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リスクを抑える「分散投資」の重要性

リスクを抑える「分散投資」の重要性

投資を始めてみたいけれど、損をするのが怖い。専門知識がない自分には難しい……そんな不安を抱えている人は多いようです。リスクを抑えて安定的に資産を増やすカギは「分散投資」にあります。キーワードは「資産」「地域」「時間」の分散。本記事では、分散投資とは何か、どのように行うべきかを、ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんが、初心者にもわかりやすく解説します。

そもそも、分散投資ってどんなもの?

「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言を聞いたことがありますか? これは、大切なものを一つに集中させると、それに何かあったときにすべてを失ってしまうことのたとえです。

すべての卵を一つのカゴに入れると、そのカゴを落としてしまったら卵が全部割れてしまいます。でも、複数のカゴに分けてもっておけば、一つのカゴを落としても他の卵は無事で済むでしょう。

そもそも、分散投資ってどんなもの?

この考え方を投資に活かしたのが「分散投資」です。一つの会社の株、一つの国の資産、特定の時期だけに投資を集中させると、その対象にトラブルがあったら大きな損をする危険があります。それを避けるために、できるだけ分散させることが望ましいのです。

具体的には「資産の種類」「地域」「時間」を分散して投資をすることで、リスクを抑えながら安定的に資産を増やすことにつながります。それぞれ「ガーデニング」の例えとともに理解を深めましょう。

資産の分散-いろいろな商品にバラけさせてリスクを軽減!

「資産の分散」とは、株式や債券など、値動きが異なる複数の資産に投資を分けることを指します。

複数の資産に投資すれば、資産ごとに値動きが異なるため、ある資産が値下がりしても、他の資産が値上がりすることで損失をカバーできる可能性があります。投資対象の商品にバラけさせることで、全体としてのリスクを抑えることにつながるのです。

「ガーデニング」の例えで理解を深めよう

ガーデニングにチャレンジして、素敵な庭をつくるのをイメージしてみましょう。一種類の花だけを植えると、その花特有の病気が広がったり、天候の急変で花が咲かなくなったりするリスクがあります。しかし、いろいろな種類の花やハーブなどを植えておけば、ある植物がうまく育たなくても、他の植物が庭を彩ってくれるかもしれません。結果として、いつもさまざまな植物を楽しめる、豊かな庭になるでしょう。

資産の分散-いろいろな商品にバラけさせてリスクを軽減!

投資でも同じように、一つの資産に集中して投資するのではなく、複数の資産に分散して投資をすることで、リスクを抑えながら安定的な成果が期待できるのです。

地域の分散-いろいろな国・地域に投資してリスクを軽減!

「地域の分散」とは、投資先のエリアを一つの国や地域に集中させず、例えば日本、アメリカ、ヨーロッパ、新興国など、複数の国や地域に分けて投資することです。

国や地域ごとに、経済成長率や景気の動きが異なります。一つの国やエリアに集中して投資をすると、その国の経済が不調になったときに、資産が大きく減る恐れがあります。また、自然災害や政治不安、金融危機など、その国や地域特有のリスクもあります。

「ガーデニング」の例えで理解を深めよう

ガーデニングにチャレンジした際に、一か所に集中して植物を植えると、その土地の日当たりや土壌の状態が偏っていることで、ある植物がうまく育っても、別の植物は思うように育たないことがあります。日当たりのよい場所、日影が多い場所、水はけがいい土、湿り気がある土など、異なる環境に植物を植えることで、全体としてバランスよく育ち、うまくいく可能性が高まります。

地域の分散-いろいろな国・地域に投資してリスクを軽減!

資産運用でも、国や地域を分けて投資することで、リスクを分散させ、安定した資産運用が期待できます。

時間の分散-タイミングをずらすことで、リスクを軽減!

「時間の分散」とは、一つの時期にまとめて投資をせず、いくつかの時期に分けて投資をすることです。投資にまわせる資金があっても、一括で投資せず、複数回に分けて投資することを指します。

値動きがあるものに投資をする場合は、いつ高値になるか、安値になるかを予想することが難しいものです。一つの時期に投資をすると、高値の時期に買ってしまう恐れがあります。そのため、時期を分けることで“高値掴み”を防ぐことにつながります。

「ガーデニング」の例えで理解を深めよう

1つの季節にまとめて植物を植えてしまうと、その時期に適したものはよく育っても、そうでないものはうまく育たないことがあります。植物にはそれぞれ適した植えどきがあり、春に植えるもの、秋に植えるものなど、季節ごとの違いがあるからです。もし、事前にその適した植えどきがわからない場合は、季節をずらして植物を植えれば、どこかのタイミングでは元気に植物が育っていくでしょう。

時間の分散-タイミングをずらすことで、リスクを軽減!

「時間の分散」による投資法の一つとして、「ドルコスト平均法」があります。これは、毎月一定額を購入していくこと。値段が高い時は少ない量を買い、安い時は多くの量を買うことで、購入平均単価を抑える効果が期待できる投資法です。

投資信託を活用して分散投資を実現しよう

初心者は、自力での分散投資が困難!?

分散投資を自分でしようと思うと、投資初心者は悩んでしまうものです。どんな商品をどれくらいの割合にしたらよいか、どんな国やエリアにすればよいか、どのような時期に分けて買ったらよいかと悩み、投資になかなか一歩踏み出せない場合もあります。また、手間がかかるだけでなく、一つひとつの資産運用に手数料がかかってしまうのも、痛いところです。

そのため、初めての分散投資には、「投資信託」を活用がおすすめです。

投資信託で分散投資をプロにお任せ

投資信託とは、たくさんの投資家から集めたお金を、プロが株式や債券など複数の資産に分けて運用してくれる金融商品です。

投資信託1本で、すでに複数の商品に分散投資ができるのが特徴です。例えば、日経平均株価に連動する投資信託なら、それ1本を購入するだけで、日経平均株価に採用されている日本を代表する225社の株式に、まとめて投資するのと同じ効果を得られます。

また、投資信託なら、日本だけでなく、海外の株式や債券などにも手軽に投資でき、地域の分散も叶えられます。さらに、多くの金融機関では、月100円や1,000円などの少額から積み立て投資ができ、時間を分けて投資する「時間の分散」も無理なく取り組めます。

さらに、NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、投資で得た利益にかかる約20%の税金が非課税になります。そのため、より効率的に資産を増やすことにつながるでしょう。

このように、「資産」「地域」「時間」の3つの分散が自然にできる投資信託を使って積み立てをしていけば、毎月コツコツと自動的に投資ができるようになるはずです。

「ガーデニング」の例えで理解を深めよう

ガーデニングのプロにお願いして、すてきなお庭を作ってもらうイメージです。プロの視点から、植物の種類、植える場所、適した季節を選んでもらえるので、あなたが手を動かさずとも、すてきなお庭が完成するでしょう。

マネー研究会からの一言の画像

マネー研究会からの一言

初めての投資が怖いと感じるのは、もしかしたら何か一つのものに集中して投資しようとしているからかもしれません。今回ご紹介したように「資産・地域・時間」の3つの観点でリスクを分散させる「分散投資」なら、大きな失敗を避けながら、資産を安定的に増やすことが期待できます。上手に分散投資することで、初めての投資でも安心して一歩踏み出すことができるでしょう。それが、あなたの資産形成の第一歩となるはずです。

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<ライタープロフィ―ル>
西山美紀
ファイナンシャルプランナー。お金や生き方等をテーマに、単に貯蓄額だけを増やすのではなく、楽しさも増やすお金の貯め方・使い方・増やし方を女性誌やWeb等で発信。著書に『お金の増やし方』(主婦の友社)等。

(監修・執筆=西山美紀 図版=藤田倫央 編集=ノオト)

一緒に学ぶ!知識ゼロからの資産形成 マネー研究会

執筆者

一緒に学ぶ!知識ゼロからの資産形成

セゾンのマネー研究会

「お金」に対して苦手意識を持つ資産形成ビギナーが集まり、ともに学ぶ場「セゾンのマネー研究会」。セゾンカード会員へのアンケート調査や有識者のアドバイスなどをもとに、一緒に「はじめの一歩」を踏み出すための情報を研究会メンバーがお届けします。

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