資金繰りが悪化し、銀行にリスケ(リスケジュール)を申し出たいと考えているものの、「断られるのではないか」と不安を抱く経営者も少なくありません。
リスケとは、銀行に借入金の返済条件を変更してもらい、返済負担を軽減しながら経営再建の時間を確保する手段です。
ただし、リスケは銀行にとって与信リスク(貸したお金を回収できないリスク)が高まる対応であるため、計画性の不足や債権者間の調整不備があれば拒否される可能性があります。
なお、リスケをしたからといって、必ずしも信用情報に「延滞」などのマイナス記録が残るわけではありません。ただし、契約内容や保証の状況によっては「返済条件を変更した」といった記録が残ることがあります。
さらに、返済が滞ったり、保証会社が代わりに返済した場合には「延滞」として登録され、今後の融資に影響する可能性がある点には注意が必要です。
この記事では、リスケの基本的な仕組みから銀行が拒否する主な理由、拒否されないための具体的な対策、さらに断られた場合の代替手段まで解説します。
経営改善計画書や資金繰り表の準備、公的保証制度の活用方法なども紹介しますので、資金繰りに課題を抱える方はぜひ参考にしてください。


銀行融資におけるリスケ(リスケジュール)とは

リスケ(リスケジュール)とは、借入金の返済が困難になった際に、金融機関と相談して返済条件を変更してもらうことです。
経営再建を図る上で重要な選択肢のひとつですが、金融機関との信頼関係や今後の資金調達に影響を及ぼす可能性もあるため、慎重な対応が求められます。まずは仕組みと特徴を正しく理解しましょう。
リスケの仕組み
リスケにより変更される具体的な条件は、以下のようなものです。
- 月々の返済額の減額する
- 元金返済を一時的に据え置き、利息のみを支払う
- 返済期間を延長する
例えば、従来の条件が「月々30万円(元金+利息)、を5年間返済」だった場合、リスケによって「1年間は月5万円の利息のみ支払い、その後は月20万円で返済再開」といった形に変更されることもあります。
こうして返済スケジュールを柔軟に調整することで、一時的な資金難を乗り越える時間を確保できます。
リスケには事前準備や書類の提出、銀行との交渉が伴います。一般的な流れは以下のとおりです。
- リスケの検討
- メインバンクへ事前相談
- 経営改善計画書・資金繰り表など必要書類を準備
- 全金融機関へ同一条件で申し入れ
- 銀行による審査・稟議
- 条件変更契約の締結・実行
リスケは単なる返済条件の先延ばしではなく、経営再建に向けた重要な経営判断です。慎重な準備と計画的な進行が欠かせません。
メリット
リスケを実行すると、以下のような効果が期待できます。
短期的なメリット
- 毎月の返済負担を軽減し、資金繰りを安定させる
- 仕入れや給与支払いなど、事業継続に必要な資金を確保できる
- 資金ショートによる倒産リスクを回避できる
中長期的なメリット
- 経営改善や事業立て直しに集中できる時間的猶予を得られる
- 売上回復策やコスト削減策に専念できる
- 再投資や業務改善に向けた資金配分の余力が生まれる
なお、リスケ期間終了後に経営改善が不十分な場合、銀行に再度の交渉が可能ですが、初回よりも審査が厳しくなる傾向にあるため、より説得力のある実現性の高い改善計画が求められる点は理解しておきましょう。
デメリット
一方で、リスケには以下のようなデメリットもあります。
資金調達への影響
- 新規融資を受けにくくなる
- 金融機関内部での格付けや与信評価(融資できるかどうかの審査基準)が厳しくなる
- 取引条件(利率や返済期間など)がより慎重な内容になる可能性がある
信用情報への影響
- 契約類型や個人保証の有無によって「支払条件変更」(返済条件を変えたという記録)などの注記が付くことがある
- 延滞や代位弁済(保証人や保証会社が代わりに返済すること)が発生すれば「異動」(いわゆる事故情報)として登録される可能性がある
リスケを行っただけで即「異動情報(いわゆるブラックリスト)」となるわけではありませんが、金融機関内部では今後の融資に慎重な対応を取られるのが一般的です。
銀行がリスケを拒否する理由

リスケ(返済条件の変更)は、金融機関にとって返済不能に陥るリスク(与信リスク)が高まるため、こちらが申し出ても断られることがあります。受け入れてもらうには、合理的な根拠や誠実な姿勢を示すことが重要です。主な拒否理由と対策を理解しておきましょう。
計画の実現可能性が不足している
- 借入から間もなくリスケを申請した場合
- 資金使途が不明確で無計画な支出が多い場合
- 経営改善計画に具体性や数値的根拠がない場合
銀行は「リスケによって再建できるか」を重視するため、返済実績や改善計画の説得力が審査に大きく影響します。
債権者間の調整が不十分
複数の金融機関から借入がある場合は、全行同一条件での交渉が基本です。 特定の金融機関にのみ返済を続けたり、交渉タイミングがずれると不信感を招きます。
正しい進め方
- メインバンクと事前相談
- 全金融機関へ同一条件での一斉申し入れ
- 債権者間の公平性を確保
審査に必要な情報・書類が不足しているめ
資金繰り表や経営改善計画書、借入一覧表、直近決算書、売上推移表などが欠けていると、銀行は判断できません。特に古い情報や根拠の曖昧な資料は評価されないため、最新かつ具体的な資料を揃えることが重要です。
主要な必要書類一覧
| 書類名 | 内容 | 更新の目安 |
|---|---|---|
| 資金繰り表 | 入出金の見通しを月次・週次で記載し、資金不足時期を明示 | 月次更新 |
| 経営改善計画書 | 売上回復・コスト削減策と数値目標、KPIを記載 | 3ヵ月ごと見直し |
| 借入金一覧表 | 金融機関別の残高・金利・担保状況を整理 | 申請時点 |
| 直近の決算書 | 最新1〜2期分の財務状況 | 最新期 |
| 売上推移表 | 月次売上・粗利・主要取引先の動向を時系列で表示 | 月次更新 |
銀行内部の制度的制約
リスケは「貸出条件緩和債権」として扱われ、内部格付けの悪化や引当金積み増しを伴います。
担当者が消極的になるのは個人の問題ではなく制度的要因が大きいため、上席者の同席依頼や説得力ある資料提示が有効です。
経営改善の見込みが低いと判断された
収益改善の道筋が示されていない、計画が希望的観測にとどまるといった場合は、リスケよりも早期回収を優先されることがあります。客観的データに基づいた実現可能な改善計画を示すことが欠かせません。
銀行からリスケを拒否されないために押さえるべきポイント

リスケ申請は拒否されることもありますが、事前に準備を整えておけば成功確率を高められます。ここでは、リスケ交渉を有利に進めるためのポイントを整理しました。
具体的で実現可能な経営改善計画を作成する
銀行にリスケを認めてもらうには、経営改善計画書の提出が欠かせません。単なる資金繰りの相談ではなく、今後どう収益を回復させ、コストを削減し、返済再開につなげるかを具体的に示す必要があります。
計画書に含むべき項目の例
- 現状分析と課題の明確化
- 売上回復策と数値目標
- コスト削減計画と実行スケジュール
- 月次・四半期ごとのKPIとモニタリング体制
- 資金収支計画と返済可能性の検証
数値目標の例
- 粗利率の改善:15% → 18%(+3pt)
- 販管費の削減:500万円 → 450万円(▲10%)
- 売掛金回収サイト短縮:90日 → 60日
こうした「根拠のある数字」を盛り込むことで、金融機関の納得感を高められます。とはいえ、これらの計画書をすべてを一から作成する必要はありません。
会計ソフトや日本政策金融公庫、地方自治体が提供する経営支援サイトでは、Excel形式のテンプレートが無料配布されているため、効率的に作成を進められます。
記載例としては、日本政策金融公庫が提供しているサンプルも有用です。

参照元:当事業へのご依頼、ご連絡の書式について|日本政策金融公庫
さらに詳しい記載例やテンプレートは、日本政策金融公庫のホームページに公開されているため、必要に応じて確認してみてください。
参考元:各種書式ダウンロード|中小企業事業|日本政策金融公庫
返済実績を積み重ねる
リスケ交渉を有利に進めるためには、可能な範囲で返済を継続しておくことが重要です。返済実績は「返済する意思と一定の能力がある」ことを示す有効な根拠となり、銀行の与信判断にプラスに働きます。
返済実績の効果
- 金融機関内での稟議承認率の向上
- 「計画的な申請」としての印象づけ
特に6か月程度の返済実績があると、前向きな審査につながりやすいとされています。
正確な資金繰り表を作る
資金繰り表は、リスケの必要性や実施後の効果を客観的に示すための重要な資料です。
銀行に対して「計画的に申請している」という印象を与えられるだけでなく、自社にとっても資金不足の兆候を早期に把握し、改善の手立てを見つけやすくなるというメリットがあります。
作成のポイント
- 固定費(人件費・家賃・リース料など)から入力して全体像を把握する
- 売上は控えめに、支出は多めに見積もり、安全マージンを確保する
- 週次・月次単位で資金不足のタイミングを明確化する
- リスケ後にどの程度キャッシュフローが改善するかを数値で示す
なお、資金繰り表においても会計ソフトや日本政策金融公庫、商工会議所などが提供するサイトでテンプレートを無料で入手できます。効率的に作成を進められるため、積極的に活用するとよいでしょう。
以下は、日本政策金融公庫が公開している「資金繰り表」をもとに筆者が作成したサンプルです。

作成する際のポイントは、まず毎月ほぼ同額で発生する「固定費」から入力することです。家賃や人件費、通信費などの固定費は変動が少なく予測が立てやすいため、先に入力しておくことで、資金繰り表の全体像を早い段階で把握しやすくなります。
加えて、収入や支出の予算はできるだけ厳しめに設定することも重要です。例えば、売上は控えめに、支出はやや多めに見積もるとよいでしょう。
適切なタイミングで相談する
資金が尽きる直前にリスケを申し出ても、金融機関の支援を得るのは難しくなります。「まだ大丈夫」と先延ばしにするのではなく、資金繰り表で赤字や不足が予測される時点で相談を始めることが重要です。
早期相談の目安
- 月末・翌月の支払い資金の見通しが不安定
- 資金繰り表で3〜6か月以内に不足が見込まれる時
- 主要取引先の離脱などで収入見込みが不安定になった時
- 売上が増加しているのに、現金残高が減少している時
- 個人資金の持ち出しが常態化している時
リスケは状況が行き詰まってからの「最後の手段」ではありません。早めに金融機関へ相談することで、スムーズな経営再建につながり、リスケ以外の支援策を含めて幅広い選択肢を確保できます。
債権者調整の原則を守る
複数の金融機関と取引がある場合、全行に対して同一条件で交渉することが鉄則です。債権者間の公平性を確保することで、協調的な合意形成が可能になります。
メインバンクを起点とした進め方
- まずメインバンクと方針を協議する
- 改善計画と条件変更案を固める
- 他行への同条件提案のタイミングを調整
- バンクミーティング(取引銀行が一堂に会して協議する場)で一体的に協議
専門家からのサポートを受ける
リスケ交渉を成功させるためには税理士や弁護士、中小企業診断士などの専門家からサポートを受けることも効果的です。
経営改善計画書や資金繰り表など、銀行に提出する資料を客観的かつ説得力のある内容に整えてもらえるほか、交渉に同席してもらうことで金融機関からの信頼性も高まります。特にリスケに慣れていない方や交渉に不安がある方にとって、大きな助けとなるでしょう。
専門家に依頼する場合の料金形態(例)
- 定額型:一律〇〇万円(計画書作成+面談同席など)
- 成果連動型:月額減額分の〇%と最低報酬額を比較し、高い方を採用
- 顧問契約型:月額〇〇万円で継続支援
専門家活用のメリット
- 資料作成の客観性・専門性が高まる
- 金融機関に対する信頼性が向上する
- 交渉時に同席してもらえる安心感がある
専門家の探し方
中小企業庁の「認定支援機関検索ページ」を利用するほか、日本政策金融公庫や取引先の銀行に相談することで、信頼できる専門家を紹介してもらえるケースもあります。
銀行からリスケを拒否された場合に取るべき対策

金融機関にリスケを断られた場合でも、経営改善、再交渉、資金調達といった代替策を講じることで、資金繰り改善や再建の道を開けます。では、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
収支の見直しと収益性の改善
リスケを断られた場合、まずは収支構造を抜本的に見直し、収益性の改善に着手しましょう。
主な見直しポイント
- 不採算事業・部門の縮小・撤退
- 固定費の削減(人件費・家賃・システム費用 等)
- 変動費の効率化(仕入先の見直し・物流コスト削減 等)
売上回復に向けた施策
- 新規販路の開拓・営業体制の強化
- 商品・サービスの差別化や付加価値向上
- 既存顧客のLTV(生涯価値)最大化
一方で、将来の成長につながる投資(広告宣伝費・システム投資・人材育成 等)は、削減せず維持すべき場合もあります。短期的な資金繰り改善と、中長期的な成長投資のバランスを見極めることが重要です。必要に応じて、専門家の助言を受けるのも有効です。
再交渉への準備
リスケを一度拒否されたとしても、それが最終決定とは限りません。改善計画を練り直し、再度交渉に臨むことは十分に可能です。
再交渉時にアピールすべきポイント
- 前回の指摘事項への具体的な対応
- 経費削減や資金繰り改善の実績と継続見込み
- 売上回復に向けた具体策(販路拡大、価格見直し、新商品投入 等)
- 外部専門家による計画の客観的検証
実際に、公認会計士のサポートを受けて資金繰り表や収支計画を整備し、再交渉により金融機関の支援を得られた企業もあります。
代替的な資金調達を検討する
銀行からの追加融資が困難な場合は、銀行以外の資金調達手段を検討する必要があります。代表的な方法と特徴をまとめると次のとおりです。
| 調達手段 | メリット | デメリット | 適用場面 |
|---|---|---|---|
| ファクタリング | ・審査が比較的早い ・信用情報に影響しない | ・手数料が高い ・調達額は売掛金の範囲まで | ・売掛金がある場合 ・緊急の資金需要 |
| ビジネスローン | ・審査が早い ・無担保 | ・金利が高い ・調達額に限界 | ・緊急の資金需要 ・まとまった資金が必要(~1,000万円程度) |
| クラウドファンディング | ・金融機関に依存しない | ・時間がかかる ・成功の不確実性 | ・話題性のある事業 |
| 不動産担保ローン | ・低金利 ・長期返済 ・高額調達可能 | ・担保リスク ・審査に時間 | ・まとまった資金が必要な場合(数千万円以上も可) |
自社の状況に応じて、資産規模・調達スピード・コストを総合的に判断し、最適な方法を選びましょう。
公的保証制度の活用
リスケが難しい場合でも、公的支援制度を活用できる可能性があります。
- 条件変更改善型借換保証
既存の保証付き債務を最長15年で借り換え可能。月次返済負担を軽減し、追加資金も確保できる。認定支援機関のサポートが前提。 - 経営改善サポート保証
中小企業活性化協議会などが関与し、改善計画の実行資金として利用可能。既存債務の借換えと新規資金の同時対応ができ、金融機関との協調支援も期待できる。 - 信用保証制度
信用保証協会が「信用保証」を通じて、中小企業や小規模事業者の資金調達をサポートする制度。長期の借り入れに対応した保証制度を利用できる可能性あり。
これらは信用保証協会を通じた公的制度であり、民間金融機関の融資が難しい場合でも利用できる場合があります。
担保不動産がある場合の資金調達

経営再建に必要なまとまった資金を低金利で調達したい場合、不動産担保ローンは有力な選択肢となります。不動産の価値に応じて数千万円規模の融資も可能であり、他の資金調達よりも低い金利で借りられるケースが多いのが特徴です。
不動産担保ローンの特徴
主なメリット
- 銀行融資と比較して低めの金利設定
- 長期返済による月々の負担軽減
- 担保不動産の価値に応じた高額融資の可能性
- 資金使途が柔軟で、事業資金にも対応しやすい
注意すべきリスク
- 返済不能となった場合の担保不動産喪失リスク
- 不動産価値の変動による担保割れの可能性
- 慎重な返済計画の策定が必要
セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン
不動産担保ローンにはさまざまな金融機関の商品がありますが、経営再建や資金繰り改善を目的とする場合には、自社の状況に合ったものを選ぶことが重要です。
その中でも、銀行融資が難しいケースやスピードを重視するケースでは、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンが選択肢のひとつとなります。
主な特徴
- 事業資金として幅広い資金使途に対応
- ご親族(原則三親等以内)所有の不動産も担保可能(同意・要件あり)
- 正式申込から最短1週間での融資(審査状況による)
- 年間申込実績7,000件超の豊富な取扱経験
- 銀行融資が困難なケースでも柔軟に対応
無理のない返済計画のもとでのご利用をお願いしております。まずはお気軽にご相談ください。
銀行からのリスケを拒否されても次の対策を考えることが大事
リスケ(返済条件の変更)は資金繰り悪化時の重要な選択肢ですが、成功には以下の要点が欠かせません。
成功のための要点
- 債権者間の公平性を確保した全行同一条件での交渉
- 実現可能性の高い経営改善計画の作成
- 正確な資金繰り表による客観的な状況説明
- 適切なタイミングでの早期相談
リスケを拒否された場合でも、経営改善を進めつつ再交渉に備えることが大切です。さらに、公的保証制度やファクタリング、不動産担保ローンといった代替手段を活用すれば、資金繰りを安定させ、再建に向けた時間を確保できます。
中でも、不動産をお持ちの事業者の方には、不動産担保ローンの活用が有力な選択肢となります。
セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンであれば、赤字決算でも対応可能であり、銀行融資が難しいケースでも担保不動産の内容によっては融資を受けられる可能性があります。
年間7,000件超の申込実績を活かし、経験豊富な担当者が経営再建に向けた資金確保を丁寧にサポートいたします。
リスケを「最後の手段」と捉えるのではなく、経営再建の戦略のひとつとして早期に検討し、金融機関との信頼関係を維持しながら持続可能な事業運営を目指しましょう。
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