賃貸物件を所有する中で、空室の長期化や家賃の下落、周辺の新築物件との競争激化に悩まされていませんか。築年数が経過するにつれて、同じような設備・間取りの物件が増え、価格競争に巻き込まれるケースは少なくありません。空室が1か月続けば、その分の家賃収入が失われるだけでなく、入居者募集にかかる広告費などの負担も発生します。
こうした課題を解決する有効な手段が「賃貸リノベーション」です。単なる原状回復にとどまるリフォームとは異なり、リノベーションは物件に新たな価値を付加し、商品力を高める経営戦略といえるでしょう。内装や設備を一新することで、家賃の維持や上昇、空室期間の短縮、ターゲット層の拡張といった効果が期待できます。
本記事では、築古物件を抱える賃貸オーナーや、これから改修を検討している管理会社・大家の方に向けて、賃貸リノベーションのメリットや具体的な進め方、資金調達の方法までを詳しく解説します。物件の競争力を取り戻し、安定した賃貸経営を実現するためのヒントとしてお役立てください。
- 賃貸リノベーションとリフォームの違いと投資効果の考え方
- 家賃維持・空室短縮・ターゲット拡張など物件オーナーが得られる具体的メリット
- 入居者に選ばれるリノベーションの3つのポイント(設備・安心・コンセプト)
- 施工会社の選び方と費用対効果を意識した予算配分の方法
- リノベーション完了後の管理と効果的な入居者募集の進め方


賃貸経営におけるリノベーションの重要性

近年、新築物件の価格高騰を背景に、リーズナブルでありながら質の高い住まいを求める入居者が増加傾向です。特に若い世代を中心に、画一的な新築よりも個性的でデザイン性に優れたリノベーション賃貸への関心が高まっている傾向が見られます。こうした市場環境の変化は、賃貸オーナーにとって大きなチャンスといえるでしょう。
築年数が経過した物件は、放置すれば周辺の類似物件と同質化し、価格競争に巻き込まれていきます。家賃を下げても入居者が決まらず、空室期間が長引けば、機会損失に加えて募集費用も膨らんでしまいます。しかし、リノベーションによって物件に新たな魅力を加えることで、こうした負のスパイラルから抜け出すことが可能です。
賃貸経営において、リノベーションは単なる修繕の延長ではありません。募集時の武器を作り出す「投資」として位置づけることで、競争力を取り戻し、安定した収益を生み出す経営戦略となります。原状回復の枠を超えた価値創造こそが、リノベーションの本質といえるのです。
入居者需要の高まりとリノベーションの定義
若年層を中心に、新築にはない個性や世界観を持つ住まいへの需要が広がりつつあります。SNSやインテリア情報の普及により、おしゃれで自分らしい空間で暮らしたいという意識が高まっていることも、こうした傾向を後押ししているといえるでしょう。
リノベーションとは、古い建築物の機能を今の時代に適したあり方に変えて、新しい機能を付与することを指します。国土交通省の資料でも、このような定義が示されており、単なる修繕や原状回復とは異なる概念として一般に認識されています。
ただし、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉の使い分けは、業界や媒体によって揺れがあるのも事実です。一部では同じ意味で使われることもありますが、本記事では、価値を付加する大規模な改修を「リノベーション」、原状回復を目的とした修繕を「リフォーム」として区別して説明します。
貸主にとって、リノベーションは物件の商品力を高め、競争環境の中で優位に立つための経営戦略です。入居者に選ばれる物件へと生まれ変わらせることで、安定した収益を確保する重要な手段となるでしょう。
引用:国土交通省|マネジメント型まちづくりファンドの設立~ 民都機構と朝日信用金庫が連携し、民間まちづくりを支援します ~(谷根千まちづくりファンド)
原状回復(リフォーム)との投資効果の違い
リフォームは、老朽化した設備や内装をもとの状態に戻す作業であり、マイナスの状態をゼロに戻すことが主な目的となります。壁紙の張り替えや設備の交換など、入居可能な状態に整えることで、家賃の維持が精一杯という場合も少なくありません。
一方、リノベーションはプラスの価値を生み出す取り組みです。間取りの変更やデザイン性の高い内装、最新設備の導入などにより、物件に新たな魅力を付加します。その結果、家賃の上昇や空室期間の短縮、ターゲット層の変更といった積極的なリターンが期待できるのです。
ただし、やみくもに工事を行えば良いわけではありません。過剰な投資は回収期間が長くなり、経営を圧迫するリスクもあります。物件の立地や築年数、周辺の競合状況を踏まえ、目的に合わせてリフォームとリノベーションを使い分けることが重要です。
以下の表で、両者の違いを整理しましょう。
| リノベーション | リフォーム | |
|---|---|---|
| 目的 | 選ばれる理由を作る(価値の付加) | 入居可能状態に戻す(原状回復) |
| 工事範囲 | 間取り変更、設備刷新、デザイン一新など大規模 | 壁紙・床の張り替え、設備の修繕など部分的 |
| 期待効果 | 家賃上昇、空室短縮、ターゲット変更 | 家賃維持、最低限の競争力確保 |
| 判断の目安 | 競合との差別化が必要な場合 | 退去後の原状回復が目的の場合 |
| 注意点 | 過剰投資は回収不能のリスクあり | 価値向上には限界がある |
リノベーションは家賃収入の向上や入居率の安定化に寄与する一方、費用対効果を見誤れば逆効果となります。
物件オーナーがリノベーションを行うメリット

賃貸リノベーションは、物件オーナーにとって経営上のさまざまな課題を解決する手段となります。家賃収入の向上、空室対策、競合物件との差別化など、具体的なメリットを経営指標の視点から整理してみましょう。
賃貸経営における主要な指標は、以下の4つに分類できます。
- 家賃(単価)
- 入居までの期間(空室日数)
- 入居期間(定着率・更新率)
- 退去後コスト(原状回復の負担感)
リノベーションは、これらすべてに好影響を与える可能性を持っています。
周辺相場より高い家賃設定や維持が可能になり、競合物件と差別化することで空室期間を短縮できます。さらに、ターゲット層を再設定することで入居率を安定させ、長期的な賃貸経営において資産価値を維持する効果も期待できるでしょう。
入居者にとっての魅力を裏返せば、それは貸主が提供できる価値そのものです。新築のような綺麗な内装、最新設備の導入、個性的なデザインといった要素は、入居者の満足度を高めるだけでなく、オーナーの収益性向上にも直結します。
周辺相場より高い家賃設定や維持が可能になる
築年数が古い物件は、通常であれば家賃の下落圧力にさらされます。しかし、内装や設備を一新するリノベーションを施すことで、相場の下落を抑えやすくなります。条件次第では、周辺の築浅物件と同等、あるいはそれ以上の家賃設定も可能です。
入居者にとって、「新築よりは安いが内装は新築同様」という物件は魅力的に映ります。この心理を活かせば、貸主としては「築古でも収益性を確保できる」という強みに変えられるのです。立地や周辺環境が良好であれば、リノベーションによる付加価値がさらに際立つでしょう。
ただし、投資対効果を意識した家賃設定が重要です。リノベーション費用を無理に回収しようと高額な家賃を設定すれば、かえって入居者が決まらず、空室期間が長引くリスクもあります。周辺相場や物件の特性を踏まえた適正な価格設定が、成功の鍵となります。
競合物件と差別化し空室期間を短縮できる
ありきたりな賃貸物件が並ぶ中で、デザイン性の高い内装や独自のコンセプトを持つ物件は、入居希望者の目に留まりやすくなります。差別化のポイントは、大きく3つの軸に整理できます。
- 1つ目の軸:機能
収納スペースの充実、在宅ワークに対応したワークスペースの設置、最新設備の導入など、暮らしやすさを高める工夫が該当します。 - 2つ目の軸:安心
耐震性の確保、配管の更新、セキュリティ設備の強化など、見えない部分の安全性を高めることで、入居者の不安を取り除けます。 - 3つ目の軸:世界観
カフェ風やヴィンテージ風といったコンセプトの明確化、こだわりの素材選び、統一感のある色使いなど、物件の個性を打ち出すことで、特定の層に強く訴求できます。
こうした特徴は、写真や募集文を通じて伝わりやすく、問い合わせにつながりやすいメリットがあります。客付け(リーシング)がスムーズになれば、空室期間の短縮による機会損失の削減も期待できるでしょう。
ターゲット層を再設定して入居率を安定させる
リノベーションを活用すれば、物件のターゲット層を変更することも可能です。単身者向けだった物件をDINKS向けに変更する、ファミリー層に訴求できる間取りに変更するなど、取りたい層を再設定することで競争軸をずらせます。
ターゲットを変更する利点は、競合との直接対決を避けられる点にあります。周辺に単身者向け物件が飽和していれば、カップルやファミリー向けにシフトすることで、需要と供給のバランスが取れた市場で勝負できるのです。
また、ターゲット層を明確にすることで、リノベーションの方向性も定まります。誰に住んでほしいかが決まれば、どこに投資すべきかが見えてくるため、無駄な出費を抑えながら効果的な改修が可能になるでしょう。
入居率の安定化は、長期的な賃貸経営において極めて重要です。ターゲットを再設定し、その層に刺さる物件へと生まれ変わらせることで、安定した収益基盤を築けます。
入居者に選ばれるリノベーションのポイントと注意点

リノベーションを成功させるには、入居者が内見時にチェックするポイントを把握し、不安や不満を事前に解消しておくことが重要です。見た目のデザインだけでなく、耐震性や設備面での安心感を提供することが、成約率の向上につながります。
入居者に選ばれるリノベーションには、以下3つの重要なポイントがあります。
- 水回りやセキュリティなど設備の機能性を高める
- 耐震補強や配管更新で見えない不安を解消する
- コンセプトを明確にしてターゲットに訴求する
一方で、リノベーション実施時には注意すべき点もあります。過剰投資による回収期間の長期化、需要とズレた工事内容、工事品質や管理の不備などは、せっかくの投資を無駄にしかねません。適切な計画と信頼できる施工会社の選定が、成功の鍵を握ります。
水回りやセキュリティなど設備の機能性を高める
キッチン、浴室、トイレといった水回りは、入居者の満足度に直結する部分です。毎日使う場所だからこそ、清潔感や使いやすさが重視されます。古い設備のままでは、いくら内装がおしゃれでも敬遠される可能性が高いでしょう。
優先的に刷新すべき設備を判断する際は、以下3つの基準が役立ちます。
- 清潔感:古さが目立つ箇所は、内見時の印象を大きく左右します。
- 故障リスク:入居後のトラブルを避けるため、劣化が進んだ設備は交換しておくべきです。
- 内見で見られる箇所:入居希望者が必ずチェックする場所に予算を集中させることで、効率的な投資が可能になります。
セキュリティ設備も重要な要素です。オートロックやモニター付きインターホンは、女性やファミリー層への訴求力を高めます。防犯カメラの設置や、玄関ドアの鍵を最新のものに交換するだけでも、安心感は大きく向上するでしょう。
耐震補強や配管更新で見えない不安を解消する
築古物件では、借主は耐震性や配管の老朽化を懸念しています。内装が綺麗でも、建物の安全性に不安があれば入居を見送られる可能性があります。貸主側で適切な対策を講じ、その情報を開示することが重要です。
旧耐震基準(1981年5月以前に建築確認申請が承認された物件)の場合、耐震診断や補強工事を行い、その結果を募集資料に記載することで、安全性をアピールポイントに変えられます。必要に応じて専門家(建築士など)に確認を依頼し、診断・補強は個別性が高いことを踏まえた対応が求められます。
配管の更新も見落としがちなポイントです。給水管や排水管の劣化は、入居後の水漏れトラブルにつながる恐れがあります。工事履歴を確認し、必要であれば交換しておくことで、長期的な安心感を提供できるでしょう。
さらに、電気容量(アンペア数)の不足も現代の家電事情に対応できない原因となります。エアコンや電子レンジ、電気ケトルなどを同時に使用する生活スタイルが一般的になった今、容量アップの検討は不可欠です。ネット環境やコンセントの位置にも配慮し、快適なテレワーク環境を整えることが、入居者の満足度向上につながります。
コンセプトを明確にしてターゲットに訴求する
「誰に住んでほしいか」を明確にすることで、リノベーションの方向性が定まります。ターゲット層に響くデザインや間取りを採用することで、成約率は大きく向上するでしょう。
具体的なコンセプト事例として、「ペット共生」「在宅ワーク対応」「カフェ風」などが挙げられます。以下の表で、それぞれのコンセプトに適した層と有効な施策を整理します。
| コンセプト例 | 刺さる層 | 有効施策 |
|---|---|---|
| ペット共生 | ペット飼育者、若年カップルなど | ペット用の足洗い場、傷に強い床材、ペットドアの設置 |
| 在宅ワーク対応 | フリーランス、リモートワーカーなど | ワークスペースの確保、コンセント増設、防音対策 |
| カフェ風 | おしゃれ志向の単身者、DINKSなど | ナチュラルな素材感、間接照明、オープンキッチン |
コンセプトを設計する際は、以下の手順が有効です。
- エリアや競合の募集条件を確認する
- 刺さる層を1つ決める
- その層が内見で見る「決め手」に投資する
地域の特性や競合調査に基づいたコンセプト設計が、空室対策の鍵となります。漠然とした「おしゃれな部屋」ではなく、具体的なターゲット像を描き、その人たちが求める要素を盛り込むことで、選ばれる物件へと生まれ変わります。
投資用物件の工事費用にはセゾンのリフォームローン

投資用物件のリノベーションには、まとまった資金が必要です。しかし、一般的なリフォームローンは自宅用に限定されており、投資用物件には利用できない場合があります。そこで活用したいのが、投資用物件にも対応した「セゾンのリフォームローン」です。
セゾンのリフォームローンは、区分マンション、戸建て、アパートなど、投資用物件のリノベーションに幅広く対応しています。手元資金を残しながら効率的に物件価値を向上させる手段として、多くのオーナーに選ばれています。
担保・保証人が原則不要で申し込みやすく、来店不要のWEB完結により最短1日で審査回答が得られる点も大きな魅力です。急な修繕や入退去のタイミングに合わせたリフォームにも対応しやすく、賃貸経営をスムーズに進められるでしょう。
次に、こうした特徴がもたらす利点について、より詳しくご紹介します。


投資用物件のリフォームにも利用可能
多くのリフォームローンが自宅用限定である中、セゾンのリフォームローンは投資用物件にも利用できる点が特徴です。区分マンション、戸建て、アパートなど、さまざまな物件タイプに対応しています。
賃貸経営におけるバリューアップ工事や設備交換の資金として活用することで、物件の競争力を高められます。対象となる工事は、設備交換、内装の刷新、間取り変更、水回りの改修など多岐にわたります。
投資効率を高めるために、手元資金を使わずにローンを活用するメリットも見逃せません。資金をすべて工事費に充ててしまうと、突発的な修繕や他の投資機会に対応できなくなるリスクがあります。ローンを利用することで、資金繰りに余裕を持たせながら物件価値の向上を図れるのです。
担保・保証人が原則不要で申し込みやすい
セゾンのリフォームローンは、担保設定や保証人が原則不要です。手続きの手間が少なく、スピーディーに利用できる点が大きな利点といえます。
抵当権の設定費用や保証料もかからないため、初期費用を抑えられます。物件の担保余力を温存できるため、他の融資への影響を抑えやすい点も魅力です。将来的に新たな物件を購入する際や、大規模修繕が必要になった際にも、選択肢を広げられるでしょう。
来店不要のWEB完結で最短1日のスピード回答
24時間365日、WEBから申し込みが可能なため、忙しいオーナーでも手続きしやすいのが特徴です。店舗に足を運ぶ必要がなく、スマートフォンやパソコンから簡単に申し込めます。
必要書類が揃っていれば、審査回答が最短1日と早い点も見逃せません。急な修繕が必要になった場合や、入退去のタイミングに合わせたリフォームを行いたい場合でも、スムーズに対応できます。
工事完了後の代金支払いまでのスケジュールも明確で、資金計画が立てやすい仕組みになっています。施工会社への支払いタイミングを事前に確認しておけば、スムーズな工事進行が可能です。


成功する賃貸リノベーションの進め方

リノベーションを成功させるには、計画的な進行と信頼できるパートナー選びが不可欠です。以下3つのポイントを意識しましょう。
- 複数の施工会社から見積もりを取り比較する
- 費用対効果を意識して予算配分を決める
- 施工後の管理と入居者募集を強化する
施工会社によって得意分野や提案内容は大きく異なります。相見積もりを取ることで適正価格を見極め、自分の物件に最適なパートナーを選ぶことが重要です。また、かけた費用をどのくらいの期間で回収できるかを計算し、無理のない予算配分を行うことも欠かせません。
リノベーション完了後は、魅力的な写真撮影や効果的な募集活動により、スピーディーな客付けを実現することが求められます。施工後の管理や入居者募集まで見据えた計画を立てることで、投資効果を最大化できるでしょう。
複数の施工会社から見積もりを取り比較する
リノベーション費用は施工会社によって大きく異なるため、相見積もりを取って適正価格を見極めることが重要です。金額だけでなく、提案力や過去の施工実績、デザインの方向性が自分の希望と合っているかを確認しましょう。
賃貸リノベーションの実績が豊富な会社を選ぶことで、入居者ニーズを捉えた提案が期待できます。一般的な住宅リフォームとは異なり、賃貸物件では費用対効果や入居者の好みを重視した設計が求められるためです。
確認すべき項目は、金額や提案力だけではありません。工期、保証内容、アフターサービス、管理会社との連携可否、募集写真の撮影支援の有無なども重要なポイントです。以下のチェック表を参考に、総合的に判断しましょう。
| 確認項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 金額 | 見積もりの詳細、追加費用の有無 |
| 提案力 | デザイン性、ターゲットへの訴求力 |
| 実績 | 賃貸リノベーションの施工事例数 |
| 工期 | 完成までの期間、入退去タイミングへの対応 |
| 保証内容 | 施工後の不具合対応、保証期間 |
| アフターサービス | 完成後の相談対応、定期点検の有無 |
| 管理会社との連携可否 | スムーズな引き渡し、募集開始までの連携 |
| 募集写真の撮影支援 | プロによる撮影、魅力的な写真の提供 |
複数社を比較することで、それぞれの強みや弱みが明確になります。自分の物件に最適なパートナーを見つけることが、リノベーション成功の第一歩です。
費用対効果を意識して予算配分を決める
かけた費用をどのくらいの期間で家賃収入として回収できるかを計算することが重要です。利回り計算を行い、無理のない投資計画を立てましょう。
回収シミュレーションの基本的な考え方は以下の通りです。
- 家賃上昇分×12か月=年間増収
- 工事費÷年間増収=回収年数
たとえば、月3万円の家賃上昇が見込める場合、年間増収は36万円です。工事費が360万円であれば、回収期間は10年となります。この期間が妥当かどうかを、物件の築年数や今後の賃貸需要予測と照らし合わせて判断しましょう。
全面リノベーションだけでなく、ポイントを絞った部分リフォームも検討に値します。優先順位をつけ、水回り、内装、外観の順で投資することで、限られた予算で最大の効果を狙えます。
また、リノベーション費用は「修繕費」と「資本的支出」で会計・税務上の扱いが異なる可能性があります。詳細は税理士などの専門家に確認し、適切な処理を行うことが重要です。減価償却の考え方も絡んでくるため、事前に相談しておくと安心です。
施工後の管理と入居者募集を強化する
リノベーション完了後は、魅力的な写真撮影やWEB掲載を行い、積極的に入居者募集を行う必要があります。写真だけでなく、募集条件の設計も重要なポイントです。
敷金・礼金の設定、フリーレント期間の有無、設備欄の書き方、訴求文の内容など、細部にわたって「誰に刺さるか」を意識した設計が求められます。たとえば「リノベーション済み」「デザイナーズ」といった表現を募集図面に明記するだけでも、問い合わせ数は変わってきます。
ただし、事実に即した表現を使用することが大前提です。過度な誇張や根拠のない表現は、後々のトラブルにつながる恐れがあるため注意しましょう。
施工会社や管理会社と連携し、スピーディーに客付けを行う体制を整えることも重要です。工事完了後、すぐに募集を開始できるよう、事前に写真撮影の手配や募集図面の準備を進めておくことで、空室期間を最小限に抑えられます。
おわりに
賃貸リノベーションは、築古物件の競争力を取り戻し、安定した賃貸経営を実現するための有効な手段です。単なる原状回復にとどまらず、物件に新たな価値を付加することで、家賃の維持・上昇、空室期間の短縮、ターゲット層の拡張といった効果が期待できます。
成功の鍵は、入居者ニーズを的確に捉え、費用対効果を意識した計画的な投資にあります。水回りやセキュリティといった設備の機能性向上、耐震補強や配管更新による安心感の提供、明確なコンセプトに基づくターゲット訴求の3つが、入居者に選ばれる物件づくりの基本です。
資金調達においては、投資用物件にも利用できるセゾンのリフォームローンを活用することで、手元資金を残しながら効率的にリノベーションを進められます。複数の施工会社から見積もりを取り、信頼できるパートナーを選ぶことも忘れてはなりません。
施工後は、魅力的な写真撮影や効果的な募集活動により、スピーディーな客付けを実現しましょう。リノベーションは、物件の商品力を高めるだけでなく、長期的な資産価値の維持にもつながる経営戦略です。本記事で紹介したポイントを参考に、賃貸経営の成功につなげてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。