ATMを利用するたびにかかる数百円の手数料は、一度だけなら気にならなくても、積み重なると大きな出費につながります。特に引き出し回数が多い方にとっては、日常の中で確実に家計を圧迫する要因となりかねません。
多くの銀行には「無料で引き出せる条件」があり、使い方次第で手数料はゼロになります。自分に合った銀行選びと、手数料をかけずにATMを使う工夫を解説します。
知らないと損!ATM手数料で失う年間コスト

ATM手数料の額は、利用する銀行やATMの種類、時間帯などで大きく変わります。例えば、多くの大手銀行や地方銀行、コンビニATMでのATM手数料は、時間帯やATM種別により110〜330円が一般的。このため、利用回数が増えると意外に大きな負担となってしまいます。
年間のATM手数料をシミュレーションしてみよう
週1回、1回220円のATMを利用すると、年間の手数料は約1万円(220円×4週×12ヶ月=10,560円)にもなります。
さらに、夜間に利用すると330円かかるコンビニATMを月5回使えば、年間で19,800円に達します(330円×5回×12ヶ月)。
1回あたりはわずかでも、積み重なれば見過ごせないコストですね。
預金利息と比べると手数料の大きさがよくわかる
メガバンクの普通預金金利は、2025年3月の改定以降おおむね年0.20%前後で推移しています(2025年8月時点)。100万円を1年預けても税引前の利息は約2,000円にとどまり、ATM手数料(1回110〜330円)を数回支払えば、すぐに利息を相殺してしまいます。
利息を増やすより、手数料を払わない工夫のほうが資産を守る近道です。
無料ATMの活用法とネット銀行の上手な使い方

ATM手数料を抑えるには、自分に合った銀行選びとネット銀行の上手な活用が鍵。使い分けや無料回数の工夫で、無駄な手数料を防げます。
自分に合った銀行を選ぶことが節約の第一歩
節約は、今使っている銀行をきちんと理解することから。 主な銀行の種類と、それぞれに適した利用者のタイプを確認し、自分の暮らしに合った銀行を選ぶ際のヒントにしてください。
銀行の種類 | ATM手数料 | おすすめな人 |
---|---|---|
メガバンク/地銀 | ・銀行ATMは原則平日日中(8:45〜18:00頃)は手数料無料 ・時間外やコンビニATMは110〜330円が目安 | ・平日日中に利用できる方 ・給与振込などで無料条件(月1〜3回)を満たせる方 |
ゆうちょ銀行 | ・郵便局・ゆうちょ銀行内ATMは原則無料 ・駅・商業施設のATMは時間帯により110円がかかる場合あり | ・全国移動が多い方 ・地方在住で銀行ATMが少ない方 ・曜日や時間を気にせず利用したい方 |
ネット銀行 | ・自前ATMは少ない ・提携コンビニATMや他行ATMが 月数回まで無料のケースが多い | ・生活圏にコンビニがある方 ・月数回の引き出しで無料回数を活用できる方 |
イオン銀行 | ・イオングループの店舗にATM設置 ・原則365日24時間手数料無料 ・イオンモール等に実店舗あり | ・イオングループでよく買い物する方 ・夜間や休日も無料で使いたい方 ・実店舗の安心感を重視する方 |
地方では、全国に営業網があるゆうちょ銀行も使い勝手がよさそう。イオン銀行は全国のイオン系列店で24時間365日利用可能、実店舗もあって高齢者にも安心です。
ネット銀行は無料ATM回数が多くて便利
ATM手数料を節約するなら、ネット銀行がおすすめ。店舗型銀行より無料で利用できる回数が多く、月に数回無料で使える銀行が多いです。
銀行名 | ATM出金手数料 無料回数 | 特徴・条件 |
---|---|---|
楽天銀行 | 最大月7回(ランクによる) | ・「ハッピープログラム」ステージに応じて最大7回無料 ・残高50万円以上 or 取引10回以上 → 月2回無料 ・残高100万円以上 or 取引20回以上 → 月5回無料 |
住信SBIネット銀行 | 最大20回(ランクによる) | ・「アプリでATM」(セブン銀行/ローソン対応)は何度でも無料 ・キャッシュカード利用はスマプロランクに応じて無料回数が増える ・アプリ登録+スマート認証NEO利用で月5回無料スタート |
auじぶん銀行 | 最大月15回(ランクによる) | ・残高に関わらず月2回無料 ・シルバーランク(条件緩め)で月5回無料 ・ゴールド以上でさらに回数UP |
ネット銀行にはデメリットも。実店舗を持たないため、サポートは主に電話やチャットによる対応で実店舗での相談は出来ません。また現金入金の際に手数料が発生したり、提携ATMの数が限られていたりすることもあるので、使う前にはよく検討しましょう。
銀行の併用&キャッシュレスで無料回数をフル活用

給与振込や引き落としには店舗型銀行のメイン口座を活用し、日常の支払い用にはATM手数料の無料回数が多いネット銀行をサブ口座として使うのもおすすめ。現金はまとめて引き出せば、限られた無料回数を無駄なく使えます。
さらにキャッシュレス決済を積極的に取り入れると、現金の使用頻度が減りATM手数料の節約にもつながりますよ。
おわりに
つい見過ごしがちなATM手数料。まずは今使っている銀行の手数料や無料回数を確認。そのうえで、自分の生活スタイルに合った銀行を選び、キャッシュレス決済も上手に取り入れてみましょう。
小さな見直しが、年間で数千円〜数万円の節約につながります。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。