BMIという言葉を聞いたことはあるけれど、具体的に何を測定しているのか、基準は何なのか分からないという方もいるでしょう。特定健診(メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目して病気のリスクの有無を検査し、リスクがある方の生活習慣をより望ましいものに変えていくための保健指導を受けてもらうことを目的とした健康診査)を受けると検査結果に表示されていますので、馴染み深い方が多いかもしれません。
BMIは、身長や体重の値を用いた計算式で、自身の肥満の度合いを算出するための指標です。BMI22が最も病気になりにくい値といわれています。一方で、BMI25以上は肥満と定義され、生活習慣病やがん、腎不全などのさまざまな病気の発症リスクを高めることが分かっています。
このコラムでは、BMIや標準体重の計算式、判定基準を説明します。自身の健康維持に役立ててください。
BMI(Body Mass Index)とは
BMIとは、肥満度を表すために使用される指数です。別名ボディマス指数と呼ばれていて、身長と体重の値を用いて算出します。また、BMIと密接に関係し、健康指標となる標準体重という値も存在します。統計上、BMIが22の値の時が最も病気になりにくいといわれており、BMI=22の値を利用して標準体重を算出します。標準体重の計算式は以下のとおりです。
標準体重(kg)=22(BMI値)×身長(m)×身長(m)
例)身長165センチの場合
22(BMI値)×1.65m×1.65m=59.9kg
身長はcmではなくmで計算しますので注意が必要です。
BMIの計算式
BMIは、身長と体重を元に算出します。計算式は以下のとおりです。
BMI=体重(kg)÷身長(m)2
例)慎重160センチ、体重50kg
50kg÷1.6m÷1.6m=19.5(BMI値)
標準体重の計算式と同様、身長の単位はmですので、cmで計算しないように注意しましょう。BMIも標準体重も、それぞれの算出方法は世界共通です。性別での区別はなく、BMI値22が統計的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかりにくい値とされています。
一方で注意すべき点は、BMI値は健康上の指標を示すものであり、見た目が標準なのかどうかを表す指標ではないということです。そのため、BMI値が22と標準だからといって、見た目としての基準も標準というわけではありません。
BMIの判定基準
BMIの計算式は世界共通です。一方で、判定基準は日本と海外で異なります。日本独自の基準とWHOが提唱している2つの判定基準が存在しています。日本肥満学会が出しているBMIの評価基準は以下のとおりです。
BMI値 | 判定基準 |
18.5未満 | 低体重 |
18.5〜25未満 | 普通体重 |
25〜30未満 | 肥満(1度) |
30〜35未満 | 肥満(2度) |
35〜40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
一方、WHOが出しているBMIの評価基準は以下のとおりです。
BMI値 | 判定基準 |
<16 | やせすぎ |
16〜<17 | やせ |
<18.5 | やせぎみ |
18.5〜<25 | 普通体重 |
25〜<30 | 過体重 |
30〜<35 | 肥満(1度) |
35〜<40 | 肥満(2度) |
この2つの基準は、性別を問わない一般成人の判定基準になります。子ども・小学生、妊婦、女性に特化した肥満指数の説明を詳しく行います。
子ども・小学生
生後3ヵ月から5歳までの乳幼児にはカウプ指数を、小学生以降の子どもにはローレル指数と呼ばれる指数を用いて肥満度を算出します。乳幼児に使用するカウプ指数の計算式は以下になります。
- 計算式1:カウプ指数=体重(kg)÷身長(m)2
- 計算式2:カウプ指数=体重(g)÷身長(cm)2×10
計算式は2通りありますが、単位がkgとmでの算出か、gとcmでの算出かの違いだけで、計算方法はどちらも同じです。年齢ごとに標準値が変わってきますので、カウプ指数を計算した後は、年齢に合わせた判定基準を見て肥満度を判断します。一方、小学生以降の子どもに使用するローレル指数の計算式は以下です。
- ローレル指数=体重(kg)÷身長(m)3×10
ローレル指数は年齢に関係なく判定基準は同じです。一般的に、ローレル指数130が標準体重となっています。
ローレル指数 | 判定基準 |
100未満 | やせすぎ |
100〜115未満 | やせぎみ |
115〜145未満 | 普通 |
145〜160未満 | 太りぎみ |
160以上 | 太りすぎ |
妊婦
妊婦の場合、肥満度の区分は成人に使用するBMI値の算出方法と同じです。妊婦特有なのは、算出されたBMI値を元に、どの程度まで体重増加しても良いかという判定基準が追加される点にあります。
体格区分 | 推奨体重増加量 |
低体重(やせ):BMI18.5未満 | 9〜12kg |
普通:BMI18.5以上25.0未満 | 7〜12kg |
肥満:BMI25.0以上 | 個別対応 |
妊娠中の体重管理は個人差があり、推奨体重どおりにいかない方も多いことでしょう。しかし、ある程度の目安値を把握しておくことで、自分なりに体重管理を意識できるきっかけのひとつとなります。
女性
BMIの標準値である22という値は、最も病気になりにくいという健康上の指標を割り出したものです。つまり、見た目の良さを表す指標ではないということになります。そのため、BMIの標準値の場合、見た目としてはやや太って見えてしまいます。見た目を意識した体重を目指す場合、BMI値での理想は19となります。
しかし、見た目の判断はBMIだけで判断できるものではありません。筋肉量や体脂肪率などの他の値も把握したうえで判断する必要があります。あくまでも、BMIは健康に気をつけるための指標として判断するようにしましょう。
BMIと肥満について
BMIは健康の程度を測る指標、つまり肥満の具合を知ることができる測定値になります。つまり、肥満と密接に関係しているわけです。肥満と関連が深いといえば、イメージしやすいのは生活習慣病ではないでしょうか。
- 肥満と病気の関連性とは
- 生活習慣病との関連性とは
これからひとつずつ詳しく説明します。
肥満と病気の関連性とは
BMI値で肥満と定義されるのは、25以上です。肥満と聞くと生活習慣病のイメージが強い方は多いかもしれません。しかし、生活習慣病以外にも、腎不全やがんなどの発症リスクを高めるといわれています。厚生労働省の調査によると、BMIが低ければ低いほど死亡するリスクも低くなっています。ただし、年齢によっても適切なBMI値が変わってくるのでご自身のBMI値と照らし合わせると良いでしょう。
年齢(歳) | 総死亡率が最も低かったBMI(kg/㎡) |
18~49 | 18.5~24.9 |
50~64 | 20.0~24.9 |
65~74 | 22.5~27.4 |
75 以上 | 22.5~27.4 |
例えば、肥満になると、膝などの関節への影響が高まります。これは、肥満に伴い関節や骨への負担が高くなるためです。もちろん、年齢と共に関節や骨の老化は進むため、一概に肥満だけが原因とはいえません。しかし、年齢的なリスクに肥満の要素が加わることで、関節や骨への負担が増してしまうことは否定できません。ご自身のBMI値を把握して、適切な体重管理を行うことが大切です。
生活習慣病との関連性とは
BMI値を意識した体重管理を行うことで、生活習慣病を予防することができます。BMI値が25以上の肥満となると、持病が悪化する要因となったり、血液内のコレステロールが血管を内側から攻撃してしまい、動脈硬化を引き起こします。
その結果、血栓ができてしまい、心臓や脳の細い血管に血栓が飛び、詰まらせてしまうことで心筋梗塞や脳卒中などの病気の引き金となることがあります。BMI値と生活習慣病は密接に関係していますので、BMI値を意識した生活を行うことが重要となります。
おわりに
BMIは肥満の程度を表すために、使用する指数です。身長と体重の値を用いて算出します。計算式は、BMI=体重(kg)÷身長(m)2で算出します。BMI値で病気になりにくいとされる値は22です。見た目ではなく健康面を重視した適正値となります。一般成人はBMIで肥満度を測定しますが、乳幼児はカウプ指数・ローレス指数と呼ばれる指数を用いて評価します。妊娠中の方は、肥満度はBMI値で算出しますが、体重増加が関連してきますので、妊婦特有の評価法で評価します。
BMIは、25以上が肥満といわれており、BMI値が25以上の場合、生活習慣病やがんなどの病気のリスクが高くなります。ご自身のBMI値を把握し、適切な体重管理を行い病気を予防しましょう。