親の車を借りて運転する際、保険の補償範囲を正しく理解していないと、万が一の事故で高額な賠償責任を負うリスクがあります。この記事では、親の保険の確認方法から、1日自動車保険の活用法、おすすめ商品の選び方まで、安心して車を借りるために必要な知識を解説します。帰省や買い物で親の車を借りる予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
- 親が加入している自動車保険で自分が補償されるかを確認する方法
- 無保険で事故を起こした場合に発生する賠償責任のリスク
- 1日自動車保険の制度概要とメリット・注意点
- 「ちょいのり保険」と「乗るピタ!」など主要商品の比較ポイント
- 他車運転特約の活用法と1日自動車保険との違い

親の車を借りる前に!自動車保険の基本を確認

親の車を借りて運転する場合、まず確認すべきなのが「自分が運転中の事故が、親の加入している自動車保険で補償されるか」という点です。保険の補償範囲によっては、たとえ親の車であっても、子どもが運転中の事故は補償対象外となることがあります。
ここでは、親が加入している保険で自分が補償されるかを確認する方法と、もし補償対象外だった場合に無保険で事故を起こすとどのようなリスクがあるのか解説します。
万が一の事故に備え、車を借りる前に必ず確認しておきましょう。
親が加入する保険で運転できるかの確認方法
親の車を借りて運転するときは、自身が運転中に万が一のことがあったときでも、親が加入している任意保険で補償されるか、補償範囲を確認しましょう。
チェックすべきポイントを、以下にまとめました。
| 確認すべき項目 | 用語の解説 | 車を借りたときに補償される条件※ |
|---|---|---|
| 記名被保険者 | 契約の車を主に使用する人 | 親の名前になっている |
| 運転者の範囲 | 補償される運転者の範囲 (本人限定/配偶者限定/家族限定/限定なしなど) | 限定なし、または家族限定※ ※家族限定の場合は、記名被保険者またはその配偶者の同居の親族、あるいは別居の未婚の子であることも要件 |
| 年齢条件 | 補償対象になる運転者の年齢(全年齢/21歳以上/26歳以上/30歳以上/35歳以上) | 自身の年齢が補償対象に含まれている 【例】 現在22歳の場合全年齢 ・21歳以上【補償対象】 ・26歳以上・30歳以上・35歳以上【補償対象外】 |
※保険会社によって条件が異なる場合があるため、加入している保険会社にご確認ください。
親が加入している自動車保険が、少なくとも上記3つの要件を満たしていない場合、万が一のことがあっても補償されず、高額な賠償責任を負うリスクがあります。
無保険で事故を起こした場合に発生する責任
任意保険に未加入の状態で事故を起こした場合、強制保険である自賠責保険に加入しているため、対人賠償は一定額までカバーされます。しかし、「対物賠償」や「自身のケガ」は補償されません。
相手の車や建物などに損害を与えた物損事故では、基本的に運転者である子ども本人が賠償責任を負います。そのため、親の加入している保険で子どもが補償対象外となっている場合、対物賠償は全額自己負担になります。高級車との接触、店舗への突入で営業不能にさせてしまったなど、高額な賠償金が発生するリスクも考慮しておくことが大切です。
自賠法3条の「運行供用者責任」により、人身事故では車の所有者である親も賠償責任を負う可能性があります。親の車を子どもが運転して人身事故を起こした場合、親が同乗していなくても、車を貸した事実だけで法的責任を問われることがあります。
このような事態に備えるために、任意保険(自動車保険)への加入が重要です。以下の表は、自賠責保険と任意保険の補償内容を比較したものです。
| 補償の種類 | 自賠責保険(強制保険) | 任意保険(自動車保険) |
|---|---|---|
| 相手への補償(対人) | ◯ (上限あり※) | ◯ |
| 相手への補償(対物) | × | ◯ |
| 自分・同乗者の補償(自損) | × | ◯ |
| 借りた車の補償(車両) | × | ◯ |
※自賠責保険の対人賠償の上限:傷害120万円、後遺障害4,000万円、死亡3,000万円
任意保険なら対人・対物を無制限で補償でき、運転者自身のケガや車両損害もカバーされます。運転経験の浅い子どもに車を貸す場合、任意保険への加入は必須といえます。子どもに車を貸す前に、必ず任意保険に加入し、子どもが運転者として補償対象に含まれていることを確認しましょう。
親の車を運転するなら1日自動車保険が最適解

親の加入している自動車保険で補償対象外となっている場合や、補償範囲を変更すると保険料が高くなる場合、1日自動車保険(時間単位型自動車保険)の活用がおすすめです。必要な日だけ、数百円から手軽に加入できるため、たまに車を借りる程度なら経済的な負担も少なく済みます。
以下、1日自動車保険の制度概要から、メリット、そして利用時の注意点について解説します。親の車を安心して借りるために、1日自動車保険の活用をご検討ください。
1日自動車保険の制度概要
1日自動車保険は、1日(24時間)単位で加入できる自動車保険です。親や友人から車を借りて運転する際に、必要な期間だけ補償を受けられる保険として、一部の保険会社が提供しています。
この保険は、自分や配偶者以外が所有する車を借りる際に利用できます。親の車を借りる場合は、同居・別居を問わず加入できますが、友人や知人の車を借りる場合も対象となります。
ただし、すべての車が対象になるわけではありません。以下のような車は、1日自動車保険の対象外となるため注意が必要です。
- 自分名義または配偶者名義の車:自己所有車は対象外
- レンタカーやカーシェアリングの車:別途専用の保険が付帯
- 業務用車両:社用車など仕事で使用する車
- 車検切れの車:公道を走行できない車両
親や友人の車を借りる予定がある場合は、事前に対象車両に該当するか確認しておきましょう。
1日自動車保険が持つメリット
1日自動車保険には、借りた車を運転する際に心強い、さまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
- 経済的な保険料:数百円から加入でき、必要な日だけ補償を受けられる
- 手軽な申込手続き:スマートフォンやコンビニから即日加入が可能
- 充実した補償内容:対人・対物に加え、車両補償も付けられる
- 等級制度への影響なし:保険金請求しても親の等級に影響せず、無事故割引制度もある
1日自動車保険のメリットは、まず、少ない保険料負担で必要な補償を確保できる点です。損保ジャパンの「乗るピタ!」なら12時間650円から、東京海上日動の「ちょいのり保険」なら1日800円から加入できます。年間の任意保険に比べると安く、必要な日だけ補償を受けられるため無駄がありません。
スマートフォンアプリやコンビニから簡単に申し込みができ、商品によっては即日加入も可能です。急に車を借りることになった場合でも、運転前にすぐ加入できる利便性の高さも魅力です。
基本的な対人・対物賠償に加え、プランによっては借りた車の修理費用を補償する「車両補償」を付けることもできます。万が一、友人の車をぶつけてしまっても、修理費用をカバーできるため安心です。
さらに、1日自動車保険で保険金を請求しても、親の加入している自動車保険のノンフリート等級には影響しません。また、無事故で利用を続けることで、将来自分が自動車保険に加入する際に割引が適用される制度を設けている保険会社もあります。
1日自動車保険利用時の注意点
便利な1日自動車保険ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。主な注意点は以下の通りです。
- 車両補償付きプランは直前加入できない:利用日の1週間前など事前の申込が必要
- 申込時に車検証情報が必要:借りる車の情報を事前に確認しておく
- 支払方法が限定される:クレジットカード、キャリア決済、コンビニ現金払いのみ
- 必ず運転前に加入する:運転中や事故後の加入は不可
最も注意すべき点は、車両補償付きのプランは、利用日の直前に加入できないことです。
例えば、東京海上日動の「ちょいのり保険」では、車両補償付きプランに加入するには事前登録が必要で、登録から7日以内は車両補償を付けることができません。借りた車を傷つけた場合の修理費用もカバーしたいなら、運転予定日の少なくとも1週間前には申し込みを済ませておく必要があります。
1日自動車保険の申込時には、借りる車の車検証情報(車両のナンバーや型式など)が必要です。事前に車の所有者から情報を確認しておきましょう。
支払方法は、クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニでの現金払いの3つから選べることが一般的です。ただし、スマートフォンアプリからの申込では現金払いが選択できません。現金払いを希望する場合は、コンビニ店頭で直接手続きする必要がある点に注意しましょう。
最も重要な注意点は、必ず運転前に加入手続きを完了させることです。運転中や事故後の加入はできません。車を借りることが決まったら、エンジンをかける前に必ず加入しましょう。「少しの距離だから」「すぐ近くだから」という油断が大きな事故につながることもあります。自分と相手を守るため、1日自動車保険への加入を習慣づけることが大切です。
親や友人の車を借りる予定がある方は、東京海上日動の「ちょいのり保険」をぜひご検討ください。スマートフォンから簡単に申し込みでき、1日800円から必要な補償を確保できます。

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自分に合った1日自動車保険の選び方とその他の選択肢

1日自動車保険にはさまざまな商品があり、保険料や補償内容、加入のしやすさなどが異なります。また、自分がすでに自動車保険に加入している場合は、1日自動車保険を利用しなくても「他車運転特約」でカバーすることも可能です。
自分の状況に最も適した選択肢を見つけるうえで、1日自動車保険の比較すべきポイントや、他社運転特約の活用法について解説します。
1日自動車保険を選定する際の比較項目
1日自動車保険は複数の保険会社が提供しており、それぞれ特徴が異なります。自分に合った保険を選ぶためには、以下の3つのポイントを比較することが重要です。
- 料金
保険料は商品によって異なります。12時間単位で加入できるものは短時間利用に適しており、24時間単位より安く済む場合があります。ただし、対人・対物賠償が無制限か、車両補償の自己負担額はいくらかなど、補償内容とのバランスも考慮しましょう。 - 加入手続きの手軽さ
スマートフォンアプリやコンビニから申し込めるか、決済方法の選択肢は豊富かなど、加入手続きの利便性も重要です。 - 補償期間(12時間/24時間)
短時間の利用なら12時間プラン、丸一日以上なら24時間プランが適しています。例えば、損保ジャパンの「乗るピタ!」は12時間単位から加入できるため、数時間の利用に経済的です。
また、複数人で交代運転する場合は、運転者追加オプションの有無や料金体系も確認しておきましょう。以下の表は、代表的な1日自動車保険である「乗るピタ!」と「ちょいのり保険」を比較したものです。
| 比較項目 | 乗るピタ! (損保ジャパン) | ちょいのり保険 (東京海上日動) |
|---|---|---|
| 加入単位 | 12時間単位から | 24時間単位 |
| 保険料例 | 12時間650円から | 24時間800円から(シンプルプラン) |
| 車両補償 | プランによる(自己負担額15万円) | プランによる(自己負担額15万円) |
| 追加運転者 | 可能(プランに応じた追加保険料が必要) | 可能(プランに応じた追加保険料が必要) |
| 決済方法 | クレジットカード | クレジットカード、コンビニ払い、携帯料金合算など |
| 事前要件 | 車両補償付きプランは事前登録から8日後以降 | 車両補償付きプランは事前登録から7日後以降 |
数時間のドライブや買い物程度の利用なら、12時間単位のほうが24時間単位よりも保険料を抑えられます。一方、丸一日以上の利用や、帰宅時間が読めない場合は、24時間プランの方が安心です。
自身の保険に付帯する「他車運転特約」の活用法
自分が自動車保険に加入している場合、「他車運転特約」が自動付帯されていることが多く、この特約を活用すれば1日自動車保険に加入せずに他人の車を運転できる可能性があります。
他車運転特約とは、契約車両以外の車を借りて運転中の事故について、自分の自動車保険から補償を受けられる特約です。
ただし、記名被保険者、その配偶者、同居の親族が所有または常時使用する車は「他車」に含まれず、補償対象外です。親と同居している場合、親の車を借りて運転中に起こした事故は他車運転特約では補償されません。一方、別居している親や友人の車であれば適用される可能性があります。
また、自分の自動車保険に「本人限定」や「30歳以上」などの条件を設定している場合、他車運転特約も同じ条件が適用されます。さらに、駐車中や停車中の事故は原則として補償対象外になるため、注意が必要です。
一方、1日自動車保険は同居・別居を問わず親の車も補償対象となるため、親と同居している場合は1日自動車保険の加入が必要です。
1日自動車保険に加入する前に、保険証券、マイページ、またはカスタマーセンターで親の保険の契約内容を確認してもらいましょう。他車運転特約が使えない場合は、東京海上日動の「ちょいのり保険」などの1日自動車保険への加入をご検討ください。

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おすすめの1日自動車保険と加入手続き

おすすめの1日自動車保険の一例として、東京海上日動の「ちょいのり保険」を紹介します。
スマートフォンから簡単に手続きができ、必要な補償を手軽に確保できます。ちょいのり保険のプランは、シンプル、レギュラー、プレミアムの3種類です。
| 項目 | シンプル(800円) | レギュラー(1,800円) | プレミアム(2,600円) |
|---|---|---|---|
| 対人賠償 | ○ | ○ | ○ |
| 対物賠償 | ○ | ○ | ○ |
| 車両補償 | × | ○ (自己負担15万円) | ○ (自己負担15万円) |
| 弁護士費用特約 | × | × | ○ |
ちょいのり保険を無事故で利用すると、将来東京海上日動の自動車保険に加入する際、利用日数に応じて保険料が最大20%割引になる制度があります。車の購入を検討している方には大きなメリットです。
ちょいのり保険は、セゾンカード会員でなくてもスマートフォン、コンビニ、LINEから簡単に申し込めます。事前登録を済ませておけば、2回目以降はさらにスムーズに加入できます。
なお、1日自動車保険は他にも、損保ジャパンの「乗るピタ!」など複数の商品があります。12時間単位で加入できる商品もあるため、利用時間や予算に応じて比較検討すると良いでしょう。
親や友人の車を借りる予定がある方は、まずは、東京海上日動の「ちょいのり保険」をご検討ください。

おわりに
親の車を借りるときは、まず親の任意保険の契約内容を確認し、運転者の範囲や年齢条件が自分に適用されるかチェックしましょう。補償対象外の場合は、1日自動車保険の活用を検討します。
1日自動車保険は、数百円から加入でき、スマートフォンやコンビニで手軽に手続きできる便利な保険です。ただし、車両補償付きプランは事前登録が必要なため、余裕を持って申し込みましょう。
自分がすでに自動車保険に加入している場合は、他車運転特約でカバーできる可能性もあります。ただし、同居親族の車は対象外となるため、親と同居している場合は1日自動車保険への加入が必要です。
万が一の事故で高額な賠償責任を負わないよう、車を借りる前に必ず保険の確認と加入を済ませ、安心して運転を楽しんでください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

