年齢とともに気になる白髪。これまでは染めて隠すことが一般的でしたが、最近では白髪をそのまま活かす「グレイヘア」が注目を集めています。
本記事では、白髪を活かすヘアスタイルの実例やカット・ケアのポイント、グレイヘアを育てるためのアイテムやシャンプー・ブラシの選び方、さらに男性・女性別の似合う整え方まで、プロのアドバイスをもとに解説。これからの髪のあり方を前向きに考えるヒントをお届けします。
グレイヘアとは?隠すのではなく、白髪を活かす髪へ

今まで当たり前だった「白髪は隠すもの」という概念から、そのまま「活かすもの」へ。
近年、白髪を染めずに自然な魅力として楽しむ「グレイヘア」が注目されています。はじめに、美容師のシラトリさんに、グレイヘアとは何なのか、その定義やメリット、移行のタイミングについて解説していただきます。
グレイヘアの定義と特徴
グレイヘアとは、白髪染めで隠すのをやめ、自然に生えてきた白髪をそのまま楽しむヘアスタイルのことを指します。完全に染めない場合もあれば、白髪部分にほんのり色を加えて柔らかなニュアンスを出すスタイルも含まれます。
「グレイヘア」という言葉は2018年の流行語大賞にもノミネートされ、世間的にも広がりを見せました。「自然体」や「ありのままの自分を受け入れる」といった価値観の象徴として注目されており、白髪染めを繰り返すことで生じる髪や頭皮への負担を軽減できるのも魅力です。
グレイヘアに厳密な基準はありませんが、白髪が全体の半分ほどになったときに染めるのをやめ、自然な色合いを楽しむスタイルを指すことが多いです。
黒髪と白髪が混ざり合うことで、個性的で立体感のある髪色になるのが特徴ですね。ここ10年ほどで“隠す”から“楽しむ”へと価値観が大きく変わってきたと感じます。
白髪を隠すのではなく活かすメリット
単なるヘアスタイルの変化にとどまらず、日々のストレスや時間の使い方、さらには自己肯定感にまでプラスの影響をもたらすグレイヘア。そのメリットをあらためて見ていきましょう。
・ 髪と頭皮にやさしい
白髪染めを繰り返さないことで、薬剤によるダメージや乾燥、切れ毛を防ぎ、健康的な髪を保ちやすくなります。
・ 時間もお金も節約できる
定期的な染め直しや美容室通いが不要になり、メンテナンスにかかる時間・コスト・ストレスを大幅に減らせます。
・ 自然で上品な見た目に
黒髪と白髪が自然に混ざり合うことで、年齢に合った柔らかいグラデーションが生まれ、落ち着きや洗練された雰囲気を演出できます。
・カラーリングのストレスから解放され前向きに
「また染めなければ」というプレッシャーや、生え際の白髪を気にするストレスから解放され、ありのままの自分を前向きに楽しめるようになります。
・カラーやデザインの幅が広がる
白髪をベースにすることで、従来の白髪染めでは難しかった明るい色や立体的なデザインも取り入れやすくなり、おしゃれの幅が広がります。
一番大きいのは、鏡を見たときに“伸びてきた白髪が気になるストレス”から解放されることです。頭皮や髪の負担も減るし、美容院代や時間も節約できる。その分をケアやファッションに回せるのも大きな魅力ですね。
グレイヘアにシフトするタイミングの目安
グレイヘアへの移行を考えるとき、「どのタイミングで始めるのがいいのか」「どのくらい白髪が増えたら自然に見えるのか」と悩む方は多いでしょう。実は、グレイヘアが美しく見え始める時期には一定の目安があります。
白髪の割合が 60%を超える頃からグレイヘアらしい雰囲気が出始め、80%以上 になると理想的なバランスになります。移行には髪の長さによって半年〜数年かかりますが、定年退職やライフスタイルの変化などをきっかけに挑戦する方が多い傾向です。
グレイヘアに移行する前の準備

白髪を活かすグレイヘアに挑戦する前に、まずは土台となる髪や頭皮の状態を整えることが大切です。ここからはグレイヘアへの移行をスムーズに進めるためのステップとポイントを紹介します。
Step1:まずは髪と頭皮の健康チェック
移行前に自分の髪や頭皮の状態を確認しておきましょう。乾燥やダメージが強いままでは、せっかくのグレイヘアもパサついて見えてしまいます。保湿力の高いシャンプーやトリートメントでケアをし、頭皮の血行を促すマッサージも習慣にすると理想的です。
グレイヘアは“髪質そのもの”が印象を左右します。乾燥やハリのなさを放置すると疲れて見えてしまうので、まずは健康な髪と頭皮づくりからはじめましょう。
Step2:白髪の量や出方に合わせて髪型を工夫
白髪の割合や出方は人それぞれ。前髪やもみあげに集中している人もいれば、全体に均等に広がる人もいます。自分の白髪の出方を踏まえて、ショートやボブ、レイヤーカットなど似合うスタイルを工夫することで、移行期間もおしゃれに過ごせます。
白髪の出方は千差万別なので、髪型に合わせた工夫が大切です。特に移行期は“ぼかすカット”や“デザインカラー”を組み合わせると、自然になじみやすいですよ。
Step3:カラーでグレイヘアを美しく見せる
完全に染めない選択をする前に、黄ばみや色むらを防ぐためのカラーリングを取り入れるのもおすすめです。アッシュ系やシルバー系のカラーを重ねると透明感が増し、白髪がより美しく見えます。ムラサキシャンプーなど専用ケアアイテムを取り入れると、仕上がりが一層上品に。
白髪はそのままだと黄ばみやすいので、少し色をのせてニュアンスを出すときれいに見えます。最近は“育てるカラー”といって、段階的にグレイヘアに移行する方法も人気ですね。
移行期間をおしゃれに乗り切る工夫
グレイヘア完成までには時間がかかるもの。ショートカットで清潔感を出したり、白髪ぼかしハイライトやカラートリートメントを使って自然に見せることで、移行中も前向きに楽しめます。
移行期は中途半端になりがちですが、工夫次第で“その過程”も楽しめます。特に清潔感を意識するだけで印象は大きく変わりますよ。
グレイヘアのためのアイテム選びとケアのポイント

グレイヘアを美しく保つためには、日々のケアとアイテム選びがとても大切です。
白髪はメラニン色素が少なく、髪の内部が空洞になっているため、乾燥しやすく、うねりも出やすいという特徴があるため、黒髪と同じケアをしても、効果が出にくいことがあります。
ここでは、グレイヘアをより美しく見せるためのシャンプーやトリートメント、ブラシの選び方とケアのコツをご紹介します。
トリートメント・ヘアケアの注意点
グレイヘアの一番の悩みは乾燥とパサつきです。メラニン色素が少なく髪の内部が空洞になっているため、どうしても水分や油分が失われがち。これを補うには、オイルトリートメントや保湿力の高いヘアマスクが効果的です。シラトリさんによると、特にオイルトリートメントで油分と水分をしっかり補うことで、うねりやねじれを防げるそうです。
黄ばみやパサつきを防ぐアイテムと方法
白髪は、紫外線の影響で黄ばみやすいという特徴があります。これを防ぐには、紫シャンプーやカラーシャンプーを定期的に使うのがおすすめです。また、紫外線は髪のダメージだけでなく、白髪の黄ばみの原因にもなるため、UVケアも忘れないようにしましょう。
乾燥しやすい季節には、保湿バームやヘアオイルをプラスして、静電気対策をするのも有効です。
自宅でできるグレイヘアの維持方法
日々のちょっとした習慣が、グレイヘアの美しさを保つ秘訣です。たとえば、シャンプー前に髪をブラッシングすると、汚れを浮かせ、頭皮の血行を促す効果があります。
また、年齢を重ねると皮脂の分泌が減るため、低刺激で保湿効果のあるシャンプーを選びましょう。洗髪後は、自然乾燥は避け、ドライヤーで根元からしっかり乾かすことが大切です。ドライヤーの熱から髪を守るために、事前にヘアオイルを塗布すると良いでしょう。
分け目を変えたり、前髪やレイヤーを入れたりすると、白髪が目立ちにくくなります。特にロングヘアの場合、パーマなどで動きを出すと、視線が分散されておすすめです。
美容室×自宅でグレイヘアを美しく保つには

グレイヘアを長く美しく楽しむためには、美容室でのプロのケアと、ご自宅での毎日のケアを組み合わせることが大切です。
定期的なカット・カラー調整の目安
美容室では、髪の内部に不足しがちな栄養を補給し、健康な髪を保つための専門的なケアを受けられます。
特にグレイヘアの場合、乾燥やうねりが気になりやすいので、トリートメントでしっかりと栄養を補うのがおすすめです。また、4〜8週間に1回を目安に美容室でカットやカラーを調整してもらうことで、髪型をきれいに保ち、白髪をより魅力的に見せることができます。
老けて見える不安へのプロのアドバイス
「白髪にすると老けて見えるのでは?」と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。シラトリさんによると、服装やメイクに明るさをプラスするのがおすすめ。
顔周りに明るい色を加えるだけで、顔全体の印象が華やかになります。例えば、赤系のリップをつけたり、明るい色の服を選ぶことも効果的です。
また、もみあげや前髪など、あえて白髪をデザインの一部として活かす方法もあります。白髪をネガティブに捉えるのではなく、自分だけの個性として楽しむことで、グレイヘアはさらに魅力的になります。
白髪の出方は人それぞれです。まずは美容師に相談して、自分に合ったグレイヘアのスタイルやケア方法を見つけましょう。
まとめ:白髪を活かして自分らしく輝くグレイヘアに
白髪を「隠す」時代から「活かす」時代へ。グレイヘアは、髪や頭皮への負担を減らし、ありのままの自分を前向きに楽しむための素敵な選択肢です。
白髪は単なる年齢のサインではなく、個性や魅力のアクセントになります。美容室での定期的なケアと、自宅での毎日のケアを組み合わせながら、あなたらしいグレイヘアを楽しんでください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。