現在、「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」などの特殊詐欺の被害者の約9割が高齢者といわれています。「特殊詐欺の被害に遭わないために電話の防犯対策をしたい」「電話機の防犯対策に効果的な機能は?」などと思われる方は多いのではないでしょうか。
本コラムでは防犯対策に効果的な電話機の選び方、特殊詐欺の手口と対処法、被害に遭わないために普段から取り組めることについて解説していきます。電話機の防犯対策について知りたい方は、本コラムを役立ててください。
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特殊詐欺対策には優良防犯電話がおすすめ
特殊詐欺に対して効果的な対策は、自宅に優良防犯電話を導入することです。全国防犯協会連合会によると、優良防犯電話の定義は以下のとおりです。
- 電話機又は電話機に容易に取り付けることが可能な外付け機器であって、次のいずれかの機能を有するものであること。
a.電話の着信時に、電話の相手方に警告音声を発する機能を有し、かつ、通話中に自動的に通話内容を録音する機能
b.迷惑電話番号データベースに登録された情報により、迷惑電話番号からの電話を自動判別して着信を拒否又は着信ランプ等で警告表示する機能 - 耐久性を有し、正常に作動するものであること。
- 高齢者等が使用するに当たって、操作が容易にできるもの。
引用元:公益財団法人全国防犯協会連合会推奨「優良迷惑電話防止機器」(優良防犯電話)について
特殊詐欺の被害者は、手口や事例を理解している方が多いです。それでも、電話に出ると詐欺にだまされてしまいます。そのため、電話に出ないことが被害を未然に防ぐ方法といえます。
優良防犯電話を導入した方によると、特殊詐欺や迷惑電話がかかってくる頻度が減少したそうです。電話機を新しく購入する場合は、優良防犯電話の製品であるか確認すると良いでしょう。
電話機の防犯対策に効果的な機能5選
特殊詐欺の防犯対策用に電話機を探すとき、どのような機能を重視して選べば良いか悩んでいる方が多いのではないでしょうか。こちらでは、特殊詐欺から身を守るために効果的な電話機の機能を紹介します。
相手に警告メッセージが流れる機能
警告メッセージが流れる機能が電話機に付いていると、詐欺電話をかけてきた相手は警戒して、すぐに電話を切ってしまうことが多いです。特殊詐欺の実行犯は簡単にだませる方を探しているため、防犯対策済みの家庭を避ける傾向にあるといわれています。
「この通話は録音されている」などと伝える警告メッセージ機能があると、かけてきた相手は警戒します。警告メッセージ機能により、特殊詐欺の電話を避けられるでしょう。
着信時に注意喚起アナウンスが流れる機能
注意喚起アナウンスとは、未登録番号から電話がかかってきたときに「知らない番号から連絡がきた」と音声で教えてくれる機能です。電話の相手方のことが事前に分かるため、覚えのない番号からの電話に出る際に心構えができます。
また、電話をかけてきた相手の名前を聞き出して、こちらに知らせてくれる機能もあります。
電話機が音声で注意喚起してくれる機能があると、うっかり怪しい電話に出てしまうことも避けられるでしょう。
通話の自動録音機能
通話を自動録音する機能が付いていると、怪しい電話を後で何度でも聞き返せます。特殊詐欺の電話なのか自身で分からないとき、家族や知り合いに音声を聞いてもらうことで、客観的な判断ができるでしょう。
またSDカードが使われている電話機であれば、トラブルが発生したときに音声を取り出して警察へ提出できます。音声データは万が一のときの証拠になるため、自動録音機能が電話機に付いていると安心です。
ナンバー・ディスプレイ機能
ナンバー・ディスプレイ機能とは、電話に出る前に、相手の電話番号が電話機のディスプレイに表示されるサービスです。電話をかけてきた相手方が事前に分かるため、怪しい電話を無視できます。
ナンバー・ディスプレイ機能は、NTTがサービスを提供しています。有料ですが、申し込めば最短4営業日で利用可能です。電話機を取る前に相手の電話番号を確認したい方は、ナンバー・ディスプレイ機能の導入をおすすめします。
迷惑電話番号データベース機能
迷惑電話番号データベース機能とは、過去に迷惑電話に使用された電話番号や、行政機関などから集めたリストをデータベースにして活用する機能です。かかってきた電話番号と迷惑電話番号データベースを照らし合わせて、特殊詐欺などで使用されていた番号を自動で着信拒否してくれます。
なお着信拒否されない電話番号も、着信電話番号の安全度を着信時にLEDライトの色で知らせてくれるため、電話に出ても問題ないか判断できます。
外付け機器で電話機を変えずに防犯対策
現在の電話機を利用し続けたい方は、外付け機器を取り付けるのがおすすめです。防犯対策がされていない電話機に外付け機器を取り付けると、以下のような機能が利用できます。
- 相手への警告メッセージ機能
- 通話自動録音機能
- 着信拒否機能
※ナンバー・ディスプレイに登録しないと使えない場合があります。
利用方法は、今使っている電話機にケーブルを差し込んで外付け機器と接続するだけです。しかし、利用している電話機の種類によっては使えない可能性があるため、購入する前に、現在の電話機と接続できるか確認することが大切です。
既存の電話機に取り付けるだけでセキュリティを強化できるので、今の電話機をそのまま使いたい方は、外付け機器の導入を検討しましょう。
電話を利用した特殊詐欺の手口と防犯対策
警察庁によると、令和2年に特殊詐欺に用いられたツールは、電話が最も多い86.9%です。さらに特殊詐欺の被害者は、8割以上が高齢者(法人被害を除く)です。電話を利用した特殊詐欺の防犯対策は必須といえるため、手口と対処法を解説していきます。
参考:警察庁:令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
オレオレ詐欺
オレオレ詐欺とは、家族や行政機関の職員と偽った犯人が、事件や事故の示談金を口実に、被害者へお金を要求する詐欺です。近年、オレオレ詐欺の被害認知件数は減少しています。しかし、高齢者層を中心に(9割以上)依然として高い水準で被害は発生しており、シニア世代は当事者意識を持ち続けることが重要です。
オレオレ詐欺の手口は、主に孫や息子と名乗る犯人から高齢者へ連絡が来ます。「電話番号を変更した」「風邪をひいたから普段と声が違う」などと言って警戒を解いたあと、金銭を要求してきます。犯人がお金を要求するときに、よく使うフレーズを知って防犯対策をしましょう。
- カバンを落としてお金がない
- 会社のお金を横領した
- 痴漢の冤罪で弁護士を雇うお金がいる
知らない電話番号から電話がかかってきたり、お金を要求されたりしたら、オレオレ詐欺の可能性を疑うことが大切です。
参考:警察庁:令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
預貯金詐欺
預貯金詐欺とは、行政機関や銀行の職員と偽った犯人が被害者の自宅へ行き、キャッシュカードや預貯金通帳をだまし取る詐欺です。被害者の9割以上が高齢者のため、貯金がたくさんあるシニア世代が狙われやすいといえます。
行政機関や銀行の職員は、キャッシュカードの引き渡しを要求したり、暗証番号を聞いたりしてくることはありません。電話で自宅に訪問すると伝えられたら、ひとりで考えずに家族や警察に相談しましょう。
参考:警察庁:令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
キャッシュカード詐欺盗
キャッシュカード詐欺盗とは、警察官や銀行協会の職員と偽った犯人が住宅へ訪れ、被害者のキャッシュカードと偽物のカードを入れ替える詐欺です。犯人は偽物のカードを封筒に入れて被害者に渡し「開けずに保管してください」と指示をしたうえで、本物のキャッシュカードを持ち帰って不正に利用します。
警察官や銀行協会の職員が、キャッシュカードを封筒に入れて持って帰ることはありません。カードを封筒に入れる指示があった場合は、すぐに警察へ相談しましょう。
架空料金請求詐欺
架空料金請求詐欺とは、実際には存在しない料金の支払いを被害者に要求する詐欺です。携帯電話へメールが届いたり、裁判所や法務省などの公的機関からはがきが届いたりして、料金の支払いを催促してきます。
公的機関の名前を出したり、裁判をするといったりして、被害者を不安にさせます。はがきやメールで脅されたときは、身に覚えのない電話番号に連絡することは控えて、警察に相談しましょう。
還付金詐欺
還付金詐欺とは、犯人が市区町村や年金事務所の職員などを装い、被害者に「還付金を返す」などと言ってATMへ足を運ばせ、犯人の口座にお金を振り込ませる詐欺です。特に被害者の8割以上が高齢者で、未払いの年金が受け取れると犯人に言われるケースが多発しています。
ATMを操作して返金されることはありません。お金を受け取れるなどの電話がかかってきたときは、相手が公的機関を名乗っても信用しないようにしましょう。
参考:警察庁:令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
金融商品詐欺
金融商品詐欺は、犯人が嘘の情報で通貨や株を被害者に購入させて、お金をだまし取る詐欺です。犯人から「必ず儲かる」などと伝えられるため、被害者は株や商品を購入してしまいます。
「絶対に儲かる」などの話は存在しないため、誘惑に負けて商品を買わないように気をつけましょう。
融資保証金詐欺
融資保証金詐欺とは、融資を申し込んだ被害者に対して、お金を振り込ませる詐欺です。融資を受ける前に、保証金という口実で犯人からお金を要求されます。
しかし、融資の前にお金を振り込むことはありません。はがきやメールに大企業の名前が記載されていても、信頼してお金を払わないようにしましょう。
普段から取り組める特殊詐欺の防犯対策
普段から防犯の意識を高めておくことで、特殊詐欺の被害を未然に防げます。すぐに取り組める対処法を紹介しますので、今日から防犯対策を始めましょう。
在宅時でも留守電モードにしておく
特殊詐欺の効果的な対策は、電話の相手方と会話をしないことです。在宅時に留守電モードにすることで、特殊詐欺の被害を未然に防げます。相手は声の録音を嫌がるため、留守番電話のメッセージが聞こえた瞬間に電話を切ることが多いです。
しかし、常に留守電モードだと、知り合いが電話をかけてきたときに申し訳ないと感じる方がいるかもしれません。防犯対策のために留守番モードにしていると知り合いに伝えましょう。留守電モードを活用して、不審な電話に出ないことが重要です。
家族と情報共有する
普段から特殊詐欺について家族で情報を共有する機会を設けておくと、いざ被害に遭ったときにも冷静に対応できます。特殊詐欺の被害に遭うことを想定して、以下のことを家族間で実施しましょう。
- 特殊詐欺被害の事例を確認して訓練する
- 大金を下ろすときは家族に報告すると決める
- 家族が被害に遭う可能性があるという認識を持つ
- 家族にお金を渡すときの手順を考える
また、所属するシニアのコミュニティ内で情報共有することをおすすめします。ひとり暮らしのシニアは、相談できる方が限られているため、被害に遭ったときにひとりで決断してしまいます。客観的な判断をするために、複数人で情報を共有しておきましょう。
おわりに
電話機の防犯対策に有効な機能を知ることで、特殊詐欺の被害を未然に防げます。電話を使った特殊詐欺を理解し、自分自身が被害に遭う可能性もあるという意識を普段から持って生活することが大切です。
本コラムで解説した電話機の防犯対策や特殊詐欺の手口を参考にして、家族間で情報を共有してみましょう。手軽に特殊詐欺の対策をしたい方は、優良防犯電話を検討してみてはいかがでしょうか。