「今から不動産投資を始めたいけど、自宅の住宅ローンが残っている場合でも不動産投資ローンは組めるの?」「一般的な住宅ローンと不動産投資ローンは何が違う?」の疑問のお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不動産投資を行う際は、不動産投資ローンを活用し、レバレッジをかけることで自己資金以上の資産を運用することができ、資産効率の視点からは不動産投資を行ううえで活用したい有利なローン商品です。
このコラムでは、自宅など、自分自身が居住を目的に不動産を購入する際に利用する一般的な「住宅ローン」と、不動産投資を行う際に活用できる「不動産投資ローン」の違いについて解説します。「住宅ローンが残っているから不動産投資はできない」とあきらめる前に、本コラムを読んで、不動産投資ローンについて理解を深めてみましょう。
不動産投資ローンと住宅ローン、ここが違う
不動産投資を行う際に活用できる「不動産投資ローン」と、居住を目的に自宅を購入する際に活用する一般的な「住宅ローン」との違いについて、まずはみていきましょう。
資金使途の違い
1つ目の違いは、ローンの「資金使途」の違いがあります。不動産投資ローンは、投資用不動産の購入を目的としています。一方、住宅ローンは、自宅の購入を目的としています。目的が異なるため、当然、審査基準をはじめ、利用できる融資額、金利なども異なってきます。
返済原資の考え方の違い
2つ目の違いは、ローンの「返済原資の考え方」の違いがあります。返済原資とは、ローン返済に充てるための主な資金源です。不動産投資ローンの返済原資の考え方は、投資用不動産から得られた家賃収入(不動産収入)でローン返済を賄えるかどうかという視点に重きをおかれています。つまり、貸し出している家賃から管理費・修繕積立金などを差し引いた実質の手取り収入に対してローン返済の妥当性が判断ポイントになります。
一方、住宅ローンの返済原資の考え方は、購入した個人の方の給与収入です。自宅は、誰かに貸し出して家賃収入を得ることはできませんので、あくまで、返済原資は、個人の収入となり、収入に対して、ローン返済を賄えるかどうかという視点で判断されます。このため、返済能力に差が生じます。
融資限度額の違い
3つ目は「融資限度額」が異なります。融資限度額は、返済能力の影響を受けます。例えば、給与収入が500万円しかないのに、7,000万円の住宅ローンを組むのは、月々の給与がローン返済に費やされてしまうため、普段の生活に影響を及ぼすことは一目瞭然であり、収入と返済のバランスが取れていないと判断され融資を断られるケースが多いでしょう。
一方で、不動産投資ローンでは、ワンルームマンションで家賃8万円の1室と、アパート1棟で家賃8万円の8室の場合では、単純に収入が8万円と64万円と返済原資が異なりますので、限度額も当然、返済原資が多いほう融資限度額も高くなる傾向になります。
金利の違い
4つ目は「金利」が異なります。金利は、返済の不確実性が影響します。返済の不確実性が高いほど、金融機関としてはリスクを取っていることになりますので、当然、貸し出し金利も高く設定したいと思うでしょう。返済の不確実性は、返済原資や資金使途の目的、その不動産の流動性など多くの要素があり決まっています。返済原資の部分においては、家賃収入は賃借人に依存している収入であり、給与収入は、自身に依存している収入であるため、他人依存になりやすい家賃収入のほうが不確実性は高いと判断されます。つまり、不動産投資ローンのほうが金利が高い傾向にあります。
審査基準の違い
5つ目は「金利」が異なります。不動産投資ローンの審査基準は、個人の属性・信用力と不動産の資産価値・収益性です。一方、住宅ローンの審査基準は、個人の属性・信用力を中心に審査されます。
個人の属性とは、個人の年収や勤続年数、勤務先、雇用形態、借入金額、信用情報などを総合評価したもので、いわばステータスです。信用力とは、「きちんと返済してくれる」という信用の度合いです。属性が高ければ信用力も高いと推測されますが、過去に金銭的トラブル(返済滞納、税金未納など)があれば、信用力は下がります。
不動産の資産価値とは、不動産の立地・所在地、建物であれば築年数など、不動産そのものの価値です。収益性とは、言い換えれば事業性のことであり、事業として成り立つかが問題となります。収益性が高ければ、資産価値も高いと評価される傾向にあります。
不動産投資に住宅ローンを利用するのは違法
不動産投資に住宅ローンを利用することは、住宅ローンの金銭消費貸借契約などで禁止されているのが一般的ですが、特定のケースの場合、住宅ローンを利用できる場合もあります。それはどのようなケースなのでしょうか。
住宅ローンで投資用物件を購入することは禁止されている
住宅ローンの目的は、自宅を購入することです。それは契約内容に明記されています。契約内容は守る必要があります。投資用物件の購入は、住宅ローンの目的とは異なります。住宅ローンで投資用物件を購入することは禁止されており、もし、投資用物件であることが借入先の金融機関に知られると、契約違反として期限の利益喪失し、一括返済を求められることになります。
不動産投資で住宅ローンの利用が認められるケース
賃貸住宅併用、もしくは店舗付き住宅などの場合、住宅ローンの利用が認められます。ただし、自宅部分がそのほかの部分の面積以上であることが条件です。つまり、建物の延べ床面積の2分の1以上が自宅であると言えなければなりません。あくまで自宅がメインである場合に限られるということです。ただし、金融機関によって、要件や条件が異なりますので、このようなかたちで住宅ローンを利用されることを検討されている方は、事前に確認するのが良いでしょう。
住宅ローンが残っていても、不動産投資ローンは組める?
住宅ローンが残っていても、不動産投資ローンは組めます。不可能ではありません。ただし、審査は厳しくなります。住宅ローンが残っていると、個人の信用力が低下するからです。
住宅と投資用不動産のどちらを優先して購入するのが良いでしょうか。一般には、投資用不動産を優先した方が良いとされています。投資用不動産は不動産収入を生むからです。不動産収入を生むということは、個人の収入が増えるということです。これにより、個人の属性評価が上がります。個人の属性評価が上がれば、追加で融資を受けることも、それほど難しいことではありません。
反対に、住宅を先に購入した場合、個人の収入には影響を及ぼしません。ローン残高が増えただけです。ローン残高が増えれば、個人の属性に影響を及ぼします。その状態で不動産投資ローンを組むのは、当然、ハードルは高くなります。しかし、組むことは可能です。その方法を次でご紹介します。
不動産投資ローンの審査に通るための対策とは
住宅ローンが残っていても、不動産投資ローンの審査に通ることは可能です。ポイントは「不動産の収益性・資産価値」「個人の属性」「融資金額」「共同担保」です。
収益性の高い物件・築浅の物件を探す
収益性の高い物件は、不動産投資ローンの審査に通りやすいです。収益性が高いということは、投資効率が良いということです。利益が上がることが期待されます。返済の不確実性が軽減されるのでローンの審査に通りやすいと言えます
築浅の物件も、不動産投資ローンの審査に通りやすいです。築浅の物件は築古の物件に比べ、需要が高いです。需要が高い物件は、事業として成り立ちやすく、返済の不確実性が軽減されるのでローンの審査に通りやすいと言えます。
住宅ローン残債の軽減
ローン残債が軽減される(少なくなる)と審査が通りやすいのはイメージしやすいでしょう。
頭金を増やす
頭金(自己資金)を増やすのも、有効な対策の1つです。自己資金は、原則として必要です。金融機関によって基準は異なりますが、融資金額の上限額は、担保不動産(評価額)の70%から80%とされています。従って、自己資金は購入金額の20~30%以上を必要とします。自己資金を増やせば、それだけ融資金額が少なくて済むため、審査に通りやすくなります。
共同担保を入れる
共同担保を入れるのも、有効な対策の1つです。共同担保とは、購入した不動産とそれ以外の不動産を共同で担保に入れることです。そうすることで、担保力が上がります。不動産を複数所有している場合は、検討する価値はあります。
共同担保を入れた場合、購入する不動産の価格以上の担保力が備わります。購入した不動産を担保とした時と比較して、有利な融資条件を引き出すことも期待できます。例えば、「セゾンファンデックスの不動産投資ローン」の場合、共同担保があればフルローンを組むことも可能です。
おわりに
投資用の不動産を購入する時は、不動産投資ローンを利用しましょう。住宅ローンが残っている場合、ローンを組んでいない場合に比べると、審査を通過するのは難しくなります。しかし、組めないわけではありません。本コラムでご紹介した対策を行えば、審査に通る可能性は上がるでしょう。共同担保があれば、フルローンを組むことも可能である「セゾンファンデックスの不動産投資ローン」もご紹介しました。
本コラムを読む前、あなたは「自宅のローンが残っていると、不動産投資ができない」とお考えであった方も、不動産投資ローンと住宅ローンは別物とご理解いただけたのではないでしょうか。本コラムが参考になれば幸いです。