テレビや新聞で耳にしたり目にしたりするPM2.5。「気をつけて」と言われても、実際どう気をつけたら良いのか分からないという方もいるでしょう。そこで今回は、PM2.5が洗濯物に付着するのを防ぐ方法や、付着してしまった時の対処法についてご説明します。PM2.5とはどのようなものなのかについてもまとめていますので、PM2.5について知りたい方、PM2.5の洗濯物への付着が気になる方はご一読ください。
そもそも「PM2.5」って何のこと?
テレビの天気予報などで耳にするPM2.5とは、どのようなものなのかご存じですか。ここでは、PM2.5の特徴や身体に及ぼす影響などについてわかりやすくまとめました。
PM2.5とは
PM2.5とは、大気中に存在する直径2.5μm(マイクロメートル)以下の、粒子が小さな大気汚染物質のことです。PMは、大気汚染の原因となる粒子状物質「Particulate Matter」を略したもの。2.5は特定の物質ではなく、粒子の単位を表しています。1μmは1mmの1000分の1、2.5μmはそれが2.5個分です。想像するのが難しいくらい小さな粒子であることが分かります。イメージしやすいように、髪の太さと比較してみましょう。PM2.5のサイズは、髪1本の太さの約30分の1~約40分の1です。こんなに小さい粒子の成分はどのようなものなのでしょうか。成分が発生する原因とともにみていきましょう。
PM2.5の成分
PM2.5は、ひとつの特定の成分からできているのではありません。炭素成分・硫酸塩・硝酸塩・アンモニウム塩の他、アルミニウム・ナトリウム・ケイ素などが含まれています。つまり、さまざまな成分が集まって、PM2.5を構成しているのです。
PM2.5が発生する原因
PM2.5が発生する背景には、一次生成と二次生成があります。ものを燃焼させた時などに、大気中に排出された時点でPM2.5が発生するのが一次生成です。一次生成でPM2.5が直接発生する原因には、ボイラーや焼却炉などの煤煙、鉱物の堆積場における粉塵の他、火山の噴煙や土壌から発生する自然由来のものなども含まれます。一般家庭においては、ストーブの使用や調理などがPM2.5を直接発生させる原因です。
それに対して、二次生成は、もともとはガス状物質であったものが化学反応を起こすことによりPM2.5が発生することを指します。ガス状物質には、燃料の燃焼により排出された硫黄酸化物や窒素酸化物、森林などから排出された揮発性有機化合物などが含まれます。このときに化学反応を起こさせるのが、光やオゾンなどです。
PM2.5と黄砂の違い
黄砂とは、強風により東アジアのゴビ砂漠やタクラマカン砂漠、黄土高原などから舞い上がった砂が、浮遊しながら降下する現象を指します。そのため、PM2.5とは成分も異なります。黄砂の主な成分は、石英・長石・雲母・カオリナイト・石膏などです。黄砂が大気汚染物質の多い地域を通過する場合には、それらの物質も一緒に飛来することがあります。
PM2.5と黄砂は、サイズも異なります。PM2.5が2.5μm以下であるのに対して、黄砂は1~30μmです。黄砂のなかでも大きなものは、PM2.5の10倍以上大きいということになります。ただし、黄砂には2.5μm以下の粒子もカウントされるため、黄砂が飛来する時期はPM2.5の測定値が上昇します。
PM2.5が身体に及ぼす影響
前述のように、PM2.5は髪1本の約30分の1という微小なサイズです。PM2.5は粒子が小さいため、肺の奥深くにまで入り込んでしまいます。それにより引き起こされる可能性があるのが、呼吸器系疾患や循環器疾患などです。それぞれについて簡単にご説明します。
呼吸器疾患
呼吸器疾患で指摘されているのは、気管支炎・喘息・肺がんです。気管支炎とは、ウイルスなどにより気管支がダメージを受けて起こる炎症のことをいいます。喘息は、慢性的に炎症が続くことにより、呼吸困難などの重い症状が出る疾患のことです。発作を繰り返すと気道の回復が難しくなり、QOL(生活の質)が著しく損なわれる原因となります。肺がんは、肺にできた悪性腫瘍を指します。肺がんは、発見時には進行しているケースも多く、他のがんと比べて最も死亡率の高い疾患です。
循環器疾患
PM2.5が不整脈を引き起こす可能性も指摘されています。不整脈とは、脈がゆっくりまたは速く打ったり、不規則になったりする状態のこと。その種類や程度によりますが、動悸や息切れ、ひどいケースではめまいや胸痛などが見られることがあります。
PM2.5のピーク
PM2.5のピークは、3月から梅雨前半にかけてです。この時期は、風の影響で地表に大気汚染物質が溜まりやすいといわれています。1日のなかで見てみると、お昼から夕方にかけてがPM2.5のピークです。風のない日は空気が滞留しやすく、PM2.5の濃度も高くなる傾向にあります。また、雨が降った翌日もPM2.5の濃度が高くなることがあるため、注意が必要です。
PM2.5の予防対策と注意点
PM2.5から身を守るための最も良い方法は、持ち込まないこと。PM2.5を持ち込まないためには、具体的にどのような対策を行えば良いのかについてご紹介します。
不要不急の外出を避ける
PM2.5の濃度が高い日は、不要不急の外出を避けてできるだけ室内で過ごしましょう。そのような日に外出すると、多くのPM2.5を吸い込んでしまう可能性があります。お仕事などでどうしても外出せざるを得ない場合には、マスクの着用が必要です。ただし、一般的な不織布マスクではPM2.5を防ぎきれないことも。微粒子の捕集効果が高いN95マスクなどが手に入るのであれば、ぜひ活用してください。
また、外出するとPM2.5を直接吸い込んでしまうだけでなく、外出時に衣服に付着したPM2.5を室内に持ち込んでしまう可能性もあります。これはマスクではどうにもなりません。やはり、不要不急の外出を避けるのが賢明です。
室内の換気は必要最小限にとどめる
本来、換気は室内にこもった空気ときれいな外気を入れ替えるために行います。しかし、外気が汚染されている場合は、換気をすることで室内に花粉やPM2.5などの汚染物質を入れてしまうことになります。だからといって換気を24時間止めてしまうと、室内に臭いがこもったり結露が出やすくなったりとさまざまな影響が。この場合には、PM2.5を室内に入れこまないように、換気扇や換気口に専用のフィルターを付けるのもひとつの手です。専用のフィルターは既存のフィルターよりも目が細かいため、換気の効果を維持するためには、通常よりも短い頻度で交換する必要があります。
換気を必要最小限にとどめたい場合には、空気清浄機も活用すると良いでしょう。空気清浄機は、季節関係なく年間をとおして活躍してくれます。その働きは、臭いの軽減だけではありません。花粉やほこりの除去の他、最近ではPM2.5やウイルスなどを除去できるものもあります。PM2.5を除去する空気清浄機を設置するのにおすすめの場所は、玄関です。外出から戻った際には、多くのPM2.5を玄関から持ち込んでいる可能性があります。そのため、PM2.5を除去する空気清浄機であれば玄関に設置して、まずは室内に入れないように工夫しましょう。
PM2.5が飛散するシーズンの洗濯物はどう干す?
PM2.5から洗濯物を守るためにできることをご紹介します。ポイントを押さえて、PM2.5をできるだけ室内に入れないようにしましょう。
基本的には部屋干しがベスト
PM2.5が多いシーズンや多い日には、部屋干しを基本としましょう。部屋干しするとPM2.5が洗濯物に付着することがないため、室内に持ち込んでしまう心配がありません。とはいっても、どうしても部屋干し臭が気になってしまうという方もいるでしょう。部屋干し臭が気になる時には、部屋干し専用の洗剤や除菌効果のある洗剤を使うのがおすすめです。また、速乾機能のある柔軟剤を使うことも検討してみてください。長時間干すことで発生してしまう臭いも、乾燥時間が短ければ改善されやすいでしょう。洗剤や柔軟剤を変更するだけで、部屋干しも快適にできるようになります。
他におすすめしたいのが、衣類乾燥・除湿器です。季節や天気に関係なく、大量の洗濯物もスピーディーにカラッと乾燥させてくれます。なかには衣類除菌に特化したものなどもあるので、衣類乾燥・除湿器を購入する際の参考にしてください。
外干しがしたければPM2.5がピークになる時間帯を避ける
どうしても外干しがしたいという方もいるでしょう。天気が良ければ部屋干しよりしっかり乾きますし、日光や風を浴びて乾いた洗濯物は気持ち良いものです。外干しする場合には、PM2.5の濃度が高くなるお昼から夕方を避けて、早朝などに干すようにしましょう。PM2.5の濃度がピークを迎える時間帯を避けることで、PM2.5が付着するのを多少は軽減できるはずです。
洗濯物へのPM2.5の付着を防ぐには?
洗濯グッズをうまく活用すれば、洗濯物へのPM2.5の付着を防ぐことが可能です。ここでは、洗濯カバーや柔軟剤などのアイテムをみてみましょう。また、PM2.5の濃度を確認しておくことも重要なため、確認できるツールについてもご紹介します。
洗濯物カバーを使う
PM2.5が洗濯物に付着するのを防ぐためにまずおすすめなのが、洗濯物カバーです。両サイドがメッシュになっているなど通気性が良く、湿気をしっかり逃してくれます。PM2.5だけでなく、花粉や黄砂などからも洗濯物を守ってくれるでしょう。洗濯物カバーには、他にも便利なポイントがあります。目隠しにもなるため、マンションやアパートで外干しする時にも安心です。さらに、突然の雨から洗濯物を守ってくれたり、紫外線を遮って洗濯物が紫外線焼けするのを防いでくれたりと便利です。
柔軟剤を使う
PM2.5が洗濯物に付着する大きな要因は、静電気です。静電気は摩擦により発生するもので、洗濯物にも帯電しています。静電気で、衣服に髪やごみなどが付着するのは見たことがあると思います。それと同様に、帯電した洗濯物はPM2.5を引きつけてしまうのです。
洗濯物の静電気に有効なのが、柔軟剤です。柔軟剤は、衣類の繊維をコーティングして摩擦を起きにくくするため、静電気の発生自体を抑えてくれるでしょう。なかでも、電気を外に逃すエステル型ジアルキルアンモニウム塩などの成分が含まれているものは、静電気を溜まりにくくしてくれる効果もあります。ぜひ柔軟剤選びの参考にしてください。
サンルーム・テラス囲いを取り付ける
室内干しと同じくらいPM2.5の付着を抑えられるのが、サンルームやテラス囲いに洗濯物を干すことです。どちらも三方と屋根がサッシで囲われていますが、サンルームは法律で定められている認定を取得したもの、テラス囲いはガラスなどで簡易的に囲いをしたものです。サンルームもテラス囲いも、PM2.5対策としてだけではなく、花粉や雨などを気にせずに洗濯物を干すことができるというメリットもあります。PM2.5を完全に防ぎつつ日光を取り入れられ、部屋干しと外干しの良さを同時に手に入れられます。サンルームやテラス囲いは、家を建てる段階だけでなく、あとからの取り付けも可能です。外から見えるのが気になる場合は、内側にカーテンを設置する、ガラスをくもりガラスに変更するなどの方法もあります。
「そらまめくん」を活用して大気汚染の状況を確認する
環境省大気汚染物質広域監視システムの「そらまめくん」は、全国の大気汚染の状況について24時間情報提供するWEBサイトです。黄砂、二酸化硫黄などの大気汚染物の測定値が分かるだけでなく、その日のPM2.5の飛散値もすぐに確認できます。気温や風速の速報値も公開されているので、外出時や洗濯物を外干しする時にも便利です。
宅配クリーニングで対応してもらう
宅配クリーニングに対応してもらうのも一つの手です。洗濯物にPM2.5が付着していたとしてもプロの手できれいにしてくれますし、外干しによるPM2.5の付着を防止してくれます。衣服はもちろんですが、家で洗って室内干しができない掛け布団などもクリーニングしてくれます。
宅配クリーニングを検討している方には、洗い・シミ抜き・仕上げにこだわる「クリーニングタカノの宅配クリーニング」がおすすめです。WEBサイト上から24時間いつでも受付しており、集荷や配達の送料はかかりません。入会金や月額などもかからないため、使いたい時に使いたい分だけ利用できます。また、無料で12カ月間まで衣類を保管してくれるサービスもあり、収納スペースに困った際にも便利です。
洗濯物にPM2.5が付着してしまったらどうする?
ここまでは、洗濯物へのPM2.5の付着を防ぐ方法をご紹介してきました。では、洗濯物に付着したPM2.5を取り除くにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは、その方法をみていきましょう。
洗濯物を取り込む時は軽くはたく
洗濯物を外干しした時には、はたいてから取り込みましょう。はたく時のポイントは、軽くはたくこと。強くはたいてしまうと、PM2.5が洗濯物の繊維の間に入り込んでしまうことがあるからです。布団を取り込む時にも、布団叩きで強く叩かないよう気をつけましょう。
また、ブラッシングや粘着クリーナーを利用するのもおすすめです。粘着クリーナーは、PM2.5だけでなく、糸くずなども除去してくれます。
洗濯物を洗い直して部屋干しする
洗濯物を干してから、PM2.5の濃度が高い日だと知ることもあるでしょう。PM2.5が多い日に外干ししてしまった場合には、思い切って洗い直し、部屋干しするのもひとつの手です。部屋干しする時は、先ほどご紹介した衣類乾燥除湿器や部屋干し専用の洗剤を使うと、部屋干しの気になる臭いを抑えてくれます。
おわりに
せっかく洗った洗濯物がPM2.5で汚れてしまうと、身体に害を及ぼさないか心配になります。そのような心配をできるだけ取り除くためには、PM2.5のピークを把握しつつその日の飛散値を確認するなど、日頃から意識をしておくことが大切です。また、少し工夫することで、PM2.5が洗濯物に付着するのを防いだり、付着したPM2.5を取り除いたりすることができます。ぜひできることから実践して、毎日を安心して過ごしてください。