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民泊経営するには何から始めたらいい?必要な手続き・資格や注意点をチェック!

民泊経営するには何から始めたらいい?必要な手続き・資格や注意点をチェック!
荒木 和音

執筆者

FPライター

荒木 和音

金融分野専門ライター。大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績を持つ。家計相談や企業向けのリスクコンサルティングなどを計10年以上経験し独立。現在は暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。FP2級保有。

民泊ビジネスは個人・法人を問わず比較的参入しやすく、適切に運営すれば高収益を狙える可能性がある事業です。しかし「何から始めればいいの?」「どれくらいの資金が必要?」「許可の取り方は?」と、疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。

この記事では、民泊経営を始めるための手続きや運営のコツを詳しく解説します。スムーズに民泊ビジネスを立ち上げ、安定した経営を実現するための知識を身につけましょう。

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【8STEPでわかる!】民泊経営の始め方

【8STEPでわかる!】民泊経営の始め方

民泊経営を始めるまでの手順は、以下の8ステップです。

  1. 運営形態を選択する
  2. 民泊経営をする物件を選ぶ
  3. 開業資金を調達する
  4. 物件の設備工事・リノベーションをする
  5. 運営形態に合わせて許可申請・届出をする
  6. 備品の整備や規約の作成などを行う
  7. 民泊サイトに登録する
  8. 運用・管理をする

まずは運営形態の違いを知り、物件選びや許可申請の流れを把握することが大切です。各ステップを確認しながら、スムーズに民泊ビジネスをスタートしましょう。

STEP1:運営形態を選択する

民泊の運営形態は、以下の3種類に分けられます。

民泊の種類新法民泊特区民泊簡易宿所
対応法住宅宿泊事業法国家戦略特区法旅館業法
所轄省庁国土交通省・厚生労働省・観光庁内閣府(厚生労働省)厚生労働省  
営業日数制限180日以内(条例により制限される場合あり)なしなし
最低宿泊日数なし2泊3日以上なし
住宅専用地域での営業可能(条例により制限される場合あり)可能不可
最低床面積3.3㎡/人25㎡/室33㎡(宿泊者数10人未満の場合は3.3㎡/人)
近隣住民との トラブル防止措置必要必要不要
不在時の管理業者 への委託業務規定あり規定なし規定なし

参照元:国土交通省「民泊制度ポータルサイト はじめに「民泊」とは

それぞれ適用される法律や許認可の申請先、事業の自由度などが異なります。運営目的に合った形態を選択しましょう。

以下では、3つの運営形態の特徴を詳しく解説します。

新法民泊(住宅宿泊事業法)の特徴

新法民泊とは、2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて運営する民泊のことです。新法民泊の大きな特徴は、以下のとおりです。

  • 旅館業法の適用を受けず、住居専用地域でも営業できる
  • 住宅の用途変更が不要で、比較的短期間でスタートできる
  • 年間営業日数が最大180日までに制限される

年間営業日数に制限があるため、安定的な収益を得るには集客や稼働率の向上などの工夫が必要です。

また、新法民泊では、民泊の運営形態を「家主居住型」と「家主不在型」の2種類に分類しており、それぞれ異なるルールが適用される点にも注意しましょう。

家主居住型は、住宅宿泊事業者が住民票上の住所にある住宅に実際に居住している場合に該当します。

主な条件

  • 生活の本拠として利用することが必須
  • 1時間以内の短時間の外出(買い物など)は許容される
  • 仕事や学業で長期間不在になる場合は不可
  • 宿泊室が5室を超える場合は不可

一方の家主不在型は、家主が住宅に居住せず、宿泊者のみが滞在する形態を指します。

家主不在型は、家主が住宅に住まず、宿泊者のみが滞在する形態です。

主な条件

  • 家主居住型の条件を満たさない場合はすべて家主不在型に分類
  • 法人による運営も含まれる
  • 住宅宿泊管理業者への委託が必須(自己管理は不可)
  • 管理業者への委託費用がかかるため、運営コストに注意が必要

新法民泊の運営を検討する際は、これらの特徴を踏まえ、自身の状況に合った形態を選択することが重要です。

特区民泊(国家戦略特区法)の特徴

特区民泊とは、国家戦略特別区域法に基づいて都道府県の認定を受けた民泊のことです。特区民泊は指定された特区内でのみ許可されるため、営業可能なエリアは限定されています。2024年12月31日時点で特区民泊が実施されている地域は、以下のとおりです。

  • 東京都大田区
  • 千葉県千葉市
  • 新潟県新潟市
  • 福岡県北九州市
  • 大阪府(府管轄)
  • 大阪府大阪市
  • 大阪府八尾市
  • 大阪府寝屋川市

特区民泊の大きなメリットは通年で運営できる点であり、新法民泊のように年間180日の営業制限がありません。さらに、旅館業法に基づくホテル営業や簡易宿所営業よりも申請要件が緩和されており、許可取得のハードルが比較的低い点も大きな特徴です。

一方で、最低2泊3日以上の宿泊が必要という条件があるため、短期間の滞在を希望するビジネス客や、1泊だけの観光客には利用しづらいというデメリットがあります。

参照元:大田区「大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の手続きについて

簡易宿所(旅館業法)の特徴

簡易宿所とは、旅館業法に基づいて営業許可を取得し、民泊を運営する形態です。旅館業法では、宿泊業を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つに分類しており、それぞれ異なる要件が定められています。

旅館・ホテル営業簡易宿所営業下宿営業
定義施設を設け、宿泊料を受けて、 人を宿泊させる営業で、簡易宿 所営業及び下宿営業以外のもの宿泊する場所を多数人で共用す る構造及び設備を主とする施設を 設け、宿泊料を受けて、人を宿泊 させる営業で、下宿営業以外のもの○施設を設け、1月以上の期間 を単位とする宿泊料を受けて、 人を宿泊させる営業  
フロント必要不要不要
床面積基準7㎡以上/室(寝台有りの場合は9㎡以上/室)33㎡(宿泊者数10人未満の場合は3.3㎡/人)なし

参照元:厚生労働省「旅館業制度の見直し

民泊を運営する場合は、比較的要件が緩やかな「簡易宿所営業」の許可を取得するケースが一般的です。

<簡易宿所のメリット>

  • 年間営業日数の制限がなく通年で稼働できる
  • 賃貸よりも高い収益を狙いやすい

<簡易宿所のデメリット>

  • 構造設備基準や衛生管理基準が旅館業法の対象となり、審査や改修に時間・手間がかかる

STEP2:民泊経営をする物件を選ぶ

運営形態を決めた後は、収益シミュレーションを行いながら、民泊経営をする物件やエリアを選びます。

需要の有無だけではなく、法令上の要件を満たしているかを確認する必要があります。例えば新法民泊(住宅宿泊事業)を運営する場合、設備要件と居住要件は重点的に確認しておきましょう

設備要件台所・浴室・便所・洗面設備の4つが設けられている
居住要件民泊の対象となる家屋が、以下3つの条件を満たしている
・特定の人が生活の拠点として使用している
・入居者の募集が行われている
・生活の本拠として使用されてはいないものの、所有者や賃借人などが随時居住利用している

民泊に活用する物件がマンションの場合、管理規約で民泊が禁止されていないかを事前に確認してください。住民の安全やプライバシーを守るために、民泊の運営を禁止している場合があります。

また、民泊を運営する際は、法律によって営業できる地域が制限されている点に注意しましょう。以下の表は、新法民泊・特区民泊・簡易宿所の営業可能な用途地域を示したものです。

 新法民泊(※1)特区民泊(※2)簡易宿所
第一種低層住居専用地域×
第二種低層住居専用地域×
第一種中高層住居専用地域×
第二種中高層住居専用地域×
第一種住居地域◯(※3)
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域×
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域×
工業専用地域×××

※1:自治体によっては、条例により営業日数や運営ルールに制限あり
※2:自治体によって営業可能地域に制限あり
※3:面積や階数などの制限あり

最も幅広く営業できるのは新法民泊で、基本的に住居を建てられる地域ならどこでも営業ができます

ただし、自治体の条例によっては営業日数や運営ルールに制限が加えられる場合があるため、事前に確認しておきましょう。例えば、東京都中央区では区内全域で月曜の正午から土曜の正午までは民泊の実施が制限されており、平日の営業はできません。

特区民泊は旅館業法の特例が認められている地域なので、旅館業法の民泊ができる用途地域に加えて「住居専用地域」での営業も可能です。ただし、自治体によっては営業可能なエリアが特定の地区に制限されていることもあります。

簡易宿所(旅館業法に基づく民泊)は、旅館やホテルと同様の規制を受けるため、営業可能な地域が限定されます

民泊を運営する際には、物件の設備やエリアの用途地域が適しているかを慎重に確認することが重要です。特に営業できる地域については、開業前に必ず自治体に相談しておきましょう。

STEP3:開業資金を調達する

民泊を始めるには、物件の購入費用やリノベーション費用、設備工事費用などの初期費用や、運転資金がかかります。開業直後は収益が安定しにくいため、数ヵ月分の運転資金も含め、余裕をもった資金繰りを計画しましょう。

開業資金について詳しくは後述しているため、具体的にいくらかかるのか気になる方はご一読ください。

自己資金だけでは足りない場合は、金融機関の融資を検討することも一案です。ただし、民泊を目的とした物件を購入する際は、原則として住宅ローンは利用できません。住宅ローンは購入者が「自ら居住する目的」での融資が前提であり、投資や事業用としての用途は認められていないからです。

仮に住宅ローンを利用した物件で民泊を運営し、金融機関に無断で事業を行っていることが発覚すると、一括返済を求められるリスクがあります。

そのため、民泊の開業資金を調達する場合は金利が多少高いとしても、「民泊特化のローン」や「不動産投資ローン」を活用するのが一般的です。

STEP4:物件の設備工事・リノベーションをする

物件が各種設備要件や消防法の基準を満たしているかを確認し、不足がある場合は工事やリノベーションが必要です。家主不在型で一軒家を使うケースなどでは、次のような消防設備を整える必要があります。

例:家主不在型民泊の消防設備

  • 自動火災報知設備
  • 誘導灯
  • 消火器
  • 防災物品の設置・点検報告
  • その他、法令で定められた安全対策

要件をクリアできないと許可が下りないため、工事には十分な時間を見込んでおきましょう。

また、宿泊者に快適な空間を提供するためにも、改修作業は重要です。例えばモダンなデザインのインテリアを取り入れたり、浴室やキッチンなどの水回りの改修をしたりすることで、満足度を高められるでしょう。

工事やリノベーションの際は複数業者から見積もりを取り、費用対効果の高い方法を検討してみてください。

STEP5:運営形態に合わせて許可申請・届出をする

民泊を運営するためには、運営形態ごとに適切な許可申請や届出を行わなければなりません。無許可で運営する「違法民泊」は罰則の対象となり、発覚すれば1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

以下では、運営形態ごとの申請方法を解説します。罰則を科せられる事態を避けるために、ぜひご参考ください。

新法民泊(住宅宿泊事業法)の手続き方法

新法民泊の手続きは、民泊制度運営システムを通じてオンライン申請で行います。住宅宿泊事業届出書や添付書類の提出が必要ですが、個人と法人で必要書類は異なるため、国土交通省のホームページで最新の情報を確認しましょう。

新法民泊の届出には10種類以上の書類が必要になるため、時間に余裕がない場合は行政書士に書類の収集を依頼するのもひとつの方法です。

特区民泊(国家戦略特区法)の手続き方法

特区民泊を運営するには、内閣総理大臣と都道府県知事から「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」の認定が必要です。申請の流れは自治体ごとに異なり、例えば東京都大田区の場合は以下の手順で手続きを進めます。

  1. 生活衛生課へ事前相談(事前に要件を確認する)
  2. 消防署など関係機関と調整(防火設備や安全基準の確認)
  3. 近隣住民への説明(トラブルを防ぐために事前説明を実施)
  4. 認定申請を行い、手数料を納付
  5. 書類審査および現地調査を受ける
  6. 認定を受け、認定書の交付を受ける
  7. 営業開始

参照元:大田区「大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の手続きについて

特区民泊の申請では、物件の図面や設備の詳細な書類のほか、近隣住民への説明資料も必要です。スムーズに開業できるように、早めに準備を進めておきましょう。

簡易宿所(旅館業法)の手続き方法

簡易宿所(旅館業法に基づく民泊)を運営する場合は、都道府県の保健所に申請し、営業許可を取得する必要があります。一般的な手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. 保健所への事前相談(構造設備基準を満たしているか確認)
  2. 許可申請の提出(必要書類を揃えて申請)
  3. 施設検査の実施(保健所の職員が現地検査を行う)
  4. 許可の取得(基準を満たしていることが確認されると許可が下りる)
  5. 営業開始

簡易宿所の許可を取得するためには、建物が旅館業法の構造設備基準を満たしている必要があります。保健所の立ち入り検査があり、許可が下りるまでに数週間かかることも少なくないため、スケジュールに余裕を持って手続きを進めましょう

STEP6:備品の整備や規約の作成などを行う

民泊の許可を取得したら、実際に宿泊者を迎えるための準備を進めます。宿泊者が快適に過ごせるように、以下の備品を揃えておきましょう。

寝具類・ベッド
・布団
・枕
・シーツ
・毛布
家具・家電・エアコン
・冷蔵庫
・電子レンジ
・洗濯機
・テレビ
・電子ケトル
キッチン用品・調理器具(鍋、フライパンなど
・食器類
・カトラリー
バス・トイレ用品・タオル
・ドライヤー
・シャンプー・リンス・ボディソープ
・トイレットペーパー
その他・Wi-Fi環境
・防犯設備 など

また、宿泊者とのトラブルを防ぐため、利用規約(ハウスルール)を作ることもおすすめします。利用規約に記載する項目の例は、以下のとおりです。

  • 騒音・迷惑行為の禁止
  • 喫煙・ペットの可否
  • ゴミの分別ルール
  • 鍵の受け渡し・返却方法
  • 緊急時の連絡先 など

外国人宿泊者の受け入れも想定している方は、日本語だけでなく英語・中国語・韓国語など多言語対応にしておきましょう。外国人宿泊者が利用したとしても近隣からの苦情が少なくなり、片付けも楽になることが期待できます。

STEP7:民泊サイトに登録する

個人での宣伝には限界があるため、以下のような大手の民泊サイトに登録し、多くの宿泊者にリーチできる環境を整えましょう。

  • Airbnb
  • Booking.com
  • Vrbo

一定の手数料はかかるものの、予約管理や決済処理を代行してくれるため、運営の手間が軽減されます。

特に、掲載写真のクオリティは予約数を大きく左右します。可能であれば、プロのカメラマンに撮影を依頼しましょう。

STEP8:運用・管理をする

新法民泊を運営する住宅宿泊事業者は、毎年偶数月の15日までに、各自治体に以下の項目を報告する必要があります。

  • 営業日数
  • 宿泊者数
  • 延べ宿泊者数
  • 国籍別の宿泊者数の内訳

また、民泊経営の成功には新規の宿泊者を集めるだけでなく、リピーターを獲得することが重要です。リピーターを増やすことで安定した収益が確保しやすくなり、口コミによる新規集客も期待できます。

リピーター獲得に向けて、以下のような施策を試してみると良いでしょう。

  • リピーター向けに割引クーポンを発行する
  • 宿泊者のレビューを元にサービスを改善する
  • SNSやメールで宿泊者限定のキャンペーン情報を発信する

民泊経営のメリット・デメリットとは?

民泊経営のメリット・デメリットとは?

民泊は一般的な賃貸経営とは異なり、短期間で利用者が入れ替わります。その性質上、運営方法によっては高い収益が期待できる一方で、管理やトラブル対応の手間が発生することも少なくありません。

民泊経営を始める前に、メリット・デメリットをそれぞれ確認しておきましょう。

民泊経営のメリット

民泊経営の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 所有物件を有効活用して収益を得られる
  • 観光客と交流できる
  • 出口戦略を考えやすい

特に大きいメリットは、所有している物件を有効活用することで、通常の賃貸よりも高い収益を得られる可能性があることです。実際に空き家や長期間借り手がつかない物件でも、民泊として運営することで収益化できます。

また、家主居住型の民泊であれば、観光客との交流を楽しめる点も魅力のひとつです。

さらに、状況に応じて柔軟に運営方法を変更しやすいメリットもあります。例えば、市場の状況に応じて賃貸経営に切り替えたり、物件を売却したりすることも利益を上げるうえで効果的な方法といえるでしょう。

民泊経営のデメリット

民泊経営には以下のデメリットがある点も、押さえておきましょう。

  • 物件や設備の破損・汚損リスクがある
  • 近隣住民とのトラブルが起きる可能性がある
  • 管理の手間がかかる

民泊では宿泊者が短期間で入れ替わるため、物件や設備の破損・汚損リスクが高くなります。特に、外国人観光客は日本の住宅設備を使い慣れていないことが多く、意図せず設備を壊してしまうケースも少なくありません。

さらに、騒音やゴミの問題、治安の悪化などが原因で近隣住民とのトラブルに発展することもあります。マンションなどの集合住宅を民泊物件として提供する際は、特に住民の理解を得ることが重要です。

加えて、民泊の運営には以下のような対応で多くの時間と手間がかかるため、適切な管理体制を整えることが大切です。

  • チェックイン・チェックアウトの対応
  • 清掃
  • 予約管理
  • 問い合わせ対応 など

民泊経営にかかる費用

民泊経営にかかる費用

民泊経営を始める際は、物件取得や設備投資にかかる初期費用と、運営を続けるためのランニングコスト(運営費用)の両方を考慮する必要があります。

初期費用

主な初期費用の内訳例は、以下のとおりです。

  • 物件購入費用(または契約初期費用)
  • 改装・リノベーション費用(防火設備、内装工事など)
  • 消防法対応費用(火災報知器、誘導灯、消火器など)
  • 民泊申請にかかる費用(行政書士に依頼する場合は20~40万円程度)
  • 家具・家電購入費・リネン類の購入費用
  • 通信設備費(Wi-Fiなど)
  • 広告宣伝費

観光庁の調査によると、65.5%の民泊事業者が500万円未満の初期費用で開業しているとのことです。一方で、5,000万円以上の初期費用がかかったケースも13.4%あり、物件の購入や大規模な改装を行う場合は多額の資金が必要になることがわかります。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査

運営にかかる費用

民泊を運営するためには、開業後も以下のようなランニングコスト(運営費用)が発生します。

  • 家賃ローン返済
  • 固定資産税
  • 光熱費、通信費
  • 消耗品・リネン交換費
  • 保険料
  • 民泊管理代行会社への委託手数料
  • 修繕費用

同じく観光庁の調査によると、1泊あたりの宿泊単価に占める必要経費(清掃やリネン類のクリーニング代など)の割合は、平均26.3%とのことです。また、住宅ローンや賃貸料、保険料などの年間固定費の平均は182万円となっており、民泊経営には一定のコストが継続的に発生することがわかります。

参照元:観光庁「住宅宿泊事業の実態調査

民泊経営のリスクを最小限に抑えるコツ

民泊経営のリスクを最小限に抑えるコツ

民泊は高収益を狙える反面、物件の破損や宿泊者・近隣住民とのトラブルなど、さまざまなリスクが伴います。ここでは、民泊経営を安全かつスムーズに運営するためのポイントを解説します。

民泊保険に加入しておく

通常の火災保険では、宿泊者による損害などはカバーされないことが多いため、以下のような補償内容がある「民泊専用保険」に入っておくと安心です。

  • 建物や設備の損害補償
    ⇒自然災害や宿泊者の不注意で、家具や設備が破損した場合など
  • 第三者に対する損害賠償責任補償
    ⇒施設管理不備が原因で宿泊者や近隣に損害を与えた場合など

民泊ならではの補償内容が含まれているため、万が一の備えとして有効です。

また、建物の用途を「住宅」として火災保険を契約している場合、民泊として運営すると保険金が支払われない可能性があります。必ず契約内容を見直し、適切な保険に加入しておきましょう。

トラブル防止策を検討しておく

民泊では宿泊者によるトラブルが発生しやすいため、事前に防止策を講じることが重要です。よくあるトラブル事例と対策について、以下の表にまとめてみました。

トラブル事例防止策
外国人宿泊者のルール違反
(ゴミの分別、騒音など)
外国人旅行者向けにウェルカムガイドを作成する
器物破損賃貸借契約書にクリーニングの有無や破損時の対応ルールを記載する
近隣住民近隣住民にトラブル時の連絡先を共有し、迅速な対応を約束する
不審者の侵入スマートロックや監視カメラを導入する

民泊トラブルを防ぐためには、宿泊者に明確なルールを伝え、近隣住民との関係を良好に保つことが重要です。

信頼できる代行専門会社を選ぶ

民泊運営では、清掃・チェックイン対応・予約管理など、さまざまな業務が発生します。これらを自力で行う余裕がない場合や、家主不在型の民泊を経営する場合には、代行専門会社を活用すると便利です。

ただし、代行会社によって費用やサービスの品質は大きく異なります。

選定を誤ると運営コストが膨らみ、収益を圧迫するリスクもあります。コストを抑えつつ、質の高いサービスを受けるために、以下のポイントをチェックしましょう。

チェック項目具体的な内容
代行業務の範囲完全代行 or 一部代行
価格定額制(毎月一定額を支払う) or 変動制(売上の◯%を手数料として支払う)か
評判清掃やゲストへの対応などの評判は良いか
対応エリア物件の所在地に対応しているか  

代行専門会社の利用コストが高くて収益を圧迫しそうな場合は「住宅宿泊管理業者」の資格を取得し、自分で管理・運営する方法も検討するとよいでしょう。

民泊経営の資金調達には不動産投資ローンを活用するのがおすすめ

民泊経営の資金調達には不動産投資ローンを活用するのがおすすめ

民泊経営は、立地や物件の条件が収益に直結します。資金不足を理由にチャンスを逃さないためにも、不動産投資ローンをうまく活用しましょう

例えば、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」であれば、銀行融資の審査が厳しい場合でも柔軟な対応が可能です。また、自宅やすでに所有している不動産を共同担保にすることで、自己資金が不足していても融資を受けられるケースがあります。

これから民泊経営を始める方は、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」をぜひご検討ください。

不動産投資ローン
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手続きの流れを押さえてスムーズに民泊経営をはじめよう

手続きの流れを押さえてスムーズに民泊経営をはじめよう

民泊には主に以下の3種類があり、それぞれ適用される法律や申請方法が異なります。

  • 新法民泊(住宅宿泊事業法)
  • 特区民泊(国家戦略特区法)
  • 簡易宿所(旅館業法)

運営形態によって営業日数や最低床面積などの条件が変わるため、自分の目的や物件の条件に合った運営形態を選びましょう。

運営形態を決定したら、次に物件選びや資金調達を進め、必要な許可申請を行います。申請方法を誤ると罰則の対象になる可能性があるため、各種要件を正確に確認し、適切に届け出ることが重要です。

資金面でお悩みの方は、セゾンファンデックスの「不動産投資ローン」も選択肢の一つです。融資金額は500万円~5億円と幅広く、フルローンでの借り入れが可能な場合もあります。

正しい手続きを踏み、必要な設備やルール整備をしっかり行えば、民泊は収益性の高いビジネスになり得ます。ぜひ本記事を参考に、スムーズな民泊経営をスタートさせましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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