家主不在型となるため、住宅宿泊管理業者への委託が必要となるケースも多く、運営コストをあらかじめ考慮しておくことが重要です。

物件を購入して民泊を始める前に知っておきたいこと

物件を購入して民泊を始める前に知っておきたいこと

民泊を本格的に事業化するなら、物件を購入してしまうという方法もあります。自宅や賃貸物件で始める場合と比べて制約が少なく、運営の自由度が高いのは大きな魅力でしょう。

ただし、初期投資が大きくなる分、物件選びを誤ると投資回収が難しくなるリスクもあります。立地や需要、資金計画をしっかり検討するのが重要です。

民泊に向いているエリアの特徴

  • 観光地や繁華街など、訪日外国人や旅行者の需要が高い地域
  • 空港や主要駅からのアクセスが良い
  • ビジネスホテルが不足しているエリア

物件の探し方としては、民泊専門の不動産会社を通じて物件を利用するほか、既存の民泊物件を手放そうとしているオーナーから直接購入する手段もあります。前オーナーがすでに営業実績のある物件であれば、需要やリスクの見通しが立てやすいでしょう。

また、物件を購入する際に自己資金だけでなくローンの活用する場合は、不動産投資ローンや民泊対応ローンが選択肢となります。金利や融資限度額を比較検討し、無理のない借り入れ計画を立てることが大切です。

【物件別】民泊を始めるメリット・デメリット

【物件別】民泊を始めるメリット・デメリット

ここまで見てきたとおり、民泊には大きく「自宅」「賃貸物件」「購入物件」の3パターンがあります。いずれも一長一短があるため、自身の目的や資金状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

自宅民泊

メリット

  • 既存の自宅を活用するため、物件取得コストがかからない
  • 設備・家具も最低限で済む場合が多く、初期費用を抑えられる
  • ゲストとの交流を楽しめる

デメリット

  • 生活スペースが制限される
  • 貸し出す部分の面積によっては住宅ローン控除が適用外となる可能性がある

賃貸物件

メリット

  • 物件取得費用が不要で、初期投資を抑えられる
  • 失敗した場合、撤退が比較的容易

デメリット

  • オーナーや管理会社の許可が必須
  • 家賃や管理費など固定費がかさむ場合、収益性が下がりやすい

物件購入

メリット

  • 自分の資産となるため、民泊以外(賃貸・売却など)への用途転換も可能
  • 古民家や空き家をリノベーションするなど、自由度が高い

デメリット

  • まとまった資金が必要で、投資回収に時間がかかる可能性がある
  • ローン返済がある場合、稼働率が低いと赤字になりやすい

たとえばローンを活用して民泊経営をスタートしたい場合は、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」をご検討してみるのも一つの方法です。

銀行の不動産投資ローンの審査が難しい方や自己資金がゼロの方でも申込が可能で、築年数が古い物件でも柔軟に審査を受けられる可能性があります。融資利率は年率4.15%~4.95%の変動金利で、最大5億円まで融資可能です。

民泊用の物件購入にあたり、資金が必要な方はぜひご活用ください。

民泊を始めるまでの流れを5ステップで解説

民泊を始めるまでの流れを5ステップで解説

民泊をスタートするまでの一般的な流れは、次の5ステップです。

  1. 物件を選ぶ
  2. 消防法に対応する設備を設置する
  3. 必要な届出・許可を取得する
  4. 家具・設備を整える
  5. 集客サイトへ登録する

順番に確認していきましょう。

1.物件を選ぶ

まず、どのような形態(自宅・賃貸・購入)で民泊を運営するのかを決めましょう。それぞれメリット・デメリットがあるため、初期費用やリスク、将来の展望などを総合的に考えましょう。

メリットデメリット
自宅・初期費用を抑えられる
・ゲストとのコミュニケーションを深められる
・生活スペースが制限される
・住宅ローン控除の適用外になる可能性がある
賃貸物件・初期費用を抑えられる
・柔軟に物件の変更や契約終了ができる
・物件所有者や管理会社の許可が必要
・家賃が高いと収益を出しにくい
購入物件・自由度の高い民泊運営ができる
・柔軟に用途変更できる
・投資回収までに時間がかかる

2.消防法に対応する設備を設置する

民泊では、火災などの緊急時に宿泊者を守るための設備が必須です。消防法令適合通知書を取得するため、管轄の消防署と相談しながら準備を進めます。

一般的には以下のような設備が必要とされます。

  • 自動火災報知器
  • 誘導灯
  • 防炎性能のあるカーテンや絨毯
  • 消火器(建物の規模・用途による)
  • スプリンクラーの設置(規模による)

一戸建て・マンション問わず設置義務が生じる場合があるため、必ず事前に消防署に相談しながら手続きを進めましょう。

3.必要な届出・許可を取得する

民泊の運営形態によって、必要な届出や許可が異なります。

民泊の種類必要な手続き
民泊新法オンライン申請による届出のみ
特区民泊国家戦略特区に指定された自治体の認定が必要
簡易宿所保健所の営業許可が必要

民泊新法の場合

民泊新法のもとで運営する場合は「住宅宿泊事業届出制度」に基づき、民泊制度運営システムを通じて都道府県に届出を行うだけで運営が可能です。

届出はオンラインで完結し、旅館業のような営業許可が不要なため、ハードルは比較的低めとなっています。

特区民泊の場合

特区民泊は、国家戦略特区に指定された地域でのみ運営可能で、自治体の認定が必要です。一般的な認定の流れは、以下のとおりです。

  1. 自治体への事前相談
  2. 消防署への相談
  3. 近隣住民への説明
  4. 現地調査
  5. 認定取得

簡易宿所の場合

簡易宿所は旅館業法に基づく「宿泊施設」として扱われるため、保健所の許可を取得する必要があります。許可取得までの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 保健所への事前相談
  2. 認可申請
  3. 立入検査
  4. 許可取得

簡易宿所の許可を取得するハードルは高めであり、開業までに時間がかかることが多いため、余裕をもって準備を進めましょう。

4.家具・設備を整える

宿泊者が快適に過ごせるよう、最低限の家具・家電、アメニティを揃えます。設備が整っていないと宿泊者の満足度が下がり、口コミ評価の低下やリピート率の減少につながりかねません。

民泊で揃えるべき家具・設備を、以下にピックアップしてみました。

家具・ベッド
・布団
・テーブル・椅子
・クローゼット・ハンガーラック
・ソファ
・デスク
家電・冷蔵庫
・電子レンジ
・電気ケトル
・洗濯機
・エアコン
・Wi-Fiルーター
アメニティ・シャンプー・リンス・ボディソープ
・歯ブラシセット・歯磨き粉
・フェイスタオル・バスタオル
・ドライヤー
・ティッシュ・トイレットペーパー
・消毒用アルコール・ハンドソープ
・スリッパ

コストを抑えるなら中古品やレンタルを検討しても良いですが、寝具やタオルなどの衛生面に直結するものは新品を用意するのが無難です。

5.集客サイトへ登録する

最後に、OTA(オンライン旅行会社)へ物件を登録して集客します。物件写真や紹介文を充実させて魅力をアピールし、利用者からの口コミを増やすことで認知度と予約率を高めましょう。

代表的な民泊向けOTA(オンライン旅行会社)以下です。

  • Airbnb(エアビーアンドビー)
  • Booking.com(ブッキングドットコム)
  • Rakuten Oyado

ターゲットに合わせて複数サイトに掲載すると集客力が向上しやすいでしょう。

民泊を始めるために必要な費用

民泊を始めるために必要な費用

民泊を始める際にかかる代表的な費用は、以下の4つに分類できます。

  • 許可申請の費用
  • 設備費用
  • 工事費用
  • 運営代行費用

許可申請の費用

民泊の種類や自治体によって手数料が異なります。たとえば

大阪府の場合、手数料は以下のように設定されています。

民泊の種類手数料
民泊新法無料
特区民泊21,200円
簡易宿所22,000円

参照:簡宿民泊、特区民泊、新法民泊の比較表|大阪府

なお、行政書士に書類作成や手続きを一括依頼する場合は、20万円前後の費用がかかります。

設備費用

消防設備や家具・家電など、初期に揃えるべきものがあります。以下は設置費用の目安です。

自動火災報知器10万〜100万円
誘導灯3万〜12万円
消火器5,000〜5万円(1本あたり)
スプリンクラー20万〜100万円

最低限の家具・家電を揃えるだけでも、1室あたり数十万円かかることが珍しくありません。

工事費用

物件によってはリフォームや耐震補強工事、防音工事などが必要となり、数百万円〜数千万円規模の費用が発生するケースもあります。

  • 消防用設備の設置工事
  • 耐震補強工事
  • 壁紙・床の張り替え
  • キッチン・浴室・トイレのリフォーム
  • 防音対策

空き家をリノベーションする場合は特に、外壁から設備まで大規模な工事が必要になる可能性があります。

運営代行費用

チェックイン対応や清掃、予約管理などを外注する場合の費用です。

  • 成果報酬型:売上の10〜20%前後
  • 定額型:月額2万円〜が相場

清掃費用が別途となるかどうか、委託範囲はどこまでか、といった点は事業者によって異なるため、契約時に必ず確認しましょう。

民泊で失敗しないために押さえておきたいポイント

民泊で失敗しないために押さえておきたいポイント

最後に、民泊初心者が陥りがちな失敗を防ぐための重要ポイントを整理します。

マンションで民泊を始める場合は管理規約の確認が必須

マンションの一室を民泊として運営する場合は、まず「管理規約」に民泊が許可されているかを事前に確認しましょう。

管理規約とは、区分所有法に基づき管理組合が定めた建物の利用ルールで、住民の生活環境や建物の秩序を保つことを目的としています。

公益財団法人マンション管理センターが2018年に実施した調査では、8,600の管理組合のうち約96%が民泊を全面的に禁止しているという結果もあり、ほとんどのマンションでは民泊が難しいのが実情です。

参照元:公益財団法人マンション管理センター「民泊対応状況管理組合アンケート調査結果

また、管理規約に明確な禁止規定がない場合も、管理組合への事前相談や届出は不可欠です。

無断で民泊を運営すると、営業停止を求められるだけではなく、訴訟や損害賠償に発展するリスクもあります。実際に、管理規約違反によって50万円の賠償命令が下された判例も存在します。

マンションで民泊を始める際は、法令だけでなく管理規約も「最重要のチェックポイント」であることを忘れず、慎重に進めましょう。

競合を分析した上で料金設定をする

民泊の宿泊料金は、周辺の民泊施設やホテルの宿泊料金をリサーチした上で、立地や設備、サービス内容を考慮しながら適正に設定することが重要です。価格が相場と乖離していると、利用者が集まりにくくなったり、収益が不安定になったりする恐れがあります。

また、繁忙期は価格を引き上げ、閑散期には割引を実施するなど、季節や需要に応じた柔軟な料金設定も効果的です。収益最大化と稼働率のバランスを意識しながら、戦略的に価格を見直していきましょう。

ランニングコストはなるべく抑える

民泊運営では初期投資に目が行きがちですが、継続的に発生するコスト(ランニングコスト)も考慮しましょう。家賃や水道光熱費、通信費、アメニティの補充費、広告費など、日々の出費が積み重なることで収益性に大きく影響します。

特に注意したいのが運営代行費用です。予約管理や清掃、チェックイン対応などを外注すれば手間は減りますが、全面的に依頼するとコストがかさみ、利益が出にくくなる可能性もあります。

可能な限り、自分で対応できる業務は自ら行い、外注は必要最小限にとどめることで、固定費をコントロールしましょう。コスト意識を持った運営が、安定した収益につながります。

収益シミュレーションを行う

民泊運営を始める前には、事前に収益シミュレーションを行っておくことが非常に重要です。

宿泊単価や稼働日数、ランニングコストをもとに試算しておくことで、「思ったより利益が出なかった」「赤字経営になってしまった」といった事態を未然に防ぎやすくなります。

おおよその収益は「売上(=宿泊単価×稼働日数)ー経費(家賃・運営代行費・水道光熱費など)」で計算できます。一例として、以下の条件でシミュレーションをしてみました。

<シミュレーション例>

  • 宿泊単価:1泊あたり2万円
  • 稼働日数:月15日
  • 賃料:8万円
  • 光熱費:2万円
  • 通信費:1万円
  • 消耗品費:1万円
  • 清掃費:5万円
  • 運営代行費(売上の20%):6万円(=2万円×15日×20%)

<結果>

  • 月間売上:30万円(=2万円×15日)
  • 月間経費合計:23万円

月間利益:7万円(=30万円-23万円)

このように、収益モデルを具体的に把握しておくことで、資金計画や価格戦略にも活かすことができます。可能であれば複数のパターン(繁忙期・閑散期など)でシミュレーションを行い、より現実的な収益見通しを立てましょう。

ルールを正しく理解して民泊を始めよう

ルールを正しく理解して民泊を始めよう

民泊を成功させるには、以下のポイントをしっかり押さえておくことが大切です。

  • 民泊には「新法民泊」「特区民泊」「簡易宿所」の3種類があり、必要な手続きが異なる
  • 自宅・賃貸・購入といった物件形態によって初期費用やリスクが変わるため、自身の目的や資金計画に合わせて選ぶ
  • 消防法や各種届出など法律面を怠ると罰則リスクがあるため、書類や設備を抜け漏れなく準備する
  • 会社員が副業として運営する場合でも、年間利益が20万円を超えた場合は基本的に確定申告が必要

もし物件の取得や運営資金に不安がある場合は、不動産投資ローンの活用を検討するのもひとつの方法です。セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」では、銀行では難しい方でも申込可能な場合があり、築年数が古い物件でも審査に柔軟に対応してもらえる可能性があります。

民泊は、法令に対する正しい理解と事前準備さえしっかりしておけば、個人でも始めやすいビジネスです。さらに詳しく学びたい場合や疑問がある場合は、自治体のセミナーやオンライン講座なども活用してみてください。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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