引っ越しは新生活の始まりであると同時に、不要になった家具を処分する絶好のチャンスです。家具の処分方法には、自治体の粗大ごみ回収、不用品回収業者への依頼、リサイクルショップでの売却、知人への譲渡などがありますが、それぞれ「費用」「手間」「処分までの日数」が異なります。方法を誤ると、引っ越し当日まで家具が残ってしまい、作業に支障をきたすこともあるため注意が必要です。
本記事では、引っ越し時におすすめの家具処分方法を「費用」と「手間」の観点から比較し、それぞれの注意点を解説します。さらに、大型家具の扱い方や処分費用を安く抑えるコツに加え、引っ越しと同時に荷物整理としても活用できる「家財整理」サービスについても紹介します。
- 引っ越し時の家具処分には処分・売却・譲渡の3つの主要な選択肢がある
- 自治体、不用品回収業者、リサイクルショップ、フリマアプリなど複数の方法がある
- 大型家具の運搬や処分時期、費用を抑える工夫についてQ&A形式で解説

引っ越し時の家具処分の選択肢を費用と手間から比較

家具の処分は大きく分けて「処分」「売却」「譲渡」の3パターンがあります。代表的な方法と特徴を整理すると次のとおりです。
処分方法 | 費用目安 | 手軽さ | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
自治体の粗大ごみ | 数百円~数千円 | ★★☆☆☆ | ・費用が安い ・行政サービスで安心 | ・自分で指定場所まで運搬が必要 ・予約が取りにくい ・家電リサイクル法対象品目は回収不可 |
不用品回収事業者 | 数千円~数万円 | ★★★★★ | ・自宅まで引き取りに来てくれる ・即日対応も可能 ・幅広い品目に対応 | ・費用が高め ・業者選びが重要 |
引っ越し事業者 | 引っ越し料金に加算(内容は事業者による) | ★★★★★ | ・引っ越しと同時に処分可能 ・処分する家具を引っ越し当日まで使用できる ・自分で運び出す必要がない | ・追加費用の可能性あり ・すべての家具を引き取ってもらえるとは限らない |
リサイクルショップ | 0円~(売却益) | ★★★☆☆ | ・現金化できる可能性がある ・出張買取サービスは運び出しの手間が省ける | ・必ず買い取ってもらえるとは限らない ・状態によっては値段がつかない、または引き取り不可となる |
フリマアプリ・オークション | 0円~(売却益) | ★☆☆☆☆ | ・高値で売れる可能性がある ・思い入れのある家具を必要とする人に直接譲れる | ・出品、梱包、発送など手間が大きい ・引っ越し日までに売れるとは限らない ・個人間取引でのトラブルのリスクがある |
家具店の引き取りサービス | 0円~数千円 | ★★★★☆ | ・新しい家具の搬入と同時に古い家具を処分できる ・処分業者を探す手間が省ける | ・新しい家具の購入が前提となる ・購入品と同種 ・同数の家具しか引き取らないなど条件がある |
知人・友人に譲る | 0円 | ★★☆☆☆ | ・処分費用がかからない ・大切に使ってもらえる | ・引き取り手探しが必要 ・運搬方法などを当人同士で調整する必要がある |
【処分】自治体・不用品回収事業者に依頼する場合
家具を「処分」する代表的な方法として、自治体の粗大ごみ回収と不用品回収事業者への依頼があります。自治体の粗大ごみ回収は行政サービスのため安心感があり、処分費用も比較的安価で済むことが特徴です。
テーブルなら約400~1,200円、椅子なら約400円程度で処分できます。ただし、自分で指定場所まで運び出す必要があり、引っ越しシーズンは予約が取りにくい場合があります。
一方、不用品回収事業者は自宅まで引き取りに来てくれる利便性があり、即日対応が可能な場合もありますが、費用は割高になる傾向があります。
【売却】リサイクルショップ・フリマアプリで売る場合
家具を「売却」する方法として、リサイクルショップでの買取とフリマアプリ・ネットオークションでの個人間売買があります。リサイクルショップは手間をかけずに現金化したい場合に適しており、出張買取サービスを利用すれば運び出しの手間も省けます。
しかし、必ず買い取ってもらえるわけではなく、状態によっては値段がつかないことがあります。フリマアプリは自分で価格設定でき高値で売れる可能性がありますが、出品から発送まで全て自分で行う手間がかかり、引っ越し日までに売れる保証もありません。家具の状態やブランド、売却までの期間を考慮して選択することが大切です。
【譲渡・その他】知人や引越し事業者に引き渡す場合
処分や売却以外の方法として、知人への譲渡、家具購入店での下取り、引っ越し事業者への引き取り依頼があります。知人への譲渡は処分費用がかからず、大切に使っていた家具を無駄にせずに済むメリットがありますが、引き取り手を見つけることが必要で、運搬方法を当人同士で調整する手間があります。
家具店の下取りサービスは新しい家具の搬入と同時に処分できて効率的ですが、新しい家具の購入が前提で、購入品と同種・同数の条件があることが多いです。引っ越し事業者への引き取り依頼は引っ越し当日まで家具を使用でき手間が少ないものの、すべての家具を引き取ってもらえるとは限りません。
【方法別】引っ越しで不要な家具を処分する手順と注意すべきこと

引っ越し時の家具処分を成功させるには、適切な手順を把握し、起こりうるトラブルを未然に防ぐことが重要です。処分方法によって必要な手続きや注意点が大きく異なるため、選択した方法に応じた具体的な流れを理解しておきましょう。
以下では、代表的な処分方法である自治体の粗大ごみ回収、不用品回収事事業者への依頼、買取サービスの利用について、実際の手順と注意すべきポイントを解説します。
自治体の粗大ごみとして家具を捨てる手順と注意すべきこと
自治体の粗大ごみ回収は最も一般的で費用を抑えられる処分方法です。以下の手順で進めることで、スムーズに処分できるでしょう。
【自治体の粗大ごみ回収を利用する際の一般的な流れ】
- 家具の寸法を測定しておく
- 粗大ごみ回収受付センターに回収を依頼する
- 有料粗大ごみ処理券を購入し、必要事項を記入して家具に貼り付ける
- 指定された収集日に、所定の場所へ粗大ごみを出す
引っ越しシーズンである3~4月は申し込みが混雑し、回収まで1ヶ月以上かかる場合があるため早めの予約が必要です。また、エアコンや冷蔵庫などの家電リサイクル法対象品目は自治体では回収できません。処理券の購入時は、お住まいの自治体のものを間違えずに購入しましょう。自己搬入を利用すれば処分費用をさらに抑えられる可能性があります。
不用品回収事業者に家具の引き取りを依頼する手順と注意すべきこと
不用品回収事業者は自宅まで引き取りに来てくれる利便性がありますが、事業者選びには十分な注意が必要です。
【不用品回収事業者に依頼する際の一般的な流れ】
- 複数の事業者に見積もりを依頼する
- 事業者を選定し、回収日時を予約する
- 当日、事業者が自宅まで回収に来る
- 料金を支払い、処分完了
事業者選びでは悪質な事業者を見極めることが重要です。以下のポイントを確認しましょう。
【悪質な事業者を避けるためのチェックポイント】
- 一般廃棄物収集運搬業許可の許可番号がウェブサイトに明記されているか
- 料金体系がわかりやすく表示されているか
- 他社と比較して極端に安い料金を提示していないか
- 見積もり時に追加料金やキャンセル料について明確に説明してくれるか
「無料回収」をうたう事業者でも、実際には高額な処理費用を請求される事例が報告されています。複数の事業者から相見積もりを取り、サービス内容と料金を慎重に比較検討することで、トラブルを回避できるでしょう。
家具を買い取ってもらう手順と注意すべきこと
リサイクルショップや買取アプリを利用すれば、処分費用をかけずに家具を手放せる可能性があります。リサイクルショップでは査定から買取までスムーズに進められ、フリマアプリでは自分で価格設定できる利点があります。しかし、出品から梱包・発送まで全て自分で行う手間がかかり、引っ越し日までに売れる保証はありません。
高く売るためには、家具を清掃してきれいな状態にし、保証書や取扱説明書などの付属品を揃えておくことが重要です。ただし、製造年数の古いものや傷・汚れの目立つもの、組み立て式の家具は値段がつきにくい傾向があります。タバコやペットの臭いが移っていると査定額が下がるため、臭い対策も必要でしょう。
売却できなかった場合に備え、代替の処分方法をあらかじめ検討しておくことで、引っ越し日に間に合わない事態を避けられます。
引っ越し時の家具処分に関するQ&A

引っ越し時の家具処分について、多くの方が抱える具体的な疑問にお答えします。運搬が困難な大型家具への対処法、最適な処分タイミング、費用を抑える方法など、実際の処分作業で直面する課題を解決するための実践的なアドバイスをご紹介します。
これらの情報を活用することで、スムーズで効率的な家具処分が実現できるでしょう。
運搬困難な大型家具の処分には、事業者に依頼する方法と自分で解体する方法があります。事業者に依頼すれば運び出しから処分まで全て任せられますが、サービス料が発生します。解体する場合は、ねじを外すかのこぎりで切断し、解体後のサイズによっては普通のゴミとして回収してもらえる可能性があります。
ただし、品目によっては解体しても粗大ゴミ扱いとなるため、事前に自治体に確認しましょう。工具の準備やケガのリスクを考慮し、無理せず安全に処分できる方法を選ぶことが重要です。
処分方法によって必要なリードタイムが異なるため、引っ越し日から逆算して余裕を持った計画が必要です。自治体の粗大ゴミは引っ越しシーズンに予約が混み合い、1ヶ月以上かかる場合があります。フリマアプリは売れるまでの期間が不確定で、売却できない場合は別の処分方法を検討する必要があります。
不用品回収事業者は比較的短期間で対応できますが、見積もりや事業者選定に時間を要します。各方法のリードタイムを考慮し、引っ越し1ヶ月前までには処分計画を立て、代替案も準備しておくことをおすすめします。
処分費用を節約するには複数の方法を検討しましょう。自治体への自己搬入を利用すれば運搬コストがかからず、従来の回収方法より安く処分できます。売却や譲渡を優先的に検討し、リサイクルショップでは複数店舗で査定を依頼して買取価格を比較しましょう。
不用品回収事業者を利用する場合は、複数の事業者から相見積もりを取り、サービス内容と料金を慎重に比較検討することが大切です。手間と費用のバランスを考慮し、自分にとって最もコストパフォーマンスの高い方法を選ぶことで、効率的な費用削減が実現できます。
引越しで大量の家具を処分するなら「家財整理サービス」も検討を
大量の家具を処分する場合は、「家財整理」にも対応したくらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスという選択肢があります。遺品整理や生前整理の専門知識を活かし、ご家族に代わって家具や家財を整理・仕分けするサービスで、引っ越しに伴う大量処分や自分で運びにくい大型家具、仏壇などの特殊な品目にも対応可能です。
一人暮らしや高齢の方の施設入居時などにも有効で、専門スタッフが丁寧に作業を行うため、安心してお任せいただけます。
【サービスの特徴】
- 家財整理を含む幅広い片付けに対応
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- デジタル遺品など、現代ならではの悩みにも対応
引っ越しに伴う家具処分から生前整理・空家整理まで、まとめて任せたい方におすすめです。
詳しくはくらしのセゾン「遺品整理・生前整理」サービスをご覧ください。

おわりに
引っ越し時の家具処分は、計画的に取り組むことで費用と手間を大幅に削減できます。処分方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、家具の状態や処分までの時間、予算に応じて最適な選択肢を組み合わせることが重要です。早めの準備と適切な方法選択により、引っ越し費用を抑えつつスムーズな新生活のスタートを実現できるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。